回顧

papiko

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離宮の一部屋の寝台にイノフィエミスを降ろし、その周りにソファや椅子を寄せてハルトノエルが話始めるのを待った。


「....イノフィエミス殿下。」

「...。」

「...私が誰か、分かりますか?」


イノフィエミスは首に手を当てて、少し喉を押して声を出した。


「...わか、き、てんさい。」

「ええ、そして唯一無二の」

「...し、んゆ、。」

「その名前は?」

「...はる、と...のえ、る。」

「...ええ、そうです。頑張って声を出してくださり、ありがとうございます。使用人が来るまで寝てくださって大丈夫ですよ。」


その言葉を聞いたイノフィエミスはすぐに眠りに着いた。ハルトノエルは、王子三人の方に向き直り、口を開いた。


「...彼は、私の唯一無二の親友であり、幼馴染で、第一王子・・・・もとい王太子・・・だったイノフィエミス様です。」

「...第一王子は俺ではないのか?」

「...私も、他の貴族も、他国の重鎮達も、さっきまでイノフィエミス様ことを記憶しておりませんでした。

...おそらく、前国王である皆様の御父上が世界全体に認識阻害の魔法をかけていたのだと思います。」

「そんな、大規模な魔法、たった一人で使えると思えないのですが。」

「ええ、ですから、過去に、リノスフェル様がお産まれになる前にあった魔法省がなくなっているのでしょう。

前国王がイノフィエミス様を囲う際に、認識阻害の魔法を魔法省の魔法師、総勢約370名の命を代償にして世界全体にかけたのだと思います。」

「...そんな、。」

「...改めて、ルーチェントローズ王国、第一王子のイノフィエミス殿下です。私の唯一無二の親友で、同い年の36歳です。」

「...俺が知らないってことは、。」

「はい、彼はリノスフェル殿下がお産まれになる前に囲われていたようなので、お三方が知っているわけがないのです。」

「...待ってよ。リノ兄様が産まれる前って、リノ兄様21歳だよ?...まさか、その間ずっと?」

「....。」

「...そんな、だって、そしたら容姿が違うじゃん。もっと大人の姿のはずじゃん。」

「...ロルフヘイズ殿下、...おそらく、彼は北の最奥の部屋に、いらしたのでしょう?」

「...うん。」

「あそこに使用人はつけていません。」

「...え?」

「...食事も前国王が訪れたときのみだったのでしょう。その場合、真夜中に一回、それが数日おきだとすれば、成長は止まって囲われる以前の姿のまま、むしろ。」

「...むしろ、骨と皮だけの体ですか。」

「...はい。」


王子三人はなんとも言えない顔で眠るイノフィエミスを見つめた。


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