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三章 高遠 桜子
3.日常生活を覗いてみたんデス
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‥日記ってこんなのだっけ‥?
ちょっと頭痛を感じながら、大学ノートを閉じる。
自分の夏休みの宿題に出た日記を思い出す。
特に書くこともないのに、無理矢理頭を捻って、「宿題をした」「図書館に行った」「母親の買い物に付いて行った」‥って書く程度だ。毎日書くって、意味が分からん。毎日なんかイベントがある奴って‥どんなアクティブなやつなんだ‥って良く思ったもんだ。
でも、まあ世の中には日記を書く人っていうのは、少数ではなくいる。交換日記なるものも、ある。そういえば、小学の頃‥私はしなかったが、クラスでしている子がいたのは記憶している。(見せてもらったら、気になるなんちゃら君が今日もカッコよかったという様な事が書かれていて「口で言え」と思ったことを思い出す)
‥彼女たちにとって書くことに、‥内容は関係はなく‥書くことに意味があったのかも知らん。
友達だよね? って確認がしたかったのかもしれない。お揃いだとか、そういう形になったものって、なんか安心する‥のかもしれない。そういえば、私も持ってた。あれ、どこやっただろ。お揃いで買ったノート。美佳ちゃんはまだ持ってるかな。
まあ‥それは今はいい。関係ない。
‥つまり私が言いたいことは、日記というものは、それ程『どうでもいいこと』を書くものだって話だ。
‥自分の心の内を書いているわけじゃないから、仕方がないんだろう。じゃあ、これはもはや日記ではないのではなかろうか? ‥だから、業務日報。そして、引継ぎ資料。‥間違い、ない。
サカマキさんっていう人の「人となり」も分かって来た。
まず、真面目。これは、何となくはじめっから分かってた。そもそも、真面目そうな人だって思わなかったら、自分の身体を預けようなんて思わなかった。いくら、非常事態だったとしても、だ。誠実そう‥も同様の理由だな。
あと、これが一番の決め手だったんだけど、サカマキさんは、性的な雰囲気がないの。女の人みたいに綺麗だけど、女性らしい柔らかさとか、包容力とか皆無だし、反対の「男らしさ」とかそういうのもない。変な言い方、ふわふわもなよなよもギラギラもない。‥美形にありがちな、キラキラも、ない。
そういう、‥無機質感。
私がつい初対面で
「神様? 」
って聞いちゃった理由ね。私、結構野生の勘があるんだ。これ自慢。結構大事だと思う。特に私みたいな「特に特技もない普通の子」には。
そう、‥特に特技もない普通の子、だった。
‥サカマキさんが「私の期待に添えるように」って頑張り過ぎちゃう必要なんて‥何処にもないような、ね。
私の為‥。
サカマキさんは、スペシャル凄い人だった。
自分の事の努力じゃない‥。「私という人間」に想いを馳せながら‥想像しながら‥? 私の利益になる様に好成績取ったり努力したり‥。高校なんて、県内トップの公立高校に通ってる‥(しかも、通学20分の近さ)。私だったら絶対に出来ないことだ。私があと何十年生きようともこんなアクティブな生活は‥送らないだろう。
(サカマキさんが入ったまま)‥このまま放っておいたら、渡米してハーバード大学とかマサチューセッツ工科大学とか行って、博士号取って学者になってノーベル賞とか取りそうだ。(←ボヤん‥とした感じ。桜子的に『ウルトラ凄い将来設計』ならしい。‥いっても、中身小学生のままだし。‥別にそれを目標にしている、とかではない)
‥責任もって、死ぬまで「私」をやってほしいっていいたくなるが、‥そういうわけにはいかないだろう。
そもそも、誰の人生だ。
そんなわけにいかないという前に、‥嫌だ。
そうそう。‥凄いけど、‥これ、誰の人生だ?? 将来の自分のビジョンってのが全然見えてこない。
サカマキさんは、私の「勉強していい成績取ってね」を真面目に‥真面目過ぎる程に‥実践して、今までこうやって頑張ってくれてたんだ。でも、それだけだ。‥これって、流されただけだよね?? 母さんとかが調子に乗って「これもやってみれば」「あれは? 」って言ったやつを全部器用にこなしただけだよね?? それで周りも更に調子に乗っちゃって‥。なんか、資格のオンパレードみたいになってる。でも、これ絶対なんの計画性もないよね??
皆で私の人生をおもちゃにしてはいまいか?
私の人生だのに。
‥そう。私の人生なのだ。
これ以上、皆に好き勝手されて、‥サカマキさんが流されるままにしているわけにはいかない。
きっと、サカマキさんは私の両親に遠慮して、(私の両親が)言うんだったら‥って感じでやってる。‥これ以上サカマキさんに迷惑をかけるわけにはいかない。
今はまだ、そんなに意識が持つ時間は少ないけど、でも出来るだけ早くサカマキさんと変わろう。
‥高校は、絶対授業についていけないだろうし、最悪中退しよう。
そこから、また自分の人生を探っていこう。
せっかくサカマキさんに助けてもらった命だ。
投げ出すことなく、堅実に生きていこう。
ホントにサカマキさんは神様だ。綺麗可愛いだけじゃなくって、‥スペシャル前向きで頑張り屋で、‥最高じゃないか。あの人と会えたことをこれからの人生の一番の宝物にしよう。
‥恩返しは出来ないけど、私頑張るからね!!。
さて、‥頑張ると決めた私は次の日から、さっそく『私の目』を通して、サカマキさんの生活っぷりを見せてもらうことにした。
いつもは、サカマキさんの作り出した精神世界って感じのところにいるんだけど、今は、サカマキさんの後ろで、サカマキさんと同じ景色を見てるんだよ。まだ、ガッツリ自分で自分を動かす‥っていうか‥自分に戻る自信はないんだけどね。‥多分、まだ2時間位しか連続して起きてられないし。
‥これでも随分長い時間起きてられるようになったんだよ?
私の目を通して‥飛び込んできたのは、見覚えなんかまったくない「教室の日常風景」だった。
当たり前だけど、皆大きい。高校生のお兄さんとお姉さん‥。なんかちょっと、怖いです。
サカマキさんはその中で、慣れた感じで友達とおしゃべりしている。今は、多分休み時間なんだろう。サカマキさんをいれて、三人。いつもの四人組じゃないことに、ちょっと寂しさと違和感を覚えた。
さて、この頃の『桜子』の仲良しと言えば‥。
「桜子、貴女進路どうしますの? 大学進学するんでしょ? どこの学校を狙ってますの? 」
おお、これは恵子か! ‥リアル恵子。「お話」の登場人物をガチで見るとか、‥面白すぎるわ。当たり前だけど、サカマキさんの日記に恵子の容姿は出てこないから、読んでるうちに、恵子像が『悪役令嬢』みたいになってたけど、‥実際に見たら勿論そんなんじゃなかった。ドレスとか着てなかった。目とかも髪とかも、普通に、黒目で黒髪だ。
‥まあそうだわな。
「ああ、恵子。おはよ~」
サカマキさんが私の顔で微笑んで、気さくに挨拶。
おお、高校生っぽい(当たり前か‥)。
で、高校生な『桜子たち』は‥朝から進路の話だ! いいね~! 大人って感じだね~!
改めて恵子を見る。そういえば、こんなにしみじみ見たことなんてなかったな~。(私が私だった時は、恵子は友達っていえるほどのものじゃなかった。意地悪そうって思ってたし。しゃべり方がきついよね、そもそも)あと、見た目‥。
恵子は相変わらず、吊り目がちで意地悪そうな顔してる(ここはちょっと悪役令嬢っぽい)。それ以外は、髪の毛が伸びた位かな? (縦巻きロールじゃないよ! )あんまり変わってない。身長は伸びたけど、胸はぺったんこのままだね! それは私もだから、親近感持てるね!
私よ‥、見事にぺったんこのままだったか‥。大きくなったら勝手にそれなりになるって思ってたのに‥。思ってたのにぃ‥っ! (大事なことだから二度言いました)母さんも慎ましいから‥遺伝か?!
‥どうでもいい。当時は中学生だったのに既にグラマーだった従兄弟の姉ちゃんは「邪魔! 桜子がうらやましい! 絶対ない方がいい! 」っていってたもんね‥。羨ましがられるスリムボディなんだもんね‥。(悔しくなんかないぞ‥っ! )
さて‥そんなことはどうでもいい、ってことで‥。
先ずは、現状の確認だ。恵子と「私」はホントに、県内トップの公立高校の同級生らしい(ホント信じられないよ‥。たった五年で、なんだか浦島太郎みたいだね‥)。あ、美佳ちゃんも一緒。まだ来てないみたいだけど。小学校の頃に仲良しだった他の二人は‥別な様だ(これは日報によりリサーチ済み)。この校区は結構学校があって選択肢が多いから、中学校から同じって子は、結構少ないみたい。この学校で、中学からの同級生は、あとは‥牧野君って男の子と、中本君って眼鏡君。牧野君は、見たことある。‥勿論小学校の時だけど。女の子みたいに可愛い子だった。日報には出てこなかったから、サカマキさんな桜子との接点は、ない‥のかな? 数少ない、『同じ中学出身者』として、交流位はかってほしいものだ。‥学校やめる前に挨拶位はしよう(←やめることは決定事項らしい)
さて、そのあこがれの県内トップ校。
きっと中学生の恵子は
「最高ランクの高校しか行きたくないですわ! 」
って言ったに違いない。(※正解)
で、美佳ちゃんは
「遠いのは嫌‥」
ってとこかな。美佳ちゃんは朝早く起きるのが苦手だから。(※これも正解)
‥美佳ちゃん‥成績良かったんだ。‥でも、美佳ちゃんなら朝遅くまで眠れるここに通う為に猛勉強したって聞いても驚かないかも‥。美佳ちゃん、ぶれないね。
で、そんな賢い人たちの集まりだけど‥話題は、でもアイドルとかの話をしてる子もいる。‥皆真面目な話しかしないんだと思ってた。勝手に。
だけど、(普段は知らないけど)私たちは、朝から、進路っていう‥結構真面目な話をしていた。
桜子がどこの大学を第一志望にしているか‥。
ふむふむ。これは、偵察ね。恵子なら大学もいい学校狙ってそうだもんね。で、成績がいい仲間(笑)の桜子(つまり私)が気になる、と。
ん~。大学。そもそも自分がどういう学力か見てないからまだよくわからないなあ~。(自分の事だけど)なんかすっごいサカマキさん頑張ってくれちゃってるから‥ちょっと心配‥? すっごい大学とかが志望校って言われても、「私は」無理ですよ~。
‥でも、聞くだけなら聞いてみたい‥否、言うだけなら言ってみたいかも。
「東大、かな。慶応もいいかな~」
‥くう~! 頭良さそ~!
が、そのサカマキさんは、首をこてって傾げると、
「え~? 大学‥大学ねえ。大学行って何するってのが‥よくわかんないんだよねえ。‥夢はあるんだけど」
ってにっこり笑った。
‥え? サカマキさんそうなの?
「夢? 」
「おはよ~」って眠そうな目をこすりながら席に着き、首を傾げて私(サカマキさんin)の方を向いた可愛い子、あ‥この子もしかして‥。
‥美佳ちゃん。
大人っぽくなった。
ちょっと感激‥。久し振りに会えた親友に嬉しさ懐かしさMAXですよ!
「うん」
サカマキさんが頷く。って、顔は私なんだけど。
‥そうそう、夢ね。何なんだ? 私の夢。(←変な話)
「なあに、何の話~? 桜子の夢って? 」
恵子も興味津々って顔してる。
「ワタシの夢はね! お嫁さんかなあ~☆ 子供は、男の子と女の子の二人」
がたた‥つ。
わあ、‥つい、昭和なコケ方しちゃたわ!
しかも‥
「何~その、昭和な将来の夢。あははは」
それそれ! さすが美佳ちゃん!
昭和! 私も思いました、昭和! さっき私も昭和なコケ方しちゃったしね!
「ははは! 」
三人で大笑いしてる。
で、美佳ちゃんが冗談っぽい口調で
「結婚はいつ頃のご予定ですか? 」
なんて『インタビュー』すると
「そうですねえ。なるべく早く、ですね」
って、すました顔のサカマキさんが言う。(顔は私)
以下、インタビューアーは美佳ちゃん。答えるのはサカマキさんin私です。
「結婚相手の条件は? 」
「ええと、優しくって~、あんまり身長が大きくなくって~、草食系。ココが一番大事。草食系」
「何それ~」
「なにそれ。何言ってますの」
ここで恵子参戦。そうか‥ここで食いつくのか‥。
「見た目重視って‥しかも、全然頼りがいなさそうじゃない。それ」
「だって、怖いじゃない。マッチョとか、ホント、無理だよ。恵子は逆に、マッチョ大丈夫なの? 」
‥いや、確かに私もダメだけど。‥ってか、男のサカマキさんが「好みのタイプの男」とかいったらちょっと‥だいぶ変‥なんだけど‥(汗)
「包容力があるって感じするじゃない? しかも、逞しいひとって熊さんみたいでなんか可愛い~て感じじゃない~? 」
と、美佳ちゃん。
「‥まあ見た目は‥いいわ。好みの問題ですから。でも、大事なのは、性格ではなくて? 」
これは、恵子。
「いらない、包容力イラナイ。圧迫感しか感じない。可愛いのがいい。ガチマッチョは絶対、嫌。そいつはきっと性格もマッチョ。これ、絶対。(←偏見)絶対、無理。ふわ~と、にこ~と。癒し系? の草食系。羊かウサギかって感じの人がいい。性格は「優しいのがいい」って言ったじゃん。あ、あと、馬鹿はいやだ」
「‥難しくないようで難しい注文ね」
「難しいかな? 」
「あ、あと‥健康であること。タバコとかもダメだし‥。出来ればお酒もあんまり飲まない方がいい」
健康って、魂が。
大魔法を使わなければいけないんだ。‥体力はある方がいいんだろうけど‥マッチョとかホンっと俺が無理だから、まあ、そこは魔法で何とかする方法を考えるとして‥、そもそも、魔法を頭っから否定してかかる頭でっかちは‥そういえば、ダメだな。
催眠術だって、かかりやすい掛かりにくいがあるよね、同じように魔法が掛かりにくい人間もいるんだ。簡単な魔法だと‥「ちちんぷいぷい」の治療術。あれ「かかるか」って舐めてかかってるような奴には効かない。そういうこと。
ふむふむ。
ってサカマキさんな私が小さく何度か頷く。
「とにかく、なるべく早く結婚したい! で、子供産みたい! 」
‥何言ってるんだ~!! 私~!! ってか、サカマキさん~!!
うわあああああああ
は!!!
‥殴ってしまった。
サカマキさんを力いっぱい殴ってしまった。
☆‥眩し~! ☆☆‥
「ありゃ」
‥これ、私の手だ。
透けてない。
「桜子? どうしましたの? 」
「どうしたの? 何かあった? 」
ひゃあ!
恵子、美佳ちゃんが近い!!
これは‥‥。
私が私になってしまった‥。
ちょっと頭痛を感じながら、大学ノートを閉じる。
自分の夏休みの宿題に出た日記を思い出す。
特に書くこともないのに、無理矢理頭を捻って、「宿題をした」「図書館に行った」「母親の買い物に付いて行った」‥って書く程度だ。毎日書くって、意味が分からん。毎日なんかイベントがある奴って‥どんなアクティブなやつなんだ‥って良く思ったもんだ。
でも、まあ世の中には日記を書く人っていうのは、少数ではなくいる。交換日記なるものも、ある。そういえば、小学の頃‥私はしなかったが、クラスでしている子がいたのは記憶している。(見せてもらったら、気になるなんちゃら君が今日もカッコよかったという様な事が書かれていて「口で言え」と思ったことを思い出す)
‥彼女たちにとって書くことに、‥内容は関係はなく‥書くことに意味があったのかも知らん。
友達だよね? って確認がしたかったのかもしれない。お揃いだとか、そういう形になったものって、なんか安心する‥のかもしれない。そういえば、私も持ってた。あれ、どこやっただろ。お揃いで買ったノート。美佳ちゃんはまだ持ってるかな。
まあ‥それは今はいい。関係ない。
‥つまり私が言いたいことは、日記というものは、それ程『どうでもいいこと』を書くものだって話だ。
‥自分の心の内を書いているわけじゃないから、仕方がないんだろう。じゃあ、これはもはや日記ではないのではなかろうか? ‥だから、業務日報。そして、引継ぎ資料。‥間違い、ない。
サカマキさんっていう人の「人となり」も分かって来た。
まず、真面目。これは、何となくはじめっから分かってた。そもそも、真面目そうな人だって思わなかったら、自分の身体を預けようなんて思わなかった。いくら、非常事態だったとしても、だ。誠実そう‥も同様の理由だな。
あと、これが一番の決め手だったんだけど、サカマキさんは、性的な雰囲気がないの。女の人みたいに綺麗だけど、女性らしい柔らかさとか、包容力とか皆無だし、反対の「男らしさ」とかそういうのもない。変な言い方、ふわふわもなよなよもギラギラもない。‥美形にありがちな、キラキラも、ない。
そういう、‥無機質感。
私がつい初対面で
「神様? 」
って聞いちゃった理由ね。私、結構野生の勘があるんだ。これ自慢。結構大事だと思う。特に私みたいな「特に特技もない普通の子」には。
そう、‥特に特技もない普通の子、だった。
‥サカマキさんが「私の期待に添えるように」って頑張り過ぎちゃう必要なんて‥何処にもないような、ね。
私の為‥。
サカマキさんは、スペシャル凄い人だった。
自分の事の努力じゃない‥。「私という人間」に想いを馳せながら‥想像しながら‥? 私の利益になる様に好成績取ったり努力したり‥。高校なんて、県内トップの公立高校に通ってる‥(しかも、通学20分の近さ)。私だったら絶対に出来ないことだ。私があと何十年生きようともこんなアクティブな生活は‥送らないだろう。
(サカマキさんが入ったまま)‥このまま放っておいたら、渡米してハーバード大学とかマサチューセッツ工科大学とか行って、博士号取って学者になってノーベル賞とか取りそうだ。(←ボヤん‥とした感じ。桜子的に『ウルトラ凄い将来設計』ならしい。‥いっても、中身小学生のままだし。‥別にそれを目標にしている、とかではない)
‥責任もって、死ぬまで「私」をやってほしいっていいたくなるが、‥そういうわけにはいかないだろう。
そもそも、誰の人生だ。
そんなわけにいかないという前に、‥嫌だ。
そうそう。‥凄いけど、‥これ、誰の人生だ?? 将来の自分のビジョンってのが全然見えてこない。
サカマキさんは、私の「勉強していい成績取ってね」を真面目に‥真面目過ぎる程に‥実践して、今までこうやって頑張ってくれてたんだ。でも、それだけだ。‥これって、流されただけだよね?? 母さんとかが調子に乗って「これもやってみれば」「あれは? 」って言ったやつを全部器用にこなしただけだよね?? それで周りも更に調子に乗っちゃって‥。なんか、資格のオンパレードみたいになってる。でも、これ絶対なんの計画性もないよね??
皆で私の人生をおもちゃにしてはいまいか?
私の人生だのに。
‥そう。私の人生なのだ。
これ以上、皆に好き勝手されて、‥サカマキさんが流されるままにしているわけにはいかない。
きっと、サカマキさんは私の両親に遠慮して、(私の両親が)言うんだったら‥って感じでやってる。‥これ以上サカマキさんに迷惑をかけるわけにはいかない。
今はまだ、そんなに意識が持つ時間は少ないけど、でも出来るだけ早くサカマキさんと変わろう。
‥高校は、絶対授業についていけないだろうし、最悪中退しよう。
そこから、また自分の人生を探っていこう。
せっかくサカマキさんに助けてもらった命だ。
投げ出すことなく、堅実に生きていこう。
ホントにサカマキさんは神様だ。綺麗可愛いだけじゃなくって、‥スペシャル前向きで頑張り屋で、‥最高じゃないか。あの人と会えたことをこれからの人生の一番の宝物にしよう。
‥恩返しは出来ないけど、私頑張るからね!!。
さて、‥頑張ると決めた私は次の日から、さっそく『私の目』を通して、サカマキさんの生活っぷりを見せてもらうことにした。
いつもは、サカマキさんの作り出した精神世界って感じのところにいるんだけど、今は、サカマキさんの後ろで、サカマキさんと同じ景色を見てるんだよ。まだ、ガッツリ自分で自分を動かす‥っていうか‥自分に戻る自信はないんだけどね。‥多分、まだ2時間位しか連続して起きてられないし。
‥これでも随分長い時間起きてられるようになったんだよ?
私の目を通して‥飛び込んできたのは、見覚えなんかまったくない「教室の日常風景」だった。
当たり前だけど、皆大きい。高校生のお兄さんとお姉さん‥。なんかちょっと、怖いです。
サカマキさんはその中で、慣れた感じで友達とおしゃべりしている。今は、多分休み時間なんだろう。サカマキさんをいれて、三人。いつもの四人組じゃないことに、ちょっと寂しさと違和感を覚えた。
さて、この頃の『桜子』の仲良しと言えば‥。
「桜子、貴女進路どうしますの? 大学進学するんでしょ? どこの学校を狙ってますの? 」
おお、これは恵子か! ‥リアル恵子。「お話」の登場人物をガチで見るとか、‥面白すぎるわ。当たり前だけど、サカマキさんの日記に恵子の容姿は出てこないから、読んでるうちに、恵子像が『悪役令嬢』みたいになってたけど、‥実際に見たら勿論そんなんじゃなかった。ドレスとか着てなかった。目とかも髪とかも、普通に、黒目で黒髪だ。
‥まあそうだわな。
「ああ、恵子。おはよ~」
サカマキさんが私の顔で微笑んで、気さくに挨拶。
おお、高校生っぽい(当たり前か‥)。
で、高校生な『桜子たち』は‥朝から進路の話だ! いいね~! 大人って感じだね~!
改めて恵子を見る。そういえば、こんなにしみじみ見たことなんてなかったな~。(私が私だった時は、恵子は友達っていえるほどのものじゃなかった。意地悪そうって思ってたし。しゃべり方がきついよね、そもそも)あと、見た目‥。
恵子は相変わらず、吊り目がちで意地悪そうな顔してる(ここはちょっと悪役令嬢っぽい)。それ以外は、髪の毛が伸びた位かな? (縦巻きロールじゃないよ! )あんまり変わってない。身長は伸びたけど、胸はぺったんこのままだね! それは私もだから、親近感持てるね!
私よ‥、見事にぺったんこのままだったか‥。大きくなったら勝手にそれなりになるって思ってたのに‥。思ってたのにぃ‥っ! (大事なことだから二度言いました)母さんも慎ましいから‥遺伝か?!
‥どうでもいい。当時は中学生だったのに既にグラマーだった従兄弟の姉ちゃんは「邪魔! 桜子がうらやましい! 絶対ない方がいい! 」っていってたもんね‥。羨ましがられるスリムボディなんだもんね‥。(悔しくなんかないぞ‥っ! )
さて‥そんなことはどうでもいい、ってことで‥。
先ずは、現状の確認だ。恵子と「私」はホントに、県内トップの公立高校の同級生らしい(ホント信じられないよ‥。たった五年で、なんだか浦島太郎みたいだね‥)。あ、美佳ちゃんも一緒。まだ来てないみたいだけど。小学校の頃に仲良しだった他の二人は‥別な様だ(これは日報によりリサーチ済み)。この校区は結構学校があって選択肢が多いから、中学校から同じって子は、結構少ないみたい。この学校で、中学からの同級生は、あとは‥牧野君って男の子と、中本君って眼鏡君。牧野君は、見たことある。‥勿論小学校の時だけど。女の子みたいに可愛い子だった。日報には出てこなかったから、サカマキさんな桜子との接点は、ない‥のかな? 数少ない、『同じ中学出身者』として、交流位はかってほしいものだ。‥学校やめる前に挨拶位はしよう(←やめることは決定事項らしい)
さて、そのあこがれの県内トップ校。
きっと中学生の恵子は
「最高ランクの高校しか行きたくないですわ! 」
って言ったに違いない。(※正解)
で、美佳ちゃんは
「遠いのは嫌‥」
ってとこかな。美佳ちゃんは朝早く起きるのが苦手だから。(※これも正解)
‥美佳ちゃん‥成績良かったんだ。‥でも、美佳ちゃんなら朝遅くまで眠れるここに通う為に猛勉強したって聞いても驚かないかも‥。美佳ちゃん、ぶれないね。
で、そんな賢い人たちの集まりだけど‥話題は、でもアイドルとかの話をしてる子もいる。‥皆真面目な話しかしないんだと思ってた。勝手に。
だけど、(普段は知らないけど)私たちは、朝から、進路っていう‥結構真面目な話をしていた。
桜子がどこの大学を第一志望にしているか‥。
ふむふむ。これは、偵察ね。恵子なら大学もいい学校狙ってそうだもんね。で、成績がいい仲間(笑)の桜子(つまり私)が気になる、と。
ん~。大学。そもそも自分がどういう学力か見てないからまだよくわからないなあ~。(自分の事だけど)なんかすっごいサカマキさん頑張ってくれちゃってるから‥ちょっと心配‥? すっごい大学とかが志望校って言われても、「私は」無理ですよ~。
‥でも、聞くだけなら聞いてみたい‥否、言うだけなら言ってみたいかも。
「東大、かな。慶応もいいかな~」
‥くう~! 頭良さそ~!
が、そのサカマキさんは、首をこてって傾げると、
「え~? 大学‥大学ねえ。大学行って何するってのが‥よくわかんないんだよねえ。‥夢はあるんだけど」
ってにっこり笑った。
‥え? サカマキさんそうなの?
「夢? 」
「おはよ~」って眠そうな目をこすりながら席に着き、首を傾げて私(サカマキさんin)の方を向いた可愛い子、あ‥この子もしかして‥。
‥美佳ちゃん。
大人っぽくなった。
ちょっと感激‥。久し振りに会えた親友に嬉しさ懐かしさMAXですよ!
「うん」
サカマキさんが頷く。って、顔は私なんだけど。
‥そうそう、夢ね。何なんだ? 私の夢。(←変な話)
「なあに、何の話~? 桜子の夢って? 」
恵子も興味津々って顔してる。
「ワタシの夢はね! お嫁さんかなあ~☆ 子供は、男の子と女の子の二人」
がたた‥つ。
わあ、‥つい、昭和なコケ方しちゃたわ!
しかも‥
「何~その、昭和な将来の夢。あははは」
それそれ! さすが美佳ちゃん!
昭和! 私も思いました、昭和! さっき私も昭和なコケ方しちゃったしね!
「ははは! 」
三人で大笑いしてる。
で、美佳ちゃんが冗談っぽい口調で
「結婚はいつ頃のご予定ですか? 」
なんて『インタビュー』すると
「そうですねえ。なるべく早く、ですね」
って、すました顔のサカマキさんが言う。(顔は私)
以下、インタビューアーは美佳ちゃん。答えるのはサカマキさんin私です。
「結婚相手の条件は? 」
「ええと、優しくって~、あんまり身長が大きくなくって~、草食系。ココが一番大事。草食系」
「何それ~」
「なにそれ。何言ってますの」
ここで恵子参戦。そうか‥ここで食いつくのか‥。
「見た目重視って‥しかも、全然頼りがいなさそうじゃない。それ」
「だって、怖いじゃない。マッチョとか、ホント、無理だよ。恵子は逆に、マッチョ大丈夫なの? 」
‥いや、確かに私もダメだけど。‥ってか、男のサカマキさんが「好みのタイプの男」とかいったらちょっと‥だいぶ変‥なんだけど‥(汗)
「包容力があるって感じするじゃない? しかも、逞しいひとって熊さんみたいでなんか可愛い~て感じじゃない~? 」
と、美佳ちゃん。
「‥まあ見た目は‥いいわ。好みの問題ですから。でも、大事なのは、性格ではなくて? 」
これは、恵子。
「いらない、包容力イラナイ。圧迫感しか感じない。可愛いのがいい。ガチマッチョは絶対、嫌。そいつはきっと性格もマッチョ。これ、絶対。(←偏見)絶対、無理。ふわ~と、にこ~と。癒し系? の草食系。羊かウサギかって感じの人がいい。性格は「優しいのがいい」って言ったじゃん。あ、あと、馬鹿はいやだ」
「‥難しくないようで難しい注文ね」
「難しいかな? 」
「あ、あと‥健康であること。タバコとかもダメだし‥。出来ればお酒もあんまり飲まない方がいい」
健康って、魂が。
大魔法を使わなければいけないんだ。‥体力はある方がいいんだろうけど‥マッチョとかホンっと俺が無理だから、まあ、そこは魔法で何とかする方法を考えるとして‥、そもそも、魔法を頭っから否定してかかる頭でっかちは‥そういえば、ダメだな。
催眠術だって、かかりやすい掛かりにくいがあるよね、同じように魔法が掛かりにくい人間もいるんだ。簡単な魔法だと‥「ちちんぷいぷい」の治療術。あれ「かかるか」って舐めてかかってるような奴には効かない。そういうこと。
ふむふむ。
ってサカマキさんな私が小さく何度か頷く。
「とにかく、なるべく早く結婚したい! で、子供産みたい! 」
‥何言ってるんだ~!! 私~!! ってか、サカマキさん~!!
うわあああああああ
は!!!
‥殴ってしまった。
サカマキさんを力いっぱい殴ってしまった。
☆‥眩し~! ☆☆‥
「ありゃ」
‥これ、私の手だ。
透けてない。
「桜子? どうしましたの? 」
「どうしたの? 何かあった? 」
ひゃあ!
恵子、美佳ちゃんが近い!!
これは‥‥。
私が私になってしまった‥。
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異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
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【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
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ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
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