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1.先生は大変なんです、って。
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「‥久し振りっていうのも馬鹿馬鹿しいね。アンバー」
コリンがため息をつくと、ナナフルが苦笑いしてアンバーの前にハーブティーのカップを置いた。
アンバーが「今日からこれ俺専用だから置いててね♡」っていって置いて行った大きなマグカップ。花柄のそれは、同僚の先生からのプレゼントらしい。
「いやあ、カップ持ってないっていったら、じいちゃんたちがくれたんだ。でも、学校に置いておくっていっても、一つでいいでしょ? で、一つは学校の寮、で、もう一つは「こころの我が家」に置こうと思ってね」
って言ってた。
それを聞いて
「そうか! 」
とか、ザッカさん喜んじゃってさ~。
同僚の「じいちゃん先生」からのプレゼントが大きな花柄のマグ。
じいちゃん先生、アンバーの事女だと思ってんのかな? 確かに、綺麗な顔してるし、髪の毛伸びたし。
アンバーの表情もこの頃優しくなってきたから、黙ってたら一見「いい人」に見えるし?
アンバーは、普通の大人みたいにナナフルにお礼を言うと、上品にハーブティーに口をつけた。
コリンは横目でそれをチラッと見ると、
どれだけ飲む気だ。
バケツでハーブティーか。
ってこころの中で今日も毒づく。
アンバーのマグカップがデカかろうと実は別にどうでもいいんだけど‥隣で延べ着く間もなく話をされると仕事が出来ない。
‥お願いだから出直してくれ、ってのが本音だ。
分かるよ? 品行方正な先生をやってたらストレスたまって、ここで「ありのままの自分」を出してストレス発散してるんだよね。そういうのは分かる。分かるけど、今は‥
去れ。
「で、さっきからコリンは何をやってるんだ? 」
アンバーがコリンの書類を覗き込む。
「アンネマリー祭(※ 愛と美の女神アンネマリーの祭り。バレンタインっぽい祭りだ)対策! これで君もラブラブだ(仮題)‥題名ダサいよ? 」
声に出して読まれ、コリンが書類を裏返して隠し、アンバーを睨みつける。
「止めろよ! 人のものを勝手に読むなよ! 」
「でも、それ雑誌の原稿なんだろ? 雑誌って皆に読まれるために書くんじゃないの? 」
アンバーが首を傾げる。
コリンがため息をつく。
「‥雑誌になってから、僕がいないところで読んでくれ」
縛りなおすために雑に束ねていた髪をほどく。
金茶の髪が光り輝き、まるで金の糸のように見える。
それを見て、アンバーが優しく微笑む。
「‥村の麦畑が金色に変わるのが楽しみだ」
「‥おい、人の髪の毛を見て麦畑を想い出すな‥」
コリンはもう一度ため息をついて、書類をまた表返し、さっきダサいと酷評された題名に二本線をいれる。
そして、ふわりと微笑むと
「アンバーが楽しそうでよかったよ」
って書類から顔を上げずにしみじみと言った。
横でタイプライターで原稿を打ち込んでいたナナフルは、そんな二人を見て微笑んだ。
「ホントに。
でも、アンバーが先生とかにわかに信じられないよね」
って声に振り向くと、ロナウだった。
騎士団でしごかれてる彼は、筋肉がついて? 身体が一回り大きくなったように見える。まあ、相変わらずの頼りなさそうな顔で、全然強そうには見えないんだけどね。隣にはフタバ。二人はコリン罰則中に結婚したらしい(コリンは、それを罰則から帰って来て二人に聞かされた。「驚いたよね? 」と二人は謝ったけど、コリンはケロッとした表情で「別に驚かない。寧ろロナウの割に決断が早かったな、とは思ったけど」って言ったとか)
「アンバーはいい先生出来てるのか? 」
ってザッカがフタバに聞き、アンバーが「俺に聞いてよ」って不満そうな顔をする。
さっきまで黙ってたザッカは、原稿を書いていたらしく、ナナフルに「ザッカ、手が止まってる」と冷たい視線を送られ、また慌てて原稿に視線を戻した。ナナフルはその視線を横のコリンにも向ける。「コリンも、手が止まってるよ」ナナフルは遅筆な二人を監視するために今日は、二人の間に座っているんだ。
今日は雑誌の原稿を印刷所に送る日で、朝から三人は事務所に詰めている。(だから、ホントアンバーは邪魔なんだ)
「コリンとザッカさんが書いた原稿をナナフルさんがチェックしてタイプ打ちしてるんですね」
ってフタバが言うと
「‥俺とコリンは特集記事をちょっと書くだけ」
とザッカが苦笑いした。
「殆どはナナフルが書いてる」
と。
‥成程、あのミーハーな記事は雑誌のオマケ‥今でいう四コマ漫画やコラム、エッセー程度の記事だったわけか。
「コリンは何の記事を書いていますの? 」
フタバがコリンの原稿を覗き見しようとしてコリンに睨まれる。
「僕は、まだ記事を書くまではいってない。
これはこの前ザッカさんと街に聞き取り‥聞き込み? インタビュー? ‥なんていうかわからんけど‥に行ったときの文字起こしを集計したもの。‥文字起こしを集計っておかしいか。‥まあ、今はそんなことどうでもいいや。兎に角時間がないから、今は話し掛けないで! 」
「ああ‥うん、ごめんね」
苦笑いしてフタバがコリンの横に座るアンバーを見る。
「アンバー様お久しぶりです。
臨時の先生たちからもアンバー先生は良くしてくれてるって評判ですよ」
笑顔で言うと、アンバーがふふっと微笑む。
微笑むアンバーは相変わらず綺麗だけど、昔みたいに「色っぽい」笑顔じゃない。
アンバー曰くチャームの魔法は学校じゃ出番なしらしいし。(いい傾向だね)
でも、含みも策略もない‥ただリラックスして優しい穏やかな笑顔なアンバーは以前よりずっと楽しそうだ。
アンバーは、今、「拉致被害者のさと」の魔術士の子供たちに魔術を教えている。
誘拐されてきた子供たちは、魔術の素質はあるものの、学校に行っていないため「正しい魔術の使い方」を覚えていない。偏った「悪人たちにとって都合のいい魔術」を教えられてきた‥被害者だ。アンバーは
「彼らが社会復帰する為には、正しい魔術を覚えなければいけない」
って言って、フタバに相談した‥らしい。
だけど、それはアンバーも一緒だ。フタバは既に社会に出て「裏の魔術士」として働いている仲間たちもできるなら‥って言ってアンバーに声をかけてもらったらしい。
子供たちと、そして大人組が魔術を学べる場所を作る。
それは簡単なことではなかったが、フタバが貴族に声をかけて寄付を募って実現した。恐縮するアンバーたちにフタバは照れながら「そういうのをノブレス・オブリージュっていうんですわ」って言ってたらしい。
まず、アンバーたち大人組が教わって、それを子供たちに教えるっていうのはアンバーたちが提案したことだ。
「子供はやっぱり、習得や‥何より理解に時間が掛かる。だから、それは俺たちが時間をかけてゆっくり教えてあげればいいって思ってね。先生たちの時間を無駄にとらせるのは悪いだろ? 俺たちも、人に教えることで理解が深まって丁度いいしね」
って笑うアンバーは「いい先生」で「イイ兄貴」「イイ先輩」なんだろうなって思う。
でも、視線を落として
「‥なにより‥子供たちは今まで洗脳されてて、知らない大人に対して警戒心があるからね」
小さな声で呟き‥付け加えた言葉には‥はっとした。
助けてあげないといけないってもっと強く思った。
だけど、今コリンに
「来てくれる先生が全員じいさんなんだ。それは残念」
って笑うアンバーは、相変わらずで、安心する。
でも、それはそれで楽だった‥らしい。
なのに、この頃その楽な状況が変化してきた‥らしい。
「じいちゃん先生が一度アシスタントに若い女の子連れてきたことがあってね。それ以来、若い女の子が増えた‥俺とか、大人組はある程度顔がいいからね。(自分で言う言う)
それは活気が出て嬉しいんだけど、反面煩わしくもある。だって、じいちゃんに孫みたいに可愛がられてるのに‥そんなじいちゃんの信頼を失うわけにもいかないし、後輩の前で女の子口説くわけにもいかない。後輩の前では「品行方正な先生」でいたいじゃない? 」
だから、我慢してる、と。
女の子 → 口説くって図式以外存在しないのか?
またこころの中でこっそり毒づくコリン。
苦笑いするフタバと大笑いするロナウ。
‥だけど、こうやって二人がアンバーの相手をしてくれてる間に僕は原稿を仕上げちゃいますよ!
そんなこんなで初原稿。
「気になるあの子を射止めちゃおう! アンネマリー祭、職種別傾向と対策。
好きなリボンの色は?
魔術士
1.黒
2.紫
3.ワインレッド
騎士
1.白銀
2.スカイブルー
3.ゴールド
(以下略) 」
「(なんじゃこのミーハーな記事‥)‥これを、ザッカさんとコリンが真剣な顔で聞き込みしてるの想像したら、ちょっと笑っちゃうわね」
なんてこっそり思ったのはフタバ。
「‥コリンの雑誌社の社名って「冒険者たち」じゃなかったっけ? 冒険者関係なくない‥? 」
こちらもこっそり思ってだけど、口には出さなかったのはロナウ。(結構気遣い夫婦)
大満足、疲労困憊なコリン、ザッカ
大爆笑するアンバー(後で勿論コリンに殴られる)
優しく微笑む(苦笑い? )ナナフル。
終業時間。
「よし! 結構残業になっちゃった! 今日は事務所にシークさんがご飯作りに来てくれる日だから、こっちで食べますね~! フタバちゃんたちもツイてるね! 材料足りないとアレだから、ちょっとシークさんに連絡(魔獣の伝書バトで)いれとくね~♪ その分の材料費は‥ロナウよろしく~」
大きく伸びをしながらコリン、ロナウを見る。
「え? あ、うん。勿論」
ロナウ頷く。
気、弱!
コイツ、絶対フタバの尻にしかれてそう。
「もう! コリンったら! それ位はこっちで払うよ! 」
子供を叱るようなナナフルさん。
オカンっぷり健在。
「え。ホント? 嬉し~。ついでに今日こっちに泊まっちゃって、明日は久し振りにナナフルさんの朝ごはん食べたい! ってことで、7人分のソーセージも追加でお願いしとこ~♪ パンは、僕が選んだ方がいいから~、フタバちゃん買いに行こ~! 」
「いいわね」
「あ、僕も行く! 」
「え~? ロナウも? 」
三人は相変わらず仲良し。
「あ、俺もついて行ってみよ~と。ついでに明日の昼ごはん用にパン買っておこうかな~」
基本夜の街にしかうろつかないイメージがあったかっての夜の帝王・アンバーとは違い、ちょっと庶民的になった。そんなアンバーに、生暖かい視線を送る三人だった。
コリンがため息をつくと、ナナフルが苦笑いしてアンバーの前にハーブティーのカップを置いた。
アンバーが「今日からこれ俺専用だから置いててね♡」っていって置いて行った大きなマグカップ。花柄のそれは、同僚の先生からのプレゼントらしい。
「いやあ、カップ持ってないっていったら、じいちゃんたちがくれたんだ。でも、学校に置いておくっていっても、一つでいいでしょ? で、一つは学校の寮、で、もう一つは「こころの我が家」に置こうと思ってね」
って言ってた。
それを聞いて
「そうか! 」
とか、ザッカさん喜んじゃってさ~。
同僚の「じいちゃん先生」からのプレゼントが大きな花柄のマグ。
じいちゃん先生、アンバーの事女だと思ってんのかな? 確かに、綺麗な顔してるし、髪の毛伸びたし。
アンバーの表情もこの頃優しくなってきたから、黙ってたら一見「いい人」に見えるし?
アンバーは、普通の大人みたいにナナフルにお礼を言うと、上品にハーブティーに口をつけた。
コリンは横目でそれをチラッと見ると、
どれだけ飲む気だ。
バケツでハーブティーか。
ってこころの中で今日も毒づく。
アンバーのマグカップがデカかろうと実は別にどうでもいいんだけど‥隣で延べ着く間もなく話をされると仕事が出来ない。
‥お願いだから出直してくれ、ってのが本音だ。
分かるよ? 品行方正な先生をやってたらストレスたまって、ここで「ありのままの自分」を出してストレス発散してるんだよね。そういうのは分かる。分かるけど、今は‥
去れ。
「で、さっきからコリンは何をやってるんだ? 」
アンバーがコリンの書類を覗き込む。
「アンネマリー祭(※ 愛と美の女神アンネマリーの祭り。バレンタインっぽい祭りだ)対策! これで君もラブラブだ(仮題)‥題名ダサいよ? 」
声に出して読まれ、コリンが書類を裏返して隠し、アンバーを睨みつける。
「止めろよ! 人のものを勝手に読むなよ! 」
「でも、それ雑誌の原稿なんだろ? 雑誌って皆に読まれるために書くんじゃないの? 」
アンバーが首を傾げる。
コリンがため息をつく。
「‥雑誌になってから、僕がいないところで読んでくれ」
縛りなおすために雑に束ねていた髪をほどく。
金茶の髪が光り輝き、まるで金の糸のように見える。
それを見て、アンバーが優しく微笑む。
「‥村の麦畑が金色に変わるのが楽しみだ」
「‥おい、人の髪の毛を見て麦畑を想い出すな‥」
コリンはもう一度ため息をついて、書類をまた表返し、さっきダサいと酷評された題名に二本線をいれる。
そして、ふわりと微笑むと
「アンバーが楽しそうでよかったよ」
って書類から顔を上げずにしみじみと言った。
横でタイプライターで原稿を打ち込んでいたナナフルは、そんな二人を見て微笑んだ。
「ホントに。
でも、アンバーが先生とかにわかに信じられないよね」
って声に振り向くと、ロナウだった。
騎士団でしごかれてる彼は、筋肉がついて? 身体が一回り大きくなったように見える。まあ、相変わらずの頼りなさそうな顔で、全然強そうには見えないんだけどね。隣にはフタバ。二人はコリン罰則中に結婚したらしい(コリンは、それを罰則から帰って来て二人に聞かされた。「驚いたよね? 」と二人は謝ったけど、コリンはケロッとした表情で「別に驚かない。寧ろロナウの割に決断が早かったな、とは思ったけど」って言ったとか)
「アンバーはいい先生出来てるのか? 」
ってザッカがフタバに聞き、アンバーが「俺に聞いてよ」って不満そうな顔をする。
さっきまで黙ってたザッカは、原稿を書いていたらしく、ナナフルに「ザッカ、手が止まってる」と冷たい視線を送られ、また慌てて原稿に視線を戻した。ナナフルはその視線を横のコリンにも向ける。「コリンも、手が止まってるよ」ナナフルは遅筆な二人を監視するために今日は、二人の間に座っているんだ。
今日は雑誌の原稿を印刷所に送る日で、朝から三人は事務所に詰めている。(だから、ホントアンバーは邪魔なんだ)
「コリンとザッカさんが書いた原稿をナナフルさんがチェックしてタイプ打ちしてるんですね」
ってフタバが言うと
「‥俺とコリンは特集記事をちょっと書くだけ」
とザッカが苦笑いした。
「殆どはナナフルが書いてる」
と。
‥成程、あのミーハーな記事は雑誌のオマケ‥今でいう四コマ漫画やコラム、エッセー程度の記事だったわけか。
「コリンは何の記事を書いていますの? 」
フタバがコリンの原稿を覗き見しようとしてコリンに睨まれる。
「僕は、まだ記事を書くまではいってない。
これはこの前ザッカさんと街に聞き取り‥聞き込み? インタビュー? ‥なんていうかわからんけど‥に行ったときの文字起こしを集計したもの。‥文字起こしを集計っておかしいか。‥まあ、今はそんなことどうでもいいや。兎に角時間がないから、今は話し掛けないで! 」
「ああ‥うん、ごめんね」
苦笑いしてフタバがコリンの横に座るアンバーを見る。
「アンバー様お久しぶりです。
臨時の先生たちからもアンバー先生は良くしてくれてるって評判ですよ」
笑顔で言うと、アンバーがふふっと微笑む。
微笑むアンバーは相変わらず綺麗だけど、昔みたいに「色っぽい」笑顔じゃない。
アンバー曰くチャームの魔法は学校じゃ出番なしらしいし。(いい傾向だね)
でも、含みも策略もない‥ただリラックスして優しい穏やかな笑顔なアンバーは以前よりずっと楽しそうだ。
アンバーは、今、「拉致被害者のさと」の魔術士の子供たちに魔術を教えている。
誘拐されてきた子供たちは、魔術の素質はあるものの、学校に行っていないため「正しい魔術の使い方」を覚えていない。偏った「悪人たちにとって都合のいい魔術」を教えられてきた‥被害者だ。アンバーは
「彼らが社会復帰する為には、正しい魔術を覚えなければいけない」
って言って、フタバに相談した‥らしい。
だけど、それはアンバーも一緒だ。フタバは既に社会に出て「裏の魔術士」として働いている仲間たちもできるなら‥って言ってアンバーに声をかけてもらったらしい。
子供たちと、そして大人組が魔術を学べる場所を作る。
それは簡単なことではなかったが、フタバが貴族に声をかけて寄付を募って実現した。恐縮するアンバーたちにフタバは照れながら「そういうのをノブレス・オブリージュっていうんですわ」って言ってたらしい。
まず、アンバーたち大人組が教わって、それを子供たちに教えるっていうのはアンバーたちが提案したことだ。
「子供はやっぱり、習得や‥何より理解に時間が掛かる。だから、それは俺たちが時間をかけてゆっくり教えてあげればいいって思ってね。先生たちの時間を無駄にとらせるのは悪いだろ? 俺たちも、人に教えることで理解が深まって丁度いいしね」
って笑うアンバーは「いい先生」で「イイ兄貴」「イイ先輩」なんだろうなって思う。
でも、視線を落として
「‥なにより‥子供たちは今まで洗脳されてて、知らない大人に対して警戒心があるからね」
小さな声で呟き‥付け加えた言葉には‥はっとした。
助けてあげないといけないってもっと強く思った。
だけど、今コリンに
「来てくれる先生が全員じいさんなんだ。それは残念」
って笑うアンバーは、相変わらずで、安心する。
でも、それはそれで楽だった‥らしい。
なのに、この頃その楽な状況が変化してきた‥らしい。
「じいちゃん先生が一度アシスタントに若い女の子連れてきたことがあってね。それ以来、若い女の子が増えた‥俺とか、大人組はある程度顔がいいからね。(自分で言う言う)
それは活気が出て嬉しいんだけど、反面煩わしくもある。だって、じいちゃんに孫みたいに可愛がられてるのに‥そんなじいちゃんの信頼を失うわけにもいかないし、後輩の前で女の子口説くわけにもいかない。後輩の前では「品行方正な先生」でいたいじゃない? 」
だから、我慢してる、と。
女の子 → 口説くって図式以外存在しないのか?
またこころの中でこっそり毒づくコリン。
苦笑いするフタバと大笑いするロナウ。
‥だけど、こうやって二人がアンバーの相手をしてくれてる間に僕は原稿を仕上げちゃいますよ!
そんなこんなで初原稿。
「気になるあの子を射止めちゃおう! アンネマリー祭、職種別傾向と対策。
好きなリボンの色は?
魔術士
1.黒
2.紫
3.ワインレッド
騎士
1.白銀
2.スカイブルー
3.ゴールド
(以下略) 」
「(なんじゃこのミーハーな記事‥)‥これを、ザッカさんとコリンが真剣な顔で聞き込みしてるの想像したら、ちょっと笑っちゃうわね」
なんてこっそり思ったのはフタバ。
「‥コリンの雑誌社の社名って「冒険者たち」じゃなかったっけ? 冒険者関係なくない‥? 」
こちらもこっそり思ってだけど、口には出さなかったのはロナウ。(結構気遣い夫婦)
大満足、疲労困憊なコリン、ザッカ
大爆笑するアンバー(後で勿論コリンに殴られる)
優しく微笑む(苦笑い? )ナナフル。
終業時間。
「よし! 結構残業になっちゃった! 今日は事務所にシークさんがご飯作りに来てくれる日だから、こっちで食べますね~! フタバちゃんたちもツイてるね! 材料足りないとアレだから、ちょっとシークさんに連絡(魔獣の伝書バトで)いれとくね~♪ その分の材料費は‥ロナウよろしく~」
大きく伸びをしながらコリン、ロナウを見る。
「え? あ、うん。勿論」
ロナウ頷く。
気、弱!
コイツ、絶対フタバの尻にしかれてそう。
「もう! コリンったら! それ位はこっちで払うよ! 」
子供を叱るようなナナフルさん。
オカンっぷり健在。
「え。ホント? 嬉し~。ついでに今日こっちに泊まっちゃって、明日は久し振りにナナフルさんの朝ごはん食べたい! ってことで、7人分のソーセージも追加でお願いしとこ~♪ パンは、僕が選んだ方がいいから~、フタバちゃん買いに行こ~! 」
「いいわね」
「あ、僕も行く! 」
「え~? ロナウも? 」
三人は相変わらず仲良し。
「あ、俺もついて行ってみよ~と。ついでに明日の昼ごはん用にパン買っておこうかな~」
基本夜の街にしかうろつかないイメージがあったかっての夜の帝王・アンバーとは違い、ちょっと庶民的になった。そんなアンバーに、生暖かい視線を送る三人だった。
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