リバーシ!

文月

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三章 ヒジリとミチルの「夜の国」

11.ミチルと‥急接近?

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(side ヒジリ)


「‥お前、なんでそうナツミを敵認識しようとするんだ。なにかナツミに恨みでもあるのか?! 凝り固まった思想は正しい判断思考の妨げになるってわからないわけでもないだろう?! 」
 俺は‥
 キレた。
 この温和な俺をキレさせるってなかなかないぞ?!
 怒ること位は普通にあるけど、俺は普段そうそうキレない。
 その俺が、今、完全にキレている。

「ヒジリこそ、可笑しいぞ!? 
 なんでそこまでナツミを庇うんだ! そりゃあ‥友達だからそう思いたいってのは分かるけど、固定概念で本質まで見失いそうなレベルの狂信っぷりだぞ!? ってか、洗脳でもされてるのか? って疑うレベルだぞ!? 」
 ミチルは‥
 相変わらずのあきれ顔だ。
 ‥相手にもしてないって感じ。
 いや、俺キレてるから。
 普段穏やかな人がキレると怖いから。

「二人とも落ち着いて。
 ミチルは言い過ぎだけど、‥ヒジリもちょっとナツミは味方っていう考えをちょっと置いて置こう。
 純粋に事実だけを整理しよう。
 まず、
 あの時の‥ヒジリ誘拐事件の黒幕は誰だったか。
 ナツミの役割は何だったのか。
 ナツミと黒幕との間にどういう契約があったのか。
 黒幕の誘拐計画とはどんなものだったのか。
 ナツミの誘拐計画の阻止計画はどんなもので、その結果はどうなったのか。
 今の現状と、ナツミは今どこで何をしているのか
 それについて、整理していこう。
 それらを考えたり‥調査したりして、最終的にナツミが敵か味方かを判断していこう? 」
 ラルシュは
 困り顔だ。
 すまん。こういう時、周りにいる人間が迷惑被るんだ。
 お互い、意地を張っちゃって引けなくなってるからね‥。
 ってか‥
「‥ごめん。紙に書いてもらってもいい? ちょっと覚えられそうにない‥」
 こういう時、‥俺って、脳筋寄りなのか? って思うよな。


 そうこうしてる間に時間切れだ。
 空が紫色に変わり始めた。
 5時間っていう時間は、割と短い。
 12時にこっちに来て、地球に帰らなくちゃいけない時間は朝の5時。
 だから、5時間。
「帰るか」
 ため息をついて帰る支度を始めるミチルを見て、俺は何故か焦って、ミチルの腕をガッツリ掴んでしまった。
「待て、置いていくな」
 って。
 いや、冷静に考えれば、俺は一人で帰れたのよ‥。だけどね、なんか‥ね。
 ‥このまま「喧嘩別れ」みたいなのは‥どうかな‥って思った‥のもあるんだろう。
 つい‥掴んじゃったんだよ。
 掴んじゃった‥けど、掴んじゃったことに対しても動揺して‥
 俺は‥
 多分、なんか‥パニくったんだろう。

 
 今俺は‥身体ごとこっちに来ている‥っ!


「あ‥」

 で、今の状況は、ミチルの腕を掴んだヒジリ(女の子バージョン)がミチルの上に乗っかっている。
 で、場所は勿論の事ながら、ミチルのベッド。
 それだけだったら、
「悪い」
 ってミチルに謝って、ミチルが嫌な顔して「気をつけろ」って言って‥それで済むことだろうが(済むのか? )
 今回はそうじゃなかった。
 あの気まずい沈黙の直後、
「ミチル~。おはよう。来ちゃった~! 」
 って、合い鍵持った女の子がドアを開けて‥
 俺と目が合った。

 あ、‥違いますよ。俺。そういうのじゃ、ないです。いや、ホント。


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