Happy nation

文月

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七章 元通り

13.カツラギハーレム。

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「何してたんだ? って‥まあ、聞きたくはないが」
 以前の‥自分の執務室の椅子に座っているカツラギが俺たちに気付いて書類から顔を上げた。
 ちらり、と視線を向けただけで後は書類に視線を戻す。書類に夢中‥というよりも俺たちに全く興味がないのだ。
 机の上に置いて湯気をあげているのは、いつもの‥桜子がいれたホットミルク、ではなく、コーヒーだ。
 以前のカツラギと何ら変わりない。
 カツラギは紅茶よりコーヒーを好んだ。それは、アララキとサカマキも同じだった。
 あの村の元冒険者たちはゆったりしたイメージのある紅茶ではなく、コーヒーを好む者が多かった。
 午後のティータイムの習慣なんか勿論、ない。
 ティータイムの習慣は何も金持ちに限った習慣では勿論なく、王都に来たばかりのころは、午前10時と午後3時になったらぴったり「お茶の時間だ」同僚も上司も当たり前の様に席を立ち、カツラギは首を傾げたもんだった。
 結局、カツラギたちには「お茶の習慣」は採用されなかったが、代わりに部下がお茶を運んでくれるようになった。
 リラックスできる、いい香りのする紅茶をカツラギの席に置いてくれた部下に、カツラギはコーヒーが要求した。
 かって、朝一番に「父さん」や「兄さん」たちが気合を入れるために飲んでいた、ブラックのコーヒー。休憩ではなく、気合を入れ直す時間‥そう思ったら、「お茶の時間」も採用できるような気がした。

 以前ならゆったりと足を組んで椅子の背もたれに軽く身体をあずけ、肘掛に片肘を置いたラフな格好で椅子に座っていたのが、今は身体が小さくなったため椅子が大きいのだろう。何処か所在無げに椅子にお山すわりをして書類を眺めていた。
 不機嫌に見える位真剣な顔は、以前と同じだ。
 トントン、と扉がノックされ、カツラギの入室を許可する声を待ってカツラギの部下が部屋に入って来た。
 手には、二客のコーヒーカップ。アララキとサカマキの分だ。
 アララキが彼女からコーヒーカップを受け取ると、カツラギの部下は無言でお辞儀をし、退室した。
 扉が閉まる前、ちらり、とカツラギに視線を向ける。
 その顔がほんのり赤くなっていた。
 ‥カツラギの元彼女‥とかかな? 彼女っていうか‥大人なお友達?
「カツラギは‥仕事をしていたのか? 」
 コーヒーをテーブルの隅に置き、書類の束を見ながらアララキがカツラギの向かいに座る。
 一人掛けの重厚なカツラギの机の前には、会議をする時用だろうか、簡易の椅子が何客か置かれていた。
 見ると、部屋の隅にも持ち運べる簡易の椅子が何客か置いてある。
「ああ、申し訳ない。席も勧めずに。‥適当に座ってください」
「この部屋には、随分と椅子があるんだね」
 アララキが部屋を見回しながら言った。
「ここで会議をすることもあるからね。執務室だけど、椅子は沢山置いてあるんだ。わざわざ書類を動かしまわるのも面倒だし」
「まあね。僕も自室で会議をすることもあるよ」
 ‥知ってます。「その為の」防音完備の部屋だもんね。
 決して、恋人を連れ込んで昼間っから「いけないこと」をやってるのがバレないための防音対策じゃない。
 サカマキはちょっとアララキから視線を逸らした。
 カツラギはそんなサカマキの様子など気にも留めていないようだ。(まあ、今更‥どうでもいいし)
「‥いない間の書類を見せてもらっていた。‥皆には迷惑をかけた」
 サカマキが、はっと顔を上げてカツラギを見る。
 ‥言葉も出ない。
 だけど、カツラギはサカマキにゆったりと頷いて
「‥いちいち反応するな。煩わしい」
 とわざと素っ気ない口調で言った。
 そして、微かに微笑む。以前の‥ちょっとシニカルな表情とは違う。‥否、以前と同じ微笑なのかもしれないけど、以前のカツラギはその氷の様な美貌故、そういう表情が自然とシニカルに見えた。
 でも、今は違う。
 色合いも、顔つきも。
 タンザナイトの切れ長の瞳だった以前とは違う、ブラウンの温かみのある色合いの大きな丸い瞳。シャープだったフェースラインは、子供らしい丸みを帯びたものに変わり、ほんのりと桜色の頬は真ん丸で‥。
 今のカツラギは、只の可愛らしい子供だ。
 コンコン、扉を軽くノックする音の後、今度はカツラギの許可を待たずに、二人の部下が入室して来て、サカマキの前に立った。
「高位魔法使い殿。‥カツラギ様を再び我々におかえしくださり、感謝しています。それと‥あの時は御無礼を‥」
 表情のない顔で謝罪し、頭を軽く下げる。
 お礼を言っているのだが、‥表情からは「感謝している」様には見えない。ただ、形式的に礼を言っているに過ぎないといった態度だ。‥だけど、悲しいかな、サカマキにとってはこれよりひどい対応が日常茶飯事だったから、‥かなり異例の「いい対応」と思えた。
 ‥それでも、地球での「塩対応」よりは、感情が‥いい感情ではないが‥籠ってるな。あの「塩対応」ってのは凄いな。こう‥無関心もここまできたら、いっそ清々しい‥って感じするもんな。プロだよ。無差別対応のプロ。(‥無差別対応ってなんだ。‥多分、サカマキは差別化しない対応って言いたいんだろう‥)
 発言した方の髪の長い美人‥彼女にサカマキは見覚えがあった。
 カツラギの件で、謝りに行ったサカマキを何も言わずずっと睨み付けていた女性だ。
 他の者が罵倒している中、涙を浮かべた目で、ずっと‥サカマキを睨み続けていた。
 彼女は、カツラギの大人な友達だった。それは、まあ、何度か聞いたことがある。カツラギはそういうこと、結構オープンに話すんだ。
 もう一人は‥、大人な友達ってか‥うん。カツラギの体調管理のプロだ。言わずもがな、性的な‥。ガチセフレって奴だね。いや‥カツラギの被害者っていった方がいいのかな??
 ‥さっきから顔を上げてないけど、‥めっちゃ怒ってたらどうしよう‥って、‥怒ってるよね。
 カツラギは兎も角、彼はカツラギlove(身体だけの関係じゃなく‥)って感じだったもんね‥。
 彼も彼女と同じ用事だったのかな? って思って、ちらっと手元を見ると、何か書類を持っている。
 おや、‥彼は別件なのかな?
 カツラギは、彼の持つ書類に目をやると、タンと軽い音を立てて椅子から飛び降り、彼の前に立ちくい、っと顎をしゃくって、彼を見上げた。
 上目遣いとか、そういう可愛いのじゃない。(ちっちゃいくせに)俯瞰っていうの? くそ生意気で可愛くない見上げ方するの。
 そういう表情は、昔のカツラギっぽい‥と思った。
「で? 」
「‥カツラギ様。これでよろしいでしょうか」
 おずおずと書類をカツラギに差し出す。
 ‥おお、顔を上げた。彼は‥怒っていなかった。それどころかほんのり高揚した顔でカツラギを見ている。
 真っ直ぐにカツラギを見つめる。
 カツラギが、すっと目を細める。
「よろしいかじゃない。よろしい状態でもってこい。私に聞かないと分からない様じゃ、一人前とはいえませんよ」
 小さくため息をつく。
 子供が大人のフリしてるみたい‥。
 見かけは、可愛い。‥見かけだけは、可愛い。
 でも、視線だとか、指摘の仕方だとか、喋り方は全然可愛くない。
 でも、そこがいい。(by カツラギ信者 らしい)
「すみません!! 」
 目の前の彼は、目がハートだ。
 もう、お言葉頂いてありがとうございます~!! って拝み出しそうな勢いだ。
「インテリショタ、最高‥!! 」
 さっきサカマキに「お礼」(?)をいった彼女が小さく呟いちゃってる。
 ‥なに? インテリショタって。
「く、カツラギ様、‥お可愛い‥。あんなにお可愛いのに、口調は氷の女王のまま。‥氷の美少年‥尊い‥」
 ‥さっきから、なんかヤバい発言が口に出ちゃってるけど、‥大丈夫? 
 ‥セフレな彼も新生カツラギにメロメロだし‥。
 え?? 氷な女王様なカツラギが良かったんじゃないの??
 閉まり切っていなかった扉の隙間から、元カツラギ信者たちの顔が見えた。
 皆カツラギを見て、目がハートになっちゃってる。鼻を手で押さえてる野郎までいる。‥ヤメロ、まだ子供だぞ。Happynationでは、15でもう大人だけど、地球での15はまだ高校生のほんの子供だし‥、15で結婚する奴なんてそういないし‥(ってか、日本では男女とも15では結婚出来ないし)そいつは親友の息子だし‥。
 とにかく、ヤメロ。
「カツラギの取り巻き、なんか変態度上がってないか? 」
 ぼそりと呟いたサカマキの顔は、ちょっと引きつっている。
 アララキは「ん? 」とサカマキに微笑みながら
 ‥カツラギは、今までタチ専だったが、今は‥もしかじゃないが、ネコとして狙われてないか? しかも、ショタ‥。いやいや、今は中身はあれだけど、外身は完全にアウトだから。
 ‥でもあの正樹の息子だもんな。大人になったら合法ショタになるんだろうな。‥happynationはそういう子いないし(※ 相対的にごつくてデカいのが多い)ちっちゃくてかわいい子大好きな人たち多いから、‥カツラギ信者だけではなく、きっとモテモテになっちゃうんだろう。
 ハーレムだね。‥受けとして。
 なんて、こころのなかで「しょうもないこと」を考えていた。
 ‥まあ、(面白いことは面白いんだけど)
「‥まあ。カツラギが嫌じゃなかったら‥いいんじゃ‥ないかな? 」
 僕には、そんなこと、どうでもいいんだけどね。
 コテン、と首をかしげて、アララキがさも興味なさそうに、言う。
 相変わらずアララキは、サカマキのこと以外どうでもいいらしい。


「さて、‥桜子に心配させるわけにはいかない。さっさと用事を済ませて帰ろう」
 カツラギは周りの熱視線など丸無視して、ふう、とため息をつくと書類を机に置いた。
 総て処理し終わっているようだ。
 相変わらず、仕事が速い。
「そうだな」
 アララキも頷く。
 サカマキは、
「でも、‥どうするつもりだ? その見かけ‥。そうだな‥見かけは‥遠目からみたら分からないから、アララキにプラチナブロンズのカツラ被せてカツラギの服を着せれば誤魔化せる‥? 」
 因みに、元のカツラギとアララキが並んだら、アララキの方が若干身長が高い‥という位でそう変わらなかった。
 体つきは違うけど、カツラギの服はゆったりしてるから体のラインは隠せるし‥
 なんて、真剣に考えている様だ。
 ‥カツラギなんかの為に真剣に考えて、本当にサカマキは可愛いし、優しいし、天使だね。なんてアララキがサカマキを見つめているのには、気付いていない。
 カツラギは、(アララキの考えそうなことなんか目に見えて分かっているが)アララキを丸無視して、
「王都で働いている者は兎も角、国民の殆どは、私の顔すら知らないと思うよ」
 サカマキに応えた。
「ああ、そうか‥」
 は、っと気付いた顔になり、サカマキが頷く。
 確かに、カツラギの顔も、自分の顔も(裏方のカツラギは尚更だろう)王都で働いている者以外はそう知らないだろう。‥というか、王都ではサカマキは引き籠っていたので、王都で働いている者たちも自分の顔を知っているとは思えない。
 ‥顔を知られているから嫌われているのではない。顔を覚えられていまいが嫌われているのだ。
 そう思ったら、ちょっと情けない気持ちになる。
「それに‥」
 ふふ、と優しい笑顔をサカマキに向けた。
 昔カツラギがサカマキによく向けていた微笑みだ。
 子供(サカマキだったら雛だな)の頃からサカマキを知っていたカツラギは昔、サカマキによく小さい子に向けるような優しい微笑みを向けていた。サカマキは、アララキにとってだけではなくカツラギにとっても弟みたいなもんだった。三人だけでなく、あの村で育った孤児たちはみんな、本当に兄弟のように育ってきたから。
 アララキがサカマキを「特別可愛がっていた」ことについて、みんなは「アララキが拾って来た子だから責任があるんだろう」って優しい解釈をしてくれたようだ。まさか、アララキが「光源氏計画」をサカマキで実践しているなんて思いはしなかっただろう。(流石に村でアララキがサカマキに手を出すこともなかったしね)
 サカマキもアララキとカツラギに特別懐いていた。
 でも、それもサカマキが高位魔法使いになるまでのことだ。
 あの後は、サカマキにもそして、カツラギにもそれぞれ‥賢者としてのもしくは高位魔法使いとしての‥責任が生じて、‥いつまでもただの若者ではいられなくなった。
 サカマキが高位魔法使いでなくなった今、サカマキはカツラギにとって元の年の離れた弟に戻ったのだろう。
「ん? 」
 サカマキが首をちょっと傾げる。
 そして、カツラギの笑顔につられるように、ふわりと微笑んだ。
「私は王じゃないから、発言の際にわざわざ姿を現す必要は無いですよ」
「ああ‥そう、だな。じゃあ、俺が代わりに話してもいいってことかな? 」
 なるほどなるほど。とサカマキが呟く。
 カツラギが首を横に振って否定する。
 そして、真剣な顔で
「‥私が‥賢者が‥言わないと意味がないんです。だけど、‥この声‥この「子供の声」では‥私が賢者だって皆に認めてもらえませんね」
 と言った。
 サカマキと、アララキが「あ! 」っと気付いた顔をする。
 そうだ、賢者が言う必要があるんだ。
 顔を知らないといっても、王都で働いていたならば、大人だってことは分かるだろう。姿を現す必要はなく、声だけを放送で流すにしても‥、声で子供だってことは分かる。
「じゃあ‥どうすれば」
 カツラギが大人になるまで待つ、か?
 サカマキが真剣な顔で顎に指をやって、考える態勢を取ろうとすると‥
 ‥カツラギが緩く首を振って「大丈夫」と言った。
 そして、一際真剣な顔で
「‥変声機を使いましょう」
 言った。
 変声機‥。
 ますますコナ●君みたいだけど‥まあ、それは‥仕方が無いというか‥。
 しかし、結構カツラギ、コ●ン君にはまってないか?
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