俊哉君は無自覚美人。

文月

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18.リリアンと俊哉のお留守番。

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(王子とロゼッタの結婚式前日)


 今日はクラシルさんとベルクさん、騎士団のメンバーが明日の結婚式の警護の為にお城に泊まり込みだっていうから、僕とリリアンは僕の家でお留守番です。
 ‥前回も思ったけど、ホント ベルクさんたちは僕のことを男だって思ってない。
 もう、いつものこと過ぎて‥慣れた。
 王子様の結婚式は、平民である僕らは参加できない。
 ロゼッタには「是非! 」「ドレスも用意するから! 」って言われたけど‥そう言う問題じゃない。(そもそも、ロゼッタ。僕はドレスは着ないよ)
 他の人がそれで納得しないでしょ。
 秘宝館の話が出るのもよくない。
 ロゼッタは貴族だから、働きに来てそこで出会った王子様と結婚することになったって話より、ロゼッタが特別な乙女であるという噂を聞いた貴族の誰それの紹介で出会い‥お互いに一目惚れしたって話の方がいい。
 秘宝館で接客していたっていっても、別に「会ってお話しする程度」なんだけど、まああんまり印象は良くないよね。
 そんな理由でリリアンは出席を辞退した。まあ‥僕も同じようなもんだ。
 秘宝館が無かったら会えなかった関係だからね。
 それに、この顔だし。
 顔といえば‥ロゼッタは
「私たちは友達では無いですか! それなのに、顔を見せてくれないなんて‥水臭いわ! 」
 ってこの頃、以前にもまして言ってくるようになった。
 あんまりしつこいからリリアンがキレて
「そんなもん位で水臭くなる関係ならさっさと別れちまった方がいいよ! 」
 って下町言葉全開で言ってた。
 リリアンは凄く優しい子だって思った。
 別にロゼッタにも悪気はないんだけどね。僕も‥そこまでして友達相手に隠す必要もないかって思うんだけど、なんかきっかけが無くってね。急に「じゃあ、取るよ! 」って言うのもなんかおかしいかなって。クラシルさんも「無理しなくていい」って言ってくれてるし。
 ちなみに「騎士団の連中の前では絶対取るな」は、我が家のルール。それどころか、出来るだけ会せたくもない‥らしい。その理由は、モテない騎士団のメンバーに「団長が許容範囲なら俺たちにもワンチャンあるかも」って思わせちゃだめだかららしいんだけど、それを言ってるのを聞いたリリアンが「あら団長。「君のこと誰にも見せたくないんだ」「独り占めしたいんだ」って素直に言えばいいのに」って揶揄って、クラシルさんを盛大に赤面させてた。「そんなこと言ったら、俊哉が気持ち悪がるだろ! 」ってクラシルさんは言ったけど、僕的には‥独占されてるみたいで嬉しいけどね。
 照れ屋なクラシルさんはそんなこと言わない。
 何も言ってくれないけど、クラシルさんはちゃんと僕のこと好きなんだって感じられる。
 それだけで、満足しないとね。

「私だったらちゃんと言って欲しいなあ」
 ベッドで寝転がりながら話してると、リリアンが不満そうな顔で言った。
「言わなくてもわかるだろう‥は怠慢よね。ちゃんと口に出して言ってくれないと伝わんないし、嬉しくない。誉め言葉とか、お世辞だって分かってても嬉しいに決まってるでしょ? 
 口に出す努力をしてたら、そのうちお世辞じゃなくてホントにそんな気になってくるときもあるしね。私もさ、ベルクの顔は正直「イマイチ」って思ってるんだけど、「目元が可愛い! 」とか「肌の調子がいい! 」とか毎日褒めることにしてるのね。そしたら、ホントにそんな風に見えて来るし、褒められて悪い気がしないからか、ベルクも色々美容に気をつかうようになって、この頃そこそこ見れるようになったもの」
 成程‥確かにそういうのあるかも。
 好きな人に褒められたら嬉しいよね。
「団長さんはそういうとこ分かってないんだよね~。男前だけど。そういうとこ差し引いたらベルクの方が上かな」
 なんてちょっと赤くなりながら言うリリアンは、(きっと)初めっからベルクさんしか見てない。
 差し引くもないでしょ。とかこころの中で突っ込んで‥ちょっと笑ってしまった。
「ベルクってば、子供は沢山欲しいっていうのよ? ちゃんと世話するから! って子猫や仔犬とはわけが違うっての! ‥だけど、私の父さんと比べて明らかに家事も手伝ってくれるから、ちょっとは信用できるかなあって‥。でも、もうちょっとの間は二人きりの生活楽しみたいかな~」
 話しはベルクさんの惚気話に突入する。
 その流れで、兄弟の話になった。
「うちも他の家(※ リリアンの近所が基準の様だ)と同じで兄弟が多かったから、沢山の兄弟がいるのが昔は当たり前って思ってたけど、ベルクは二人兄弟なのよね。ロゼッタも二人だよね。俊哉は? 」
 じっとリリアンが僕を見る。
 リリアンが僕のことを聞いてくるのは、実は結構珍しい。「なんか訳アリ」って察してくれたっぽくって、皆と一緒に話している時は、リリアンは僕の話をホントに全然聞いて来ないんだ。
 さっき僕の顔を見たのは‥今は、皆もいないから‥いいでしょ? っていう確認だったのかな? 
「男ばっかり三人だよ」
 別に隠すことでもないから言う。
 どこから来たの? は言えないけど。
「兄が二人。二人とも出来が良くって、皆の人気者だった。顔もよかったしね。‥僕は、二人とは似てなかったんだ。昔はそれを気にしてたけど、でも、気にしたからってどうにもならないし、僕なりに頑張らなきゃなって思うことにしたんだ。
 二人とも、いい人だったし、兄弟仲もよかったよ」
 僕がそう言うとリリアンは「へ~」って相槌を打って、頷いた。
「料理を教えてくれたのは、上の兄さん。下の兄さんはカメラ(ってここにはなかったな)ええと‥絵を描くのが上手くって、いつも僕の絵を描いてくれたよ。
 僕が他の子に容姿のことで揶揄われたりしてたら二人が怒ってくれたり、その結果大喧嘩になって、相手の子にけがをさせたのさせなかったので母さんが学校に呼ばれたりとかしてた」
 僕が言うと、リリアンは「え~? 」って眉を寄せて、
「喧嘩なんてお互い様だし、喧嘩して怪我をするのなんて自分が弱いからだって思うけど」
 って不快そうな表情をした。
「手を出すのは良くないからね~」
 異世界の認識の違いかな? なんて思いながら苦笑いする。
「でも、どうせそういう時って大概相手が先に手を出した‥とかなんでしょ? それどころか、相手が勝手に突っかかって来て俊哉のお兄さんズが避けて、自分で勝手にすっころんだ、みたいな感じなんじゃないの? どうせ」
 呆れ顔でリリアンが言う。
「そう! そうだったんだ。兄さん‥特に下の兄さんは面倒なことが大嫌いだからおかしいな、って思って話を聞いてたらそんな話で‥相手のお母さんがうちの母さんにめちゃくちゃ謝ってた。
 母さんは初めっから兄さんたちのこと信じてたんだって。あと、「俊哉のこと、容姿で揶揄うのは止めて欲しい」ってその子に‥かなり迫力ある顔で頼んでた」
 殆ど家に居なかったけど、母さんは僕たちのことホントに考えてくれてた。
 でも‥正直もう少し一緒に居て欲しかったな。
「ふうん。俊哉が住んでたところって、結構ややこしかったのね。でも、しっかりしてる。喧嘩は良くない、とか容姿で揶揄ったりしたらダメ、とか。
 ‥この国に来たときびっくりしたんじゃない? この国って容姿にやたらキビシイじゃない? キビシイって言うか‥拘り過ぎてるって言うか‥私なんかは生まれつきここと美醜の感覚が違ってたりしてたってのもあってそういう感じじゃなかったんだけど、大半の人はあからさまに美醜で差別してるわけじゃない? 
 差別は直ぐになくならないもんだろうけど‥でも、まずは「それはダメ」って認識することが大事だよね。この国もそれは‥みならうべきだって思う。‥私が言いたいこと伝わってるかな? 」
 リリアンが首を傾げる。常日頃、「私は貧乏平民出身だから学校にも行ってないし学がない」って宣言しているリリアンは自分が言いたいことを自分の思った通りに言葉に出来ず、たびたび「どう言えばいいか分からないけど」ってもどかしそうに言ってるけど‥でも、いつも一生懸命な彼女の真っすぐな言葉は‥どんな名言より力がある。
 万人に分かりやすく、じゃなく‥僕の為に考えて一生懸命言ってくれた言葉だから。
「‥俊哉がこの国に幻滅しなかったらいいな。こんな国だけど‥嫌いになって欲しくない。この国のやってることを正当化する気は無いけど」
 肩を落として言うリリアン。
 クラシルさんを醜いっていうのもこの国だけど、でも、この国にはリリアンみたいな子も少数ながらいる。
 全部、ダメとかじゃなくて、ダメなところを直しながら‥いい国になっていったらなって思う。
 王子様がこの先、変えていってくれるって期待してる。

 ロゼッタと二人ならそれもきっと夢じゃない。
 
 結局僕らは僕たちの寝室で寝た。ベッドも二つあるし、リリアンが「寝るまで話したいから」って言ったからだ。
 僕はクラシルさんのベッドで、リリアンは僕のベッドを使った。リリアンは「このまま一緒に寝たらいいじゃない? 」って言ったけど‥それは流石にダメ過ぎる! 強く拒否したら‥リリアンは首を傾げてた。
 リリアン‥忘れてるかもしれないけど、僕男の子だからね? ‥まあ、確かに絶対「間違い」はおこらないだろうけど‥。
 僕のベッドは男臭くないかな? って一瞬心配したけど‥そういえば、あの布団、一回くらいしか使ってない。いつもはクラシルさんと一緒にクラシルさんのベッドで寝てるから。
 ちゃんと洗濯もしたから大丈夫だろう。やっぱ、他の男の匂いがしたらベルクさんも嫌だもんね? ‥そういうの僕は分からないけど、もしかしたらあるかもだし。(ラノベでそういうの何回か読んだ。でも、あれは彼氏が獣人だったから‥だっけ? 分からん。ここには本もないし‥確認する術もない。‥まあ、いいか)
 そんなくだらないことを考えてる間に寝てしまっていた。
 明日が晴れますようにって思いながら‥。

「それでね‥。あら? ‥俊哉、寝ちゃったの? フード被ったまま寝たら寝苦しくない? ‥取るのか。‥私が外したんじゃないよ? 自分で寝ぼけて取ったんだからね?? 
 あ~。そうか‥。俊哉って‥もろ、この世界の美人なのか‥。でも、俊哉は私と一緒で美醜の感覚が違う。クラシルさんカッコイイ! な子だから‥その感覚で言えば不細工‥徹底してるなあ。ロゼッタなんかは、どちらかというとクラシルさんカッコイイ派だけど、この世界の美も理解できるっていう柔軟派なんだけど‥。
 成程なあ‥
 しかし‥この顔は‥でも、私から見ても、綺麗って認識するな。
 クラシルさんは‥あれだ。絶対他の人に見せたくないから、がちで囲い込みに入ってるってわけか‥。「独占欲!?  きゃ♡ 」通り越して‥ちょっと引くわ~。
 この顔だったら‥いつも市場で言われてるアノ「ローブで御大層に隠してるその顔は一体どんな大層な面なんだい? 」っていう雑魚な暴言。一瞬で引っ込めちゃうんじゃない? 黙らせられるよ。この顔見たら、全員‥黙る。自分のこと美人だって思って看板娘やってるあの子もあの子も裸足で逃げ出すね! ‥だけど、クラシルさんはそれを望んでない。そして‥俊哉も」
 ってか、俊哉はそういう自覚もないっぽい。
 俊哉は自分のこと、醜いって思ってる。それも、謙遜じゃなくて、かなりガチで。
 そして‥学校に行っている時は俊哉は「容姿のことで揶揄われて」いて、母親も「言わないでやって欲しい」って揶揄った子に言った‥。
 揶揄った子たちは、好きだから、可愛いって思うから揶揄ってた? だけど、それだったら、母親も「揶揄わないで」とは‥凄まないわな。「好きだからちょっかいかけてきてるのよ。可愛いじゃない? 」って笑って終わりだよな‥。
 
 俊哉は‥一体「どんな国」から来たんだ??
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