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1.人は大変な状況の時、妙に冷静になる‥らしい。
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人は大変な状況になっても、妙に冷静になる時がある。
‥そういうこともあるってことを、俺は今実感している。
何者かによって用意された、自分のプロフィールカードを見ながら‥。
名前: ツムギ タツミ(17歳)男
ランク:C
家族構成: 両親と兄2人の5人家族。
属性: 聖魔法
HP:100
MP:100
特技: 聖女クッキング、治癒
性格: 人見知りしない性格で、誰とでも直ぐ仲良くなれる優しい少年。持ち前の明るさと優しさで、協力者たちの心を開いて魔王を討伐しよう。
ストーリー
男爵令息であるヒロイン・タツミは、進学した学園(主に下級~中級貴族が通う)で、珍しい聖魔法使いであることがわかり、国からの命により、アカデミーへの転校が決まった。
極秘事項、魔王討伐隊に入隊する為だ。
アカデミーに転入したタツミは王に、国が極秘に集めた剣の名手、優秀な魔術士らと共に訓練に励み、魔王討伐を命じられる。
ヒロイン・タツミよ。協力者と共に、魔王を討伐して、国に平和を取り戻そう!
うわ~何この「よくあるストーリー」。
何者かって、さっきの胡散臭いイケメンでしょうね。分かってます。
ヒロインの代わりって言うだけあって、「本来ヒロインのプロフィールだったもの」をまんま男に変えた様な設定だ。ヒロイン・タツミとか書いてある。ダサい。
‥嫌だって言った俺の意見は通らなかったようです。
‥分かってた。
「諦めろ、俺」
自分に言い聞かせて、改めて「暗記すべき俺の設定」にもう一度目を通す。
男爵令息、三人兄弟と両親がいる。家族仲は‥書いてないな。どうなんだろ。よくある金の為に子供なんかうっぱらっちゃうタイプかな。そこらは後で要・情報収集だな。
あと‥ここ重要なんだけど、ヒロインが異世界転移じゃなくて、元からこの世界の人だったこと。どうやら、転生者ってわけでもなさそうだから、異世界情報で無双‥はないみたい。
「了解‥」
「で‥兄弟は上に兄が二人いるんだな」
俺が17歳だから、兄二人は多分既に成人して職に就いてるのかもしれないけど、その辺の情報はないみたい。
それにしても三人兄弟‥暑苦しそうだな。‥想像つかん。実際の俺の家族は両親と4歳年下の妹の4人暮らしだ。
兄妹仲は特に悪いってわけでもないと思うが、別に仲良しって程でもない。朝起きて挨拶して、必要なことを一言二言話すくらいだ。部屋も勿論別だし、子供じゃないから一緒に遊ぶこともない。
俺が小学生の頃はそれでも一緒にゲームするくらいの交流はあった。『も●鉄』とかそういうの。ああいうの一人じゃやんないっしょ。格ゲーとかはネットで友だちとしてたな。妹は弱くってやってても面白くなかったから。
そん時の‥俺のゲーム機を今は妹が使ってる。オンラインじゃなく、オフラインで。
何でも流行りの「乙女ゲーム」をしているらしい。
乙女ゲームねえ‥コイツも人並みに女の子らしくなったもんだ‥って思ってたら、攻略本片手に「効率的にストーリーをクリア」してた。
‥なんか面白いんか? それ。
俺はよくわからんけど、そういうのってイケメンとの恋愛を楽しむゲームじゃないのか? いろいろやってみてその時々のイケメンの反応に一喜一憂するやつじゃないんか?
いや、わからんぞ。
‥俺が居ないところで人知れず「何々様(イケメンの名)カッコイイ~! 」とか言ってるのやもしれん。‥人の趣味に口出しは良くない。
とにかく、アレは妹の趣味と言えるんだろう。‥この前学校の宿題の「自己紹介カード」には「趣味 読書』って書いてたけど。
ヲタクバレはしたくないらしい。
多分だけど、アウトドア派っていうよりインドア派。部活動も文化部だ。それも、吹奏楽みたいなのじゃなくて、ソロでやるような奴。一応真面目に参加してる‥と思う。何部か知らんが。
俺の趣味は‥急に言われて用意はないな。そのうち、面接対策やなんかで「適当に良さそうな趣味」を見繕おうと思う。
まるっきり嘘は良くない。突っこまれた時困るから。
「なになに。‥魔法が使える、と。で、属性は聖魔法」
属性‥ってなんだ。
多分、火とか水とかそういうのだよな。ストーリーによると聖魔法は珍しい‥ね。うん‥「分かった」。
HPとMPは‥どうなんだ? 低いのか? って思ったら横に注意書きがある。100は男プレーヤーの初期値。訓練すれば上がる。‥成程。その世界の男の標準ってことか? ‥標準より低かったらキツイな。
特技‥聖女クッキング? 男だけど聖女。‥まあ突っこむまい。ヒロインのプロフィールをエコ利用だからな‥。多分「聖なるパワー」がこもった料理が出来るんだろう。食べたら元気になる的な。(違法薬物みたいで嫌だな)あと、治癒は分かる。聖魔法なら、そうだろうな。あと、魔物に対して強いとかだろう。
性格‥「人見知りしない」「明るい」‥実際の俺はそうポジティブなタイプでもないが、この話的な俺は‥そういう立ち回りを要求されるってことだろう。
‥まあ、協力者と仲良くならんと話にならないだろうからな。
役回りはともかく。実際の俺の性格は、そう明るい方じゃない。人見知りは‥しないが、特に積極的に人に関わっていくってタイプでもない。
癖は咄嗟に目の前で起こってることを文字化することかな。文字化できるってことは、その時々の状況を冷静に把握して、分析出来るってことでしょ? 俺は悪いことだとは思ってない。だけど、幼馴染の坂下には、冷めてるってよく言われる。奴曰く、「そういうのじゃなくて、純粋にその時々を楽しまなきゃ~」らしい。
アイツはホント能天気で‥スーパーがつくほどポジティブ。
‥羨ましいって思ってる。
毎日楽しそうだし、友達も多い。考えなしに喋っちゃうから、その分敵も多いんだけどね。
俺は結構「そつなく」って感じ。友達は少ないけど、トラブルもない。程よい距離感で付き合ってる。そいつらもそういう感じだしね。一緒にはいるけど、別にずっと一緒にいるわけでもないし、休日遊びに行くとかしない。お互いのプライベートには立ち入らないで欲しいってタイプなんだろう。
部活動には入ってないから放課後はさっさと家に帰る。制服で出歩くのは好きじゃないから服を着替えて図書館に行くためだ。本が好きってわけではない。だけど、知識は得たい。深く学ぶんじゃなくて、浅く広く。興味を持ったことを片っ端に。図書館はそういう点で便利だよね。いろんな本を適当に見ることが出来るから。
そういった知識は、分析に役に立つ。
「これ、この状態なんだっけどういうんだっけ」
ってちょっとイライラするじゃない?
知識があるから気付けることもあるしね。
小説家志望として、普段から色んな事にアンテナ張ってないとね。それがネタの元になる。
小説家、憧れるわ~。
編集者に睨まれながら「今書いてますから! 」とか言ってみたい。
ネタが浮かばん! とか悩んだり、「書けるまでここから出さん! 」ってホテルに缶詰めにされてみたい。‥今どきないのかな。しかも、そんな期待されてるようなのは、大作家様だけか。
ってわけで、本はそれなりに読んでるけど、所謂「読書が趣味」って読み方じゃないってこと。
そんなことを考えながら「ヒロイン・タツミのプロフィールカード」を眺めていると、特技の欄に「雑学披露」が加わった。
‥いや、特技雑学披露って‥。ドヤ顔で雑学言ってもな‥。
そんなことを思って苦笑いしてたら、その横に「情報分析能力」が加わり、赤字で、「情報画面固定(lock)」の文字が出て、プロフィールカードが金色に光って消えた。
「これが初期値ってことね。一応本人の希望を入れてくれたってことか? 」
ため息をついた次の瞬間には、小さな部屋のベッドの中にいた。
起き上がって周りを見渡す。
‥ここが拠点ってことかな。どうやら、相部屋らしい。
部屋はベッドが二つ部屋の縦に並べられて、その横に勉強机って感じのシンプルな木のデスクがそれぞれ一つあるだけのシンプルなタイプ。衣装を入れるチェストはないみたい。って思ったら、ベッドから出たらツールバーが出てきて「服を選択してください」の表示が出て来た。制服を選ぶと、服が自動的に制服に変わった。
‥便利。
それにしても、ヒロイン・タツミは貧乏なのか、服が「寝間着、制服、普段着(シンプル)」しかない。
どうでもいいけど。
部屋から出ると、同年代の少年たちがバラバラとそれぞれの自室から出て来た。
「おはよ、タツミ。ルームメートのフィルは今日も帰ってないのか? 」
って話しかけて来た赤毛の下に、バーで「子爵令息 ブラン」と出る。これは便利‥っておもってたら、直ぐに消えて、その後は出なくなった。‥と思ったら、金色の△が出ている。それをこころの中で押すイメージで見ると、さっきの「子爵令息 ブラン」が出て来た。よく見ると、下に▽が出ている。そこを押すと‥
名前: 子爵令息 ブラン(17歳)男
ランク: F
家族構成: ??
属性: ??
武器: ??
特技: ??
HP: ??
MP: ??
好感度: ♡♡♡
協力度: ♡♡♡
が出て来た。‥なんにも分かってない感じ。会話して情報が公開されたら埋められますよって感じかな。ってか、何だこの♡。
これは、三つ溜まってます感じなのか? いつ溜まった? そういう初期設定?
‥でも、何か妹の気持ち分かった。これは‥この感覚はちょっと面白い。恋愛とかどうでもいいけど、この??を全部情報で埋めたい。効率本に頼る気持ちも分からんでもない。
コイツと仲良くなったら協力者になってくれるって感じなのかな? 話しかけてくれたりしてフレンドリーだし。親密度も協力度も♡三つだし。
‥だけどまあ、流石に二人ってことはないだろう。他にも仲間を作らなきゃならないってことだな。
ランク F。さっきは気にしなかったけど、俺はランクCだった。コイツよりランク的に上らしい。‥魔法の実力的な? うん、仲間にするにしてももう少しランクが上の奴を探す方がいい‥って感じかな。
友だちをゲットしてクエストをクリアする。‥妖怪の例のゲーム的な感じかな? 俺がヒロインってことで恋愛要素も消えたから、普通のRPGみたいな感じになってるんだろう。
さっさとクリアしてここから戻りますか!
坂下張りのテンションを無理やり自分の中に呼び起こす。‥なんせ、ここでの俺の性格は「人見知りしない」「明るい」だからね。
「どうした? 昨日も遅くまで勉強してたのか? 今日試験だもんな」
ブランがははって苦笑いする。
今日、試験!?
なんて日からスタートしてんだ!!
‥そういうこともあるってことを、俺は今実感している。
何者かによって用意された、自分のプロフィールカードを見ながら‥。
名前: ツムギ タツミ(17歳)男
ランク:C
家族構成: 両親と兄2人の5人家族。
属性: 聖魔法
HP:100
MP:100
特技: 聖女クッキング、治癒
性格: 人見知りしない性格で、誰とでも直ぐ仲良くなれる優しい少年。持ち前の明るさと優しさで、協力者たちの心を開いて魔王を討伐しよう。
ストーリー
男爵令息であるヒロイン・タツミは、進学した学園(主に下級~中級貴族が通う)で、珍しい聖魔法使いであることがわかり、国からの命により、アカデミーへの転校が決まった。
極秘事項、魔王討伐隊に入隊する為だ。
アカデミーに転入したタツミは王に、国が極秘に集めた剣の名手、優秀な魔術士らと共に訓練に励み、魔王討伐を命じられる。
ヒロイン・タツミよ。協力者と共に、魔王を討伐して、国に平和を取り戻そう!
うわ~何この「よくあるストーリー」。
何者かって、さっきの胡散臭いイケメンでしょうね。分かってます。
ヒロインの代わりって言うだけあって、「本来ヒロインのプロフィールだったもの」をまんま男に変えた様な設定だ。ヒロイン・タツミとか書いてある。ダサい。
‥嫌だって言った俺の意見は通らなかったようです。
‥分かってた。
「諦めろ、俺」
自分に言い聞かせて、改めて「暗記すべき俺の設定」にもう一度目を通す。
男爵令息、三人兄弟と両親がいる。家族仲は‥書いてないな。どうなんだろ。よくある金の為に子供なんかうっぱらっちゃうタイプかな。そこらは後で要・情報収集だな。
あと‥ここ重要なんだけど、ヒロインが異世界転移じゃなくて、元からこの世界の人だったこと。どうやら、転生者ってわけでもなさそうだから、異世界情報で無双‥はないみたい。
「了解‥」
「で‥兄弟は上に兄が二人いるんだな」
俺が17歳だから、兄二人は多分既に成人して職に就いてるのかもしれないけど、その辺の情報はないみたい。
それにしても三人兄弟‥暑苦しそうだな。‥想像つかん。実際の俺の家族は両親と4歳年下の妹の4人暮らしだ。
兄妹仲は特に悪いってわけでもないと思うが、別に仲良しって程でもない。朝起きて挨拶して、必要なことを一言二言話すくらいだ。部屋も勿論別だし、子供じゃないから一緒に遊ぶこともない。
俺が小学生の頃はそれでも一緒にゲームするくらいの交流はあった。『も●鉄』とかそういうの。ああいうの一人じゃやんないっしょ。格ゲーとかはネットで友だちとしてたな。妹は弱くってやってても面白くなかったから。
そん時の‥俺のゲーム機を今は妹が使ってる。オンラインじゃなく、オフラインで。
何でも流行りの「乙女ゲーム」をしているらしい。
乙女ゲームねえ‥コイツも人並みに女の子らしくなったもんだ‥って思ってたら、攻略本片手に「効率的にストーリーをクリア」してた。
‥なんか面白いんか? それ。
俺はよくわからんけど、そういうのってイケメンとの恋愛を楽しむゲームじゃないのか? いろいろやってみてその時々のイケメンの反応に一喜一憂するやつじゃないんか?
いや、わからんぞ。
‥俺が居ないところで人知れず「何々様(イケメンの名)カッコイイ~! 」とか言ってるのやもしれん。‥人の趣味に口出しは良くない。
とにかく、アレは妹の趣味と言えるんだろう。‥この前学校の宿題の「自己紹介カード」には「趣味 読書』って書いてたけど。
ヲタクバレはしたくないらしい。
多分だけど、アウトドア派っていうよりインドア派。部活動も文化部だ。それも、吹奏楽みたいなのじゃなくて、ソロでやるような奴。一応真面目に参加してる‥と思う。何部か知らんが。
俺の趣味は‥急に言われて用意はないな。そのうち、面接対策やなんかで「適当に良さそうな趣味」を見繕おうと思う。
まるっきり嘘は良くない。突っこまれた時困るから。
「なになに。‥魔法が使える、と。で、属性は聖魔法」
属性‥ってなんだ。
多分、火とか水とかそういうのだよな。ストーリーによると聖魔法は珍しい‥ね。うん‥「分かった」。
HPとMPは‥どうなんだ? 低いのか? って思ったら横に注意書きがある。100は男プレーヤーの初期値。訓練すれば上がる。‥成程。その世界の男の標準ってことか? ‥標準より低かったらキツイな。
特技‥聖女クッキング? 男だけど聖女。‥まあ突っこむまい。ヒロインのプロフィールをエコ利用だからな‥。多分「聖なるパワー」がこもった料理が出来るんだろう。食べたら元気になる的な。(違法薬物みたいで嫌だな)あと、治癒は分かる。聖魔法なら、そうだろうな。あと、魔物に対して強いとかだろう。
性格‥「人見知りしない」「明るい」‥実際の俺はそうポジティブなタイプでもないが、この話的な俺は‥そういう立ち回りを要求されるってことだろう。
‥まあ、協力者と仲良くならんと話にならないだろうからな。
役回りはともかく。実際の俺の性格は、そう明るい方じゃない。人見知りは‥しないが、特に積極的に人に関わっていくってタイプでもない。
癖は咄嗟に目の前で起こってることを文字化することかな。文字化できるってことは、その時々の状況を冷静に把握して、分析出来るってことでしょ? 俺は悪いことだとは思ってない。だけど、幼馴染の坂下には、冷めてるってよく言われる。奴曰く、「そういうのじゃなくて、純粋にその時々を楽しまなきゃ~」らしい。
アイツはホント能天気で‥スーパーがつくほどポジティブ。
‥羨ましいって思ってる。
毎日楽しそうだし、友達も多い。考えなしに喋っちゃうから、その分敵も多いんだけどね。
俺は結構「そつなく」って感じ。友達は少ないけど、トラブルもない。程よい距離感で付き合ってる。そいつらもそういう感じだしね。一緒にはいるけど、別にずっと一緒にいるわけでもないし、休日遊びに行くとかしない。お互いのプライベートには立ち入らないで欲しいってタイプなんだろう。
部活動には入ってないから放課後はさっさと家に帰る。制服で出歩くのは好きじゃないから服を着替えて図書館に行くためだ。本が好きってわけではない。だけど、知識は得たい。深く学ぶんじゃなくて、浅く広く。興味を持ったことを片っ端に。図書館はそういう点で便利だよね。いろんな本を適当に見ることが出来るから。
そういった知識は、分析に役に立つ。
「これ、この状態なんだっけどういうんだっけ」
ってちょっとイライラするじゃない?
知識があるから気付けることもあるしね。
小説家志望として、普段から色んな事にアンテナ張ってないとね。それがネタの元になる。
小説家、憧れるわ~。
編集者に睨まれながら「今書いてますから! 」とか言ってみたい。
ネタが浮かばん! とか悩んだり、「書けるまでここから出さん! 」ってホテルに缶詰めにされてみたい。‥今どきないのかな。しかも、そんな期待されてるようなのは、大作家様だけか。
ってわけで、本はそれなりに読んでるけど、所謂「読書が趣味」って読み方じゃないってこと。
そんなことを考えながら「ヒロイン・タツミのプロフィールカード」を眺めていると、特技の欄に「雑学披露」が加わった。
‥いや、特技雑学披露って‥。ドヤ顔で雑学言ってもな‥。
そんなことを思って苦笑いしてたら、その横に「情報分析能力」が加わり、赤字で、「情報画面固定(lock)」の文字が出て、プロフィールカードが金色に光って消えた。
「これが初期値ってことね。一応本人の希望を入れてくれたってことか? 」
ため息をついた次の瞬間には、小さな部屋のベッドの中にいた。
起き上がって周りを見渡す。
‥ここが拠点ってことかな。どうやら、相部屋らしい。
部屋はベッドが二つ部屋の縦に並べられて、その横に勉強机って感じのシンプルな木のデスクがそれぞれ一つあるだけのシンプルなタイプ。衣装を入れるチェストはないみたい。って思ったら、ベッドから出たらツールバーが出てきて「服を選択してください」の表示が出て来た。制服を選ぶと、服が自動的に制服に変わった。
‥便利。
それにしても、ヒロイン・タツミは貧乏なのか、服が「寝間着、制服、普段着(シンプル)」しかない。
どうでもいいけど。
部屋から出ると、同年代の少年たちがバラバラとそれぞれの自室から出て来た。
「おはよ、タツミ。ルームメートのフィルは今日も帰ってないのか? 」
って話しかけて来た赤毛の下に、バーで「子爵令息 ブラン」と出る。これは便利‥っておもってたら、直ぐに消えて、その後は出なくなった。‥と思ったら、金色の△が出ている。それをこころの中で押すイメージで見ると、さっきの「子爵令息 ブラン」が出て来た。よく見ると、下に▽が出ている。そこを押すと‥
名前: 子爵令息 ブラン(17歳)男
ランク: F
家族構成: ??
属性: ??
武器: ??
特技: ??
HP: ??
MP: ??
好感度: ♡♡♡
協力度: ♡♡♡
が出て来た。‥なんにも分かってない感じ。会話して情報が公開されたら埋められますよって感じかな。ってか、何だこの♡。
これは、三つ溜まってます感じなのか? いつ溜まった? そういう初期設定?
‥でも、何か妹の気持ち分かった。これは‥この感覚はちょっと面白い。恋愛とかどうでもいいけど、この??を全部情報で埋めたい。効率本に頼る気持ちも分からんでもない。
コイツと仲良くなったら協力者になってくれるって感じなのかな? 話しかけてくれたりしてフレンドリーだし。親密度も協力度も♡三つだし。
‥だけどまあ、流石に二人ってことはないだろう。他にも仲間を作らなきゃならないってことだな。
ランク F。さっきは気にしなかったけど、俺はランクCだった。コイツよりランク的に上らしい。‥魔法の実力的な? うん、仲間にするにしてももう少しランクが上の奴を探す方がいい‥って感じかな。
友だちをゲットしてクエストをクリアする。‥妖怪の例のゲーム的な感じかな? 俺がヒロインってことで恋愛要素も消えたから、普通のRPGみたいな感じになってるんだろう。
さっさとクリアしてここから戻りますか!
坂下張りのテンションを無理やり自分の中に呼び起こす。‥なんせ、ここでの俺の性格は「人見知りしない」「明るい」だからね。
「どうした? 昨日も遅くまで勉強してたのか? 今日試験だもんな」
ブランがははって苦笑いする。
今日、試験!?
なんて日からスタートしてんだ!!
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