近未来判事「タクヤ」

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事件簿008 『白波看板』その15

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「・・・。お、お奉行様・・・。こ、こんな時に冗談は止しにしましょうや。」

「いや、冗談では無いぞ。」

「しかし、現にあっしの首はまだ繋がっております。」

「白浪角右衛門は打ち首になって死んだのじゃ。」

「え??」

「石川五右衛門の辞世の句は知っておろう。」

「はい、もちろん。『石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ』でやす。」

「お主が死んだとて、たかだか盗人が一人減るだけのこと。それよりも死んだつもりでワシを手伝え。悪人を減らすためにワシの密偵をやるんじゃ。罪の無い町民がお幸のような目に合わないようにな。」

「盗人の頭に盗人を取り締まれって命令ですかぃ。お奉行も酷なことを言いなさる。」

「このまま死んだほうが楽かもしれんなぁ。楽なほうに逃げるか?」

「馬鹿言っちゃいけねぇ!こちとら痩せても枯れても白波の・・・いや、白浪角右衛門は死にやした。今日からは密偵の角右衛門として働かせてもらいやす。」
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