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27.☆ 名前が付けられない思い (side ビクター)
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‥無意識だった。
目の前で涙を流す修斗は‥儚くて、ただ美しいって思った。
気が付いたら、その涙を拭い‥涙が残り冷たくなった頬に‥口付けていた。
思った以上に柔らかい頬に触れたら‥もう、止まれなかった。
だけど、辛うじて残った理性で身体を離した。だのに‥
修斗が潤んだ瞳で‥強請るように俺を見た。
「く‥っ」
息をのんだ。
目を背けようと‥誘惑に負けない様に目を背けようとしたけど‥
‥そんなのもう、止められるわけがなかった。
恥ずかしながら俺の下半身はさっきから完全に反応している。もう、痛いくらいだ。発散させたい、暴力的な感情が俺を支配しきっている。
だけど、生まれつきこの顔で生きて来た。
性欲は当たり前にあるが、なにぶん経験がない。一応知識としては知っているが、勿論実際にはしたことがなかった。してみたいって思いはあったが、「誰と? 」っていう思いがあったのも、たしか。この俺を相手にしてくれる人なんてどこにもいないだろ、って思ってた。
そして、実際に居なかった。
そういうお店に行くのは嫌だった。
騎士団の先輩に自分で発散する術教わってはいたが、したことはなかった。だけど‥常にくすぶってた。そんな感じだった。
修斗が俺を求めてくれてる?
その思いだけで‥もう舞い上がっちゃって‥おかしくなってた。
修斗の身体に触れたら‥更におかしくなった。
頬だけじゃなかった。首も、手も、お腹も‥修斗の身体は全身が‥もう、嘘みたいに柔らかかった。
夢中で身体中に口付けて、
嚙みついて
‥勝手に、果てた。
そこで‥ようやく我に返った。
いつの間にか上衣を脱いでいることに気付いた。
我に返って、途端に怖くなった。
修斗の顔が見れなかった。
修斗は怖い想いをしただろう。大きな‥しかも上半身裸の男に覆いかぶされ、きっと逃げ出すこともできなかっただろう。
修斗の身体は、俺の涎と噛み跡だらけだ。
俺は全身の血の気が抜けた。
噛み跡だけじゃない。所謂キスマークって言われる跡が全身に残っている。俺の執着の強さにゾッとした。
修斗はふ‥と苦笑いすると、身体を起こし‥俺を抱きしめて、その頬に口付けてくれた。
驚いて修斗を見た。
修斗は
「大丈夫」
抱きしめたまま‥優しい声でそう言ってくれた。
思わず、涙が一筋こぼれた。
「‥修斗」
すがるような視線で修斗を見ると、修斗は微笑んで、今度は修斗から優しく口付けてくれた。
何度か角度を変えて、唇を重ね‥唇を離した修斗が名残惜しくて、無意識に引き留めていた。
右手で修斗の腕を取り、左手で修斗の頭を固定して‥まるで抱え込むように‥口付けた。
‥でも、なるべく優しくしようってそれだけは‥心にとどめた。
「修斗」
優しく名前を呼んだら、修斗が潤んだ瞳で俺を見つめ返してくれた。
抱きしめたら、抱きしめ返してくれた。
愛しい‥愛してる。
離したくなくて抱きしめていたら、修斗が俺に‥
「ビクター‥俺を‥抱いて‥」
って言ったんだ。
目の前で涙を流す修斗は‥儚くて、ただ美しいって思った。
気が付いたら、その涙を拭い‥涙が残り冷たくなった頬に‥口付けていた。
思った以上に柔らかい頬に触れたら‥もう、止まれなかった。
だけど、辛うじて残った理性で身体を離した。だのに‥
修斗が潤んだ瞳で‥強請るように俺を見た。
「く‥っ」
息をのんだ。
目を背けようと‥誘惑に負けない様に目を背けようとしたけど‥
‥そんなのもう、止められるわけがなかった。
恥ずかしながら俺の下半身はさっきから完全に反応している。もう、痛いくらいだ。発散させたい、暴力的な感情が俺を支配しきっている。
だけど、生まれつきこの顔で生きて来た。
性欲は当たり前にあるが、なにぶん経験がない。一応知識としては知っているが、勿論実際にはしたことがなかった。してみたいって思いはあったが、「誰と? 」っていう思いがあったのも、たしか。この俺を相手にしてくれる人なんてどこにもいないだろ、って思ってた。
そして、実際に居なかった。
そういうお店に行くのは嫌だった。
騎士団の先輩に自分で発散する術教わってはいたが、したことはなかった。だけど‥常にくすぶってた。そんな感じだった。
修斗が俺を求めてくれてる?
その思いだけで‥もう舞い上がっちゃって‥おかしくなってた。
修斗の身体に触れたら‥更におかしくなった。
頬だけじゃなかった。首も、手も、お腹も‥修斗の身体は全身が‥もう、嘘みたいに柔らかかった。
夢中で身体中に口付けて、
嚙みついて
‥勝手に、果てた。
そこで‥ようやく我に返った。
いつの間にか上衣を脱いでいることに気付いた。
我に返って、途端に怖くなった。
修斗の顔が見れなかった。
修斗は怖い想いをしただろう。大きな‥しかも上半身裸の男に覆いかぶされ、きっと逃げ出すこともできなかっただろう。
修斗の身体は、俺の涎と噛み跡だらけだ。
俺は全身の血の気が抜けた。
噛み跡だけじゃない。所謂キスマークって言われる跡が全身に残っている。俺の執着の強さにゾッとした。
修斗はふ‥と苦笑いすると、身体を起こし‥俺を抱きしめて、その頬に口付けてくれた。
驚いて修斗を見た。
修斗は
「大丈夫」
抱きしめたまま‥優しい声でそう言ってくれた。
思わず、涙が一筋こぼれた。
「‥修斗」
すがるような視線で修斗を見ると、修斗は微笑んで、今度は修斗から優しく口付けてくれた。
何度か角度を変えて、唇を重ね‥唇を離した修斗が名残惜しくて、無意識に引き留めていた。
右手で修斗の腕を取り、左手で修斗の頭を固定して‥まるで抱え込むように‥口付けた。
‥でも、なるべく優しくしようってそれだけは‥心にとどめた。
「修斗」
優しく名前を呼んだら、修斗が潤んだ瞳で俺を見つめ返してくれた。
抱きしめたら、抱きしめ返してくれた。
愛しい‥愛してる。
離したくなくて抱きしめていたら、修斗が俺に‥
「ビクター‥俺を‥抱いて‥」
って言ったんだ。
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