Happynation番外編。

文月

文字の大きさ
上 下
2 / 18

番外1 名前(フミカ ①)

しおりを挟む
「あの村に、主たちの子供として挨拶をするんであったら、我にもあの村の名前を付けて欲しいんだが」
 フミカがちらりとアララキを見上げて言った。
 アララキがフミカを見下ろし、ちょっと目を見開く。
「名前? 」
 だって、お前はフミカだろ? って顔してる。
 サカマキも首を傾げる。
「四文字の名前、あそこの村は皆そういう名前をつけるんであろう? あの村に主たちの子供として紹介されるのに、主たちが子供にそういう名前をつけてないってのは‥問題があるんじゃないのか? それとも、紹介してくれないつもりなのか? 」
 きゅっと眉を寄せる。
 アララキが不機嫌な顔をしてる時にそっくり(顔が同じだからね)だけど、フミカの場合は‥拗ねてるみたいでアララキより格段に可愛い。
 やっぱり、
 拗ねるとか許されるのは女の子だけだと思う。
 ふむふむ、とサカマキが小さく頷く。

「‥だけど、フミカはフミカだ‥今更違う名前といってもなあ‥」
 アララキはフミカを前に困り顔だ。
 (悪い、ちょっと別なこと考えてた)
 サカマキは心の中でこっそり反省だ。

「仮じゃ、仮。仮の名前を付けてくれればいい。地球で言う、芸名みたいな感じじゃな。(なんかカッコいいから欲しかったんだ(←本心))」
 フミカがアララキを「困り顔」で見上げる。
「仮ねえ‥」
 アララキが首を更に傾げる。
 すると、フミカが「そういえば」と、何かに気付いた様な表情をする。
「主も、サカマキも最後に「キ」という文字がついておるの。あれは関係があるのか? 」
「え? 」
 キ?

 ああ、
 アララ
 サカマ

 確かに、キが付いてるな。初めて気付いた。「キ」だけに。
 サカマキ自分で考えて、自分で苦笑。

「では‥我も、最後にキを付けて‥「フミカキ」はどうじゃ? ‥「手紙(文)書き」みたいじゃな‥」
 フミカが苦笑する。
 アララキも苦笑する。
「ミミカキみたいにも聞こえるな」
「‥‥‥(ミミカキ)」

「却下じゃ! ‥芸名じゃから全く違う名前にしよう。折角だから、地球っぽいものもいいな。地球で好きだったもの‥
 マグロ漁
 格闘技‥
 サムライ‥
 桜子
 ‥桜子は一番じゃな‥
 でも、まんまその名前を使うのは良くない‥だから、二番目に好きなサムライと混ぜて‥「サクライ」‥サクライはどうじゃ? 」
 ドヤ顔で宣言するフミカ。
 サカマキが苦笑する。「アイドルのメンバーの苗字か? 」なんて思ってたら
「なんか、苗字みたいだな」
 アララキが突っ込んだ。
 アララキは地球のあのアイドルグループは知らないだろうけど‥
 アララキも地球(日本)からの転生者だ。
 
 ‥ってか、あの村絶対に転生者が作った村だよな。サカマキとかアララキとか絶対「苗字」じゃん。下の名前じゃなくって、苗字の方が伝わるとか‥ (笑)

「フミカがそれでいいって言うなら、それで(笑)」
 なるべく顔にださないようにって思ってたけど、顔に出ちゃったサカマキ。
 フミカがじとっとサカマキを睨む。

 で、結局

「でも、ナツカと結婚して生まれ故郷に帰っても、この自分の名前じゃない芸名で暮らして行くの‥なんか嫌だな。‥いいや、生まれながらにしてナツカに嫁ぐって決まってたからナツカの生まれ故郷風の名前にしたってことにしておこう」

 そうなった☆


 ‥ナツカ、許嫁(フミカ)の死を引きずり、親友の産まれたばかりの子供にその名前を付けて結婚の約束を取り付けるヤバい男認定決定。
しおりを挟む

処理中です...