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二章 世界の前提と、誤算。
3.世俗的過ぎる賢者と神聖過ぎる『世界の災厄』
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「‥なんで、お前はそんなこと知っておるのだ」
「は? 」
「って思いませんでしたか? 」
カツラギと、サカマキが寝てから話すのがこの頃習慣となりつつある。
‥昼夜逆転しそうだ。
今日は、昼間あんまり眠れていないから、かなり眠い。
そんな時に、「‥なんで、お前はそんなこと知っておるのだ」なんてカツラギが急に言ってくるもんだから、思わず「は? 」って冷たい返事をしてしまった。‥悪かった。
それは悪かったが、‥正直どうでもいい。
だが、
カツラギのちょっと不満そうな顔を見て、我は「わかりましたよ‥聞きますよ‥」と頭の中で一つため息をついた。それに、言われて初めて「そういえば、そうだな」って気付いて、‥多少なりは興味もわいてきたし。
‥そういえば、普通はそう思うのだろうな。
我って、ホントに普通の人が気付くようなこともすぐに気付かないなあ‥。
ってちょっと落ち込んだり。
だけど、我の中でカツラギは、何でも知ってる生き字引だから、何を知っていてもおかしくはない‥とすら思っていたのも確かだった。
だけど‥ぶっちゃけ、カツラギが何を知っていようが、知っていまいが全然興味がない。我が分からない事を聞いた時に知識なり答えなりを教えてくれればそれでいい。それ以上の知識は、‥正直オーバーフローでしかない。
‥まあ。ただカツラギが言いたいだけだろう。
これで、けっこう面倒臭い奴だから‥。
「それで? 何故主はそんなことを知っておるのだ? 」
「それは、私が「賢者」だからですよ」
ドヤ顔をしたカツラギに、我は固まった。
ん? なんかさっきの言葉に、ドヤ顔する要素あった? って感じだ。完全に「? 」な顔で首を傾げる我を、カツラギが「え! 」って顔で二度見するのが分かった。
「え? 賢者ですよ。賢者! 学者じゃないですよ? さっき話したでしょ? 高位魔法使いを連れて来るのは賢者だって」
‥うん、そうだな? 落ち着け?
「確かに言っておったな」
我は依然、「? 」の顔のままだ。
‥だから?
一体、カツラギは何が言いたいんだ? 賢者‥そういえば、カツラギは皆に「賢者」って呼ばれてるけど、あれは‥たいした意味もない‥ただ、「物知り」って感じの‥愛称だろ?
深い意味はないと思っておったのだが? 。
‥だけど、カツラギはさっき、誰もが知り得ない様な「世界の常識」を我に語った。そして、「どうしてそんなことを知っていると思うか」と我に問うた‥。
そして、あのドヤ顔。
カツラギはどうやら、「一角の」人物らしい。‥多分。そういうこと、言いたいんだよな?
「‥賢者とは、なんだ? 主と一緒に小難しい話をしている他の学者共とどう違うのだ? 」
我は、カツラギを真っ直ぐ見つめて聞いた。
「賢者とは‥神から直接に指示を受け、その言葉を民に伝える‥神とこの世界を繋ぐ者なのです。私は、普段学者と一緒に仕事をしていますが、‥本来だったら賢者は教会で神官として働くものなのです。ですが、私は、より多くのことが知りたいから学者と一緒にいるのです。サカマキたちのことも気に掛けやすいですしね。これは、賢者としては異例のことなんですよ」
ドヤ顔で説明されるのを覚悟していたが、‥思いの外穏やかな顔で、カツラギが静かに言った。
こんなに気さくな賢者も珍しいんですよ、といって微笑む。
‥まさに作られたような模範解答。‥流石我に誘導尋問で質問をさせただけある。
‥これは、あれだ。建前って奴だ。御大層な大義名分ってやつかな。‥こんな言い方されたら、聞かされた人間は「何てこの人は友達想いのいい人なんだ、立派だ」って騙されかねない。‥嘘も方便どころか、立派な詐欺だな。‥あの、整い過ぎた「氷の美貌」も‥悪い。善良で暖かい顔には見えないが、誠実で真面目には見える。
‥どうせ、女の子と遊べないから学者として働いているのだろう。教会で神官として働いたら、そんなことできないからな。‥そんな主の浅~い考えなど、透けて見えておるわ‥。
馬鹿馬鹿しくて今更言う気すらおこらぬがな‥とフミカは心の中でひとりごちて、冷めた顔で苦笑いした。
賢者は、普通神官として教会で働く神の意思を‥継ぐ者だ。だがカツラギは、今、教会では働いていない。だけど、それは何の問題もないらしい。‥カツラギによると、賢者の一番の仕事は、高位魔法使い探しだが、「今世の高位魔法使いは、サカマキだけだから、私の仕事は終わった様なもの」だかららしい。賢者が教会で働くのは、教会が国で大きな威力を持っており、情報が集まりやすく、教会の権限でもって、高位魔法使い候補に接触しやすいからだという。だが、カツラギにはその仕事をする必要はない。
‥通常は、高位魔法使いが一人なんてことはないらしい。
賢者は、自分が賢者であると自覚した時、同時に
発生する予定である(もしくは、既に発生している)魔物の量と力
(それに対する)高位魔法使いの人数
を「思い出す」らしい。
曰く。生まれる前に神様に教えられたこと、らしい。
だけど、その時の様子そのまま思い出すわけではなく、「そういえば、‥そうらしい」とまるで書物で読んだかの様に思いだすのだという。
賢者は、自覚した瞬間に、賢者だと周りからも知れる『印』が現れ、彼の定めから逃げることが叶わなくなる。よく人の目につくところ‥大概は額だとか、手の甲だとか‥に印が現れ、隠そうとか消そうとかした場合には、呪いが発動するらしい(カツラギは実際にしたことは無いらしいし、過去にそうした報告は上がってはいなかったから、その「呪い」がどのようなものであるかはわからないらしい)
まあ、賢者になったら、国から住居その他の生活の総てが保障され、賢者が出た村にも補助が下りる。いわゆる「いい暮らし」が約束されるから、誰も隠したりなんかしない。(呪いが発動するっていう謎の脅しもちょっとは効いている。だって、‥得体が知れない分おっかない)それこそ、村ぐるみで、賢者を王都に送るまで大事に保護する。
賢者だからといって、結婚も出来ないってわけでもないし、聖人の様な暮らしを求められるわけでもない(「ココ大事」←カツラギ談)。過去に、王都に幼馴染を連れて行って結婚した賢者もいたらしい。子供はいなかったらしいが。(カツラギは「たまたまだろ」と言っていたが、我はその賢者殿夫婦はプラトニックな関係だったんだろう、と思っておる。精神的な支えとして幼馴染にともにいてもらいたかったのだろう、と)
まあ、従来の賢者は皆教会で働く神官だったから、カツラギの様に世俗的な暮らし方をして来たものはいないだろう。
普通の人間の普通の感覚からいったら、ある日突然神の啓示を思い出し、自分に賢者としての印が現れる神秘体験をすれば、神聖な気持ちになり、神の意思に沿うように生活を悔い改めたりするものだろう。例え、今まで世俗にまみれて生きて来た者でも、だ。
カツラギの場合は、サカマキを見た時‥自分が賢者で、サカマキが今世唯一の「高位魔法使い」だということを「知った」という。
「あの瞬間、今まで漠然とたてていた自分の「将来設計」が崩れていくのを感じましたね。‥本当に迷惑なことだと。だから、この世に出ている、資料総てをあさり、賢者の権限や過去の記録といったものを調べつくした。そしたら、「高位魔法使い」のスカウトに都合がいいから神官になっているということが分かった。‥神官の権限は大きいからね。それに、「神のお告げ」を告げるのにも、神官の方がそれっぽい。まあ、そういうことだということが分かった。だけど、‥私はサカマキを連れて行けばいいだけだ。他の高位魔法使いを探し出す必要もない。だったら何も、堅苦しい教会に何かいる必要はない、って結論に至ったんです」
‥つまり、神官に自分が成らなくてもいいという確固とした理由を探すために、資料をあさったと。つまり、カツラギには、他の賢者が感じた様な神への信仰心は何も感じなかったということだろう。‥なんとも、カツラギらしい。
それにしても、何とも知識マニアのカツラギらしい手段だ。
だけど、運命は受け入れ、使命は果たすものとして認識していた。カツラギが模索したのは、受け入れざるを得ない運命の自分なりの妥協案だ。
「それで、カツラギは直ぐにサカマキを王都に連れて来たのか? 」
「いいや? サカマキがまだ自分の使命も理解できない位小さかったから、とにかく保護して、養育して、ある程度大きく成って自分の使命を理解させてから、と村の長老たちと決めた。その間に字や知識、‥生活に必要なことはひととおり教えておこうということも合わせて決めた。大変な作業だったぞ。先ずは人に慣れることから始めなければいけなかった。会った頃のサカマキは、手負いの獣の様だった」
‥会ったばっかりのまだ自分の使命を理解しかねる程幼かったサカマキ。大人による保護と養育を必要とし、‥手負いの獣の様に‥人を警戒して、人に心を開かない‥。人になる‥つまり、人間らしい扱いを今まで受けて来ていなかったのかもしれない。野獣さながらに警戒心をあらわにする猫の様なサカマキの目が‥想像できた。
‥何とも痛ましい‥
「‥サカマキは、カツラギたちと会う前に誰かに虐待されていたのか? 人間不信に陥る程に‥」
フミカの眉間にしわが寄る。
言い様のない怒りと同時に悲しみに胸が痛くなった。
「ああ。それも村ぐるみで、だ」
カツラギが頷いた。
「‥サカマキは捨て子だったんだ。体中大怪我をして‥村の外れの森の中で隠れて‥いたんだろうな、捨てられてたっていうより、多分逃げ出したんだろう。‥見つけた時は眠っていた。‥丁度森に木の実を拾いに来ていた、私とアララキが見つけたんだ。アララキは、大慌てでサカマキを抱きかかえて村の大人に知らせに行った」
カツラギの話に、フミカの眉間の皴がさらに深くなる。「ひどいな‥」低い声で呟く。
保護が必要な程小さな子供が身体中を怪我だらけにしている‥そして、命からがら逃げだしたサカマキ‥。フミカは、サカマキのどこか寂し気な瞳を思い出し、たまらない気持ちになった。
この国は、子供が少ない。だから、その貴重な子供をそれこそ村の宝のように村中皆で大事に育てる。
そして、本来なら大事に保護されるべき子供をそこまで執拗に虐待する理由‥。
「その‥サカマキが逃げて来た村の者たちにも、サカマキが何者であるのかわかったってことか? 」
‥高位魔法使いであるという理由だけで、歴代の高位魔法使いたちは、虐げられて来た。
暗い顔になるフミカに、サカマキはふるり、と大きく首を振った。
「‥賢者が「それ」と認識するまでは、高位魔法使いは‥誰にも「それ」と認識されない。だからそれはない。賢者が「それ」と認識した後も、王都で任命を受けるまで、よっぽど勘がいい者で無ければ分からないだろうしね。だから、そういう理由でサカマキは虐待されてきたわけではない」
‥勘がいい者‥。
勘? いや、「感」かな? 霊感みたいなものだろうか?
カツラギがフミカの考えをまるで読んだかのように、首を振って否定した。
「もっと視覚的なものだ。視覚‥いや、物理的‥。ああ、「生命の危機」的なもの? 」
「??? 」
何を言っているんだ。
見た瞬間、凄い視覚的にやられる程醜かったってことか??? あるかそんなこと?? ‥それにしても失礼だな‥。
「それより寧ろ‥賢者である私がその誕生すら分からなかったことに驚いた。実は、賢者として使命を受けて生まれて来た者が、賢者であると自覚するきっかけは「どこかで高位魔法使いが生まれた」という予感だ。記録にもそのような事例が多かった。だから、私も、‥賢者として覚醒するまでいかないにしても、なんとなく予感がするもんだと思っていた」
(何が「それよりも」なのかはさっぱりわからんが)
‥それにしても‥
何処かにいることが分かり、生まれた瞬間分かる‥聞けば聞くほど、「運命の相手」みたいだな。
だけど、カツラギの場合はたまたま一人だっただけで、普通は賢者が自分の一生をかけて探し出さなければいけないほど見つけにくいし、何人もいるものらしい。発見が遅れれば、高位魔法使いは「何だか分からないが何となく嫌な感じのする魔力の強い魔法使い」みたいな扱いのまま成長し、‥他者から迫害を受けかねない。高位魔法使いとなれば、魔法庁に入るので、警護がつくから、少なくとも一般人からの迫害の危機からは逃れられる。表向きでは、高位魔法使いは、賢者と共に、国の重要人物なのだ。給料もいいし、待遇もいい。‥オブラートに包まれた悪意を気にしなかったら、結構いい暮らしができる。
賢者に自分の正体が「高位魔法使いである」と認識され、王都で任命されたら、周りからの待遇は向上する。‥相変わらず嫌われてはいるが、待遇は良くなる。だけど、それ以上に「自分の気持ち」的にスッキリする。今まで理由もなく嫌われてきた原因が分かるからだ。周りが「ああそうだったのか、‥どうりで」って納得すれば、「今までのこと、悪かったな」って‥びっくりするほどあっさり態度が軟化したりする。
「運命の相手みたい‥ってなんとなく思ったけど、‥思った以上にハードな話だな」
フミカがなんとなく呟くと、またカツラギは苦笑した。
高位魔法使いであると賢者が認識して、魔法庁に連れていくことは、彼らの保護の意味も強い。そんな感じで、やっと見つけ出した時には、高位魔法使いも賢者も疲れ果てていることが多く、「ロマンス」どころの騒ぎじゃないらしい。
「それに、‥賢者にとっては高位魔法使いはそういう対象にならない。もうそれは、細胞単位でだ。‥多分、これも呪いなんだろうね、神の。だって、賢者が高位魔法使いに恋なんてして、その存在を隠匿すれば、‥高位魔法使いとして魔物を狩る者がいなくなる」
‥それはもっともだな。
フミカは、カツラギのサカマキに対する素っ気ない態度を思い出し、深く頷いた。
ああ、あれは「細胞単位で興味ない」って態度なんだ。‥嫌われてるよりなお悪いな。
「じゃあ、なんでサカマキは? 」
サカマキは、何者か分かっていなかったにも関わらず、村ぐるみで虐待されていた。
それはなぜなんだ? とフミカが話を戻す。カツラギが頷く。
「‥嫌がるサカマキからサカマキが生まれた村を聞きだして行ってみて、‥納得した。サカマキの生まれた村は、邪神を信仰している邪術師たちの隠れ里だったんだ」
‥人間不信に陥っている保護が必要な程幼い子供の精神状態より自分の知的好奇心を優先させるカツラギ‥昔っからこいつは容赦なく鬼畜だったのだろう。‥サカマキに対しては特に、か。(なにせ、細胞単位で興味がないから‥)
それにしても、さっき物騒な言葉を聞いた。
「邪神を信仰している邪術師たち? 」
その言葉を確認するように繰り返したフミカに、カツラギは「よくぞ聞いてくれました」とでも言うように、にや、っと微笑むと
「いつの世にも、人の世を呪い、自分の都合のよいように国家を動かしたいと願う愚か者どもはいるわけで、‥そういうニーズがある限り、裏の仕事ってのは、なくならないんだろうね。その村は、呪いの類を生業にしている邪術師たちの集まりだったんだ」
「そんな村だったら、世界の災厄‥その時は分からなかったにしろ‥何やら禍々しい感じのする‥災いの子供は寧ろもてはやされたのではないのか? 」
「生まれが、人間なら‥もしかしたら‥そうだったかもしれないね。だけど、ほら、サカマキの本体は神獣だから」
「あ! 」
「あの頃は、まだ人型も取れない状態だったから、まさに「ザ・神獣」って感じだったぞ。それこそ、そこにいるだけで呪いの類を無自覚に無効にしてしまう、な」
いるだけで、解呪ができる程の神獣。‥普段なら、ありがたい存在だ。
だが、彼らは、その呪いを生業としている。
呪いというのは、解除したら、「呪い返し」として、施術者にかえってくる‥。
それは、彼らにとっては死活問題だ。
「モフモフして、ふかふかして、なんとも神々しい姿だったぞ。‥拾った時は、泥だらけで、毛なんかはりついてゴワゴワしていたが」
丁度、地球における「ひよこ」みたいなものと想像してもらいたい。それが(地球で言う)大人の猫ぐらいの大きさがある‥。
大きいが、ギリギリ「可愛らしい」の範囲だ。
だが、いるだけで、(その村にとっては)商売あがったりで、それどころか、高位の邪術を行う者にとっては、死活問題の存在。
「ううむ‥」「‥逃がしたのは、両親かもしれぬな」
ぼそりと呟いたフミカに、
「そうだと、美談だね」
にっこり、とカツラギが所謂「女たちが頬を染める色男の微笑」を浮かべた。
‥そういうことにしておいたらいいのに。
フミカは、人の善意を信じない友人を、かわいそうなものを見るような目で見つめるのだった。
「は? 」
「って思いませんでしたか? 」
カツラギと、サカマキが寝てから話すのがこの頃習慣となりつつある。
‥昼夜逆転しそうだ。
今日は、昼間あんまり眠れていないから、かなり眠い。
そんな時に、「‥なんで、お前はそんなこと知っておるのだ」なんてカツラギが急に言ってくるもんだから、思わず「は? 」って冷たい返事をしてしまった。‥悪かった。
それは悪かったが、‥正直どうでもいい。
だが、
カツラギのちょっと不満そうな顔を見て、我は「わかりましたよ‥聞きますよ‥」と頭の中で一つため息をついた。それに、言われて初めて「そういえば、そうだな」って気付いて、‥多少なりは興味もわいてきたし。
‥そういえば、普通はそう思うのだろうな。
我って、ホントに普通の人が気付くようなこともすぐに気付かないなあ‥。
ってちょっと落ち込んだり。
だけど、我の中でカツラギは、何でも知ってる生き字引だから、何を知っていてもおかしくはない‥とすら思っていたのも確かだった。
だけど‥ぶっちゃけ、カツラギが何を知っていようが、知っていまいが全然興味がない。我が分からない事を聞いた時に知識なり答えなりを教えてくれればそれでいい。それ以上の知識は、‥正直オーバーフローでしかない。
‥まあ。ただカツラギが言いたいだけだろう。
これで、けっこう面倒臭い奴だから‥。
「それで? 何故主はそんなことを知っておるのだ? 」
「それは、私が「賢者」だからですよ」
ドヤ顔をしたカツラギに、我は固まった。
ん? なんかさっきの言葉に、ドヤ顔する要素あった? って感じだ。完全に「? 」な顔で首を傾げる我を、カツラギが「え! 」って顔で二度見するのが分かった。
「え? 賢者ですよ。賢者! 学者じゃないですよ? さっき話したでしょ? 高位魔法使いを連れて来るのは賢者だって」
‥うん、そうだな? 落ち着け?
「確かに言っておったな」
我は依然、「? 」の顔のままだ。
‥だから?
一体、カツラギは何が言いたいんだ? 賢者‥そういえば、カツラギは皆に「賢者」って呼ばれてるけど、あれは‥たいした意味もない‥ただ、「物知り」って感じの‥愛称だろ?
深い意味はないと思っておったのだが? 。
‥だけど、カツラギはさっき、誰もが知り得ない様な「世界の常識」を我に語った。そして、「どうしてそんなことを知っていると思うか」と我に問うた‥。
そして、あのドヤ顔。
カツラギはどうやら、「一角の」人物らしい。‥多分。そういうこと、言いたいんだよな?
「‥賢者とは、なんだ? 主と一緒に小難しい話をしている他の学者共とどう違うのだ? 」
我は、カツラギを真っ直ぐ見つめて聞いた。
「賢者とは‥神から直接に指示を受け、その言葉を民に伝える‥神とこの世界を繋ぐ者なのです。私は、普段学者と一緒に仕事をしていますが、‥本来だったら賢者は教会で神官として働くものなのです。ですが、私は、より多くのことが知りたいから学者と一緒にいるのです。サカマキたちのことも気に掛けやすいですしね。これは、賢者としては異例のことなんですよ」
ドヤ顔で説明されるのを覚悟していたが、‥思いの外穏やかな顔で、カツラギが静かに言った。
こんなに気さくな賢者も珍しいんですよ、といって微笑む。
‥まさに作られたような模範解答。‥流石我に誘導尋問で質問をさせただけある。
‥これは、あれだ。建前って奴だ。御大層な大義名分ってやつかな。‥こんな言い方されたら、聞かされた人間は「何てこの人は友達想いのいい人なんだ、立派だ」って騙されかねない。‥嘘も方便どころか、立派な詐欺だな。‥あの、整い過ぎた「氷の美貌」も‥悪い。善良で暖かい顔には見えないが、誠実で真面目には見える。
‥どうせ、女の子と遊べないから学者として働いているのだろう。教会で神官として働いたら、そんなことできないからな。‥そんな主の浅~い考えなど、透けて見えておるわ‥。
馬鹿馬鹿しくて今更言う気すらおこらぬがな‥とフミカは心の中でひとりごちて、冷めた顔で苦笑いした。
賢者は、普通神官として教会で働く神の意思を‥継ぐ者だ。だがカツラギは、今、教会では働いていない。だけど、それは何の問題もないらしい。‥カツラギによると、賢者の一番の仕事は、高位魔法使い探しだが、「今世の高位魔法使いは、サカマキだけだから、私の仕事は終わった様なもの」だかららしい。賢者が教会で働くのは、教会が国で大きな威力を持っており、情報が集まりやすく、教会の権限でもって、高位魔法使い候補に接触しやすいからだという。だが、カツラギにはその仕事をする必要はない。
‥通常は、高位魔法使いが一人なんてことはないらしい。
賢者は、自分が賢者であると自覚した時、同時に
発生する予定である(もしくは、既に発生している)魔物の量と力
(それに対する)高位魔法使いの人数
を「思い出す」らしい。
曰く。生まれる前に神様に教えられたこと、らしい。
だけど、その時の様子そのまま思い出すわけではなく、「そういえば、‥そうらしい」とまるで書物で読んだかの様に思いだすのだという。
賢者は、自覚した瞬間に、賢者だと周りからも知れる『印』が現れ、彼の定めから逃げることが叶わなくなる。よく人の目につくところ‥大概は額だとか、手の甲だとか‥に印が現れ、隠そうとか消そうとかした場合には、呪いが発動するらしい(カツラギは実際にしたことは無いらしいし、過去にそうした報告は上がってはいなかったから、その「呪い」がどのようなものであるかはわからないらしい)
まあ、賢者になったら、国から住居その他の生活の総てが保障され、賢者が出た村にも補助が下りる。いわゆる「いい暮らし」が約束されるから、誰も隠したりなんかしない。(呪いが発動するっていう謎の脅しもちょっとは効いている。だって、‥得体が知れない分おっかない)それこそ、村ぐるみで、賢者を王都に送るまで大事に保護する。
賢者だからといって、結婚も出来ないってわけでもないし、聖人の様な暮らしを求められるわけでもない(「ココ大事」←カツラギ談)。過去に、王都に幼馴染を連れて行って結婚した賢者もいたらしい。子供はいなかったらしいが。(カツラギは「たまたまだろ」と言っていたが、我はその賢者殿夫婦はプラトニックな関係だったんだろう、と思っておる。精神的な支えとして幼馴染にともにいてもらいたかったのだろう、と)
まあ、従来の賢者は皆教会で働く神官だったから、カツラギの様に世俗的な暮らし方をして来たものはいないだろう。
普通の人間の普通の感覚からいったら、ある日突然神の啓示を思い出し、自分に賢者としての印が現れる神秘体験をすれば、神聖な気持ちになり、神の意思に沿うように生活を悔い改めたりするものだろう。例え、今まで世俗にまみれて生きて来た者でも、だ。
カツラギの場合は、サカマキを見た時‥自分が賢者で、サカマキが今世唯一の「高位魔法使い」だということを「知った」という。
「あの瞬間、今まで漠然とたてていた自分の「将来設計」が崩れていくのを感じましたね。‥本当に迷惑なことだと。だから、この世に出ている、資料総てをあさり、賢者の権限や過去の記録といったものを調べつくした。そしたら、「高位魔法使い」のスカウトに都合がいいから神官になっているということが分かった。‥神官の権限は大きいからね。それに、「神のお告げ」を告げるのにも、神官の方がそれっぽい。まあ、そういうことだということが分かった。だけど、‥私はサカマキを連れて行けばいいだけだ。他の高位魔法使いを探し出す必要もない。だったら何も、堅苦しい教会に何かいる必要はない、って結論に至ったんです」
‥つまり、神官に自分が成らなくてもいいという確固とした理由を探すために、資料をあさったと。つまり、カツラギには、他の賢者が感じた様な神への信仰心は何も感じなかったということだろう。‥なんとも、カツラギらしい。
それにしても、何とも知識マニアのカツラギらしい手段だ。
だけど、運命は受け入れ、使命は果たすものとして認識していた。カツラギが模索したのは、受け入れざるを得ない運命の自分なりの妥協案だ。
「それで、カツラギは直ぐにサカマキを王都に連れて来たのか? 」
「いいや? サカマキがまだ自分の使命も理解できない位小さかったから、とにかく保護して、養育して、ある程度大きく成って自分の使命を理解させてから、と村の長老たちと決めた。その間に字や知識、‥生活に必要なことはひととおり教えておこうということも合わせて決めた。大変な作業だったぞ。先ずは人に慣れることから始めなければいけなかった。会った頃のサカマキは、手負いの獣の様だった」
‥会ったばっかりのまだ自分の使命を理解しかねる程幼かったサカマキ。大人による保護と養育を必要とし、‥手負いの獣の様に‥人を警戒して、人に心を開かない‥。人になる‥つまり、人間らしい扱いを今まで受けて来ていなかったのかもしれない。野獣さながらに警戒心をあらわにする猫の様なサカマキの目が‥想像できた。
‥何とも痛ましい‥
「‥サカマキは、カツラギたちと会う前に誰かに虐待されていたのか? 人間不信に陥る程に‥」
フミカの眉間にしわが寄る。
言い様のない怒りと同時に悲しみに胸が痛くなった。
「ああ。それも村ぐるみで、だ」
カツラギが頷いた。
「‥サカマキは捨て子だったんだ。体中大怪我をして‥村の外れの森の中で隠れて‥いたんだろうな、捨てられてたっていうより、多分逃げ出したんだろう。‥見つけた時は眠っていた。‥丁度森に木の実を拾いに来ていた、私とアララキが見つけたんだ。アララキは、大慌てでサカマキを抱きかかえて村の大人に知らせに行った」
カツラギの話に、フミカの眉間の皴がさらに深くなる。「ひどいな‥」低い声で呟く。
保護が必要な程小さな子供が身体中を怪我だらけにしている‥そして、命からがら逃げだしたサカマキ‥。フミカは、サカマキのどこか寂し気な瞳を思い出し、たまらない気持ちになった。
この国は、子供が少ない。だから、その貴重な子供をそれこそ村の宝のように村中皆で大事に育てる。
そして、本来なら大事に保護されるべき子供をそこまで執拗に虐待する理由‥。
「その‥サカマキが逃げて来た村の者たちにも、サカマキが何者であるのかわかったってことか? 」
‥高位魔法使いであるという理由だけで、歴代の高位魔法使いたちは、虐げられて来た。
暗い顔になるフミカに、サカマキはふるり、と大きく首を振った。
「‥賢者が「それ」と認識するまでは、高位魔法使いは‥誰にも「それ」と認識されない。だからそれはない。賢者が「それ」と認識した後も、王都で任命を受けるまで、よっぽど勘がいい者で無ければ分からないだろうしね。だから、そういう理由でサカマキは虐待されてきたわけではない」
‥勘がいい者‥。
勘? いや、「感」かな? 霊感みたいなものだろうか?
カツラギがフミカの考えをまるで読んだかのように、首を振って否定した。
「もっと視覚的なものだ。視覚‥いや、物理的‥。ああ、「生命の危機」的なもの? 」
「??? 」
何を言っているんだ。
見た瞬間、凄い視覚的にやられる程醜かったってことか??? あるかそんなこと?? ‥それにしても失礼だな‥。
「それより寧ろ‥賢者である私がその誕生すら分からなかったことに驚いた。実は、賢者として使命を受けて生まれて来た者が、賢者であると自覚するきっかけは「どこかで高位魔法使いが生まれた」という予感だ。記録にもそのような事例が多かった。だから、私も、‥賢者として覚醒するまでいかないにしても、なんとなく予感がするもんだと思っていた」
(何が「それよりも」なのかはさっぱりわからんが)
‥それにしても‥
何処かにいることが分かり、生まれた瞬間分かる‥聞けば聞くほど、「運命の相手」みたいだな。
だけど、カツラギの場合はたまたま一人だっただけで、普通は賢者が自分の一生をかけて探し出さなければいけないほど見つけにくいし、何人もいるものらしい。発見が遅れれば、高位魔法使いは「何だか分からないが何となく嫌な感じのする魔力の強い魔法使い」みたいな扱いのまま成長し、‥他者から迫害を受けかねない。高位魔法使いとなれば、魔法庁に入るので、警護がつくから、少なくとも一般人からの迫害の危機からは逃れられる。表向きでは、高位魔法使いは、賢者と共に、国の重要人物なのだ。給料もいいし、待遇もいい。‥オブラートに包まれた悪意を気にしなかったら、結構いい暮らしができる。
賢者に自分の正体が「高位魔法使いである」と認識され、王都で任命されたら、周りからの待遇は向上する。‥相変わらず嫌われてはいるが、待遇は良くなる。だけど、それ以上に「自分の気持ち」的にスッキリする。今まで理由もなく嫌われてきた原因が分かるからだ。周りが「ああそうだったのか、‥どうりで」って納得すれば、「今までのこと、悪かったな」って‥びっくりするほどあっさり態度が軟化したりする。
「運命の相手みたい‥ってなんとなく思ったけど、‥思った以上にハードな話だな」
フミカがなんとなく呟くと、またカツラギは苦笑した。
高位魔法使いであると賢者が認識して、魔法庁に連れていくことは、彼らの保護の意味も強い。そんな感じで、やっと見つけ出した時には、高位魔法使いも賢者も疲れ果てていることが多く、「ロマンス」どころの騒ぎじゃないらしい。
「それに、‥賢者にとっては高位魔法使いはそういう対象にならない。もうそれは、細胞単位でだ。‥多分、これも呪いなんだろうね、神の。だって、賢者が高位魔法使いに恋なんてして、その存在を隠匿すれば、‥高位魔法使いとして魔物を狩る者がいなくなる」
‥それはもっともだな。
フミカは、カツラギのサカマキに対する素っ気ない態度を思い出し、深く頷いた。
ああ、あれは「細胞単位で興味ない」って態度なんだ。‥嫌われてるよりなお悪いな。
「じゃあ、なんでサカマキは? 」
サカマキは、何者か分かっていなかったにも関わらず、村ぐるみで虐待されていた。
それはなぜなんだ? とフミカが話を戻す。カツラギが頷く。
「‥嫌がるサカマキからサカマキが生まれた村を聞きだして行ってみて、‥納得した。サカマキの生まれた村は、邪神を信仰している邪術師たちの隠れ里だったんだ」
‥人間不信に陥っている保護が必要な程幼い子供の精神状態より自分の知的好奇心を優先させるカツラギ‥昔っからこいつは容赦なく鬼畜だったのだろう。‥サカマキに対しては特に、か。(なにせ、細胞単位で興味がないから‥)
それにしても、さっき物騒な言葉を聞いた。
「邪神を信仰している邪術師たち? 」
その言葉を確認するように繰り返したフミカに、カツラギは「よくぞ聞いてくれました」とでも言うように、にや、っと微笑むと
「いつの世にも、人の世を呪い、自分の都合のよいように国家を動かしたいと願う愚か者どもはいるわけで、‥そういうニーズがある限り、裏の仕事ってのは、なくならないんだろうね。その村は、呪いの類を生業にしている邪術師たちの集まりだったんだ」
「そんな村だったら、世界の災厄‥その時は分からなかったにしろ‥何やら禍々しい感じのする‥災いの子供は寧ろもてはやされたのではないのか? 」
「生まれが、人間なら‥もしかしたら‥そうだったかもしれないね。だけど、ほら、サカマキの本体は神獣だから」
「あ! 」
「あの頃は、まだ人型も取れない状態だったから、まさに「ザ・神獣」って感じだったぞ。それこそ、そこにいるだけで呪いの類を無自覚に無効にしてしまう、な」
いるだけで、解呪ができる程の神獣。‥普段なら、ありがたい存在だ。
だが、彼らは、その呪いを生業としている。
呪いというのは、解除したら、「呪い返し」として、施術者にかえってくる‥。
それは、彼らにとっては死活問題だ。
「モフモフして、ふかふかして、なんとも神々しい姿だったぞ。‥拾った時は、泥だらけで、毛なんかはりついてゴワゴワしていたが」
丁度、地球における「ひよこ」みたいなものと想像してもらいたい。それが(地球で言う)大人の猫ぐらいの大きさがある‥。
大きいが、ギリギリ「可愛らしい」の範囲だ。
だが、いるだけで、(その村にとっては)商売あがったりで、それどころか、高位の邪術を行う者にとっては、死活問題の存在。
「ううむ‥」「‥逃がしたのは、両親かもしれぬな」
ぼそりと呟いたフミカに、
「そうだと、美談だね」
にっこり、とカツラギが所謂「女たちが頬を染める色男の微笑」を浮かべた。
‥そういうことにしておいたらいいのに。
フミカは、人の善意を信じない友人を、かわいそうなものを見るような目で見つめるのだった。
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