4 / 13
本編
Ⅲ
しおりを挟む
暫くしてから、執事が呼びに来たので素直に従い、国王の執務室に入った。執務室の中は人払いがされており、誰かに聞かれる心配はなかった。
「....何故、あのようなことをした。」
暗く重い圧が含まれた声で国王に問い掛けられた。僕は、ホールで言ったことを、目を伏せて繰り返し国王に伝えた。僕は、国王も皇后も父、母と呼ぶことはなかった。記憶を思い出してシナリオに従うと決めたときから父上、母上と呼ばなくなった。廃嫡されると分かっているのだから、未練がないように。そして廃嫡されたあと、国を追い出され、奴隷に落ちると知っている。だから、廃嫡された時点で人生は終わったようなものだと分かっていた。
分かっていたんだ、だからこそ―――――
「今をもって、お前を廃嫡とする。準備が出来次第、国を出てもらう。」
「...畏まりました。国王陛下。」
嫌なものを見るような目で国王がこちらを見る。
「...拒まないのだな。」
「国王陛下がお決めになったのですから従うまでです。」
「.....そうか。」
「はい、では準備が整うまで部屋にいます。」
そう言って、執務室を退室し再び自身に与えられた部屋に戻った。
ああ、これで僕は退場だ。...奴隷になるくらいなら死んだほうがマシだと知っている。2巻のざまぁ後のおまけ小話で奴隷になった後のルノワールが書かれていた。昼は鉱山で鉱石を掘り、夜は他の奴隷たちのストレスや性欲の捌け口として使われていた。そんな結末を知っているのだから奴隷にはなりたくなかった。
転生しておいて、短い人生だったなぁ。と思いつつ、転生させてくれたであろう神に謝った。神様的にはラノベの主人公のように、シナリオに、運命に抗って欲しかったのだろう。せっかく新しい命をくれたのに悪かった。と。
自室にある片手剣を手に取り、窓辺のひとり掛けのソファに座り、思いきり太腿の付け根を刺した。片手剣は太腿を貫通し、血液がドバドバと溢れ出る。卒業パーティー用に着ていた白いズボンは、赤が滲む。太腿から剣を抜いて、反対側の太腿も同じように貫いた。これは、もしものときの為のものだ。足が使えなければ、鉱山夫として使えないらしいから。だが、夜の方では幾らか懸念が残るが、多少の諦めは必要だと思い、その懸念を頭の片隅に追いやった。
太腿だけでは心配だったため、脹脛を膝裏から踵にかけて両足ともに割いた。割いた途端に、真っ白だったズボンは真っ赤に染まり、絨毯は赤黒く染まった。生き延びてしまったときの布石は終わったので、いざ首を刺そうとしたときに、血を流しすぎたのか、目の前が眩んで首めがけて突き刺そうとした片手剣は剣先の向きを変え、首の3分の1を割くように刺さり、そこで意識はなくなった。
「....何故、あのようなことをした。」
暗く重い圧が含まれた声で国王に問い掛けられた。僕は、ホールで言ったことを、目を伏せて繰り返し国王に伝えた。僕は、国王も皇后も父、母と呼ぶことはなかった。記憶を思い出してシナリオに従うと決めたときから父上、母上と呼ばなくなった。廃嫡されると分かっているのだから、未練がないように。そして廃嫡されたあと、国を追い出され、奴隷に落ちると知っている。だから、廃嫡された時点で人生は終わったようなものだと分かっていた。
分かっていたんだ、だからこそ―――――
「今をもって、お前を廃嫡とする。準備が出来次第、国を出てもらう。」
「...畏まりました。国王陛下。」
嫌なものを見るような目で国王がこちらを見る。
「...拒まないのだな。」
「国王陛下がお決めになったのですから従うまでです。」
「.....そうか。」
「はい、では準備が整うまで部屋にいます。」
そう言って、執務室を退室し再び自身に与えられた部屋に戻った。
ああ、これで僕は退場だ。...奴隷になるくらいなら死んだほうがマシだと知っている。2巻のざまぁ後のおまけ小話で奴隷になった後のルノワールが書かれていた。昼は鉱山で鉱石を掘り、夜は他の奴隷たちのストレスや性欲の捌け口として使われていた。そんな結末を知っているのだから奴隷にはなりたくなかった。
転生しておいて、短い人生だったなぁ。と思いつつ、転生させてくれたであろう神に謝った。神様的にはラノベの主人公のように、シナリオに、運命に抗って欲しかったのだろう。せっかく新しい命をくれたのに悪かった。と。
自室にある片手剣を手に取り、窓辺のひとり掛けのソファに座り、思いきり太腿の付け根を刺した。片手剣は太腿を貫通し、血液がドバドバと溢れ出る。卒業パーティー用に着ていた白いズボンは、赤が滲む。太腿から剣を抜いて、反対側の太腿も同じように貫いた。これは、もしものときの為のものだ。足が使えなければ、鉱山夫として使えないらしいから。だが、夜の方では幾らか懸念が残るが、多少の諦めは必要だと思い、その懸念を頭の片隅に追いやった。
太腿だけでは心配だったため、脹脛を膝裏から踵にかけて両足ともに割いた。割いた途端に、真っ白だったズボンは真っ赤に染まり、絨毯は赤黒く染まった。生き延びてしまったときの布石は終わったので、いざ首を刺そうとしたときに、血を流しすぎたのか、目の前が眩んで首めがけて突き刺そうとした片手剣は剣先の向きを変え、首の3分の1を割くように刺さり、そこで意識はなくなった。
8
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる