上 下
14 / 63

13.チャレンジ精神って大事。

しおりを挟む
 俺、今まで慎重すぎた。
 慎重って言ったら耳障りはいいけど‥要は‥色々言い訳をつけてチャレンジすることをさぼってた。
 怖がってた。
 兄ちゃんみたいに無茶してても、協力者はいるみたいだし、今のところ問題を起こしてない。
 ‥案外、やってみたもん勝ち‥はないけど、「やってみても大丈夫」みたいだ。
 あと、俺はヒロインだから。
 失敗しても‥ヒロイン補正で何とかしてくれる気がする。
 寧ろ、何にもしない方が運営(システム? )的にも「何やねん、何で何もせぇへんねん。ホンマじれったいわ~」ってなってるかも。
 色々やってみます☆
 何からやろっかな~なんか、ちょっとウキウキするかも。ゲームなんかで複数のクエスト抱えてたら「何からやろかな。今日はあのクエストやっちゃいたいな」ってウキウキするじゃん? 乙女ゲームはよくわかんないけど、俺のやったことある農業系のゲームでは、プレーヤーにゲームのキャラから「**(農作物名)を10持って来る」とかいう依頼が入って、それをクリアすると報酬が入ったりしたんだ。ああいうの。なんか面白いじゃん? バトル系程の派手さはないけど、なんかほのぼのするよね。
 それでいうと今の俺へのクエストは「3人の悩み「powerのチャージ源」を解明して、3人と仲良くなろう」とかかな。期限は魔王討伐の旅に出るまで。
 俺がカイにお礼の連絡を入れると、カイから、「お礼をっていうなら、今度来るときいつものクッキー作って来て! 」って返事が来た。
 いつものクッキーとは何ぞや? と首を傾げていると、「聖女クッキングの横に「▽」の印が出ていることに気付いた。あれ? 今までも出てたっけ? 出てたのに気付かなかった‥かな??
 だけど気にしてても仕方がないから、クリックする‥感じで力をこめる。
「いつものクッキー」
「喉にいいアレ」
「お兄ちゃんの大好物のキャラメル」
 という文字が出て来た。
 クリックするとバン! と目の前にクッキーが!! ‥ええ?? こういうとこいかにもゲームだよね‥。まあ‥確かに今から俺が料理を覚えるのって時間の無駄(って言い方もなんだけど)だよね。
 喉にいいアレはハチミツレモンドリンクだった。まあ‥喉にいいよね。間違いないよね。
 お兄ちゃんの大好物のキャラメルは、ちょっと柔らかめのキャラメルだった。??これもカイが好きな奴かな? って思いながら三点セットを持っていくと、
「あ、ケイト兄が好きなキャラメルも作ったの? 折角だから一緒に持っていく? 俺ももうすぐ仕事終わるし」
 ポリポリと「いつものクッキー」を食べながらカイが言った。 
 あ、「お兄ちゃん」は、ケイトのことでしたか。俺は兄の事「お兄ちゃん」って呼ぶ設定だったのかな? でも、その割にカイに「兄さん」って言っても無反応だったから‥(「どうした? いつもはお兄ちゃんって言ってるだろ? 」とか言われなかった。ただ単に気付かなかったのかな? )カイは「兄さん」呼びで、ケイトが「お兄ちゃん」呼びだってこと?? 俺、もしかして超長男好きって設定?? 兄さんよりお兄ちゃん呼びの方が親しみ籠ってますって感じだもんね?? ‥分からんけど、気にするのやめよう。

 で、やってきました初男爵家! 自分家設定なのに、初めまして!(再び)
 初めましてお母様、お父様、ケイト兄さん。(あ、「お兄ちゃん」か。‥嫌だ、呼びたくない。お兄ちゃん)
 緊張してたら
「どうしたの? 何家族に会うのに緊張してるのよ。学校で緊張し過ぎて顔が固まっちゃった感じ? 」
 ってケイトの奥さん・フレアさんに言われちゃった☆
 めちゃ笑いながら。
 なんかめちゃフレンドリー? って思ってたら、話を聞きながら予想するに、俺たち兄弟とフレアさんは幼馴染みみたい。
 新事実続々。
「相変わらずおいし~! タツミのクッキーと喉にいいアレ! ね、今度はチョコレートクッキー作ってよ! チョコレート、この前商会で珍しいのいっぱい仕入れたから、私も嬉しくなって結構買っちゃったの☆だけど、私「作りたいけど作れない女」でしょ? 結局手元にあるだけなのよね~。ね、これ持って帰って? レシピも色々つけるから! 」
 何その「作りたいけど作れない女」(笑)知らんがな(笑)。ケイトと両親が苦笑いしてるところから察するに「周知の事実」って奴なんだな。ってかそもそも、貴族子女は料理なんて出来なくても困らないもんねえ。うちにコックさんいるから。
 ‥なんで、俺料理作った? 皆反対しなかったのかな?? 趣味だったんかな??
 まあ‥そういう「設定」なんだろう。今更突っ込んでも仕方ない。
 何はともあれ。(ご都合主義っぽく)手に入った大量の高級チョコレートとレシピ! 助かる! これでアル様にカロリー爆弾作れる! フレアさんも「自由に使ってくれていいから~」って言ってくれたし。
 因みに、フレアさんは貴族じゃなくって大商会の次女なんだって。
 貴族って貴族と結婚した方がいいんじゃないの? って思ったけど、「貧乏男爵家なんて平民と変わらん」ってケイトが言ってた。因みにこれ、フレアさんに肩身の狭い思いをさせないためにケイトがもはや口癖か? って位日常茶飯で言ってることらしい。
 愛し合ってるっていいよね。(ほっこり)
 キッチンで(一応作る体でキッチンに行った。「俺が作る間、そこで待っててください(→ 作ってる間キッチンに入るな)」という「ツルの恩返し」的牽制しといた)レシピの名前「チョコレートクッキー」(ピンク色になってる)を押すと、目の前にチョコレートクッキーが現れた。そして、貰ったチョコレートが減った。「これを使ったよ~」ってことなのかな? 他のページをめくると‥例えば「ドライフルーツクッキー」は、ドライフルーツがないから出来ないらしい。レシピの名前も黒いままだ。
 もしや‥
 って思いながら自分のプロフィールアイコンを見る。
 聖女クッキングの横の▽を押す。
「いつものクッキー」
「喉にいいアレ」
「お兄ちゃんの大好物のキャラメル」
「チョコレートクッキー」(チョコレート残り100g)
 あ~いつものクッキーは材料の用意無しでも出来る感じなんだ? で、チョコレートクッキーは、チョコレート+いつものクッキーって感じ?
 キャラメル+チョコレートは‥やっぱり出来ました、チョコレートキャラメル☆
 いいぞいいぞ! 後は‥やっぱりナッツでしょ!
「なんかナッツ無い? これ作ってみたい」
 俺はレシピ集の「ナッツクッキー」のページを開けながら母さんに聞いてみた。母さんは「ええと‥アーモンドがあったはず‥」って言いながら棚をごそごそして、アーモンドとクルミを出してくれた。受け取ったら、「ナッツクッキー」の文字がピンクになる。いいぞいいぞ! 
 よし! やるぜ、カロリー爆弾バー!
 ナッツクッキー+チョコレートキャラメル。
 ん? 出来ない?? なんか注意書きが「この経験値ではまだ二つ以上の合成は出来ません」だと?? なにが経験値‥っておもったら、なんだ?? 聖女クッキングの横の▽の後ろにまた文字が‥「Level1」だと!? ‥面白いじゃないか。ますますゲームっぽくなってきたじゃねえか。レベ上げの鬼の実力見せてやるぜ!
 あ、注意書きがある。
 作った料理を誰かに食べてもらったり、レシピを取得することによってレベルが上がります。
 ふうん‥成程。自分で食べてもレベルは上がらないんだね? 
 レシピ取得 → プロフィールアイコンに載る(まだ黒字)→ 材料集める→ 名前がピンクに変わる → 作る→ 自分以外の人間が食べる → レベルが上がる。 
 って流れみたい。
 で、一定のレベルに達したら、二つ以上の合成が出来るってわけだ。
 取り敢えず、今は基本の三つを中心に何かを足していく感じ。
「チョコレートクッキー」「ナッツクッキー」「ドライフルーツクッキー」(ドライフルーツも貰った)。これを皆に食べてもらわないとダメ‥と。食え。食ってくれ。
 カイはチョコクッキーが気に入ったらしく、「いつものクッキー」を食べていた時よりペースよくクッキーを食べている。‥この男、甘いもの好きなんだな。ケイトはキャラメル一筋で、フレアさんが
「ごめんねぇ‥私がつくれたらいいんだけど‥」
 って言った。姪っ子はちびちびといつものクッキーを食べている。今度可愛い型抜きにしてあげようって思う。
 そんな光景を見ながらニコニコしてると、
「‥タツミ、レシピを貰って嬉しいのは分かったけど、流石にクッキーばかりは飽きるわ‥」
 母さんが上品にクッキーをつまみながら、苦笑いして言った。
 そうだな。お口ぱさぱさになっちゃうよね。
「なんかレシピブック下さい」
 母さんにお願いしたら、ほぼまっさらな「初心者でも簡単☆彼の心をつかむラブラブ♡チョコレートデザート」を手渡された。無言で。
 ‥あ、母さんも「作りたいけど作れない女」(笑)なのね? レシピブック買ってみたけど、作れなかったのね。‥これは、結婚前父さんに作ろうとしたものらしいと発覚。
 それを息子が貰う。
 俺は‥誰の心をつかみゃいんだか(笑)彼‥うん、アル様に作るから彼には違いないけど、アル様loveとかじゃない。‥なんか不毛。
 まあ‥そういうこともある。友情もloveには違いない。
 あ~俺、作るより作ってもらいたい男子なのに‥! 。男子高校生としたら‥まあ、そうでしょう??
 (気を取り直して)
 レシピ貰いました! あとは、材料集めです!

 素材収集系のゲームっぽくなってきた感じです。(シュミレーションゲームかな? 一種の)いいぞいいぞ! 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チャラ男会計目指しました

岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように………… ――――――それを目指して1年3ヶ月 英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた 意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。 ※この小説はBL小説です。 苦手な方は見ないようにお願いします。 ※コメントでの誹謗中傷はお控えください。 初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。 他サイトにも掲載しています。

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

目標、それは

mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。 今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

処理中です...