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5.「プラス」の話。

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 はた‥と気付く。
 そういえば、あの例の‥低ランク仲間のプロフィールアイコンは見れてたな。
 親しくなったから? って思ったけど‥アレかな。ランクが上の人は見れない‥とかそういうことかな? それか‥「触れば」見れる。
 確かめるために‥「握手してください! 」って言ってみる? いや‥おかしいか。急に何って感じだよね。そういう検証はいずれまたするとしよう‥。
 黙ってアル様の横を歩きながら俺は今までの情報を色々整理することにした。
 何しろ、この短期間で色んな情報を聞かされた。‥気付いたことも含めてだ。
 まず、
 俺は「魔王討伐隊のメンバー」に入るためにこの学校に編入させらえた。で、今から「他のメンバー」に会いに行く。(のだとアル様から聞かされた)
 メンバーは誰か俺は聞かされてないが、アル様は知ってるっぽい。(きっと俺抜きで色々話が決まっているのだろう)
 メンバーは誰か。
 俺の役割は? 
 魔王ってどんな奴? 
 このことは皆には内緒なの? 
 今の地点でこれだけの疑問が出て来た。
 これから先、分からないことは更に増えていくんだろう。
 ‥そうなる前に今聞いた分だけでも記憶しておかないといけない。
 分かったこと(気付いたこと)
 一つ目の「気付き」。
 そういえば‥さっき俺はアル様のランクが見えなかった。何故か。‥これは、アル様に聞いても仕方ないと思う。これは、きっとゲームの「お助け機能」で俺限定だ。きっと、アル様たちには俺が見えてる様な名前のアイコンとかすら見えていないだろう。ゲーム的に「知り合って」「名前を聞く」って手間を短縮してるんだろう。
 名前とランク、属性。
 ランクと属性、スキルなんかを見て「自分のパーティーに必要な人物かな」って判断する。
 普通にこの世界に生活してるんだったら、時間をかけて人間関係を築いていくべきなんだろうけど、ここは「ゲームの世界」だ。そんな「省略してもいい時間」(と、運営側が判断した時間)はスキップされる。
 さっき、見えたアル様のプロフィールは、

 名前: 隣国王族 アルファンソ・レンブラント・ヴァルメール (18歳)男
 ランク: ??
 家族構成: ??
 属性: ??
 武器: ??
 特技: ??
 HP: ??
 MP: ??
 好感度: ♡♡♡♡♡
 親密度: ♡♡♡♡♡
 
 って感じ。
 空欄ばっかりだった。
 多分、アル様のランクが見えなかったのは、きっと自分より高ランクだからじゃないか? と推測している。(確認しようはないが、きっと合っていると思う)
 そして、アル様が言っていた「プラス」。
 それについて自分なりに分析してみた。
 ‥の前にまず、ここの常識すら分かってない俺は「普通の人」から知る必要がある。
 アル様の言葉をそのまんま使うと‥「人には体力の限界やら魔力の限界があるわけじゃない? だから、それを超えてパワーを貯めることは出来ない。そして、パワーが減れば休養したり回復魔法を使う。減ればその分を補うだけで、既存のパワーゲージを超えてエネルギーを貯めることは出来ない」
 つまり、HPのことだ。
 これは「ここの人間」に限らず、地球上に住んでる我々とて同じことだ。体力には限界がある。自分の体力を超えて力を使うことはできないし、使えば減る。休養が必要だし、栄養剤とかを飲まなければいけない。
 だけど、「プラス」は、既存のパワーゲージ「プラス」のパワーを貯めることが出来る。
 多分ね? 多分だけど、普通の人とは違う別のゲージがあるんじゃないかな。ゲームなんかだったらHPの外に魔力だったらMPみたいなバーが別にある‥みたいな?
 アル様は魔法はそんなに‥って言ってたからMPじゃないんだろう。よくある「power」とかかな? 
 そして「その分は‥俺だったら「戦う時用」の力で、その力は、既存のパワーゲージに移行することはない」って言ってたから、HPが減ろうとその分(「戦う時用」の力)で補うことはできないのだろう。
 そして常にその分は別に貯めておかなければならなくて、生命活動と別にその力を貯める必要がある。 
 何故って? それが「プラス」と呼ばれる人たちの役割だから‥だろう。
 「プラス」は特別な力を持っているから「当たり前に」普通の人たちを守らないといけない。
 ‥それが役割なんだろう。
 その為に、常に力を蓄えておかなければいけない。

 言うならば、HPは自分の為のパワー、「プラス」のパワーは他の人を助ける時専用のパワー。

 そして、多分、その「常に貯めておかなければならない「プラス」の力」を維持する為にも常に力を使わなければいけない。(じゃないと、何もしてないアル様が常に食べ続けなければいけないわけないよね)
 これも多分だけど、
 (以下タツミの推測)
 誰もが何かを貯蔵する箱を持っているとする。そして、魔力持ちや「特別な」力を持つ人はそれが冷蔵庫なんだ。そして‥「プラス」はバーがもう一個別にあるから‥言うならば冷凍庫付き冷蔵庫を持っている。
 (大まかな認識)
 普通の箱を持っている: 多くの平民
 冷蔵庫持ち: 先天的に魔力や戦う力を持っている貴族やごく少数の平民。
 冷凍庫付き冷蔵庫持ち: 「プラス」
 それは単に「中に入れる物の種類が増える(= 出来ることが増える)ってことだけじゃない。
 箱しか持たない人間には必要ない「電力を維持する努力」が冷蔵庫持ちには必要なんだ。
 魔法使いであれば魔力を体内に循環させておかなければいけないだろうし、剣士やなんかは剣気的ななんかを循環させておかなければいけない。‥そうしておかないと折角中に入れているもの(= 出来ること)が腐ってしまう。(→ 出来ることも出来ない、宝の持ち腐れになるってこと)
 冷凍庫付き冷蔵庫持ちの「プラス」はもっと大変なんだ。冷凍庫と冷蔵庫は同じ電気を使っているけど、冷凍庫は冷蔵庫とは同じ温度ではない。‥特別な温度帯を保たなければいけない。
 そんな特別なことが出来る人が「プラス」ってわけだ。
 だけど‥その為には普通の人とより膨大な電力を常に必要とするわけで‥その為の「電気の貯め方」がアル様にとっては食事ってわけだ。
 そういう感じじゃないかな? って。
 そしてアル様によると「その貯め方は人それぞれ」らしい。個人で皆違って、家族だから同じってわけじゃないんだって。
 きっと、それは「プラス」にとって凄い秘密で‥死にも直結しうる「トップシークレット」だ。だって、それが分かってたら、それを妨害すればさえ優位に立てるんだもの。(‥まあ、プラスになり得る人なんだから‥特別な力を使わせなくても普通に強いんだろうけどね)

 だけど、アル様は俺にそれを教えてくれた。
 俺を信用してくれたってこと? 
 ‥俺、誰にも言わない。俺を信用してくれたアル様を絶対裏切ったりしない。絶対その秘密守って見せるからね! く~激熱! 男の友情だね! 

 感動したタツミだったが、彼は別にタツミにだけ教えたわけじゃない。「あの人はいっぱい食べる人」「どうやら結構エネルギー効率が悪いんだろう」そして、さっきタツミがちょっと言ったみたいに、普通の人には「特別な力を使わせなくても普通に」勝てるから言っただけなんだ。
 タツミがアル様と信用関係を築いて‥「好感度」や「親密度」を上げていくのは、もっと先の話なんだ。
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