リバーシ!

文月

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十二章 ヒジリと地球の仲間たち

9.お后教育的な? (ヒジリに言ったら絶対怒られるから言わないけど) 

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(side ヒジリ)


「いい機会だから、ヒジリに「王族の勤め」って話をするね。
 ‥この国の仕組みって言った方が正しいかな? 」
 ナラフィスさんがにやり、と笑った。
「いえ、聞きたくないです」
 って俺の返事ってか‥心からの叫びは、スルーだ。
 ‥聞きたくないのに、話は続けられる。

 はい、これ以上「知らずに話してしまう」ことを避けるためですね。

 俺は、もうしぶしぶ‥(いやいや)頷く。
 そのことにナラフィスさんは満足げに頷くと、(話が長くなるのか)俺に着席を勧め、自身も俺の向かいの椅子に座った。
 ナラフィスさんは、自分で紅茶を用意してくれた。

 ‥本格的に長くなる奴やん?

 俺は諦めて、ナラフィスさんにお礼を言って紅茶に口をつけた。
 ナラフィスさんの紅茶は、やたら苦かった。
 ‥なに、どうやったらこんなに渋く苦く出せる。あれかな? 同僚(リバーシじゃない)を寝かさない為、とかなのかな?
 ナラフィスさんも紅茶に口をつけ、思いっきり顔をしかめた。「紅茶、初めて入れたんだが‥適当に淹れたらマズいな」小声で呟いたんだろうが、聞こえてるぞ!! 
 俺と目が合うと、にや、っと笑い俺の分と自分の分の紅茶を流しに流しに行き、そして、まるではじめっから何も無かったかのように「じゃあ、始めます」ってゆったりと微笑んだ。
 ‥何もなかったことにすればいいんですね。分かりました。(口は苦いままだけどね)

「王は、この国を運営するマスターだ。そして、王族はそれを補佐するスタッフのまとめ役だね。
 じゃあ、スタッフはどういう人たちかというと‥。ヒジリ君、解りますか? 」
 今度は何だ、急に‥。学校ごっこか?
 俺はしぶしぶその変なノリに付き合うことにした。
 ‥反論とかしたら、話が長くなるから。
「大臣さんとか? 」
 取り敢えず答えた。
 けど‥答えは勿論自信なし!
 王の補佐は、‥大臣とかで合ってる? 俺、そういうのよくわかんないんだけど‥。
「半分外れ! スタッフは、リバーシや魔法使いといった特別な能力を持った人たちです。大臣たちも皆そういう特別な能力持ちだから、半分はあたりですね」
 ふふ、ってナラフィスさんの笑顔がむかつく。
 だから
「ナラフィスもスタッフなんですか? 」
 先生とか言ってやった。
「そうですね。末端のスタッフですね」
 白々しい「先生」攻撃にも‥ナラフィスさん全然こたえてない。
 もういいや、普通にしよう。
 それよりも‥
「末端? 」
 王子たちのご学友で、城に研究室も持ってるのに??
「じゃあ、大臣が上司? 」
 ‥そりゃ大臣の方が偉いよね?
 俺が首を傾げると、ナラフィスさんはゆったりと首を振って否定する。
「大臣も末端のスタッフです」
 大臣も、末端???
 どういうこと??
「大臣が末端だったら、誰がメインのスタッフなんですか? 」
 もう、頭が「ハテナ」だらけの俺。
「白と黒のインフルエンサーです」
 さらに、俺のハテナを増やしていくナラフィスさん。
 しかも、にっこりと笑ってる。
 「よくぞ聞いてくれました」って顔、ウザい。
 ほんと、今日のナラフィスさん、話し方とか含めて全部ウザい。
「白と黒のインフルエンサー? 何ですか、それ」
 分からない言葉ばっかりだし。
 若干イライラしながら‥でも聞いた後、「もしかして、これ常識か? 聞いたら恥ずかしい系の奴か? 」って思ったり。だけど、‥まあ、俺は記憶喪失だから‥。この国の常識とか、知らないし‥。って無理やり自分に言い聞かせて‥納得してみたり。
 ちらっとナラフィスさんをみると、ナラフィスさんはちょっと真顔になって、
 ‥ちょっと俺に顔を寄せ来た。
 なに、近い。怖い。
 耳に唇が触れるくらいの距離。
 ‥なに、内緒話ですか? 

 内緒話は‥好きじゃないですよ? (絶対ろくな事ないから)
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