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一章 世界の均衡は崩れ、魔物があふれた。だけど、‥これ以上均衡が崩れようとも俺は、友を死なせたくはなかった。
4.願い
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話せばわかる。‥分かり合おうと思ったら、話せばいい。
俺の座右の銘だ。
口は上手い方ではないし、愛想も良くないが、‥話ってのは熱意だ。
まあ、俺は嫌われもんだから、話し合ってくれる者は‥まあ、幼馴染共と、何人かの奇特な部下たちだけだったが。‥その間柄では、とにかく何でも話し合った。アララキだけは‥まともに俺の話を聞いてはいなかった。何でもかんでも「わかった、サカマキの言うとおりにしよう」って、‥最初は、馬鹿にしてるのかと思っていたが、あれで、俺のことを尊敬しているのだろう。(これでも、国の最高位魔法使いだからね。‥もしかして、兄と慕っているのかもしれない。そう思うと、多少甘えて来るくらい許してやらんといけないな)だけど、仮にも王なんだから、俺任せっても良くない‥、
とまあ、‥まあ、例外もあるが、話し合いって大事だ。
俺は、少女の意識に入り込み、
少女に話しかけることにした。
意識に入り込むためのキーワード、「少女の真名」はさっき医者が言っていたのを聞いた。‥これが分からないと、いくら俺だとて、魔法を相手に対して使うことはできない。
病室の前のプレートも見た。(カタカナでふり仮名が振ってあって助かった)
「高遠 桜子さん」
だ。
空間がぐにゃりとゆがむ感覚があり、‥俺は、目の前の少女の意識に入ることに成功した。
少女が振り向いて、俺を見る。
「‥綺麗な人。もしかして、神様? 私死んだの? 」
咄嗟にショックを受けた顔をしたものの、‥俺の顔を見て頬を染めた。
眠っているので分からなかったが、少女の瞳の色は茶色だった。
血の気の通った頬のため、目の前で微かに微笑んだ少女はベットで眠っている顔より幼く見えた。
‥人に会えてほっとしたのだろう。
直ぐに納得した俺は、少女に小さく頷くと、
「桜子とやら、お主の身体は無事であったが、‥魂と肉体が離れかけておる。このまま、魂と肉体が離れたら、主は死ぬ。‥だが、魂の傷が癒えれば、主の魂と身体が再び繋がれるよるであろう。‥普通は、その時間を肉体やら、‥運命は待ってはくれぬ。だが、私なら出来る。主の魂の傷が癒えるまで、主の身体と主の魂が完全に離れぬようにしてやろう」
‥驚かせない様に、‥絶望しないように‥まず一番言うべきであろうことを言った。
ちなみに、少女が俺を「神」だと思ってくれてるようだから、自分を「私」と言って、神っぽくする努力をしてみた。゚‥神が言ったなら、多少ぶっ飛んだ意見でも、すんなり受け入れられるだろう。
厳かに、゚‥驚かせないように゚‥だ。後ろ向きなこととか絶対、ダメ。
この今の魂が不安定な状態に、「死にたく」させたら‥マズイ。
なるべく、静かで優しい声をだす。
「貴方は? 」
少女は、‥でもそれ以前にまだ俺のことを認識すらできていないようだ。
‥ちょっと焦らせすぎたかもしれない。
だが、魂が絶望したら、‥肉体から離れてしまう。とにかく、「気を強く持て」と伝えて置かなければいけない。
今のところ‥絶望している様子は‥なさそうか?
「私は、サカマキ。こことは‥少し別の世界の最高位魔法使いだ」
俺は、先に自己紹介をすることにした。
名前を聞かれたのを無視するのも良くない。
しまった。さっき神っぽくしよう…って思ってたの忘れてた…。
「別の世界? 異世界ってこと? そこには、魔法があるの? 」
何故か、少女は目をキラキラさせて俺を見た。
‥よし、気にしてない! それどころか…元気そうでよかった。(注:テンションが上がっただけ、ともいう)
だが‥、元気そうと言えども、意識の状態で、色々しゃべるのは良くない。‥魂に傷がついている場合はなおさらだ。
「‥魔法はある。さあ、桜子。もうこれ以上しゃべるな。今無理をすれば、魂の傷が癒えるのが遅くなる。‥だから、黙って聞いてもらえないだろうか。そして、了承してくれるなら、頷いて欲しい」
は、っとした顔を一瞬見せて、桜子が黙ったまま頷く。
俺もそれを確認して頷く。
「私は、さっき言ったように最高位の魔法使いで、この世界で唯一、主の魂を守れるものだ。‥それは嘘ではない。だけど、私も、主の了承なしに、主に魔法をかけることは出来ない。分かったら、‥頷いてくれ。分からなかったら、首をかしげてくれんか。ちょっと理解されているか分からないと、‥つらい」
桜子が頷く。
了承、だ。
‥幼い様だが、理解が早くて助かる。
「これは‥でも、人助けではない。私は、主に頼みがあるのだ。それを聞いてくれるのであったら、私は主の魂を主が再びこの肉体とつながれるまで守ろう」
「‥願いって? 」
こてん、と少女が首を傾げる。
「しゃべるなと言っておろうに。‥なに、主が完全に目を覚ますのは、だいたい20年後だ。時々は、目を覚ますこともできるようになるのでも、あと、5年は最低でもかかるかの」
「‥! 」
少女が目を見開く。‥驚いたのだろう。
顔に総ての感情が出る。‥分かりやすいな。
「そんなに!? って顔だな。そう、そんなに、だ。そこでだ。その間、主の肉体を私に貸してほしいんだ」
「? 」
また、首をコテン。
これは、分かったぞ。「何? 」かな?
「うん。何。結婚して、子供を二人産むだけのことだ」
「!!!??? 」
‥おお。さらに驚いたな。
まあ、‥そうだろうな。
「正式には、‥子供として、二つの魂をこの世界に産み直す‥。頼む!! 大事な私の幼馴染たちなんだ!! 私のせいで‥私を庇って死んでしまって、なんとか魂だけは守ったが‥肉体は死滅させてしまった。‥あいつらに‥また再び会いたいんだ‥! 我が儘だって分かってる、だけど、‥あいつらがいなかったら私は‥」
あ‥涙が出て来た。
止まらない。
あの時の事、‥思い出してしまった。
胸の奥の、カツラギとフミカの魂が呆れた様な雰囲気になってる。‥そうだよな、泣き過ぎだよな。いい歳こいた大人が、みっともないよな‥。
目の前の少女も‥更に目を見開いている。
が、
「‥‥‥」
こくん。
無言で大きく頷いた。
え??
「いいのか? 」
‥自分で頼んだのだが、
‥いいのか?
俺がもう一度少女を見ると、今度は、もっと大きく少女が頷いてくれた。
そして、ニコリと微笑む。
ええ!?
「しゃべらして‥。いいよ。だって、私がこのまま死んでしまったら、きっとお母さんたち悲しむ。それに、‥そんなに誰かのためになることなんて、‥誰でもできることじゃないよね。私にだって人助けが出来るんだよね? 」
「桜子‥すまぬ。悪い様には絶対しないし、ご両親も大事にする。主の魂も守る」
もう、俺の涙は‥止まるはずはなかった。
もう、滝の様だ。
フミカが「ええ!! ちょっと、桜子ちゃん、もっと考えなって」っていってるのが、‥気配で分かる。時々、何言ってるのかわかるんだ。‥以心伝心って奴だろう。
「お願いね‥」
ふわり、と笑うと、少女の顔がすうっと消えかけた。
‥眠りにつくのだろう。
ちょっと気力を使わせすぎた。
次に目が覚めるのは‥5年後。それまで俺は、彼女の代わりに彼女に恥ずかしくない様な模範的な生活を送ることを、誓う!
「わかった‥! 」
消えかける少女に、俺は力強く声をかけた。
任せて置け!
と、
ふわ
「あ、あと、ちゃんと勉強していい成績取っておいてね? 」
最後にそんな声が聞こえた様な気がした。
え?
ああ、‥寝る間を惜しんで頑張るよ!!
俺の座右の銘だ。
口は上手い方ではないし、愛想も良くないが、‥話ってのは熱意だ。
まあ、俺は嫌われもんだから、話し合ってくれる者は‥まあ、幼馴染共と、何人かの奇特な部下たちだけだったが。‥その間柄では、とにかく何でも話し合った。アララキだけは‥まともに俺の話を聞いてはいなかった。何でもかんでも「わかった、サカマキの言うとおりにしよう」って、‥最初は、馬鹿にしてるのかと思っていたが、あれで、俺のことを尊敬しているのだろう。(これでも、国の最高位魔法使いだからね。‥もしかして、兄と慕っているのかもしれない。そう思うと、多少甘えて来るくらい許してやらんといけないな)だけど、仮にも王なんだから、俺任せっても良くない‥、
とまあ、‥まあ、例外もあるが、話し合いって大事だ。
俺は、少女の意識に入り込み、
少女に話しかけることにした。
意識に入り込むためのキーワード、「少女の真名」はさっき医者が言っていたのを聞いた。‥これが分からないと、いくら俺だとて、魔法を相手に対して使うことはできない。
病室の前のプレートも見た。(カタカナでふり仮名が振ってあって助かった)
「高遠 桜子さん」
だ。
空間がぐにゃりとゆがむ感覚があり、‥俺は、目の前の少女の意識に入ることに成功した。
少女が振り向いて、俺を見る。
「‥綺麗な人。もしかして、神様? 私死んだの? 」
咄嗟にショックを受けた顔をしたものの、‥俺の顔を見て頬を染めた。
眠っているので分からなかったが、少女の瞳の色は茶色だった。
血の気の通った頬のため、目の前で微かに微笑んだ少女はベットで眠っている顔より幼く見えた。
‥人に会えてほっとしたのだろう。
直ぐに納得した俺は、少女に小さく頷くと、
「桜子とやら、お主の身体は無事であったが、‥魂と肉体が離れかけておる。このまま、魂と肉体が離れたら、主は死ぬ。‥だが、魂の傷が癒えれば、主の魂と身体が再び繋がれるよるであろう。‥普通は、その時間を肉体やら、‥運命は待ってはくれぬ。だが、私なら出来る。主の魂の傷が癒えるまで、主の身体と主の魂が完全に離れぬようにしてやろう」
‥驚かせない様に、‥絶望しないように‥まず一番言うべきであろうことを言った。
ちなみに、少女が俺を「神」だと思ってくれてるようだから、自分を「私」と言って、神っぽくする努力をしてみた。゚‥神が言ったなら、多少ぶっ飛んだ意見でも、すんなり受け入れられるだろう。
厳かに、゚‥驚かせないように゚‥だ。後ろ向きなこととか絶対、ダメ。
この今の魂が不安定な状態に、「死にたく」させたら‥マズイ。
なるべく、静かで優しい声をだす。
「貴方は? 」
少女は、‥でもそれ以前にまだ俺のことを認識すらできていないようだ。
‥ちょっと焦らせすぎたかもしれない。
だが、魂が絶望したら、‥肉体から離れてしまう。とにかく、「気を強く持て」と伝えて置かなければいけない。
今のところ‥絶望している様子は‥なさそうか?
「私は、サカマキ。こことは‥少し別の世界の最高位魔法使いだ」
俺は、先に自己紹介をすることにした。
名前を聞かれたのを無視するのも良くない。
しまった。さっき神っぽくしよう…って思ってたの忘れてた…。
「別の世界? 異世界ってこと? そこには、魔法があるの? 」
何故か、少女は目をキラキラさせて俺を見た。
‥よし、気にしてない! それどころか…元気そうでよかった。(注:テンションが上がっただけ、ともいう)
だが‥、元気そうと言えども、意識の状態で、色々しゃべるのは良くない。‥魂に傷がついている場合はなおさらだ。
「‥魔法はある。さあ、桜子。もうこれ以上しゃべるな。今無理をすれば、魂の傷が癒えるのが遅くなる。‥だから、黙って聞いてもらえないだろうか。そして、了承してくれるなら、頷いて欲しい」
は、っとした顔を一瞬見せて、桜子が黙ったまま頷く。
俺もそれを確認して頷く。
「私は、さっき言ったように最高位の魔法使いで、この世界で唯一、主の魂を守れるものだ。‥それは嘘ではない。だけど、私も、主の了承なしに、主に魔法をかけることは出来ない。分かったら、‥頷いてくれ。分からなかったら、首をかしげてくれんか。ちょっと理解されているか分からないと、‥つらい」
桜子が頷く。
了承、だ。
‥幼い様だが、理解が早くて助かる。
「これは‥でも、人助けではない。私は、主に頼みがあるのだ。それを聞いてくれるのであったら、私は主の魂を主が再びこの肉体とつながれるまで守ろう」
「‥願いって? 」
こてん、と少女が首を傾げる。
「しゃべるなと言っておろうに。‥なに、主が完全に目を覚ますのは、だいたい20年後だ。時々は、目を覚ますこともできるようになるのでも、あと、5年は最低でもかかるかの」
「‥! 」
少女が目を見開く。‥驚いたのだろう。
顔に総ての感情が出る。‥分かりやすいな。
「そんなに!? って顔だな。そう、そんなに、だ。そこでだ。その間、主の肉体を私に貸してほしいんだ」
「? 」
また、首をコテン。
これは、分かったぞ。「何? 」かな?
「うん。何。結婚して、子供を二人産むだけのことだ」
「!!!??? 」
‥おお。さらに驚いたな。
まあ、‥そうだろうな。
「正式には、‥子供として、二つの魂をこの世界に産み直す‥。頼む!! 大事な私の幼馴染たちなんだ!! 私のせいで‥私を庇って死んでしまって、なんとか魂だけは守ったが‥肉体は死滅させてしまった。‥あいつらに‥また再び会いたいんだ‥! 我が儘だって分かってる、だけど、‥あいつらがいなかったら私は‥」
あ‥涙が出て来た。
止まらない。
あの時の事、‥思い出してしまった。
胸の奥の、カツラギとフミカの魂が呆れた様な雰囲気になってる。‥そうだよな、泣き過ぎだよな。いい歳こいた大人が、みっともないよな‥。
目の前の少女も‥更に目を見開いている。
が、
「‥‥‥」
こくん。
無言で大きく頷いた。
え??
「いいのか? 」
‥自分で頼んだのだが、
‥いいのか?
俺がもう一度少女を見ると、今度は、もっと大きく少女が頷いてくれた。
そして、ニコリと微笑む。
ええ!?
「しゃべらして‥。いいよ。だって、私がこのまま死んでしまったら、きっとお母さんたち悲しむ。それに、‥そんなに誰かのためになることなんて、‥誰でもできることじゃないよね。私にだって人助けが出来るんだよね? 」
「桜子‥すまぬ。悪い様には絶対しないし、ご両親も大事にする。主の魂も守る」
もう、俺の涙は‥止まるはずはなかった。
もう、滝の様だ。
フミカが「ええ!! ちょっと、桜子ちゃん、もっと考えなって」っていってるのが、‥気配で分かる。時々、何言ってるのかわかるんだ。‥以心伝心って奴だろう。
「お願いね‥」
ふわり、と笑うと、少女の顔がすうっと消えかけた。
‥眠りにつくのだろう。
ちょっと気力を使わせすぎた。
次に目が覚めるのは‥5年後。それまで俺は、彼女の代わりに彼女に恥ずかしくない様な模範的な生活を送ることを、誓う!
「わかった‥! 」
消えかける少女に、俺は力強く声をかけた。
任せて置け!
と、
ふわ
「あ、あと、ちゃんと勉強していい成績取っておいてね? 」
最後にそんな声が聞こえた様な気がした。
え?
ああ、‥寝る間を惜しんで頑張るよ!!
応援ありがとうございます!
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