119 / 214
事件簿008 『白波看板』その15
しおりを挟む
「・・・。お、お奉行様・・・。こ、こんな時に冗談は止しにしましょうや。」
「いや、冗談では無いぞ。」
「しかし、現にあっしの首はまだ繋がっております。」
「白浪角右衛門は打ち首になって死んだのじゃ。」
「え??」
「石川五右衛門の辞世の句は知っておろう。」
「はい、もちろん。『石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ』でやす。」
「お主が死んだとて、たかだか盗人が一人減るだけのこと。それよりも死んだつもりでワシを手伝え。悪人を減らすためにワシの密偵をやるんじゃ。罪の無い町民がお幸のような目に合わないようにな。」
「盗人の頭に盗人を取り締まれって命令ですかぃ。お奉行も酷なことを言いなさる。」
「このまま死んだほうが楽かもしれんなぁ。楽なほうに逃げるか?」
「馬鹿言っちゃいけねぇ!こちとら痩せても枯れても白波の・・・いや、白浪角右衛門は死にやした。今日からは密偵の角右衛門として働かせてもらいやす。」
「いや、冗談では無いぞ。」
「しかし、現にあっしの首はまだ繋がっております。」
「白浪角右衛門は打ち首になって死んだのじゃ。」
「え??」
「石川五右衛門の辞世の句は知っておろう。」
「はい、もちろん。『石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ』でやす。」
「お主が死んだとて、たかだか盗人が一人減るだけのこと。それよりも死んだつもりでワシを手伝え。悪人を減らすためにワシの密偵をやるんじゃ。罪の無い町民がお幸のような目に合わないようにな。」
「盗人の頭に盗人を取り締まれって命令ですかぃ。お奉行も酷なことを言いなさる。」
「このまま死んだほうが楽かもしれんなぁ。楽なほうに逃げるか?」
「馬鹿言っちゃいけねぇ!こちとら痩せても枯れても白波の・・・いや、白浪角右衛門は死にやした。今日からは密偵の角右衛門として働かせてもらいやす。」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
たとえ空がくずれおちても
狼子 由
ライト文芸
社会人の遥花(はるか)は、ある日、高校2年生の頃に戻ってしまった。
現在の同僚であり、かつては同級生だった梨菜に降りかかるいじめと向き合いながら、遥花は自分自身の姿も見詰め直していく。
名作映画と祖母の面影を背景に、仕事も恋も人間関係もうまくいかない遥花が、高校時代をやり直しながら再び成長していくお話。
※表紙絵はSNC*さん(@MamakiraSnc)にお願いして描いていただきました。
※作中で名作映画のあらすじなどを簡単に説明しますので、未視聴の方にはネタバレになる箇所もあります。
僕の大切な義妹(ひまり)ちゃん。~貧乏神と呼ばれた女の子を助けたら、女神な義妹にクラスチェンジした~
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
ライト文芸
可愛すぎる義妹のために、僕はもう一度、僕をがんばってみようと思う――。
―――――――
「えへへー♪ アキトくん、どうどう? 新しい制服似合ってる?」
届いたばかりのまっさらな高校の制服を着たひまりちゃんが、ファッションショーでもしているみたいに、僕――神崎暁斗(かんざき・あきと)の目の前でくるりと回った。
短いスカートがひらりと舞い、僕は慌てて視線を上げる。
「すごく似合ってるよ。まるでひまりちゃんのために作られた制服みたいだ」
「やった♪」
僕とひまりちゃんは血のつながっていない義理の兄妹だ。
僕が小学校のころ、クラスに母子家庭の女の子がいた。
それがひまりちゃんで、ガリガリに痩せていて、何度も繕ったであろうボロボロの古着を着ていたこともあって、
「貧乏神が来たぞ~!」
「貧乏が移っちまう! 逃げろ~!」
心ない男子たちからは名前をもじって貧乏神なんて呼ばれていた。
「うっ、ぐすっ……」
ひまりちゃんは言い返すでもなく、いつも鼻をすすりながら俯いてしまう。
そして当時の僕はというと、自分こそが神に選ばれし特別な人間だと思い込んでいたのもあって、ひまりちゃんがバカにされているのを見かけるたびに、助けに入っていた。
そして父さんが食堂を経営していたこともあり、僕はひまりちゃんを家に連れ帰っては一緒にご飯を食べた。
それはいつしか、ひまりちゃんのお母さんも含めた家族ぐるみの付き合いになっていき。
ある時、僕の父さんとひまりちゃんのお母さんが再婚して、ひまりちゃんは僕の義妹になったのだ。
「これからは毎日一緒にいられるね!」
そんなひまりちゃんは年々綺麗になっていき、いつしか「女神」と呼ばれるようになっていた。
対してその頃には、ただの冴えない凡人であることを理解してしまった僕。
だけどひまりちゃんは昔助けられた恩義で、平凡な僕を今でも好きだ好きだと言ってくる。
そんなひまりちゃんに少しでも相応しい男になるために。
女神のようなひまりちゃんの想いに応えるために。
もしくはいつか、ひまりちゃんが本当にいい人を見つけた時に、胸を張って兄だと言えるように。
高校進学を機に僕はもう一度、僕をがんばってみようと思う――。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ゼロ票確認ガチ勢 ~権利と恋と情熱と♪~
みすたぁ・ゆー
ライト文芸
2023年3月現在、日本国では18歳以上に選挙権(公職)が認められている。
対象となるのは衆議院議員、参議院議員、都道府県の知事および同議会議員、区市町村の長および同議会議員などの選挙。そして選挙が行われることとなれば、定められた期間に定められた方法で候補者たちが政策を訴えるなどして、選挙戦を繰り広げる。
――だが、実はその裏でもうひとつの熱き戦いが行われていることは意外に知られていない。
界隈ではその戦いに情熱を注ぐ猛者たちを『ゼロ票確認ガチ勢』と呼ぶ。
ゼロ票確認とは投票日および期日前投票開始日、投票所において投票箱の中がカラである(ゼロ票/何も入っていない)ことを確認する手続きで、これは公職選挙法の定めによるもの。
実施方法の詳細については選挙を実施する自治体によって異なるが、大抵は投票所へ一番乗りした者がその役目を任されることとなっている。
この権利を巡る競争に命を賭ける者たちが『ゼロ票確認ガチ勢』なのだ。
もちろん、ゼロ票確認をした直後に投じる一票はあくまでも一票であり、投票時間終了間際に投じられた一票となんら変わらない。報酬が得られるわけでもない。
彼らを掻き立てるのは『投票箱の中がカラであることを確認したい』という強い想いだけ――
これは“ゼロ”に情熱を注ぐ者たちの汗と涙と戦略の物語である。
※ゼロ票確認の手続きや投票の仕方は自治体や投票所によって異なります。また、本作はフィクションです。
夢見るディナータイム
あろまりん
ライト文芸
いらっしゃいませ。
ここは小さなレストラン。
きっと貴方をご満足させられる1品に出会えることでしょう。
『理想の場所』へようこそ!
******************
『第3回ライト文芸大賞』にて『読者賞』をいただきました!
皆様が読んでくれたおかげです!ありがとうございます😊
こちらの作品は、かつて二次創作として自サイトにてアップしていた作品を改稿したものとなります。
無断転載・複写はお断りいたします。
更新日は5日おきになります。
こちらは完結しておりますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
とりあえず、最終話は50皿目となります。
その後、SSを3話載せております。
楽しんで読んでいただければと思います😤
表紙はフリー素材よりいただいております。
ある公爵令嬢の生涯
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。
妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。
婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。
そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが…
気づくとエステルに転生していた。
再び前世繰り返すことになると思いきや。
エステルは家族を見限り自立を決意するのだが…
***
タイトルを変更しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる