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四章.入れ替わり
4.四朗の修学旅行
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「四朗。修学旅行行かないだろ? 」
武生が机の上に置かれた修学旅行のお知らせを取り上げながら言った。
修学旅行のお知らせだったのか。さっき配られた紙。
見もしてなかった。
‥あ~、ぼ~っとしてた。昨日手紙の一気見したからなあ‥
とか思いながら、凝り固まった肩を上げ下げする。
「お疲れ? 四朗」
前の席の奴が揶揄ってくる。
俺は「いや‥寝違えたかも」とか胡麻化して‥武生を見た。
武生は、まだ例の紙を持ったままだ。
ああ‥そうか修学旅行の話してたっけ。
修学旅行の出欠。
「ん? そうだね」
欠席だよね。
と、
頷いては見たものの
行かないの?
行けないの?
首を傾げてしまった。そういえば、今まで旅行っていかない前提で断って来たけど、修学旅行も?
なんか、それは‥ちょっと‥
それはちょっと、悲しいかも。
でも何だか武生が言うように、行ってはいけない気もする。何故だかわからないけれど。
「他の奴と相部屋が嫌なんだたら、‥個人部屋取ったらいいんじゃない? 俺も取るし」
相崎? いつの間に来たんだ?
ってか‥お前が普通の話するとか‥なんか意外。
いつもだったら、ろくに話しかけてこないのに。
俺は首を傾げる。
相崎の考えは、こうだ。
四朗(の影武者)は、姿かたちはそっくりだけど、女の子だ。
だから、今まで旅行なんか参加してこなかった。きっと今回もそうだろう。
だけど‥
俺がフォローしてあげたら、何とかなるんじゃない?
‥してあげてもいい。
だって、俺は女の子皆に優しい相崎様だから!
「ん? 」
俺はさらに首を傾げる。
相部屋が嫌って話なんてしたか? 俺が? ‥相崎に??
誤解しちゃ、ダメだ。
女の子だから優しくするだけで、全然四朗似のガタイのいい俺と背丈が変わらない女の子は‥興味ない。
ごめんな。
惚れないでね‥。
そんなことを思った相崎。
と、ふと気づいた。
もしかして、武生も知っているのか?
ここにいるのが、四朗ではなく、四朗の影武者だってこと‥。
知っているから、いつも四朗にべったりなのか? べったりついて‥守ってるのか? 女の子には優しく‥確かに武生もそういう奴だった。(四朗(本物)の教えに従って)
じゃなかったら‥もしかして、恋‥記憶喪失になった四朗を気遣ううちに恋に‥
‥いや、変なこと想像するのはやめよう。気持ち悪い。
武生と四朗‥とかキモチワルイしかない。
‥知っていると考えるのが、自然か。
いつも一緒にいるしな。
でも‥知ってるか? なんか、引っかかるんだよなあ‥。何かが‥。
‥まあ‥いいや。
どうせいろいろ考えても分からないし、‥考えるのやめよう。
「個人部屋だったら、個人風呂が部屋についてるから、恥ずかしくないだろ? 」
相崎はさっきから頭の中で展開している、とんでもない仮説(武生と四朗のBL)をとにかくわきに置いて言葉を続けた。
「まあ、そうだけど‥」
答えたのは、武生。
なんだ? お前、俺のマネージャーか?
目を白黒させたのは、四朗。
そして、目を白黒させた四朗に驚く相崎。
ん? なぜ、お前が驚く??
武生はお前の秘密をフォローする役割なんだろ?? だったら、武生が四朗に変わってそう言ってもおかしくないんじゃないの??
あれか? 「いやいや、お前が言っちゃダメだろ。不自然だろ」って感じで‥胡麻化すためにそういう演技した?? いや、演技じゃなかった。あれは、普通に「なんでお前が言うんだ? 」って驚いた感じだった。
どういうこと??
武生 秘密を知ってて四朗のフォローをしてる。
四朗(影武者) 武生に秘密を知られて、フォローされてるって気付いてない。
ってこと?? そんなこと‥ある??
しかも、武生のフォローの仕方‥なんか‥違和感あるんだよな。
可哀そうな女の子のフォローをしてます。
そんな感じじゃないんだよなあ‥。
じゃあどんな感じだって??
‥ダメだ。頭がパンクしそう。
相崎は、奇異なものを見るように二人を見た。
「だけどなあ‥」
と‥また武生が言葉を濁す。
「俺は行きたいけど? 」
個人部屋なら大丈夫な気がするし!
そんな武生に首を傾げた俺は‥
何故か次の瞬間、机にたたきつけられていた。
殴ったのは‥
武生。
お前は黙ってろオーラを全身にまとった武生が俺を睨んでいる‥。
そうそう、これこれ。この扱い。
平常運転の武生の四朗に対する扱い。
女の子にこんな扱いする??
相崎の背中に冷や汗が流れた。
「いてて‥」
頭をなぜながら、起き上がる四朗。
お前も、慣れ切っているな。
相崎は「これこれ。全然女の子に対する扱いじゃないんだよな」って思う。
そう、つまり、
武生は四朗の「なんかの」秘密を知っててフォローしてるけど‥四朗の影武者が女の子だって事を知らない。
ってこと!
つまり、四朗(影武者)が女の子だってこと、気付いてるのは俺だけで、「正しく」フォローしてあげられるのは‥俺だけってことなのか‥。
色々分かってきたぞ。
四朗と四朗(影武者)がいる。
四朗(影武者)が身代わりで学校に来ていることを知っているのは、武生だけ。(武生にきっと相生の誰かが頼んだんだろう)だけど、武生には身代わりが女の子だってことは教えていない。なぜか。それを教えたら、きっと武生は男に対するように気安く対応できないだろうから‥。
そしたら、バレるかもしれないから。
記憶喪失「設定」も、その時の保険。いざとなったら「覚えてない」って言えばいいから‥。
四朗(本物)はどうしても本人じゃなきゃいけない(身体検査等)以外、あまり学校にも来ていないのかもしれない。
本物の四朗は‥相生の仕事で海外に行ってるってわけだ。で、出席日数足りなくなるから、代わりに授業を受けているのは、見た目もそっくりな親戚の女の子‥。
完璧だ! 完璧すぎる!!
俺‥天才過ぎる‥!
でも、だとしたらさっきの「俺は行きたいけど」発言。あれは、身代わりとして言ってはダメなセリフじゃないか? 自らばれる危険を呼び寄せてどうする。
‥つい本音が出ちゃって、武生に容赦なく駄目出しされたのかな?
それとも、旅行は本物の四朗が行くってことかな。
だから、身代わりさんは行くってことだけ、周りにアピールする役‥。
それって、かわいそうじゃない?
しんどいことは身代わりの四朗で、楽しいことは四朗の本物。
実に、おかしいじゃないか!
勝手な仮定で勝手に憤りを感じる相崎だった。
武生が机の上に置かれた修学旅行のお知らせを取り上げながら言った。
修学旅行のお知らせだったのか。さっき配られた紙。
見もしてなかった。
‥あ~、ぼ~っとしてた。昨日手紙の一気見したからなあ‥
とか思いながら、凝り固まった肩を上げ下げする。
「お疲れ? 四朗」
前の席の奴が揶揄ってくる。
俺は「いや‥寝違えたかも」とか胡麻化して‥武生を見た。
武生は、まだ例の紙を持ったままだ。
ああ‥そうか修学旅行の話してたっけ。
修学旅行の出欠。
「ん? そうだね」
欠席だよね。
と、
頷いては見たものの
行かないの?
行けないの?
首を傾げてしまった。そういえば、今まで旅行っていかない前提で断って来たけど、修学旅行も?
なんか、それは‥ちょっと‥
それはちょっと、悲しいかも。
でも何だか武生が言うように、行ってはいけない気もする。何故だかわからないけれど。
「他の奴と相部屋が嫌なんだたら、‥個人部屋取ったらいいんじゃない? 俺も取るし」
相崎? いつの間に来たんだ?
ってか‥お前が普通の話するとか‥なんか意外。
いつもだったら、ろくに話しかけてこないのに。
俺は首を傾げる。
相崎の考えは、こうだ。
四朗(の影武者)は、姿かたちはそっくりだけど、女の子だ。
だから、今まで旅行なんか参加してこなかった。きっと今回もそうだろう。
だけど‥
俺がフォローしてあげたら、何とかなるんじゃない?
‥してあげてもいい。
だって、俺は女の子皆に優しい相崎様だから!
「ん? 」
俺はさらに首を傾げる。
相部屋が嫌って話なんてしたか? 俺が? ‥相崎に??
誤解しちゃ、ダメだ。
女の子だから優しくするだけで、全然四朗似のガタイのいい俺と背丈が変わらない女の子は‥興味ない。
ごめんな。
惚れないでね‥。
そんなことを思った相崎。
と、ふと気づいた。
もしかして、武生も知っているのか?
ここにいるのが、四朗ではなく、四朗の影武者だってこと‥。
知っているから、いつも四朗にべったりなのか? べったりついて‥守ってるのか? 女の子には優しく‥確かに武生もそういう奴だった。(四朗(本物)の教えに従って)
じゃなかったら‥もしかして、恋‥記憶喪失になった四朗を気遣ううちに恋に‥
‥いや、変なこと想像するのはやめよう。気持ち悪い。
武生と四朗‥とかキモチワルイしかない。
‥知っていると考えるのが、自然か。
いつも一緒にいるしな。
でも‥知ってるか? なんか、引っかかるんだよなあ‥。何かが‥。
‥まあ‥いいや。
どうせいろいろ考えても分からないし、‥考えるのやめよう。
「個人部屋だったら、個人風呂が部屋についてるから、恥ずかしくないだろ? 」
相崎はさっきから頭の中で展開している、とんでもない仮説(武生と四朗のBL)をとにかくわきに置いて言葉を続けた。
「まあ、そうだけど‥」
答えたのは、武生。
なんだ? お前、俺のマネージャーか?
目を白黒させたのは、四朗。
そして、目を白黒させた四朗に驚く相崎。
ん? なぜ、お前が驚く??
武生はお前の秘密をフォローする役割なんだろ?? だったら、武生が四朗に変わってそう言ってもおかしくないんじゃないの??
あれか? 「いやいや、お前が言っちゃダメだろ。不自然だろ」って感じで‥胡麻化すためにそういう演技した?? いや、演技じゃなかった。あれは、普通に「なんでお前が言うんだ? 」って驚いた感じだった。
どういうこと??
武生 秘密を知ってて四朗のフォローをしてる。
四朗(影武者) 武生に秘密を知られて、フォローされてるって気付いてない。
ってこと?? そんなこと‥ある??
しかも、武生のフォローの仕方‥なんか‥違和感あるんだよな。
可哀そうな女の子のフォローをしてます。
そんな感じじゃないんだよなあ‥。
じゃあどんな感じだって??
‥ダメだ。頭がパンクしそう。
相崎は、奇異なものを見るように二人を見た。
「だけどなあ‥」
と‥また武生が言葉を濁す。
「俺は行きたいけど? 」
個人部屋なら大丈夫な気がするし!
そんな武生に首を傾げた俺は‥
何故か次の瞬間、机にたたきつけられていた。
殴ったのは‥
武生。
お前は黙ってろオーラを全身にまとった武生が俺を睨んでいる‥。
そうそう、これこれ。この扱い。
平常運転の武生の四朗に対する扱い。
女の子にこんな扱いする??
相崎の背中に冷や汗が流れた。
「いてて‥」
頭をなぜながら、起き上がる四朗。
お前も、慣れ切っているな。
相崎は「これこれ。全然女の子に対する扱いじゃないんだよな」って思う。
そう、つまり、
武生は四朗の「なんかの」秘密を知っててフォローしてるけど‥四朗の影武者が女の子だって事を知らない。
ってこと!
つまり、四朗(影武者)が女の子だってこと、気付いてるのは俺だけで、「正しく」フォローしてあげられるのは‥俺だけってことなのか‥。
色々分かってきたぞ。
四朗と四朗(影武者)がいる。
四朗(影武者)が身代わりで学校に来ていることを知っているのは、武生だけ。(武生にきっと相生の誰かが頼んだんだろう)だけど、武生には身代わりが女の子だってことは教えていない。なぜか。それを教えたら、きっと武生は男に対するように気安く対応できないだろうから‥。
そしたら、バレるかもしれないから。
記憶喪失「設定」も、その時の保険。いざとなったら「覚えてない」って言えばいいから‥。
四朗(本物)はどうしても本人じゃなきゃいけない(身体検査等)以外、あまり学校にも来ていないのかもしれない。
本物の四朗は‥相生の仕事で海外に行ってるってわけだ。で、出席日数足りなくなるから、代わりに授業を受けているのは、見た目もそっくりな親戚の女の子‥。
完璧だ! 完璧すぎる!!
俺‥天才過ぎる‥!
でも、だとしたらさっきの「俺は行きたいけど」発言。あれは、身代わりとして言ってはダメなセリフじゃないか? 自らばれる危険を呼び寄せてどうする。
‥つい本音が出ちゃって、武生に容赦なく駄目出しされたのかな?
それとも、旅行は本物の四朗が行くってことかな。
だから、身代わりさんは行くってことだけ、周りにアピールする役‥。
それって、かわいそうじゃない?
しんどいことは身代わりの四朗で、楽しいことは四朗の本物。
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