16 / 35
16.無限の変化(side 梛木)
しおりを挟む
陰陽とは‥奥が深い。
あの後、俺は久し振りに図書館に行った。勿論、仕事の時間外に、だ。
夕方の街は酷く騒がしかった。
家路を急ぐサラリーマンや、スマホで連絡を取り合う学生たち。耳を覆って(勿論ホントに耳を覆ったわけでは無い)、下を向いて目的地に向かった。
図書館に着いて、自動ドアが閉まると‥やっと息が出来た気がした。
自分が着たことを誰も気にかけない。それどころか、寧ろ邪魔くさい‥自分の時間に他人なんて関係がないといった無関心な態度。‥その雰囲気に安心感を感じた。
それでも、一般図書コーナーには、持ち出し禁止図書コーナー程の静寂感はない。閉塞感もない。
心地よい開放感がある。
新聞を広げる老人。誰かが本をめくる音、本を選ぶために歩く足音。子供が母親に「これ読んで」って強請る声。
懐かしいって‥暫く入り口で立ち尽くした。
通い慣れた‥生家近くの図書館じゃない。配置や規模の違いに若干の戸惑いを感じたものの、直ぐに慣れて、誰に案内されることなく目的の場所にたどり着いた。
子供の図書に力を入れているとか、図書館員のおすすめコーナーがある‥とか若干の違い(個性)はあれど、図書館の本には総て分類番号が振ってあって、それ(分類番号)は全国で共通しているから(全国だよな? ‥世界規格じゃないよな?? )本の配置はそう変わりはない。大概入ったところに地図が貼られているしね。
俺はまず入ったところに設置されたパソコンで検索する。目的の本の名前が分からないときは、単語を入力して、それがどの分類番号に区分されているのかを調べて、その棚を調べればいい。今までずっとそうしてきた。もっといい方法もあるだろうし、それ以前に図書館司書に聞けばいいんだろうけど、‥俺はそう社交的な人間じゃない。
「易経‥と。
ああ‥『東洋思想』ってジャンルなんだ‥」
俺はパソコンを初期画面に戻し、その足で地図に書かれた場所に向かう。そして、その棚で関係ありそうな本を二三冊手に取ってカウンターで借りた。
昔だったら、面白そうな本を物色したりもした。‥時間が有り余っていたから。だけど、今はそうじゃない。
「貸出カードを新規で作ってください」
さっさと借りて帰らないと、楠に心配されるしな。
会社では「西遠寺 梛木」って名乗ってるけど、身分証明書はまだ「大月 輪太」のままだ。成人したら自分の意志で変えてもいいって伊吹さんに言われた。因みに柊の兄ちゃんと違って養子縁組もしてない。‥そういうことであの両親と関わるのは面倒だなって思ったから‥それは仕方がない。(柊は両親公認。そもそも、柊は成人してるから親の許可は要らない。だけど、親戚だから後々揉めたり‥とかややこしいことが起こらないように、きちんと話し合ったって感じ。だけどそんなこと、梛木は知らない)
ただただ‥面倒だなって思う。
「忘れよ‥」
家路を急ぎながら、梛木はため息をついた。
自室で早速本を開く。
岩波文庫の「易経 上」「易経 下」。
読み始めると‥読みやすいとは言えない内容で、なかなか進まない。返済期間迄に読み切る自信はなく、文庫版だから買ってもいいかなって思ったり。
以下、梛木的要約。
易とは ①易簡 ②変易 ③不易 である。
①易簡とは、簡単は複雑のはじめ。だから、天地間無限の事物を説明するところの根本は、簡単な陰陽の二爻にある。
②変易とは、森羅万象は何一つ変化しない物はない。川は流れるが同じ水ではない。
③不易とは、(②をうけて)同じ水ではないけれど、川は相変わらず同じ様に流れている。
「ってことかな? 」
易とは簡単であり同時に優しく、変化していて同時に変化していない。それらは矛盾しているようで矛盾していない。
陽は動であり剛健的なもので、陰は静であり柔順的なもの。陰陽は相対立しているようにみえるが、陰はいつまでも陰であり、陽はいつまでも陽であるというふうに固定していない。
曰く「陰陽は無限の変化」であるらしい。
同じ空でも晴は陽で、曇れば陰で、同じ人でも活発に動いてれば陽で、静かにしてれば陰である。
女は陰で、男は陽だけど、子供から見たら女も親であり、陽となる。同じ様に、親の立場からみたら、男も子であるから陰となる。
「陰陽は無限の変化‥かあ‥」
まあ‥
変わらないものは、ない。
「母さんだって‥」
元々は俺の事愛してた‥のかはわかんないけど、「俺の教育に」興味があった。
だけど‥失敗したって気付いた時‥「俺が母さんの予定と違ってた」って思った時‥母さんの気持ちは変わった。
母さんは‥親ではなく、他人になっていった。
「ま、陰陽とは関係のない話‥だけどね」
だけど‥まあ、同じ人間でも立場が変われば役割が変わるってのは確かにそう。
俺が元所属していた「あの家族」ってコミュニティにおいては、父親があの人で母親があの人、妹がいて、俺は妹にとっては兄。両親にとっては子供。
だけど、俺はあのコミュニティを離れた。だから、彼らはもう俺の家族ではない。
例えば結婚して新しい家族を作っても、両親は両親のままなんだろうけど、‥俺にとっては、もうあの人たちは俺の家族ではない。
俺にとっては、楠や柊の兄ちゃんの方がよっぽど家族って呼べる。
‥それでいいって思う。
「家族に憧れを持つ‥とか、子供っぽいよなあ」
だけど、人間だから自然に発生した‥木の股から生まれて来た訳ではない。
俺は‥不本意だろうが、あの人たちの息子として生まれて来た。寝る場所‥家にいることを許可され、服は‥制服と同じサイズの服を父親が二三枚買ってきた。それからも一年に一度位父親が買って来て部屋に置かれていたが、俺が成長するって考えなかったのか(多分、ずっと会ってなかったからわからなかったんだろう)、サイズがずっと同じで‥丈の短い服が恥ずかしかった。死なないだけの食料を与えられ、学校に行くのも邪魔されなかった。‥ただそれだけだったけど、それでさえ‥多分「誰か」より幸福だった。
でも、そんな不幸な「誰か」を身近に知らない俺にとって、俺の状況は「誰よりも」不幸だった。
こんな親ならいらないって思ったし、俺の親はこれじゃないって思った。
産みの親と育ての親が違う人は‥別に珍しいことでもない。
育ての親って一方的に思っても‥別にイイって俺は思う。
本に育てられたって人もいるだろうし、「あの人の言葉」で道を誤ることなく生きてこれたって人もいるだろう。
だけど‥俺はね‥それでも「親の温かみ」「家族の幸せ」に対する憧れが捨てられなかった。
だから‥その憧れを楠に求めたりした。
あの時‥俺の為にお握りを作ってくれた楠は‥俺の望む母親像そのものだったんだ‥。
あの時‥俺が初めて楠たちの部屋に住み始めた時だ‥
「ほら」
翌朝、目が覚めた俺は、柊の兄ちゃんが寝床に使っている部屋に置かれたテーブル(折り畳み式)に置かれたおにぎりのいい匂いに、きょとんとなった。炊いた米に匂いがあるなんて‥そのときまで知らなかったんだ。(今は楠と俺の部屋が「リビング」で、そこでご飯を食べるんだけど、あの時だけは柊の兄ちゃんの部屋でご飯を食べた。多分俺に気を遣ったんだろう)
「朝はしっかり食べないとね」
ふふ、と楠が笑った。
柊の兄ちゃんは黙ってもうお握りを食べ始めていた。
その様子から、それ(おにぎり)が特別なことではなくて、彼らにとっての日常だったことがわかった。
俺に「変に同情して」作ったわけでは無く、今までも楠が続けて来たことだったってわかった。楠は‥今までは柊の兄ちゃんの為に‥そして今日は俺の為に‥お握りを握ってくれたんだ。
おせっかい‥ってか‥オカンじゃね?
あったかいお握りなんて初めて食べたから‥思わず泣きだしたことを覚えてる。泣いちゃうとか恥ずかしいことなんだけど‥その時の楠の困った様な‥優しい笑顔がなんて言うか‥ホントに綺麗で‥今ではいい思い出だって思ってる。
思えばあの時から‥俺は楠をオカンだって思うようになったんだ。
玄関の扉が開く音がして、廊下を歩くトントンって軽い音と共に
「ただいま~。あ、梛木帰ってたんだね? え? 夕食食べた? 食堂であわなかったね? 」
楠が顔を出した。
俺は楠を見て「お帰り」て笑う。
「図書館行ってたら遅くなって食堂の‥夕飯の時間に間に合わなかった」
へへって笑ったら楠は「そ? 」って首を傾げて、棚から出したパックご飯を手に
「お握り‥パックご飯のでよかったら作るよ? 卵焼きと‥味噌汁ぐらいならパパっと作れるし」
って言ったんだ。
作れるよって言いながら‥もう鍋に水いれてる。楠の中ではもうそれは決定事項なんだろう。
あんまりにも安定のオカンっぷりに笑っちゃった。
「食べる! みそ汁の具お麩がいい。冷凍庫のほうれん草もいれてね♪ 」
俺が言ったら、楠は苦笑いして「分かった」っていうんだ。
「‥俺も食べる。みそ汁と卵焼き」
ぬぼ~と楠の後ろに立った柊の兄ちゃんがぼそっと言う。(わざわざ楠の耳の横で! 低い「いい」声で! )楠が(今日も)ぶるって身体をこわばらせて‥すっと、それとな~く柊から離れて「分かった」って言った。
‥柊の兄ちゃん、楠が嫌がんの分かっててアレやるんだもんなあ‥。
俺は苦笑いして手に持った本を閉じて机の準備を始めるのだった。
あの後、俺は久し振りに図書館に行った。勿論、仕事の時間外に、だ。
夕方の街は酷く騒がしかった。
家路を急ぐサラリーマンや、スマホで連絡を取り合う学生たち。耳を覆って(勿論ホントに耳を覆ったわけでは無い)、下を向いて目的地に向かった。
図書館に着いて、自動ドアが閉まると‥やっと息が出来た気がした。
自分が着たことを誰も気にかけない。それどころか、寧ろ邪魔くさい‥自分の時間に他人なんて関係がないといった無関心な態度。‥その雰囲気に安心感を感じた。
それでも、一般図書コーナーには、持ち出し禁止図書コーナー程の静寂感はない。閉塞感もない。
心地よい開放感がある。
新聞を広げる老人。誰かが本をめくる音、本を選ぶために歩く足音。子供が母親に「これ読んで」って強請る声。
懐かしいって‥暫く入り口で立ち尽くした。
通い慣れた‥生家近くの図書館じゃない。配置や規模の違いに若干の戸惑いを感じたものの、直ぐに慣れて、誰に案内されることなく目的の場所にたどり着いた。
子供の図書に力を入れているとか、図書館員のおすすめコーナーがある‥とか若干の違い(個性)はあれど、図書館の本には総て分類番号が振ってあって、それ(分類番号)は全国で共通しているから(全国だよな? ‥世界規格じゃないよな?? )本の配置はそう変わりはない。大概入ったところに地図が貼られているしね。
俺はまず入ったところに設置されたパソコンで検索する。目的の本の名前が分からないときは、単語を入力して、それがどの分類番号に区分されているのかを調べて、その棚を調べればいい。今までずっとそうしてきた。もっといい方法もあるだろうし、それ以前に図書館司書に聞けばいいんだろうけど、‥俺はそう社交的な人間じゃない。
「易経‥と。
ああ‥『東洋思想』ってジャンルなんだ‥」
俺はパソコンを初期画面に戻し、その足で地図に書かれた場所に向かう。そして、その棚で関係ありそうな本を二三冊手に取ってカウンターで借りた。
昔だったら、面白そうな本を物色したりもした。‥時間が有り余っていたから。だけど、今はそうじゃない。
「貸出カードを新規で作ってください」
さっさと借りて帰らないと、楠に心配されるしな。
会社では「西遠寺 梛木」って名乗ってるけど、身分証明書はまだ「大月 輪太」のままだ。成人したら自分の意志で変えてもいいって伊吹さんに言われた。因みに柊の兄ちゃんと違って養子縁組もしてない。‥そういうことであの両親と関わるのは面倒だなって思ったから‥それは仕方がない。(柊は両親公認。そもそも、柊は成人してるから親の許可は要らない。だけど、親戚だから後々揉めたり‥とかややこしいことが起こらないように、きちんと話し合ったって感じ。だけどそんなこと、梛木は知らない)
ただただ‥面倒だなって思う。
「忘れよ‥」
家路を急ぎながら、梛木はため息をついた。
自室で早速本を開く。
岩波文庫の「易経 上」「易経 下」。
読み始めると‥読みやすいとは言えない内容で、なかなか進まない。返済期間迄に読み切る自信はなく、文庫版だから買ってもいいかなって思ったり。
以下、梛木的要約。
易とは ①易簡 ②変易 ③不易 である。
①易簡とは、簡単は複雑のはじめ。だから、天地間無限の事物を説明するところの根本は、簡単な陰陽の二爻にある。
②変易とは、森羅万象は何一つ変化しない物はない。川は流れるが同じ水ではない。
③不易とは、(②をうけて)同じ水ではないけれど、川は相変わらず同じ様に流れている。
「ってことかな? 」
易とは簡単であり同時に優しく、変化していて同時に変化していない。それらは矛盾しているようで矛盾していない。
陽は動であり剛健的なもので、陰は静であり柔順的なもの。陰陽は相対立しているようにみえるが、陰はいつまでも陰であり、陽はいつまでも陽であるというふうに固定していない。
曰く「陰陽は無限の変化」であるらしい。
同じ空でも晴は陽で、曇れば陰で、同じ人でも活発に動いてれば陽で、静かにしてれば陰である。
女は陰で、男は陽だけど、子供から見たら女も親であり、陽となる。同じ様に、親の立場からみたら、男も子であるから陰となる。
「陰陽は無限の変化‥かあ‥」
まあ‥
変わらないものは、ない。
「母さんだって‥」
元々は俺の事愛してた‥のかはわかんないけど、「俺の教育に」興味があった。
だけど‥失敗したって気付いた時‥「俺が母さんの予定と違ってた」って思った時‥母さんの気持ちは変わった。
母さんは‥親ではなく、他人になっていった。
「ま、陰陽とは関係のない話‥だけどね」
だけど‥まあ、同じ人間でも立場が変われば役割が変わるってのは確かにそう。
俺が元所属していた「あの家族」ってコミュニティにおいては、父親があの人で母親があの人、妹がいて、俺は妹にとっては兄。両親にとっては子供。
だけど、俺はあのコミュニティを離れた。だから、彼らはもう俺の家族ではない。
例えば結婚して新しい家族を作っても、両親は両親のままなんだろうけど、‥俺にとっては、もうあの人たちは俺の家族ではない。
俺にとっては、楠や柊の兄ちゃんの方がよっぽど家族って呼べる。
‥それでいいって思う。
「家族に憧れを持つ‥とか、子供っぽいよなあ」
だけど、人間だから自然に発生した‥木の股から生まれて来た訳ではない。
俺は‥不本意だろうが、あの人たちの息子として生まれて来た。寝る場所‥家にいることを許可され、服は‥制服と同じサイズの服を父親が二三枚買ってきた。それからも一年に一度位父親が買って来て部屋に置かれていたが、俺が成長するって考えなかったのか(多分、ずっと会ってなかったからわからなかったんだろう)、サイズがずっと同じで‥丈の短い服が恥ずかしかった。死なないだけの食料を与えられ、学校に行くのも邪魔されなかった。‥ただそれだけだったけど、それでさえ‥多分「誰か」より幸福だった。
でも、そんな不幸な「誰か」を身近に知らない俺にとって、俺の状況は「誰よりも」不幸だった。
こんな親ならいらないって思ったし、俺の親はこれじゃないって思った。
産みの親と育ての親が違う人は‥別に珍しいことでもない。
育ての親って一方的に思っても‥別にイイって俺は思う。
本に育てられたって人もいるだろうし、「あの人の言葉」で道を誤ることなく生きてこれたって人もいるだろう。
だけど‥俺はね‥それでも「親の温かみ」「家族の幸せ」に対する憧れが捨てられなかった。
だから‥その憧れを楠に求めたりした。
あの時‥俺の為にお握りを作ってくれた楠は‥俺の望む母親像そのものだったんだ‥。
あの時‥俺が初めて楠たちの部屋に住み始めた時だ‥
「ほら」
翌朝、目が覚めた俺は、柊の兄ちゃんが寝床に使っている部屋に置かれたテーブル(折り畳み式)に置かれたおにぎりのいい匂いに、きょとんとなった。炊いた米に匂いがあるなんて‥そのときまで知らなかったんだ。(今は楠と俺の部屋が「リビング」で、そこでご飯を食べるんだけど、あの時だけは柊の兄ちゃんの部屋でご飯を食べた。多分俺に気を遣ったんだろう)
「朝はしっかり食べないとね」
ふふ、と楠が笑った。
柊の兄ちゃんは黙ってもうお握りを食べ始めていた。
その様子から、それ(おにぎり)が特別なことではなくて、彼らにとっての日常だったことがわかった。
俺に「変に同情して」作ったわけでは無く、今までも楠が続けて来たことだったってわかった。楠は‥今までは柊の兄ちゃんの為に‥そして今日は俺の為に‥お握りを握ってくれたんだ。
おせっかい‥ってか‥オカンじゃね?
あったかいお握りなんて初めて食べたから‥思わず泣きだしたことを覚えてる。泣いちゃうとか恥ずかしいことなんだけど‥その時の楠の困った様な‥優しい笑顔がなんて言うか‥ホントに綺麗で‥今ではいい思い出だって思ってる。
思えばあの時から‥俺は楠をオカンだって思うようになったんだ。
玄関の扉が開く音がして、廊下を歩くトントンって軽い音と共に
「ただいま~。あ、梛木帰ってたんだね? え? 夕食食べた? 食堂であわなかったね? 」
楠が顔を出した。
俺は楠を見て「お帰り」て笑う。
「図書館行ってたら遅くなって食堂の‥夕飯の時間に間に合わなかった」
へへって笑ったら楠は「そ? 」って首を傾げて、棚から出したパックご飯を手に
「お握り‥パックご飯のでよかったら作るよ? 卵焼きと‥味噌汁ぐらいならパパっと作れるし」
って言ったんだ。
作れるよって言いながら‥もう鍋に水いれてる。楠の中ではもうそれは決定事項なんだろう。
あんまりにも安定のオカンっぷりに笑っちゃった。
「食べる! みそ汁の具お麩がいい。冷凍庫のほうれん草もいれてね♪ 」
俺が言ったら、楠は苦笑いして「分かった」っていうんだ。
「‥俺も食べる。みそ汁と卵焼き」
ぬぼ~と楠の後ろに立った柊の兄ちゃんがぼそっと言う。(わざわざ楠の耳の横で! 低い「いい」声で! )楠が(今日も)ぶるって身体をこわばらせて‥すっと、それとな~く柊から離れて「分かった」って言った。
‥柊の兄ちゃん、楠が嫌がんの分かっててアレやるんだもんなあ‥。
俺は苦笑いして手に持った本を閉じて机の準備を始めるのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
イケメン幼馴染に執着されるSub
ひな
BL
normalだと思ってた俺がまさかの…
支配されたくない 俺がSubなんかじゃない
逃げたい 愛されたくない
こんなの俺じゃない。
(作品名が長いのでイケしゅーって略していただいてOKです。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる