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Ⅰ
しおりを挟むこの世界は、何時の日からだか分からない、遠い昔から性別とは別のダイナミクスという力量関係によって男女の性とは異なる性があった。
人間は男女の性とDomとSubとNeutralの性に分けられた。
DomはSubを支配したい欲求があり、躾・お仕置きをしたい、褒めてあげたい、守ってあげたい、信頼がほしい、世話をしたい、などの欲求を持つ。
SubはDomから躾・お仕置きをされたい、褒めてほしい、尽くしたい、信頼を伝えたい、かまってほしいなどの欲求を持つ。
Neutralは、簡単に言えば一般人。支配したい、されたいの欲求が殆どない性だ。人口の7~8割はNeutral、またはUsualと言う。
俺、暈來希は和泉ノ丘学院に入学した高校一年生だ。小学校五年生で行われるダイナミクスの検査でSubと診断された、筈だ。
俺は、どんなランクに高いDomに命令をされても、欲求が疼くこともなく、命令に従いたいとも思わなかった。医師いわく、俺自身が相当ランクの高いSubであり、同等のDomの命令しか受け付けないのか、または命令を受けても欲求が沸かないくらい低いランクのSub、Neutralに近いSubの、どれかではないか、と言われた。
両親でさえ、Neutralと勘違いするときがあったので、幼少期から俺の周囲の人にはNeutralだと思われていた。
一応はSubなので、かかりつけの病院からは欲求不足症予防の軽めの抑制剤も処方されて、毎日一錠を必ず飲んでいた。俺自身も特に支配されたいなんて思うこともなく、Neutralに近い生活を送っていた。
しかし、和泉ノ丘学院という寮制の男子校に入学して、これまた一応はSubなので、Sub専用寮に入寮した。二人部屋だが、俺は一人で、広々と使うことができて、嬉しく思ってたのも束の間。
入学から数日経つと、俺がSub寮(Sub専用寮の略)だとクラスの一部のDomが気付いたらしく、俺のことをイジって来ているのが現在だ。
「お前、Sub寮なんだろ?」
「つまり、Subってことだろ?」
「その見た目で?マジ、ウケるんだけどww」
まあ、そうなるよな。俺はSubらしくない見た目をしている。俗に言う細マッチョってやつで、背は180cmはある。髪も襟足まであるし、かきあげてて、ピアスもしている。ここまでなら陽キャだ。だが、俺は目が吊り目で細いから眼鏡をしている。(伊達眼鏡である。)だから陽キャではない。まあ、口悪いし体格も程よく、Domに見えるとはよく言われたが、残念でした。一応、Subなんだな。これが。
まあ、こう思考してる間にも、彼らの話は進んでいるようで...。
「Subなら俺たちDomの言う事聞けるよな?」
「Subだもんなwww」
「ほら、命令出してやるよ。感謝しろよ?」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて、ここが教室だということが分かっているんだろうか。いや、分かっているからこそやってんのか。
「おすわり。」
周囲がざわつき、ランクが低いSubの子は足が震えてしまっている。俺は、なんともない顔をして、足が震えているこのそばに行き、背中を支えながら椅子に座らせる。
「大丈夫だ。俺にリワード貰っても意味ないかもしれねぇけど、よくできたな。」
そう言って、頭をぽんぽんと撫でてやれば幾分か落ち着いたようで、足の震えも治まってきている。
「おい、誰か。ちゃんと常識のあるDomな。こいつ、褒めてやってくれ。」
そっと手を上げて出てきたクラスメイトにまかせて、バカ三人衆の前に戻る。
「はぁ......。あのなぁ、お前らはバカなのか?こんな大勢の前でPlayを強要して許されるのは小学生までだぞ?犯罪、わかる?これは犯罪なわけ。しかも、3人でGlare放つとか意味わかんねぇわ。テロか?テロでもしたいのか?」
おーい、誰か警察呼んでくれ~。なんて、軽くクラスメイト達に声をかければ、DomやNeutralの生徒たちが声を潜めて笑ったり、おちゃらけて、いいぞ~。なんて返してくるやつもいる。
「ほんと、マジないわ。ありえない。」
そう言って、自分の席に座ろうとしたら、相当頭にきたのか、Glareをばら撒きながら、三人衆の一人が殴りかかってきた。それに釣られて他の二人も殴りかかってくる。俺は最初の一発だけ食らって、残りの拳やら蹴りやらは全ていなして、鳩尾に一発づつ拳を入れて動けなくさせた。
「チッ...。おい、Glare浴びたやついるか?」
さっきのSubと他に数名のSubが浴びたようで、過呼吸になりかけてるやつもいる。過去級のやつの背中を擦りながら手の開いてるクラスメイトに担任を呼びに行かせた。
「学院にパートナーは?いるか?」
小さくコクコクと頷いたので、スマホを借りて、名前を聞き出して、電話をかける。
「すまない、こいつのクラスメイトなんだが、すぐにこいつの教室に来てくれないか?Dropになりかけている。なるべく早く来てくれ。」
そう言えば、ブツッと電話が切られ、数分後にはドアを開けて駆け込んできた。駆け込んできたそいつの後から担任もやってきて、クラスの状況を見ただけで察したのか、パートナーのいる生徒はそいつと一緒に寮に戻れと言い、Glareを浴びてないSubも念の為、パートナーのもとに行けと。パートナーがいないやつは寮に戻って抑制剤飲んで休めといった。
その他の生徒も寮に帰され、Neutralの生徒達は可哀想半分授業なくなってラッキー半分で帰っていった。
地面に座り込んでるバカ三人衆は駆けつけた他の教師に連れて行かれ、俺は担任と保健室に向かった。
「何があったんだ?」
「ん?ああ、公衆の面前で俺に命令を出してきて、Glareも出すもんだから、俺じゃないSubが浴びてさ、んで、説教と煽りを半々で言ったら、三人でGlareをばら撒くもんだから、浴びたSubがああなってこうなってるわけ。」
「その頬は?」
「Glareばら撒きながら殴りかかってきて最初の一発だけ食らった。眼鏡も無事だ。」
「あとは?」
「いなして、鳩尾殴っておしまい。」
「...暈もSubだよな?」
「ああ。」
「...聞いてはいたが、大丈夫なのか?」
「なんの問題もない。跪きたくもならないし、Glare浴びても全然。」
「そうか。まあ、一応抑制剤は飲んどけよ。」
「毎日飲んでるよ。」
「...は?」
「...なに。」
「...お前、抑制剤は毎日飲むものじゃないぞ?」
「病院で軽めのやつを毎日一錠飲むようにって貰ったんだぜ?」
「...なら、大丈夫、なのか?」
「しらねーよ。」
そうこうしているうちに、保健室に辿り着いた。担任はバカ三人衆の方に行くらしく、保健室の前で別れた。
で、保健室に入ったが、保健医がいない。
仕方なく鏡を見ながら頬の傷を消毒して湿布を貼る。どうせ俺も寮に帰るだけだから、暫くここに居ようと思い、ソファに座って適当に保健室利用カードを書いていると、いかにも具合悪いです。って顔色の小柄な生徒が入って来た。
「あー、大丈夫か?」
「......だ、れ?」
「保健医いねぇぞ。今。」
「...ぁ、ほんと?」
「まあ、その顔色で教室戻る方がやべぇから、ベッド借りれば?」
「...そう、する。」
覚束ない足取りだったから肩を支えながらベッドまで連れて行き、寝かせる。小柄な生徒が横になるとすぐ眠ってしまい、相当具合が悪かったようだ。首元のボタンを開けて緩めてやって、保健室利用カードの名前の部分と熱の部分だけ未記入で、見た感じの様子と代筆者として俺の名前を書き、ベッド横のキャビネットにバインダーを置いた。保健医が気付けるようにメモ書きを残して、俺は寮に戻った。
人間は男女の性とDomとSubとNeutralの性に分けられた。
DomはSubを支配したい欲求があり、躾・お仕置きをしたい、褒めてあげたい、守ってあげたい、信頼がほしい、世話をしたい、などの欲求を持つ。
SubはDomから躾・お仕置きをされたい、褒めてほしい、尽くしたい、信頼を伝えたい、かまってほしいなどの欲求を持つ。
Neutralは、簡単に言えば一般人。支配したい、されたいの欲求が殆どない性だ。人口の7~8割はNeutral、またはUsualと言う。
俺、暈來希は和泉ノ丘学院に入学した高校一年生だ。小学校五年生で行われるダイナミクスの検査でSubと診断された、筈だ。
俺は、どんなランクに高いDomに命令をされても、欲求が疼くこともなく、命令に従いたいとも思わなかった。医師いわく、俺自身が相当ランクの高いSubであり、同等のDomの命令しか受け付けないのか、または命令を受けても欲求が沸かないくらい低いランクのSub、Neutralに近いSubの、どれかではないか、と言われた。
両親でさえ、Neutralと勘違いするときがあったので、幼少期から俺の周囲の人にはNeutralだと思われていた。
一応はSubなので、かかりつけの病院からは欲求不足症予防の軽めの抑制剤も処方されて、毎日一錠を必ず飲んでいた。俺自身も特に支配されたいなんて思うこともなく、Neutralに近い生活を送っていた。
しかし、和泉ノ丘学院という寮制の男子校に入学して、これまた一応はSubなので、Sub専用寮に入寮した。二人部屋だが、俺は一人で、広々と使うことができて、嬉しく思ってたのも束の間。
入学から数日経つと、俺がSub寮(Sub専用寮の略)だとクラスの一部のDomが気付いたらしく、俺のことをイジって来ているのが現在だ。
「お前、Sub寮なんだろ?」
「つまり、Subってことだろ?」
「その見た目で?マジ、ウケるんだけどww」
まあ、そうなるよな。俺はSubらしくない見た目をしている。俗に言う細マッチョってやつで、背は180cmはある。髪も襟足まであるし、かきあげてて、ピアスもしている。ここまでなら陽キャだ。だが、俺は目が吊り目で細いから眼鏡をしている。(伊達眼鏡である。)だから陽キャではない。まあ、口悪いし体格も程よく、Domに見えるとはよく言われたが、残念でした。一応、Subなんだな。これが。
まあ、こう思考してる間にも、彼らの話は進んでいるようで...。
「Subなら俺たちDomの言う事聞けるよな?」
「Subだもんなwww」
「ほら、命令出してやるよ。感謝しろよ?」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて、ここが教室だということが分かっているんだろうか。いや、分かっているからこそやってんのか。
「おすわり。」
周囲がざわつき、ランクが低いSubの子は足が震えてしまっている。俺は、なんともない顔をして、足が震えているこのそばに行き、背中を支えながら椅子に座らせる。
「大丈夫だ。俺にリワード貰っても意味ないかもしれねぇけど、よくできたな。」
そう言って、頭をぽんぽんと撫でてやれば幾分か落ち着いたようで、足の震えも治まってきている。
「おい、誰か。ちゃんと常識のあるDomな。こいつ、褒めてやってくれ。」
そっと手を上げて出てきたクラスメイトにまかせて、バカ三人衆の前に戻る。
「はぁ......。あのなぁ、お前らはバカなのか?こんな大勢の前でPlayを強要して許されるのは小学生までだぞ?犯罪、わかる?これは犯罪なわけ。しかも、3人でGlare放つとか意味わかんねぇわ。テロか?テロでもしたいのか?」
おーい、誰か警察呼んでくれ~。なんて、軽くクラスメイト達に声をかければ、DomやNeutralの生徒たちが声を潜めて笑ったり、おちゃらけて、いいぞ~。なんて返してくるやつもいる。
「ほんと、マジないわ。ありえない。」
そう言って、自分の席に座ろうとしたら、相当頭にきたのか、Glareをばら撒きながら、三人衆の一人が殴りかかってきた。それに釣られて他の二人も殴りかかってくる。俺は最初の一発だけ食らって、残りの拳やら蹴りやらは全ていなして、鳩尾に一発づつ拳を入れて動けなくさせた。
「チッ...。おい、Glare浴びたやついるか?」
さっきのSubと他に数名のSubが浴びたようで、過呼吸になりかけてるやつもいる。過去級のやつの背中を擦りながら手の開いてるクラスメイトに担任を呼びに行かせた。
「学院にパートナーは?いるか?」
小さくコクコクと頷いたので、スマホを借りて、名前を聞き出して、電話をかける。
「すまない、こいつのクラスメイトなんだが、すぐにこいつの教室に来てくれないか?Dropになりかけている。なるべく早く来てくれ。」
そう言えば、ブツッと電話が切られ、数分後にはドアを開けて駆け込んできた。駆け込んできたそいつの後から担任もやってきて、クラスの状況を見ただけで察したのか、パートナーのいる生徒はそいつと一緒に寮に戻れと言い、Glareを浴びてないSubも念の為、パートナーのもとに行けと。パートナーがいないやつは寮に戻って抑制剤飲んで休めといった。
その他の生徒も寮に帰され、Neutralの生徒達は可哀想半分授業なくなってラッキー半分で帰っていった。
地面に座り込んでるバカ三人衆は駆けつけた他の教師に連れて行かれ、俺は担任と保健室に向かった。
「何があったんだ?」
「ん?ああ、公衆の面前で俺に命令を出してきて、Glareも出すもんだから、俺じゃないSubが浴びてさ、んで、説教と煽りを半々で言ったら、三人でGlareをばら撒くもんだから、浴びたSubがああなってこうなってるわけ。」
「その頬は?」
「Glareばら撒きながら殴りかかってきて最初の一発だけ食らった。眼鏡も無事だ。」
「あとは?」
「いなして、鳩尾殴っておしまい。」
「...暈もSubだよな?」
「ああ。」
「...聞いてはいたが、大丈夫なのか?」
「なんの問題もない。跪きたくもならないし、Glare浴びても全然。」
「そうか。まあ、一応抑制剤は飲んどけよ。」
「毎日飲んでるよ。」
「...は?」
「...なに。」
「...お前、抑制剤は毎日飲むものじゃないぞ?」
「病院で軽めのやつを毎日一錠飲むようにって貰ったんだぜ?」
「...なら、大丈夫、なのか?」
「しらねーよ。」
そうこうしているうちに、保健室に辿り着いた。担任はバカ三人衆の方に行くらしく、保健室の前で別れた。
で、保健室に入ったが、保健医がいない。
仕方なく鏡を見ながら頬の傷を消毒して湿布を貼る。どうせ俺も寮に帰るだけだから、暫くここに居ようと思い、ソファに座って適当に保健室利用カードを書いていると、いかにも具合悪いです。って顔色の小柄な生徒が入って来た。
「あー、大丈夫か?」
「......だ、れ?」
「保健医いねぇぞ。今。」
「...ぁ、ほんと?」
「まあ、その顔色で教室戻る方がやべぇから、ベッド借りれば?」
「...そう、する。」
覚束ない足取りだったから肩を支えながらベッドまで連れて行き、寝かせる。小柄な生徒が横になるとすぐ眠ってしまい、相当具合が悪かったようだ。首元のボタンを開けて緩めてやって、保健室利用カードの名前の部分と熱の部分だけ未記入で、見た感じの様子と代筆者として俺の名前を書き、ベッド横のキャビネットにバインダーを置いた。保健医が気付けるようにメモ書きを残して、俺は寮に戻った。
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