リバーシ!

文月

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十九章 「皆が望むハッピーエンド」

13.不安なら調べるしかない ②

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「確かに‥不思議だ。
 それも個人差があってもおかしくないはずだよね‥」
 ヒジリが首を傾げた。
「‥どころか、日常生活にさほど魔力を使わない‥とか、自然回復で補えるなら充電が要らないってリバーシもいるんじゃないか? 」
 ミチルも首を傾げる。
 そんな二人にナラフィスは満足げに微笑むと、
「そう思うだろ? 」
 って言った。そして、うっそりと微笑むと
「だけど、そうじゃない。リバーシは皆充電が必要だ。
 その理由は
 ① そういう生活習慣が出来ている。
 と、もう一つ、もっと人間らしい理由‥
 ② 身体と脳を休ませるため、だ」
 と付け加えた。
 そんな‥ナラフィスが日常しない様なゾクっとする様な‥色気のある表情をしたもんだから‥ヒジリと(別な意味で)ミチルはゾワッとした。
 ‥わあ‥流石新婚さん‥(← ?)
 って(うっかり)頬を染めたのはヒジリで、
 ‥ゾワッとした‥
 って鳥肌を立てたのはミチルだ。
 ‥男の色気とか‥ホラーでしかないよな‥
 生理的に受け付けなかったミチルはナラフィスからそっと視線を外した。
 なんでナラフィスがそんな顔したかって? 別に二人に色気を振りまこうって気なんか勿論ない。アレだ。
 ‥研究楽しい‥
 って思わず恍惚としちゃっただけだ。(変態的な研究狂だから)

「絶対必要ってことは‥つまり、ある人の充電の内容‥充電の内容って言い方が正しいかどうかはわかんないけど‥まあそういうもんの濃さは「充実してます」って感じなのに、ある人の充電の濃さは「カッスカス」ってこと?」
 ヒジリはナラフィスと目を合わせないようにしながら言った。
 ‥見たら、またゾワッとしちゃいそうだし。
「そういうこと」
 ナラフィスは何時もの表情に戻してさらっと言った。
 それを雰囲気で感じ取って、ミチルとヒジリはほっとして、肩の力を抜いた。
「ああ、眠りが浅い的な感じ? 」
 なるほどねってミチルが頷くと
「そういう感じ」
 ナラフィスも頷く。

 眠りもしない者たちが眠りについて語る不毛さよ‥。

 サラージはそんな三人を見ながら苦笑いした。
 サラージはこの話に入らないのかって? サラージはこういう話をナラフィスと普段からする時間があるし、ナラフィスの論文なら全部目を通してるから、今更ここで学ぶことなんてないんだ。
 だけど、聞いてる。
 地球組の意見は興味があるから。
「例えば充電の内訳が脳の休息8 魔力の回復2 って感じとする。‥ちなみにこの割合に根拠はない。例えばの話だから、聞き流してもらえると助かる。
 つまり、そういう割合だっとして、だ。
 魔力の回復が要らないよ~ってなった時、魔力の休息分の2も脳の休息に加わって脳の休息が10になる‥ってなるのか、もしくは、魔力の回復分の2が別のことに使われるのかって話。君たちはどう思う? この2の存在」
 ナラフィスが紙に8とか2とか10とかの数字を描きながら説明を始め、そこにいた三人のリバーシに意見を求めた。サラージは急に話を振られて、多少驚いた表情を見せたが、何も言わずに地球組と一緒にその紙を覗き込んだ。
「何って‥」
 サラージが「ナラフィスの論文に書いてあったこと」を言おうとした時、
「思ったんだけど‥俺たちの充電状態って普通の睡眠のノンレム睡眠って状態だってこと? 」
 ヒジリがミチルにこそっと聞いた。サラージがヒジリを見る。ヒジリはサラージに見られたことを気にすることなく(気付いていなかったかもしれない)ミチルの返答を待っている。ミチルは
「俺も思ったけど‥そもそも、それを確認する術はないよな。脳波を調べたら分かるんだろうけど‥俺はあの状態の自分の身体を他人に調べられるのは嫌だ」
 って、小声で返し露骨に嫌そうな表情をした。ヒジリも「それな‥」って小さくため息をつきながら頷くと
「そもそも、俺たちにはそういうのは‥当てはまらない気もするな」
 って付け加えた。
 それに対して「そうでもないと思うぞ」って言ったのはナラフィスだ。
 ヒジリとミチルがナラフィスを見る。
「僕も地球で眠りについての本や論文は読んだ。凄く興味深かった。だけど、調べる手段がない。
 僕の場合、裏の時間で地球に行っているだけ‥つまり「意識体」だから、脳波を調べることは出来ないだろ? でも、多分調べたら同じような結果になるんじゃないかなって思う。あの機械をこっちに持ってこれたらいいんだけど‥(← 無茶を言う)
 ちょうど、夢をみた記憶がない状態と同じじゃないかな。
 記憶は残らないけれど、脳は他の人間と同じようにノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返し、記憶の整理を行ってるんだと思う。‥人間である以上ね」
 それを聞いたヒジリは目を見開き、ミチルはあからさまに「ホントか~? 」って顔をしている。
 信じられないのは、ホントだけど‥
「‥でも‥まあ、俺たちも人間なわけだし‥そう‥なのかな? 」
 二人は「そういうことだと思おう」って無理やり自分の中で消化させる。
「だけど、普通の人間とは確かに違うし、充電期間にしていることも普通の人間とはちょっと違う。そのプラスαの分が2割部分ってことだな」
 今まで黙って話を聞いていたサラージが口を開いた。
 今度は全員の視線がサラージに集まる。
「普通の人間の睡眠時の状態とリバーシの充電時どう違うか。
 普通の人間は、体温がある。だけど、リバーシにはない。正確に計ったことはないが、極端に低い。冷凍保存状態だ。
 リバーシがその2割をすることによって体温を奪われるているのか、はたまた身体を冷やす必要があるのか。
 ‥どちらかは分からないが、充電時の身体が常時冷たいのであったら、2割の力が通常の睡眠(8割の脳の休息)に使われているってことではない‥と仮定できないか? 」
 サラージがヒジリを見る。
 ヒジリは
「‥確かに? 」
 と首を傾げる。
「何に使われているか。リバーシと普通の人間は何が違うか」
 サラージが今度はミチルを見る。ミチルは「学校の先生に指名されたみたいだな」って呟いて
「‥裏の時間が存在する? 」
 苦笑いしながら答える。
「それに使ってるんだろ? 魔力の回復が必要ない場合は」
 え? だって‥リバーシである限り「どんなリバーシでも(リバーシなら誰でも)」「いつでも」裏の時間はあるんだろ?  
 って目でナラフィスを見ると、ナラフィスが小さく首を振った。
 ええ!? そうなの!?
 どんなリバーシでも、いつでも裏の時間があるわけじゃないの?! 
 ヒジリは目を見張り驚いたが、ミチルは「なるほどなあ‥」と呟くと
「‥魔力枯渇状態だと、まるで眠ってる時かのように‥裏の時間もなしに朝を迎えることがある‥ってそういうことか。確かに、子供の頃は‥眠れないのは変わらないが、ここに来れなかったな。ここどころか、どこにも行けなかった」
 妙に納得って顔で頷いた。

 子供の頃のリバーシはどこにも行けない‥。
 だけど、子供の頃ミチルは‥
 「飛ばされて」カタルに出会った。
 ‥だけど、これって‥ミチルの意思じゃない。
 子供の頃(や、魔力操作が苦手な者)は「裏の時間」を「自分の思う様に」使うことが出来なくて、リバーシにとって「飛ばされやすい‥比較的安全が確保された場所」に飛ばされる。 
 魔力が少ない場合や、魔力の回復に全ての力を使ってしまい、裏の時間に割く魔力が無い場合は「飛ばされる力すらない」
 だから
「リバーシの中にも、裏の時間がない人がいるってこと‥? 」
 ヒジリは目を見開いてナラフィスを見た。
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