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事件簿006 『江戸の夢』その11
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三人が江戸の町に入ったのは、涼やかな風と虫の音が心地よい初秋の夕刻だった。
籐七は、武兵衛と宿の湯に浸かり、あそこに行こう、あれを食べよう、と笑顔で語りかけた。
「こいつは本当は笑顔が似合う男なんだな」
「え?なんですって?」
「いや、なんでもない。明日が楽しみだな!」
次の日から籐七の案内で三人は江戸見物を始めた。
年寄りの足で一日で歩ける距離はたかがしれている。
何日かかってもいいから、ゆっくり見て回ることにしていた。
江戸に着いて4日目の夜、籐七と武兵衛は宿の近くの居酒屋で杯を交わしていた。
「明日はどこに行くのかね?」
「そうですねー。そろそろ宿の辺りは道も覚えたでしょう。明日はご夫婦水入らずで浅草寺の仲見世でも散策してきてはどうですか?」
「ふむ。そろそろ孫たちの土産も探さんといかんしな。そうしよう。」
「浅草に行かれるなら一つお願いがあるのですが。」
籐七は荷物から小さな紙包みを取り出すと、武兵衛に手渡した。
「これは私が今年育てた茶葉です。雷門の近くに奈良屋という店があります。そこのご主人に、この茶の出来を鑑定してもらって欲しいんです。」
次の日、武兵衛夫婦を見送った籐七に、役人の集団が駆け寄ってきた。
「御用改めである!おぬしが5年前に人を殺して逃げた男だと言う密告があった!神妙にお縄につきませぃ!!」
籐七は、武兵衛と宿の湯に浸かり、あそこに行こう、あれを食べよう、と笑顔で語りかけた。
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「え?なんですって?」
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次の日から籐七の案内で三人は江戸見物を始めた。
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何日かかってもいいから、ゆっくり見て回ることにしていた。
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