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七章 元通り
4.素質
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あの時、正樹は言った。「(俺が魔法で)桜子を乗っ取った」って。
あの時って、フミカとカツラギで適性検査を受けた時だ。
正樹は、俺が入った桜子を桜子じゃないって見抜いて‥で、乗っ取った‥って言ったんだ。
でも、アララキの部下が「そんな高度な魔法はない」って否定した。
部下たちが正樹に、魔法の事を隠したんじゃない。‥彼らは、知らないんだ。
そんな高度な魔法があるってことを。
‥まあ、あっても「違法」だよね。人の精神を乗っ取るとかって、‥違法だ。
違法な魔法だから俺は、「ない」っていうべきだったんだ。
寧ろ俺こそが隠すべきだったんだ。‥なんで俺、あそこで肯定しちゃったんだろ~。
正式には、精神を乗っ取ったわけではない。
でも、ニュアンス的には間違っては、いない。
正しくは、代わりに操縦してた‥だけど、元の桜子の意識ではなく俺の意思で桜子が動いていたわけだから、とりついてた‥というより、乗っ取り‥なのかなあ。
なんにせよ、印象は悪いわな。
‥そもそもあそこで、俺が「なんで分かった」って言ったのは、「なんで乗っ取ったのが分かったか」、ではなく、「なんで桜子がいつもと違うって分かったか」だ。
桜子が演技してるとか‥ではなく、「様子がおかしい」とか、「桜子は何かを隠し事しているのかも」、とかでもなく「桜子じゃない」って‥。
正樹はなんであんなに自信満々言い切れたのかってこと。
なんでちっとも疑わなかったのかってこと。
‥その前に、きっと小さな違いだっただろうに、何で気付いたのか‥ってこと。
あれだ、ロングヘアからショートカットにしたって位なら気付くだろうけど、後ろ髪を揃えたとか、前髪をきったレベルなら気付かなくて当たり前‥そんなレベルだったはずだ。
‥正樹は、そのレベルを気付く男なのか‥妻の事好き過ぎだろ。見過ぎか。
ストーカ‥いや、そういう言い方、よくないな‥
‥わかるよ。「愛のマジック」って奴でしょ? 素敵ですね、愛されてますね‥
‥そうじゃなくって。
普通、言う? 「乗っ取られた」
多分、正樹には、分かったんだ。いつもの桜子と魂のレベルで‥違うって。
それって、‥普通に分かるってレベルじゃない。素質だ。
サーチの素質。
‥使えるよね。
だって、魔法で変装してても見破れるんだもん。凄い使える。
サーチ‥ってか、解析‥鑑定とかかな。
多分、正樹は魔法の素質がある。
(まあ‥相っ変わらず地味な感じだし、戦闘性はゼロなんだけどね)
あの後すぐ適性検査を受けさせた正樹には、ちょっとだけ‥ほんのちょっとだけ、魔法使いの素質があった。(ここは、想定内だ)でも、期待してた鑑定系の能力は思ったよりも低く、勘がイイのちょっとパワーアップした程度かな‥って感じだった。‥がっかり。
今のところ「妻限定」って感じかな。
訓練しても、妻限定が、知り合いについてももしかしたら分かるかな程度に上がる位だって思うから、‥これは切ろう。
それよりは、少しでも戦闘系を‥と思う。
‥俺にとって想定外だったのが、奴の魔力の量(高そうに見えるんだけどなあ。ちょっと粘着質で神経質で、あとちょっと性格に難があるの)の少なさと‥あと、属性だった。サーチは風の属性だから、風の魔法が使えるだろう‥って思ってたのに、奴に風の属性はほんのちょっとしか無かった。
え?だって‥って眉をひそめてたら、あれは‥ただのはったりだったって正樹がばつが悪そうに‥白状してきた。
‥はったり。天下の高位魔法使い様にはったり‥。
面白い‥。やっぱりただの奴じゃない。
(※面白いが‥やっぱり苦手だ。好きにはなれそうにない。‥アララキじゃないけど)
因みに、俺に対して超塩対応だったのは「あの時失礼なことを言ったから、ちょっと気まずかった」だと。‥そこら辺は、凡人だな。
ああそうそう。‥奴の属性だが‥メインとなってるのは‥なんと、火だった。
意外だ。
冷静だから、水とかかな? って思ったけど、‥まさかの火。
色は見えないけど、やたら高温な火とかあるじゃない。‥きっとあんな感じなんだろう。うわ~陰湿~。
それにしても火か。
‥にしても、魔力が少ないから、そう大技は期待できない。
訓練すれば、バースデーケーキに立てた六本程のロウソクにいっぺんに火をつけられる様になるだろう‥ってレベル。
‥って、付けられるようになってどうする。
‥あんな性格が悪そうで、‥いかにも「何か出来そう」な奴に見えたのに‥見えただけってしょぼすぎる。まあ、魔法使いの素質は問題ないから、きっとすぐにロウソクは付けられるようになるだろう。発動には問題ないが、そうレベルアップは期待できないって感じかあ‥。
医療系の魔法使い以外‥魔法使いってのは、性格がイイ奴ってのは向いてない。
‥憎しみだとか‥恨みだとか‥妬みだとか‥そういう「あいつに意地悪してやろう‥」的な‥マイナスな感情から魔法は生まれる。まあ、そこまでいかなくても「悪戯したら楽しそう」とかでもいい。あとは、‥研究熱心で、魔法にしか興味ないってタイプかな。それも、周りを顧みることなく、研究に没頭できるようなタイプじゃないと大成しない。(←いうまでもなく、サカマキはこのタイプ。本人も自覚してはている。が、改める気はない。)とにかく、「こんなことしたら迷惑かな? 」って感情とは別なところにある。
正樹の性格は‥、陰湿だとかは言わないよ。誰かに意地悪しそうな性格‥とかでもない。ただ、今の俺やらアララキと同様、「関心のある人間以外どうでもいい」ってタイプ。皆を幸せに~っていう桜子とは、全然違うタイプ。それ以外の者は、まあ‥言っちゃ悪いけど‥二の次って‥「割り切った」タイプ。これが素質の基盤。それに加え「害する者は、制裁も辞さない」ってあと一歩を踏み切るのに割と躊躇がいらないタイプ。これが、魔法使いの素質。
そう。魔法使いになれる素質と魔法に対する素質ってのは別物だ。
関心のある人間以外どうでもいいっていうタイプで魔法に対する素質はあっても、「害する者には‥」のあと一歩を踏み切るのに躊躇したり‥それどころか、あと一歩に関心すら抱かないタイプは、魔法使いになれる素質が無い。
こういうのは、アレだ。他人の為に、自分の手を汚せるか、自分の怪我やなんかを恐れないかって話なんだ。まあ、勇気があるかないか‥ともいうよね。
魔力が少ない‥。そればっかりはどうしようもできない。
正樹には魔法に対する素質もあるし、魔法使いになれる素質も問題はない。だけど、魔力が少ない。
粘土細工に例えると(‥なんで粘土細工かと言われるだろうが‥とっさにそれくらいの例えしか浮かばなかったんだから仕方が無い)手先が器用だが(魔法の素質)加工技術の向上位は出来よう(魔法使いになれる素質)が、粘土の量がすくなくて、作れるものが限られている‥って感じかなあ。
‥正樹には、目くらまし的なことを教えていこうと思う。
とにかく、敵に会ったら逃げる。桜子と一緒に逃げる。その‥逃げる隙を作るために、目くらましをする。
方向性は決まった。
さて、‥久し振りに桜子の待つ家に‥鳩の姿で帰ったら、フミカが既に鳩の姿で巣の中にいた。
「‥ごめん。大丈夫だったか? 」
って聞いたら、ちょっと驚いた顔をして
「‥サカマキか? 」
って反対に聞き返された。
怒られるかな‥って恐れてたけど‥怒られなかった。責められもしなかった。
驚かれるのは‥ちょっと想定外。
しかも、なんだその質問。たった数日で俺のこと「忘れたことにする」? ‥ヒドイ‥。
‥あ‥そうか、羽の色。
そういえば、俺の羽の色変わってる。白い。
前はもっと黒っぽかったっけ? 黒いっていって‥いや、なんてことはない。「よくいる鳩の色」だ。
神獣の時も真っ白だから、それ寄りになったって感じかな? じゃあフミカは‥ってところだが、フミカは100%神獣じゃないから、だろう。アララキは髪も目も髪も黒いしな。
高位魔法使いの呪いは俺個人にかけられてるものだから、俺の呪いが消えても、フミカに影響はないんだろう。
「変わりは無かったか? 」
あくまで、フミカは、ってつもりで聞いたんだけど
「特にこっちは変化はなかった。魔物もあれから出て来てはおらんようだ。我はそういう気配はよめぬが‥ニュースで出るであろう? あれが出たらな。それに、桜子もカツラギの‥ああ、翔であったか‥の幼稚園の送迎以外家を出ていないようだしな」
一つ頷いて、「この世界の事」を説明してくれた。
‥ああ、そうだな。そっちが先だな。
俺は「そうか」と頷きながら報告を聞き(質問の順番を間違ってたのは‥隠しておく(隠しておきたい)
「ホントに‥悪かった‥。無事でよかった」
改めて謝る。
(見かけ鳩のままの)フミカの表情は分からないが、怒っている様子はない。
鳩の時は、お互いのこころに話しかけるので、嘴は動かない。
時々、翼を動かしたり、首を傾げたりするくらいだ。
でも、もともと表情が乏しく口数も少ないフミカは別にいつもと変わりはない。
フミカは、もう一度深く頷いた俺に頷き返すと、つぶらなひとみで、じっと俺を見た。
「サカマキ。‥カツラギが帰ってきたら会ってやれ。‥心配してた」
「心配? カツラギが? 」
俺は首を傾げた。
まさか、カツラギが心配とか‥ないだろう。
っていう俺のこころの声は、フミカに伝わった様だ。
呆れた様な表情で‥鳩なのにそれと明らかに分かるような呆れた様な表情で‥
「‥お前、カツラギをなんだと思ってるんだ。‥心配すること位あるだろう」
と言った。
「‥あるかなあ‥」
俺はもう一度首を傾げた。
‥だって、「あのカツラギ」だよ?
あの時って、フミカとカツラギで適性検査を受けた時だ。
正樹は、俺が入った桜子を桜子じゃないって見抜いて‥で、乗っ取った‥って言ったんだ。
でも、アララキの部下が「そんな高度な魔法はない」って否定した。
部下たちが正樹に、魔法の事を隠したんじゃない。‥彼らは、知らないんだ。
そんな高度な魔法があるってことを。
‥まあ、あっても「違法」だよね。人の精神を乗っ取るとかって、‥違法だ。
違法な魔法だから俺は、「ない」っていうべきだったんだ。
寧ろ俺こそが隠すべきだったんだ。‥なんで俺、あそこで肯定しちゃったんだろ~。
正式には、精神を乗っ取ったわけではない。
でも、ニュアンス的には間違っては、いない。
正しくは、代わりに操縦してた‥だけど、元の桜子の意識ではなく俺の意思で桜子が動いていたわけだから、とりついてた‥というより、乗っ取り‥なのかなあ。
なんにせよ、印象は悪いわな。
‥そもそもあそこで、俺が「なんで分かった」って言ったのは、「なんで乗っ取ったのが分かったか」、ではなく、「なんで桜子がいつもと違うって分かったか」だ。
桜子が演技してるとか‥ではなく、「様子がおかしい」とか、「桜子は何かを隠し事しているのかも」、とかでもなく「桜子じゃない」って‥。
正樹はなんであんなに自信満々言い切れたのかってこと。
なんでちっとも疑わなかったのかってこと。
‥その前に、きっと小さな違いだっただろうに、何で気付いたのか‥ってこと。
あれだ、ロングヘアからショートカットにしたって位なら気付くだろうけど、後ろ髪を揃えたとか、前髪をきったレベルなら気付かなくて当たり前‥そんなレベルだったはずだ。
‥正樹は、そのレベルを気付く男なのか‥妻の事好き過ぎだろ。見過ぎか。
ストーカ‥いや、そういう言い方、よくないな‥
‥わかるよ。「愛のマジック」って奴でしょ? 素敵ですね、愛されてますね‥
‥そうじゃなくって。
普通、言う? 「乗っ取られた」
多分、正樹には、分かったんだ。いつもの桜子と魂のレベルで‥違うって。
それって、‥普通に分かるってレベルじゃない。素質だ。
サーチの素質。
‥使えるよね。
だって、魔法で変装してても見破れるんだもん。凄い使える。
サーチ‥ってか、解析‥鑑定とかかな。
多分、正樹は魔法の素質がある。
(まあ‥相っ変わらず地味な感じだし、戦闘性はゼロなんだけどね)
あの後すぐ適性検査を受けさせた正樹には、ちょっとだけ‥ほんのちょっとだけ、魔法使いの素質があった。(ここは、想定内だ)でも、期待してた鑑定系の能力は思ったよりも低く、勘がイイのちょっとパワーアップした程度かな‥って感じだった。‥がっかり。
今のところ「妻限定」って感じかな。
訓練しても、妻限定が、知り合いについてももしかしたら分かるかな程度に上がる位だって思うから、‥これは切ろう。
それよりは、少しでも戦闘系を‥と思う。
‥俺にとって想定外だったのが、奴の魔力の量(高そうに見えるんだけどなあ。ちょっと粘着質で神経質で、あとちょっと性格に難があるの)の少なさと‥あと、属性だった。サーチは風の属性だから、風の魔法が使えるだろう‥って思ってたのに、奴に風の属性はほんのちょっとしか無かった。
え?だって‥って眉をひそめてたら、あれは‥ただのはったりだったって正樹がばつが悪そうに‥白状してきた。
‥はったり。天下の高位魔法使い様にはったり‥。
面白い‥。やっぱりただの奴じゃない。
(※面白いが‥やっぱり苦手だ。好きにはなれそうにない。‥アララキじゃないけど)
因みに、俺に対して超塩対応だったのは「あの時失礼なことを言ったから、ちょっと気まずかった」だと。‥そこら辺は、凡人だな。
ああそうそう。‥奴の属性だが‥メインとなってるのは‥なんと、火だった。
意外だ。
冷静だから、水とかかな? って思ったけど、‥まさかの火。
色は見えないけど、やたら高温な火とかあるじゃない。‥きっとあんな感じなんだろう。うわ~陰湿~。
それにしても火か。
‥にしても、魔力が少ないから、そう大技は期待できない。
訓練すれば、バースデーケーキに立てた六本程のロウソクにいっぺんに火をつけられる様になるだろう‥ってレベル。
‥って、付けられるようになってどうする。
‥あんな性格が悪そうで、‥いかにも「何か出来そう」な奴に見えたのに‥見えただけってしょぼすぎる。まあ、魔法使いの素質は問題ないから、きっとすぐにロウソクは付けられるようになるだろう。発動には問題ないが、そうレベルアップは期待できないって感じかあ‥。
医療系の魔法使い以外‥魔法使いってのは、性格がイイ奴ってのは向いてない。
‥憎しみだとか‥恨みだとか‥妬みだとか‥そういう「あいつに意地悪してやろう‥」的な‥マイナスな感情から魔法は生まれる。まあ、そこまでいかなくても「悪戯したら楽しそう」とかでもいい。あとは、‥研究熱心で、魔法にしか興味ないってタイプかな。それも、周りを顧みることなく、研究に没頭できるようなタイプじゃないと大成しない。(←いうまでもなく、サカマキはこのタイプ。本人も自覚してはている。が、改める気はない。)とにかく、「こんなことしたら迷惑かな? 」って感情とは別なところにある。
正樹の性格は‥、陰湿だとかは言わないよ。誰かに意地悪しそうな性格‥とかでもない。ただ、今の俺やらアララキと同様、「関心のある人間以外どうでもいい」ってタイプ。皆を幸せに~っていう桜子とは、全然違うタイプ。それ以外の者は、まあ‥言っちゃ悪いけど‥二の次って‥「割り切った」タイプ。これが素質の基盤。それに加え「害する者は、制裁も辞さない」ってあと一歩を踏み切るのに割と躊躇がいらないタイプ。これが、魔法使いの素質。
そう。魔法使いになれる素質と魔法に対する素質ってのは別物だ。
関心のある人間以外どうでもいいっていうタイプで魔法に対する素質はあっても、「害する者には‥」のあと一歩を踏み切るのに躊躇したり‥それどころか、あと一歩に関心すら抱かないタイプは、魔法使いになれる素質が無い。
こういうのは、アレだ。他人の為に、自分の手を汚せるか、自分の怪我やなんかを恐れないかって話なんだ。まあ、勇気があるかないか‥ともいうよね。
魔力が少ない‥。そればっかりはどうしようもできない。
正樹には魔法に対する素質もあるし、魔法使いになれる素質も問題はない。だけど、魔力が少ない。
粘土細工に例えると(‥なんで粘土細工かと言われるだろうが‥とっさにそれくらいの例えしか浮かばなかったんだから仕方が無い)手先が器用だが(魔法の素質)加工技術の向上位は出来よう(魔法使いになれる素質)が、粘土の量がすくなくて、作れるものが限られている‥って感じかなあ。
‥正樹には、目くらまし的なことを教えていこうと思う。
とにかく、敵に会ったら逃げる。桜子と一緒に逃げる。その‥逃げる隙を作るために、目くらましをする。
方向性は決まった。
さて、‥久し振りに桜子の待つ家に‥鳩の姿で帰ったら、フミカが既に鳩の姿で巣の中にいた。
「‥ごめん。大丈夫だったか? 」
って聞いたら、ちょっと驚いた顔をして
「‥サカマキか? 」
って反対に聞き返された。
怒られるかな‥って恐れてたけど‥怒られなかった。責められもしなかった。
驚かれるのは‥ちょっと想定外。
しかも、なんだその質問。たった数日で俺のこと「忘れたことにする」? ‥ヒドイ‥。
‥あ‥そうか、羽の色。
そういえば、俺の羽の色変わってる。白い。
前はもっと黒っぽかったっけ? 黒いっていって‥いや、なんてことはない。「よくいる鳩の色」だ。
神獣の時も真っ白だから、それ寄りになったって感じかな? じゃあフミカは‥ってところだが、フミカは100%神獣じゃないから、だろう。アララキは髪も目も髪も黒いしな。
高位魔法使いの呪いは俺個人にかけられてるものだから、俺の呪いが消えても、フミカに影響はないんだろう。
「変わりは無かったか? 」
あくまで、フミカは、ってつもりで聞いたんだけど
「特にこっちは変化はなかった。魔物もあれから出て来てはおらんようだ。我はそういう気配はよめぬが‥ニュースで出るであろう? あれが出たらな。それに、桜子もカツラギの‥ああ、翔であったか‥の幼稚園の送迎以外家を出ていないようだしな」
一つ頷いて、「この世界の事」を説明してくれた。
‥ああ、そうだな。そっちが先だな。
俺は「そうか」と頷きながら報告を聞き(質問の順番を間違ってたのは‥隠しておく(隠しておきたい)
「ホントに‥悪かった‥。無事でよかった」
改めて謝る。
(見かけ鳩のままの)フミカの表情は分からないが、怒っている様子はない。
鳩の時は、お互いのこころに話しかけるので、嘴は動かない。
時々、翼を動かしたり、首を傾げたりするくらいだ。
でも、もともと表情が乏しく口数も少ないフミカは別にいつもと変わりはない。
フミカは、もう一度深く頷いた俺に頷き返すと、つぶらなひとみで、じっと俺を見た。
「サカマキ。‥カツラギが帰ってきたら会ってやれ。‥心配してた」
「心配? カツラギが? 」
俺は首を傾げた。
まさか、カツラギが心配とか‥ないだろう。
っていう俺のこころの声は、フミカに伝わった様だ。
呆れた様な表情で‥鳩なのにそれと明らかに分かるような呆れた様な表情で‥
「‥お前、カツラギをなんだと思ってるんだ。‥心配すること位あるだろう」
と言った。
「‥あるかなあ‥」
俺はもう一度首を傾げた。
‥だって、「あのカツラギ」だよ?
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