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三章 高遠 桜子
16.造反前夜~ 私たちの世界と「アダムとイブ」
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サカマキを愛するアララキを見た彼らは、アララキを奇異なものであると感じ、そして、同時に‥自分の愚かさに気付いた。
サカマキは、‥自分たちの為に戦っているのだ‥それなのに‥。
今まで、気付きも‥考えもしなかったことに気付いた。そして、恥じた。
まるで、アダムとイブだ。
リンゴを食べたアダムとイブは、自分たちが裸であることに気付いて、それを恥じた。
裸は恥ずかしいという感情がなければ、見えていようと、何の問題はなかった。自分たちは裸であるという事実。そして、裸は恥ずかしいという感情。それらは元からあった事実であったが、アダムとイブは、自分たちが裸であるとことを知らなかった故に、裸でいることが恥ずかしくなかった。
リンゴを食べる前は、「気付かなかった」。
そして
リンゴを食べたから知った。
リンゴとされているその実は善悪と知恵の実と呼ばれている。
神様は、裸であることを恥じる二人をみて、「食べたね」ってわかったって話。
食べてはいけないよ。っていうんだったら、目につくところに置かなければいいのにって思った。
目に付かないところに隠しておけばいいのに‥って。
神なのだから、例えフラットで隠しようのない世界だとしても、どうでも「しよう」はあっただろう。
だけど、神はそれをしなかった。‥出来なかった? 。それとも、人を試そうとしておられたのだろうか?
そして、何故、神が創りたもうたアダムとイブでさえ知らなかった知恵の実の真実を蛇は知っていたのか。先に食ってたのか? ‥否、蛇は「悪の化身」って書かれてるところを見ると、多分善悪の判断はついてない。だから、善悪の区別がつくようになる「知恵の実」は食べていない。ただ、「これは悪いことだろうから、やろう」って奴だ。‥愉快犯って奴か?
役者は三人と1アイテム。
総てを創り、隠しておきたい想像主たる神。これは、そのまま神だ。
善悪と知恵の実(1アイテム)
蛇
リンゴを食べて、気付いちゃったアダムとイブ。(これが、今の国民)
アララキは‥リンゴだったんだろうか。‥蛇だったんだろうか。
国民に「悪いこと」だということを自覚させたのは、アララキだ。では、アララキはリンゴの役目だったのだろうか。
だけど、リンゴは食べさせられないと、その効力を発揮しない。そして、リンゴは元からそこにあった。
リンゴは‥「サカマキを嫌うのは良くないことだ」という‥周知の事実。だけど、それを知らなければ、誰もそうと自覚すらしなかったもの‥。
そして、それを食べさせたのは‥蛇。
人々は、リンゴを食べ、サカマキを嫌う自分たちを恥じた。そして、それを教えたのは‥アララキ
‥アララキは、蛇だ。
神からすれば、「いらんことしたな! 」って思ったろう。
だけど、そもそもそんな「神の意に沿わないような不穏分子」が神の庭にいたんだろうか? 神の庭には、神が作ったもの‥神の意に沿うもの‥しかいなかったんじゃないのか?
蛇は、‥神に対して反逆心を抱くようになった天使だって書いてあった。
元々、神に仕えて、神に最も愛されていたのは天使だったのに、神は人間を作り、その人間を最も愛を注ぐようになったから、それに嫉妬して、嫉妬は後に反逆心にかわった、と。
アララキが神に恋焦がれ、そしてそれが叶わず嫉妬して、反逆心を抱いた‥とは思わない。
よほど強い意思を持っているということはわかるし、それ故、ただの人間ではない‥ということもわかる。
そして、桜子たち「サカマキを嫌悪しない地球人」‥。
‥Happy nationにおける「Perfect man」は‥たぶん、そんなに大したものではない。多分、何らかの手違いにより、異世界(地球)から紛れ込んできた人間だ。
魔物がいない地球だから、魔物を連想させるという理由で高位魔法使いを嫌うという習慣はない。よって、地球人は高位魔法使いを嫌わない。「そんなあたりまえのこと」が、昔のHappy nationの民にとっては、今以上に「特別なこと」だったのだろう。
人々はその特別な人を、崇め、崇拝した。Perfect man信仰である。
それは、宗教などの神とは違う。地球で言うところの「マジリスペクトできる偉人」って感じだな。
神は、人々のPerfect man信仰を利用することを考えた。
アララキは、特別な人間だからできるんだ。‥皆がアララキのようにできないのは当たり前で、それどころか、アララキのようなことはそうできるものではない。
と、人々の考えを反省から、「アララキに対する崇拝」に変えさせたのだ。
Happy nationの民は、もともと、ストイックだし、真面目だから、なんかを考えるってことが苦じゃないんだ。だから、方向転換をさせなかったら、「なぜ自分たちは自分たちを守ってくれている高位魔法使いを嫌っているのか」について寝食を忘れて考え込んだだろうし、結果「いや、悩んでいないで、行動に移さねばならない。私たちが変えていかないといけない」と意識改革すら起こしかねなかった。
それは、いい傾向ではない。
それに、アララキを消したところで、一度気付いてしまった民は変わらない。‥ならば、サカマキというアララキのお気に入りの玩具ともども、アララキを残しておいた方がよっぽど「まし」だ。アララキなら、サカマキだけだ。‥万人を愛し、総ての差別を糾弾したりなんかしない。もし、そういう「正しい」人間だったら、「全ての高位魔法使いの処遇」についての改革を推進し、国民に対しては意識改革を推進しただろうが、アララキにはそんな心配なんてない。
‥神そのものの在り方を否定したりしない。(どうでもいいからね)
だから、アララキはこの世界に残る必要があった。
いらないのは‥役目を終えたサカマキだ。
そして、‥アララキには、「サカマキの使命(運命)」の邪魔をすることができないと‥プログラミングされている。
人は何人たりとも神にはなれないし、それに準ずる行為もすべきではない。
蛇は、それに反し、神に反逆し、神に愛想を尽かされた。
アララキは、神によって新たな役目を与えられ、愛しても愛を返されることのない地獄を生きることになった‥。
だけど、アララキにとって、それで充分ではなかったが、不満ではなかったんだ。
‥サカマキがいたから。
だけど、神はそんなアララキからサカマキを‥。
アララキは、絶望して、きっと死を選ぶ。
自分が手を掛けないでも、邪魔な者が自分から命を断つ。それも、自殺という、Happy nationではもっとも忌諱される方法で‥。
でも、ここに神が気付かなかった誤算があった。
今回の(神にとっての)反逆者は、一人‥知恵の実の真実を知らせたアララキ‥だけじゃなかったってことだ。
サカマキを庇った私たち。
そして、死ぬはずだった私たちを生き返らせようと、世界のタブーに手を出そうとしているサカマキ。
‥「反魂」は神に対する冒涜行為で、神の世界に対する最も重い造反行為だ。
そして、それを実行しようとしているのが、彼の道具である‥サカマキだ。
今まで、その神に呪われながら、だけど、それを不服とせず、万人に蔑まれ、だが、神の都合の為だけに生き、そしてそのことを不服ともしてこなかった男が、だ。
「カツラギ。フミカ‥会えるのを楽しみにしている」
運命は、確実に変わりつつある。
神の望まぬ方に‥神の予測のつかない方向に‥。
神が認知しているところで、神が手出しできないところで、‥神への謀反が始まろうとしている。
サカマキは、‥自分たちの為に戦っているのだ‥それなのに‥。
今まで、気付きも‥考えもしなかったことに気付いた。そして、恥じた。
まるで、アダムとイブだ。
リンゴを食べたアダムとイブは、自分たちが裸であることに気付いて、それを恥じた。
裸は恥ずかしいという感情がなければ、見えていようと、何の問題はなかった。自分たちは裸であるという事実。そして、裸は恥ずかしいという感情。それらは元からあった事実であったが、アダムとイブは、自分たちが裸であるとことを知らなかった故に、裸でいることが恥ずかしくなかった。
リンゴを食べる前は、「気付かなかった」。
そして
リンゴを食べたから知った。
リンゴとされているその実は善悪と知恵の実と呼ばれている。
神様は、裸であることを恥じる二人をみて、「食べたね」ってわかったって話。
食べてはいけないよ。っていうんだったら、目につくところに置かなければいいのにって思った。
目に付かないところに隠しておけばいいのに‥って。
神なのだから、例えフラットで隠しようのない世界だとしても、どうでも「しよう」はあっただろう。
だけど、神はそれをしなかった。‥出来なかった? 。それとも、人を試そうとしておられたのだろうか?
そして、何故、神が創りたもうたアダムとイブでさえ知らなかった知恵の実の真実を蛇は知っていたのか。先に食ってたのか? ‥否、蛇は「悪の化身」って書かれてるところを見ると、多分善悪の判断はついてない。だから、善悪の区別がつくようになる「知恵の実」は食べていない。ただ、「これは悪いことだろうから、やろう」って奴だ。‥愉快犯って奴か?
役者は三人と1アイテム。
総てを創り、隠しておきたい想像主たる神。これは、そのまま神だ。
善悪と知恵の実(1アイテム)
蛇
リンゴを食べて、気付いちゃったアダムとイブ。(これが、今の国民)
アララキは‥リンゴだったんだろうか。‥蛇だったんだろうか。
国民に「悪いこと」だということを自覚させたのは、アララキだ。では、アララキはリンゴの役目だったのだろうか。
だけど、リンゴは食べさせられないと、その効力を発揮しない。そして、リンゴは元からそこにあった。
リンゴは‥「サカマキを嫌うのは良くないことだ」という‥周知の事実。だけど、それを知らなければ、誰もそうと自覚すらしなかったもの‥。
そして、それを食べさせたのは‥蛇。
人々は、リンゴを食べ、サカマキを嫌う自分たちを恥じた。そして、それを教えたのは‥アララキ
‥アララキは、蛇だ。
神からすれば、「いらんことしたな! 」って思ったろう。
だけど、そもそもそんな「神の意に沿わないような不穏分子」が神の庭にいたんだろうか? 神の庭には、神が作ったもの‥神の意に沿うもの‥しかいなかったんじゃないのか?
蛇は、‥神に対して反逆心を抱くようになった天使だって書いてあった。
元々、神に仕えて、神に最も愛されていたのは天使だったのに、神は人間を作り、その人間を最も愛を注ぐようになったから、それに嫉妬して、嫉妬は後に反逆心にかわった、と。
アララキが神に恋焦がれ、そしてそれが叶わず嫉妬して、反逆心を抱いた‥とは思わない。
よほど強い意思を持っているということはわかるし、それ故、ただの人間ではない‥ということもわかる。
そして、桜子たち「サカマキを嫌悪しない地球人」‥。
‥Happy nationにおける「Perfect man」は‥たぶん、そんなに大したものではない。多分、何らかの手違いにより、異世界(地球)から紛れ込んできた人間だ。
魔物がいない地球だから、魔物を連想させるという理由で高位魔法使いを嫌うという習慣はない。よって、地球人は高位魔法使いを嫌わない。「そんなあたりまえのこと」が、昔のHappy nationの民にとっては、今以上に「特別なこと」だったのだろう。
人々はその特別な人を、崇め、崇拝した。Perfect man信仰である。
それは、宗教などの神とは違う。地球で言うところの「マジリスペクトできる偉人」って感じだな。
神は、人々のPerfect man信仰を利用することを考えた。
アララキは、特別な人間だからできるんだ。‥皆がアララキのようにできないのは当たり前で、それどころか、アララキのようなことはそうできるものではない。
と、人々の考えを反省から、「アララキに対する崇拝」に変えさせたのだ。
Happy nationの民は、もともと、ストイックだし、真面目だから、なんかを考えるってことが苦じゃないんだ。だから、方向転換をさせなかったら、「なぜ自分たちは自分たちを守ってくれている高位魔法使いを嫌っているのか」について寝食を忘れて考え込んだだろうし、結果「いや、悩んでいないで、行動に移さねばならない。私たちが変えていかないといけない」と意識改革すら起こしかねなかった。
それは、いい傾向ではない。
それに、アララキを消したところで、一度気付いてしまった民は変わらない。‥ならば、サカマキというアララキのお気に入りの玩具ともども、アララキを残しておいた方がよっぽど「まし」だ。アララキなら、サカマキだけだ。‥万人を愛し、総ての差別を糾弾したりなんかしない。もし、そういう「正しい」人間だったら、「全ての高位魔法使いの処遇」についての改革を推進し、国民に対しては意識改革を推進しただろうが、アララキにはそんな心配なんてない。
‥神そのものの在り方を否定したりしない。(どうでもいいからね)
だから、アララキはこの世界に残る必要があった。
いらないのは‥役目を終えたサカマキだ。
そして、‥アララキには、「サカマキの使命(運命)」の邪魔をすることができないと‥プログラミングされている。
人は何人たりとも神にはなれないし、それに準ずる行為もすべきではない。
蛇は、それに反し、神に反逆し、神に愛想を尽かされた。
アララキは、神によって新たな役目を与えられ、愛しても愛を返されることのない地獄を生きることになった‥。
だけど、アララキにとって、それで充分ではなかったが、不満ではなかったんだ。
‥サカマキがいたから。
だけど、神はそんなアララキからサカマキを‥。
アララキは、絶望して、きっと死を選ぶ。
自分が手を掛けないでも、邪魔な者が自分から命を断つ。それも、自殺という、Happy nationではもっとも忌諱される方法で‥。
でも、ここに神が気付かなかった誤算があった。
今回の(神にとっての)反逆者は、一人‥知恵の実の真実を知らせたアララキ‥だけじゃなかったってことだ。
サカマキを庇った私たち。
そして、死ぬはずだった私たちを生き返らせようと、世界のタブーに手を出そうとしているサカマキ。
‥「反魂」は神に対する冒涜行為で、神の世界に対する最も重い造反行為だ。
そして、それを実行しようとしているのが、彼の道具である‥サカマキだ。
今まで、その神に呪われながら、だけど、それを不服とせず、万人に蔑まれ、だが、神の都合の為だけに生き、そしてそのことを不服ともしてこなかった男が、だ。
「カツラギ。フミカ‥会えるのを楽しみにしている」
運命は、確実に変わりつつある。
神の望まぬ方に‥神の予測のつかない方向に‥。
神が認知しているところで、神が手出しできないところで、‥神への謀反が始まろうとしている。
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