近未来判事「タクヤ」

事件簿００５ 『帯久』その１５

それから、事件は思わぬ展開を見せた。

解剖所見が精査され、頭の傷について、詳細な検査が行われた結果、重要な２つの判定が提出された。

まず一つは脳内出血を起こしたのは卓上ライターの角と一致する傷だけであること。
もう一つは、その傷が上からの打撃だったこと。

投げつけられた物なら横からの傷になるはず。
つまり、卓上ライターは、振り下ろされたということが予想できた。
そして、その殺意がこもった打撃こそが浦賀の命を奪ったのだ。

再度、徹底した現場の捜査が行われ、追加で採取された毛髪のうち１本のＤＮＡが過去の記録と一致した。

その毛髪の持ち主は、佐藤蜜朗を騙してトンズラした詐欺師だった。
そして、ビルの監視カメラ記録を確認すると、その詐欺師がアツシの後にビルを訪れていたことも判明した。
全国に緊急指名手配され、詐欺師は海外逃亡直前に逮捕された。

その頃、ヒトミは父親の南社長に重大な事実を告げていた。