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閑話 その頃の‥(フタバちゃん)
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「フタバ。
城からご褒美が出たから何か買ってあげよう!
新しいドレスを作るのはどうだい? 」
城から帰ってきた叔父さんっていうか義父さんがご機嫌な笑顔で言った。
城からのご褒美って言うのは、以前ロナウと「新ビジネス(笑)」の為に挨拶周りをしていた繋がりで叔父さんがやってた魔薬販売ルート壊滅の働きに対するご褒美だ。
麻薬販売ルートの壊滅っていっても、知り合いに注意喚起したりそれとなく知り合いに様子を見てもらったり、もし見つけたら騎士団に報告して、逮捕、保護したり治療したり‥(ちなみにこの時騎士団は「最後に一網打尽にしたいから」って言って秘密裏に行動したんだって。売人に「騎士団や警察にバレた」ってバレない様に‥って感じだね)
叔父さんの顔の広さもあるけど、そういう騎士団の努力によって魔薬販売ルートを壊滅に追い込むことが出来たのであって、何も叔父さんだけの手柄じゃないんだけどね。
お城と言えば‥
エンヴァッハ伯爵が今回の件の責任を取って(責任を取ってって言い方は正しくないわね。「ご迷惑をおかけしました、申し訳ないです」って感じかしら? )領地を一部コールネンド家に譲渡したらしい。コールネンド家ってのは、ナナフルさんのお母さんの生家だ。
「自分のせいで‥」
って瞳を伏せ、俯きがちに繰り返し謝っていたエンヴァッハ伯爵の様子をフタバは(偶然現場を目撃した)父親から聞かされた。
「私も、エンヴァッハ伯爵とは、ちょっと付き合いがあったからね」
って叔父さんもしんみりと言った。
不仲だったとはいえ、妻は逮捕され、長女は嫁ぎ先を離縁され修道院に、次女からは絶縁願を出された‥。
「領地の件は伯爵本人から聞いたんだけど、‥もう、見てられなかったよ」
って叔父さんは言っていた。
「そんなこともあるから‥結婚に対して消極的になっちゃうわね」
っていつもだったら言うんだけど‥
否、実家だったら言っただろうけど、今はジェラルナン子爵家に養子に入ったんだから、結婚やだとか言ってられないって、責任を感じている。
叔父さんには「気にしないでいいよ。何より君の気持が一番大事だ」って言われてるんだけどね。
‥そんなわけあるかい、それで済むかい、って分かってるんだけどね。
だから
「私も、きちんと相手は見極めないといけないって思いますね」
って言ったんだ。
叔父さんが笑って
「ロナウ君はそんな心配はないだろ? 」
って言った。
いやいや、あの婚約はあくまでも仮のもので‥
私は苦笑いした。
だって、ロナウのお家テイナー家は全然裕福じゃないし、ロナウは家族の中でつまはじき‥とまでは言わないけど‥全然発言権ない。つまり、結婚することによってこの家に全然メリットなんてない。きっと、婿養子に入っても持参金とかも出せないだろう。
ロナウ自体も成績はそこそこよかったけど、全然人脈とかないし、商売の才能とかもない。騎士として正式に登録されてないから騎士としての仕事は出来ない‥これから先、登録しても‥闇の魔剣使用者の彼に仕事が来るとも思えない。
政略結婚の相手としての、ロナウは‥全然優良物件じゃない。
そんなことを考えていたら、
「心配しないでフタバ。別に彼のお家に持参金を要求したりする気なんて全然ない。必要ないし。
ロナウ君は優しいし、礼儀正しい、短気でもないし、根性もある。‥人柄は申し分ない。それに健康だし、丈夫。それで十分だ。
それだけでも立派なのに、ロナウ君は優秀な魔術士で騎士だ。
フタバは彼に商才がないことを気にしてるんだと思うけど‥フタバと二人協力してやっていけば出来るって思うんだ。フタバに「深窓の令嬢」をさせてあげられなくなるけど‥そもそも、フタバはそんなタイプじゃないでしょ? 」
叔父さんが優しく微笑んで言ったんだ。
「それとも‥フタバは彼のことが嫌いなの? 信用できない? 」
って
優しく瞳を覗き込まれたら‥
もう
「‥ロナウを信用なんて‥出来ないです」
なんて嘘は言えなかった。
「‥ロナウは‥あれで、結構頼りになります。
頼りなく見えるけど、‥最後には決めてくれるし‥
いつの間にか、私もコリンも「ロナウなら任せて大丈夫」って‥今回何度も思った。
ロナウは出会ったときよりずっと頼りになる人になった。
私も‥出会ったときよりずっとロナウの事‥」
好きになってた。
婚約破棄なんてしたくないって思った。
だけど、結婚しようかって‥そういうこと平民じゃないんだから勝手に言うわけにもいかず‥だらだらとそのままにしてた。
だけど‥ホントは何度も叔父さんに話そうって思ってた。
ロナウと結婚したいって。
してもいい? って。
「私、ロナウのことが好きなんです。‥結婚したいんです。
ロナウをジェラルナン子爵の後継者にしても‥いいですか? 」
真っすぐ叔父さんを見ながら言った。
叔父さんが微笑んで頷く。
「さ、じゃあ、今からロナウ君を迎えに行こうか」
そして、そのことは先に父親(ベネット氏)に伝わり‥以前の状況に至った‥ってわけだ。
※130話参照
「君は俺に約束したじゃないか。フタバを守るって。一生」
騎士団長の「約束を破るのか? 」という『疑いの』視線発動。
「一生とは言ってませんけど!? 」
焦るロナウ。
「騎士が一度約束したことを違えるなんてあってはいけないことだと思うが!? 」
騎士団長の「約束を破るのか!? 」という怒りの視線発動。
「騙すとかの方が問題ですけど!? 」
ロナウの「脅迫には屈しないぞ」という決意の表情発動。
「人聞きが悪いな、君」
騎士団長、余裕の表情。
騎士団長、勝利を確信。
「僕の意見は‥全然無視なんですか!? 」
半泣きで叫んだロナウだけど‥
勿論、騎士団長(ベネット氏、フタバの実の父親)とジェラルナン子爵にかなうわけなんてないのだった。
‥でも、僕も‥断る理由なんてないわけだしね‥。
苦笑いしてフタバに優しく微笑みかけたロナウと、そんなロナウに微笑み返すフタバだった。
城からご褒美が出たから何か買ってあげよう!
新しいドレスを作るのはどうだい? 」
城から帰ってきた叔父さんっていうか義父さんがご機嫌な笑顔で言った。
城からのご褒美って言うのは、以前ロナウと「新ビジネス(笑)」の為に挨拶周りをしていた繋がりで叔父さんがやってた魔薬販売ルート壊滅の働きに対するご褒美だ。
麻薬販売ルートの壊滅っていっても、知り合いに注意喚起したりそれとなく知り合いに様子を見てもらったり、もし見つけたら騎士団に報告して、逮捕、保護したり治療したり‥(ちなみにこの時騎士団は「最後に一網打尽にしたいから」って言って秘密裏に行動したんだって。売人に「騎士団や警察にバレた」ってバレない様に‥って感じだね)
叔父さんの顔の広さもあるけど、そういう騎士団の努力によって魔薬販売ルートを壊滅に追い込むことが出来たのであって、何も叔父さんだけの手柄じゃないんだけどね。
お城と言えば‥
エンヴァッハ伯爵が今回の件の責任を取って(責任を取ってって言い方は正しくないわね。「ご迷惑をおかけしました、申し訳ないです」って感じかしら? )領地を一部コールネンド家に譲渡したらしい。コールネンド家ってのは、ナナフルさんのお母さんの生家だ。
「自分のせいで‥」
って瞳を伏せ、俯きがちに繰り返し謝っていたエンヴァッハ伯爵の様子をフタバは(偶然現場を目撃した)父親から聞かされた。
「私も、エンヴァッハ伯爵とは、ちょっと付き合いがあったからね」
って叔父さんもしんみりと言った。
不仲だったとはいえ、妻は逮捕され、長女は嫁ぎ先を離縁され修道院に、次女からは絶縁願を出された‥。
「領地の件は伯爵本人から聞いたんだけど、‥もう、見てられなかったよ」
って叔父さんは言っていた。
「そんなこともあるから‥結婚に対して消極的になっちゃうわね」
っていつもだったら言うんだけど‥
否、実家だったら言っただろうけど、今はジェラルナン子爵家に養子に入ったんだから、結婚やだとか言ってられないって、責任を感じている。
叔父さんには「気にしないでいいよ。何より君の気持が一番大事だ」って言われてるんだけどね。
‥そんなわけあるかい、それで済むかい、って分かってるんだけどね。
だから
「私も、きちんと相手は見極めないといけないって思いますね」
って言ったんだ。
叔父さんが笑って
「ロナウ君はそんな心配はないだろ? 」
って言った。
いやいや、あの婚約はあくまでも仮のもので‥
私は苦笑いした。
だって、ロナウのお家テイナー家は全然裕福じゃないし、ロナウは家族の中でつまはじき‥とまでは言わないけど‥全然発言権ない。つまり、結婚することによってこの家に全然メリットなんてない。きっと、婿養子に入っても持参金とかも出せないだろう。
ロナウ自体も成績はそこそこよかったけど、全然人脈とかないし、商売の才能とかもない。騎士として正式に登録されてないから騎士としての仕事は出来ない‥これから先、登録しても‥闇の魔剣使用者の彼に仕事が来るとも思えない。
政略結婚の相手としての、ロナウは‥全然優良物件じゃない。
そんなことを考えていたら、
「心配しないでフタバ。別に彼のお家に持参金を要求したりする気なんて全然ない。必要ないし。
ロナウ君は優しいし、礼儀正しい、短気でもないし、根性もある。‥人柄は申し分ない。それに健康だし、丈夫。それで十分だ。
それだけでも立派なのに、ロナウ君は優秀な魔術士で騎士だ。
フタバは彼に商才がないことを気にしてるんだと思うけど‥フタバと二人協力してやっていけば出来るって思うんだ。フタバに「深窓の令嬢」をさせてあげられなくなるけど‥そもそも、フタバはそんなタイプじゃないでしょ? 」
叔父さんが優しく微笑んで言ったんだ。
「それとも‥フタバは彼のことが嫌いなの? 信用できない? 」
って
優しく瞳を覗き込まれたら‥
もう
「‥ロナウを信用なんて‥出来ないです」
なんて嘘は言えなかった。
「‥ロナウは‥あれで、結構頼りになります。
頼りなく見えるけど、‥最後には決めてくれるし‥
いつの間にか、私もコリンも「ロナウなら任せて大丈夫」って‥今回何度も思った。
ロナウは出会ったときよりずっと頼りになる人になった。
私も‥出会ったときよりずっとロナウの事‥」
好きになってた。
婚約破棄なんてしたくないって思った。
だけど、結婚しようかって‥そういうこと平民じゃないんだから勝手に言うわけにもいかず‥だらだらとそのままにしてた。
だけど‥ホントは何度も叔父さんに話そうって思ってた。
ロナウと結婚したいって。
してもいい? って。
「私、ロナウのことが好きなんです。‥結婚したいんです。
ロナウをジェラルナン子爵の後継者にしても‥いいですか? 」
真っすぐ叔父さんを見ながら言った。
叔父さんが微笑んで頷く。
「さ、じゃあ、今からロナウ君を迎えに行こうか」
そして、そのことは先に父親(ベネット氏)に伝わり‥以前の状況に至った‥ってわけだ。
※130話参照
「君は俺に約束したじゃないか。フタバを守るって。一生」
騎士団長の「約束を破るのか? 」という『疑いの』視線発動。
「一生とは言ってませんけど!? 」
焦るロナウ。
「騎士が一度約束したことを違えるなんてあってはいけないことだと思うが!? 」
騎士団長の「約束を破るのか!? 」という怒りの視線発動。
「騙すとかの方が問題ですけど!? 」
ロナウの「脅迫には屈しないぞ」という決意の表情発動。
「人聞きが悪いな、君」
騎士団長、余裕の表情。
騎士団長、勝利を確信。
「僕の意見は‥全然無視なんですか!? 」
半泣きで叫んだロナウだけど‥
勿論、騎士団長(ベネット氏、フタバの実の父親)とジェラルナン子爵にかなうわけなんてないのだった。
‥でも、僕も‥断る理由なんてないわけだしね‥。
苦笑いしてフタバに優しく微笑みかけたロナウと、そんなロナウに微笑み返すフタバだった。
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