この度、押しかけ女房に押し切られました。 ~押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした~

文月

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閑話 三年後の希望的願望

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 でもね、普段はホントにバラバラだし他人と力を合わせるってタイプじゃない「赤の他人」が同じ目的の為に力を合わせてるってことには‥なんか感動する。
 感動‥っておかしいな。
「ああ、これが社会人ってもんなんだろうな」
 って思うんだ。
 誓約士って個人と、誓約士協会っていう団体。
 だけど、個人である一人の誓約士も他の誓約士と誓約士であるという‥共通の「約束」を守っている「団体の中の一人」なんだ。
 ‥ってか、学生だってそうだよな。
 友達っていうグループを作らなくたって、一人一人が学生っていう「団体の中の一人」なんだよな。
 なのに、その中で誰かを排除しようとか‥そういうのルール違反だよな。
 ‥まあ、もういいさ。
 僕はあんな境遇にいたからこそ、色々考えたし、努力できたんだから。
 
 コミュ力高めなやつらにとっては当たり前のことが出来なかった‥かもしれないけど、僕は僕なりに僕が出来ることをして来た。それでいい。

 シークさんのことは、ホントに‥今考えても「一生に一度歩かないかの大ラッキー」だった。
 コミュ障で人間不信傾向の僕が、その日にあっただけの人に告白するとか‥! 
 今思っても‥あの時の自分ってどうなってたんだって思う。
 だけど、‥人生ってそういうことよくある
「なんであんなこと言っちゃったんだろう!? 」
 って後悔することの方が圧倒的に多いけど。
 でも
「あの時の自分ナイス! よくあそこであの言葉出て来たよ! 」
 とか
「あの時の自分の判断‥神だったわ~」
 って時も‥ホント稀にだけど‥ある。
 シークさんの時は、それの最上級だったって思う。

 今までの人生やなことばっかりだったけど、‥捨てたもんじゃないなって‥つくづく思う。
 思えば、ザッカさんたち‥いい人たちに出会って、気持ちが向上して、運気が上がったんだろうな。
 気分が良くって浮かれてなければ、あの時あんな言葉は出てこなかった。

 前向きな気持ちでいるのって、大事。
 
 そんな一番のラッキーを自分から手放してしまった。
 そりゃね、‥後悔だらけだよ。でも、僕は後悔してない。
 三年間も「そこにいなくって、何も出来ない僕」に縛り付ける様なことはしたくないから。
 遠距離恋愛だって「会おうと思えば会える」から、この後僕が置かれる立場とは‥違う。

 結婚を考えてた、特別な相手。
 
 ただ、べたべた‥仲良しごっこな関係じゃなく、切磋琢磨しあえる‥尊敬しあえる関係。
 結婚相手ってそういうのって、父さんが言ってた。
 恋人は? って聞いたら、父さんは
「好きって思える人? 一緒に居て楽しいとか‥? 」
 って困った顔してた。
 母さんは結婚する以前は恋人だったんじゃないの? って‥僕が訝し気な顔してたら、
「母さんとは交際当時から結婚を前提に付き合ってたから」
 って‥分かるような分からない様な返事が返ってきた。
 なんだその自信満々な顔。
「父さんはほら、真面目で不器用だから」
 って。
 別に結婚を前提にしてない恋人だからて不真面目に交際してるんじゃないよ! 
 結婚を前提にはしてないけど、好きだから付き合ってる‥それが恋人って状態だって父さんは思ってる? 
「お試しってこと? 将来結婚したいって思える人かな~ってお試しで付き合ってる状態が恋人ってこと? 」
 って父さんに聞いたら、父さんは‥すっごい困った顔してた。
 ‥全然分からないんだろう。
 真面目って言うか‥父さんはただの不器用だよ。あと、頭が固いよね。

 初めて会った時、僕はシークさんのことを「理想の結婚相手」だって思った。

 将来結婚するんだったらこういう堅実で優しそうな人とがいい、って思ったんだ。
 でも、今思えば、おんぶにだっこされたい~! 幸せにして~! って「甘えごころ」しかなかった‥のかもしれない。

 最初はでも、そうだったかもしれないけど、僕は変われた‥と思う。
 今までの自分を顧みることも増えたし、人のせいばっかりだった「自分の性格の悪さ」「弱さ」とも向き合えるようになった。
 守って欲しい、傍に居て欲しい、甘えさせて欲しいだけじゃなくって一緒に歩いて行きたいって思った。
 お互いに支え合い、‥笑い合いながら暮らしていきたいって思った。
 そんなことを考える切っ掛けをくれたシークさんに感謝したし、尊敬できるって思った。
 それは理想の関係だけど‥でも、僕はあの時、僕の理想‥僕が考えられる僕が知っている範囲の感情‥以外の感情が僕にあることを知った。
 
 泣きたくなる程‥シークさんが恋しい。
 抱いて欲しい。
 それは性欲とかではなく、もっと切実で‥苦しい想い。
 あの時僕は、自分が抑えられない程、ただ‥馬鹿みたいにシークさんが欲しかったんだ。
 だから、シークさんが‥例え僕に流されたんだとしても、僕を抱いてくれたのは本当にうれしかった。

 シークさんと別れて、一人で寝てた時、‥ふとあの夜のことを思い出す。
 その度に、か~って熱くなって、恥ずかしくなって‥それ以上に嬉しくなって、‥一生の思い出にしようって思った。
 この思い出を糧に‥この後どんな辛いことがあっても乗り越えていこうって思った。
 だけど‥そんな思いはシークさんにはさせたくない。
 させるべきじゃない。
 ‥僕がどうこういうことでもないけどね。
 
「恋愛をしよう」
 って‥そんな気持ちで社会を見れば、きっと今までとは違ったものが見えて来ると思う。
 シークさんに向ける街の人たちの好意や‥恋心。
 今までシークさんが見てこようとしなかった‥気付かなかった思い‥そういうものに気付くと思う。
 ‥今までは絶対に気付いて欲しくなかったけど‥でもそれは‥ズルいかなあって。
 でもね。
 その人たちよりやっぱり‥僕が一番いい! そう思われたいって思うのが、僕の希望的願望。

 三年後、僕は今よりもっと進化して、(きっと今よりずっと進化した)シークさんの愛を取り戻す‥振り向いてもらえるように頑張るんだからね!!
 シークさん、覚悟してくださいね!
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