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24.僕をホントに「求めている」人
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僕は、勝手なことばっかり僕に要求するあの子に‥文句言って、「絶対無理! 」って伝えなきゃ! って思ったんだ。
‥でもね、伝えたらどうなる? って心配になった。
伝えても無駄ならまだいいんだ。「え~? だって、丁度タイミングよくあっちの世界で俊哉が死んだから連れて来たんだけど? ‥嫌なら、帰る? 実は死んでなかったってことにして」とか言われたら最悪だ。
あっちの世界に‥言っちゃなんだけどそんなに未練はない。
‥それよりなにより、クラシルさんのいるこの世界から‥僕は絶対に離れたくない。
そんなことを心配してたら‥あの子がいつの間にか横に居て、クスクス笑ってた。
草原のようなんだけど、草のにおいも感じられない空間だった。
草が時々揺れるんだけど、風が吹いているわけでは無い。
よくできた映像を見ているような‥そんな空間だった。
‥僕、いつの間にか寝ちゃってたんだ。
さっきまで洗濯物を畳んでたのに‥。
きっと、あの子が僕を「呼んだ」んだろう。
ビクッとなった。
僕は必死に起きよう‥夢から覚めようとしたけど、そういう方法ってあるんだろうか? また考え込んでいたら、あの子は
「俊哉ってホントに面白いわねぇ」
って今度はお腹がよじれそうになる程大笑いした。
「失敗かあ。せっかく利害が一致したって思ったのに。
‥いくら私でも、要求がない所に無理に品物を届けるようなことは出来ないわ。
というか、要求があれば多少の無理は通るの。‥私って正体は明かせないけど‥結構凄いのよ? 」
って言う。
正体は明かさないんだ「多分神様でしょ」って分かるけど‥そういえばこの子が名乗ったわけでは無い。
僕と王子が勝手にそう予想しているだけなんだ。
僕はあえてそのことには触れないことにして
「誰と誰の利害? 君と僕? 」
って‥別に興味が無いけど聞くと、その子は
「え~? 私は関係ないわよ? 」
って苦笑いした。
「私は関係ないの。
王子の願いを叶えたかったの。王子はずっと一人で孤独だったから、‥あの子口では気にしてないって言いながら、ずっと誰かに愛されたいって思ってたの。‥それが可愛そうでね。
だけど、この国でその相手を探すのは難しいかなって‥。それでたまたま別の世界を見てたら、俊哉を見つけたの。
この子ならって思った。
‥でも、まさかこんなことになるとはねぇ。
また探し直しってことになるわけだけど‥そういうわけには‥なかなかいかないのよね。
‥貴方が、クラシルと別れて王子と結婚してくれたらそれが一番いいんだけど‥そんなわけにはいかないでしょう? 」
あの子がちょこんと首を傾げる。
無邪気に「ダメ? 」って子供がもう一つお菓子をねだる位に‥軽い口調でだ。
「ならないよ! 」
僕はちょっと食い気味に断った。
何を言ってるんだ!
思ってる以上に僕は怒ったらしい。自分の声が自分が思ったよりもキツクって、ちょっと驚いた。
あの子は苦笑いして
「定員があるとかじゃないけど、誰でも彼でも呼ぶわけにはいかないわけでしょ? 世界の法に触れるっていうか‥」
って小声で言ったそれは、拗ねてるようで、言い訳の様で‥その子の正体が神様って分かってる僕にも‥ただの小さな女の子にしか見えなかった。
だけど、ふうと小さく息をついて一度小さく深呼吸して、その子は一度俯いて息を整え、やがて決心したように顔を上げ、僕の顔を正面からしっかり見た。
改まってどうしたというんだ?
「そこで、よ。
今度は貴方にどうしても会いたい人間をあっちの世界から呼ぶわ。
貴方がいなくなって悲しくて悲しくて仕方ない子。それこそ‥貴方を追いかけて死んでしまいたいって思ってるくらいにね。きっと、貴方に会えるって言ったら、ここに来るわ!
その子には‥はじめは夢を見てる形で‥ここでお試しで暮らしてもらう。それで、うまいこといったら‥その子もここで暮らしてもらう。そのままずっと! ‥その子にもあっちの世界では死んでもらうことになるけど。その子も貴方や‥愛する人がいるこの世界の方がいいに決まっているわ!
それでどうかしら? 」
って言ったんだ。
どうかしらって‥なに?!
いいわけがない。聞かれるまでもない。
「うまく行くってどういうこと?! 」
その子と僕の恋愛成就を願ってるの?! 僕が神様の思い通りに動かなかったからその腹いせに? 僕とクラシルさんも破局したらいいのにってこと!? なんでそんなひどいことを言うんだ!
でも、思い通りになんてさせないからね!? 僕はそんな気はない。僕の絶対に気持ちは変わらないだから!
憤る僕に、その子はポカンって表情をした。その後苦笑いして
「その子は貴方に対して恋愛感情なんてないわ。それこそ、これっぽっちも」
って‥呆れ口調で言った。
「貴方のこと、死にたいほど好きな子‥誰か覚えある? 」
‥ない。ないけど‥わざわざ言わなくていいじゃないか!! ‥そうか、やっぱりそんな子はいないんだ。そりゃ‥いないよね。
僕はもう‥苦笑いするしかない。‥なんか、恥ずかしい。
「わざわざ関係を複雑にしてどうするのよ。
貴方はここにその子をおびき寄せるただのエサよ。私はね、その子に王子と一緒になって欲しいの」
‥エサって言ったよ‥。
「ああ‥間違えた。
ええと‥貴方に会いたくて仕方なかったその子が、ひょんなことでこの世界に迷い込んで来て‥たまたま王子に会うの。‥私的にはそのまま恋に発展してくれたらいいなって‥そういうロマンスを期待してるの」
‥恋愛脳か。
ちょっとヤバい人だよね。
「‥君は何の神様なの? ロマンスの神様か何かなの? 」
って‥ちょっとドン引きした僕が聞くと、その子は「え~? 神様ってバレちゃった感じ~。やっぱり、普通の服着てても高貴さとかは隠せないかなあ~」なんて‥ホントどうでもいいことを言って、照れる。
「私は、愛の女神よ」
‥うん、やっぱりね。
って思ってたら‥
その子は、に‥と口元にさっきとは違う‥黒い微笑を浮かべた。
「‥なんてね」
「何の神様って‥
神は一人じゃない。何を言ってるの?
私は、ただ、神なの」
‥でもね、伝えたらどうなる? って心配になった。
伝えても無駄ならまだいいんだ。「え~? だって、丁度タイミングよくあっちの世界で俊哉が死んだから連れて来たんだけど? ‥嫌なら、帰る? 実は死んでなかったってことにして」とか言われたら最悪だ。
あっちの世界に‥言っちゃなんだけどそんなに未練はない。
‥それよりなにより、クラシルさんのいるこの世界から‥僕は絶対に離れたくない。
そんなことを心配してたら‥あの子がいつの間にか横に居て、クスクス笑ってた。
草原のようなんだけど、草のにおいも感じられない空間だった。
草が時々揺れるんだけど、風が吹いているわけでは無い。
よくできた映像を見ているような‥そんな空間だった。
‥僕、いつの間にか寝ちゃってたんだ。
さっきまで洗濯物を畳んでたのに‥。
きっと、あの子が僕を「呼んだ」んだろう。
ビクッとなった。
僕は必死に起きよう‥夢から覚めようとしたけど、そういう方法ってあるんだろうか? また考え込んでいたら、あの子は
「俊哉ってホントに面白いわねぇ」
って今度はお腹がよじれそうになる程大笑いした。
「失敗かあ。せっかく利害が一致したって思ったのに。
‥いくら私でも、要求がない所に無理に品物を届けるようなことは出来ないわ。
というか、要求があれば多少の無理は通るの。‥私って正体は明かせないけど‥結構凄いのよ? 」
って言う。
正体は明かさないんだ「多分神様でしょ」って分かるけど‥そういえばこの子が名乗ったわけでは無い。
僕と王子が勝手にそう予想しているだけなんだ。
僕はあえてそのことには触れないことにして
「誰と誰の利害? 君と僕? 」
って‥別に興味が無いけど聞くと、その子は
「え~? 私は関係ないわよ? 」
って苦笑いした。
「私は関係ないの。
王子の願いを叶えたかったの。王子はずっと一人で孤独だったから、‥あの子口では気にしてないって言いながら、ずっと誰かに愛されたいって思ってたの。‥それが可愛そうでね。
だけど、この国でその相手を探すのは難しいかなって‥。それでたまたま別の世界を見てたら、俊哉を見つけたの。
この子ならって思った。
‥でも、まさかこんなことになるとはねぇ。
また探し直しってことになるわけだけど‥そういうわけには‥なかなかいかないのよね。
‥貴方が、クラシルと別れて王子と結婚してくれたらそれが一番いいんだけど‥そんなわけにはいかないでしょう? 」
あの子がちょこんと首を傾げる。
無邪気に「ダメ? 」って子供がもう一つお菓子をねだる位に‥軽い口調でだ。
「ならないよ! 」
僕はちょっと食い気味に断った。
何を言ってるんだ!
思ってる以上に僕は怒ったらしい。自分の声が自分が思ったよりもキツクって、ちょっと驚いた。
あの子は苦笑いして
「定員があるとかじゃないけど、誰でも彼でも呼ぶわけにはいかないわけでしょ? 世界の法に触れるっていうか‥」
って小声で言ったそれは、拗ねてるようで、言い訳の様で‥その子の正体が神様って分かってる僕にも‥ただの小さな女の子にしか見えなかった。
だけど、ふうと小さく息をついて一度小さく深呼吸して、その子は一度俯いて息を整え、やがて決心したように顔を上げ、僕の顔を正面からしっかり見た。
改まってどうしたというんだ?
「そこで、よ。
今度は貴方にどうしても会いたい人間をあっちの世界から呼ぶわ。
貴方がいなくなって悲しくて悲しくて仕方ない子。それこそ‥貴方を追いかけて死んでしまいたいって思ってるくらいにね。きっと、貴方に会えるって言ったら、ここに来るわ!
その子には‥はじめは夢を見てる形で‥ここでお試しで暮らしてもらう。それで、うまいこといったら‥その子もここで暮らしてもらう。そのままずっと! ‥その子にもあっちの世界では死んでもらうことになるけど。その子も貴方や‥愛する人がいるこの世界の方がいいに決まっているわ!
それでどうかしら? 」
って言ったんだ。
どうかしらって‥なに?!
いいわけがない。聞かれるまでもない。
「うまく行くってどういうこと?! 」
その子と僕の恋愛成就を願ってるの?! 僕が神様の思い通りに動かなかったからその腹いせに? 僕とクラシルさんも破局したらいいのにってこと!? なんでそんなひどいことを言うんだ!
でも、思い通りになんてさせないからね!? 僕はそんな気はない。僕の絶対に気持ちは変わらないだから!
憤る僕に、その子はポカンって表情をした。その後苦笑いして
「その子は貴方に対して恋愛感情なんてないわ。それこそ、これっぽっちも」
って‥呆れ口調で言った。
「貴方のこと、死にたいほど好きな子‥誰か覚えある? 」
‥ない。ないけど‥わざわざ言わなくていいじゃないか!! ‥そうか、やっぱりそんな子はいないんだ。そりゃ‥いないよね。
僕はもう‥苦笑いするしかない。‥なんか、恥ずかしい。
「わざわざ関係を複雑にしてどうするのよ。
貴方はここにその子をおびき寄せるただのエサよ。私はね、その子に王子と一緒になって欲しいの」
‥エサって言ったよ‥。
「ああ‥間違えた。
ええと‥貴方に会いたくて仕方なかったその子が、ひょんなことでこの世界に迷い込んで来て‥たまたま王子に会うの。‥私的にはそのまま恋に発展してくれたらいいなって‥そういうロマンスを期待してるの」
‥恋愛脳か。
ちょっとヤバい人だよね。
「‥君は何の神様なの? ロマンスの神様か何かなの? 」
って‥ちょっとドン引きした僕が聞くと、その子は「え~? 神様ってバレちゃった感じ~。やっぱり、普通の服着てても高貴さとかは隠せないかなあ~」なんて‥ホントどうでもいいことを言って、照れる。
「私は、愛の女神よ」
‥うん、やっぱりね。
って思ってたら‥
その子は、に‥と口元にさっきとは違う‥黒い微笑を浮かべた。
「‥なんてね」
「何の神様って‥
神は一人じゃない。何を言ってるの?
私は、ただ、神なの」
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