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246.ナナフルは過去のことなんてもう捨て去ってしまいたい。
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「‥まて、アンバーお前はさっきから、白いのが母親が何か罪を犯したことを知っているという前提で話しているが‥白いのは知らない可能性はないか?
ナナフルの母親は、ナナフルを産む前にエンヴァッハ伯爵家を出てるわけだし」
ザッカが言うと
「そういう可能性もあるな。
それが一番いいケースだ。
だけど、物事は最悪の場合を考えておいた方がいい。
‥そういう話だ。
それに‥そういうのは結構調べればわかるもんだぞ? 」
情報ギルドってのは、「どこでそんな情報を」っていう情報を集めて来る。
調べれば何でもわかるんだ。
そして、調べなくても‥相手が「そうだ」と言えば、「そういうふう」になるってこともある。
ナナフルの母親が伯爵家を急に退職したいと言って来た時、エンヴァッハ伯爵夫人は不審に思っただろう。
なんで急に? ってそして侍女から「彼女はどうやら子供が出来た様だ」という「噂」を聞かされる。
悋気持ちの伯爵夫人は、誰もを伯爵の浮気相手だっていって疑ったんだ。
例えば、書斎にお茶を持ってきてくれと頼まれた侍女が、部屋から出て来るのが遅くなったくらいで‥夫人は侍女を疑った。
そういう目で見たら、行動の全てが「怪しい」ってなる。
そして‥勝手に疑惑は確信に変わるんだ。‥今までもそんなことがよくあった。
侍女が平民だったら、直ぐ「難癖つけて」やめさせた。だけど、ナナフルの母親は貴族だったし、前伯爵夫人(エンヴァッハ前伯爵の夫人、つまり伯爵の母親だな)の友人の娘だったからそういうわけにはいかなかった。
手出しは出来ないけど、気になる‥。
きっとあの二人は‥
そんな彼女が急に退職する。そして、別な侍女の噂「彼女は妊娠している」だ。
夫人は、(勝手に)確信したんだ。
その子供は、伯爵との不義の子だと‥。
‥夫人はその怒りをきっと上の娘に隠せなかったと思う。‥なぜなら、上の娘は人より鼻が利いて、伯爵夫人は人よりずいぶん「顔に出やすいたち」だったから。
何かあるな~って上の娘は気付くが、腹黒い彼女はそのことを口にはしない。ただ、イライラしたり泣いたりする母親に寄り添って慰めるだけ。
いくらそんな母親でも、当時はまだ幼かった娘に父親の不義理を話すことはなかっただろう。
だから、幼い彼女が真実を母親の口から聞かされることはなかった。だけど、彼女は当時自分が出来るあらゆる手段を使って邸内のうわさを集めた。そして、彼女は知ったのだ。
自分には弟がいるかもしれない‥ということを。
そして‥父親はその子を認知しているらしい。
そのことを母親は知っているだろうか? もし知ってたらマズいな~。面倒だな~。
って彼女は思ったが、今は何も出来ないから(まだ幼い自分に出来ることはないから)引き続き見守っていると‥「愛人と愛人の子が不慮の事故で亡くなったらしい」という噂話が入ってきた。
そして、彼女は「母親が手をまわしたんだろうな」と‥ほぼ確信していた。
だって、そんな偶然ないでしょ、それに‥あの人ならやりそうだし‥って思ったんだ。
ヤレヤレとは思ったけど、別に他に何とも思わなかった。
寧ろ面倒なことがなくなってよかった。としか思わなかった。
そして‥もしかして、そのまま忘れてたかもしれない。
だけどそのことを、今回騎士団に妹の捜索を依頼するって聞いた時‥思い出した。
そして焦った。
このうちには、探されたら都合の悪いことがあるから。
身内が貴族の殺人を依頼した‥とか世間にバレたら最悪だ。
騎士団が調べたなら‥、殺人はもみ消せないだろう。
「そういう話になりそうじゃない? 」
アンバーの「仮説」は‥あまりにも「ありそう」だった。
「っくっそ‥。どうしたらいいんだよ‥」
ザッカが拳を握りしめた。
「私の戸籍って今、どうなってるの? 」
ナナフルが知り合いに尋ねると、そう聞かれるのを予測していたのだろう。
知り合いがナナフルに一枚の紙を渡す。
ネーメル家 貴族(男爵)
家主 ルーディウス 妻 メーベル
子 なし
同居 家主父 バーレン 妻 サーシャ
家主姪 ミナ(失踪中) 子 フュージ (失踪中)
「あ、ミドルネームとかは書いてないんだ」
ナナフルが紙を見ながら言うと、知り合いが
「この戸籍にはね」
って頷いた。
そう言うのは、家系図とか貴族名鑑とかにしか載らないのかな?
ナナフルは思った。
「役所に置いてある戸籍は、あくまで「こういう人が住んでますよ」「この人の家族はこんな感じですよ」だけだから」
知り合いが一口ハーブティーを飲んでから言った。
一応貴族と平民の違いはあるものの、戸籍はみんな平等。
‥全部それでいいのにな‥
って思う。
「調べに来た人‥気になるな。
私の母‥と私の殺人を依頼した人に関係あるのかな」
「依頼した人なら、失踪中っていいながら「もう死んでる」って知ってるわよね~」
「依頼主が私たちを殺そうと依頼したことを知っている、他の誰かってことだよね‥」
例えば、依頼主(仮にAとしよう)Aの犯罪を知って、それをネタにゆすろうとしてるBという人間。
Aの犯罪を今になって立件しようとしている警察。
‥それしか浮かばない。
どっちだろうと、自分には関係が無い。
‥実は生きてるかも‥って探されたらややこしいけど。
「私の家族に手を出さないなら別に依頼主がゆすられようと警察につかまろうとどうでもいいんだけどね」
ナナフルがため息をついた。
「ナナフルの父親が今になってやっとミナさんの存在を思い出して、戸籍を調べたら失踪中‥「何があった~!? 」って思った‥って可能性もあるけど? 」
知り合いが自分でカップに二杯目のハーブティーを淹れながら言った。
「男性だったの? 」
ナナフルが目を見開いて知り合いを見ると、知り合いが首を振った。
「女性だったわ。どう見ても貴族の家で働いてるメイドさんって感じだった。
そういうの自分で調べないんじゃない? 貴族って」
ナナフルが「そりゃそうだよね」ってため息をついた。
父親の名前は知らないけど、多分貴族だろうってことは知ってる。
別に名前を知りたいとは思ったことない。
母親と共に命を狙われたこと、父親が自分たちを探しに来なかったこと‥から、「ろくでもない奴」だって分かってるし「訳アリ」だってことも分かってる。
煩わしい。
放っておいて欲しい。
「アラ‥もうすぐザッカが帰って来るわね」
知り合いがちらりとドアを見た。
この知り合いもナツミ(ザッカの村の用心棒)程じゃないけど、腕に自信がある。ナナフルは頷き、小声で
「今日はありがとう。‥今後もそんなことがあ教えて欲しい欲しい」
って言った。知り合いが頷き
「もし何かあったらザッカにも相談しなさいよ」
ってこそ‥っという。ナナフルも頷く。
ザッカを危険に巻き込むことだけはしたくない。それ以前に、ザッカを煩わしいことに関わらせたくない。
‥男だのに、「怖いから守って」とかは‥絶対言いたくない。
違うな。
ザッカといる自分はナナフルで、フュージは死んだ。だのに、今更‥って思う。
「ホント、もう放っておいて欲しいよ」
大きくため息をつきながら、ナナフルが言った。
ナナフルの母親は、ナナフルを産む前にエンヴァッハ伯爵家を出てるわけだし」
ザッカが言うと
「そういう可能性もあるな。
それが一番いいケースだ。
だけど、物事は最悪の場合を考えておいた方がいい。
‥そういう話だ。
それに‥そういうのは結構調べればわかるもんだぞ? 」
情報ギルドってのは、「どこでそんな情報を」っていう情報を集めて来る。
調べれば何でもわかるんだ。
そして、調べなくても‥相手が「そうだ」と言えば、「そういうふう」になるってこともある。
ナナフルの母親が伯爵家を急に退職したいと言って来た時、エンヴァッハ伯爵夫人は不審に思っただろう。
なんで急に? ってそして侍女から「彼女はどうやら子供が出来た様だ」という「噂」を聞かされる。
悋気持ちの伯爵夫人は、誰もを伯爵の浮気相手だっていって疑ったんだ。
例えば、書斎にお茶を持ってきてくれと頼まれた侍女が、部屋から出て来るのが遅くなったくらいで‥夫人は侍女を疑った。
そういう目で見たら、行動の全てが「怪しい」ってなる。
そして‥勝手に疑惑は確信に変わるんだ。‥今までもそんなことがよくあった。
侍女が平民だったら、直ぐ「難癖つけて」やめさせた。だけど、ナナフルの母親は貴族だったし、前伯爵夫人(エンヴァッハ前伯爵の夫人、つまり伯爵の母親だな)の友人の娘だったからそういうわけにはいかなかった。
手出しは出来ないけど、気になる‥。
きっとあの二人は‥
そんな彼女が急に退職する。そして、別な侍女の噂「彼女は妊娠している」だ。
夫人は、(勝手に)確信したんだ。
その子供は、伯爵との不義の子だと‥。
‥夫人はその怒りをきっと上の娘に隠せなかったと思う。‥なぜなら、上の娘は人より鼻が利いて、伯爵夫人は人よりずいぶん「顔に出やすいたち」だったから。
何かあるな~って上の娘は気付くが、腹黒い彼女はそのことを口にはしない。ただ、イライラしたり泣いたりする母親に寄り添って慰めるだけ。
いくらそんな母親でも、当時はまだ幼かった娘に父親の不義理を話すことはなかっただろう。
だから、幼い彼女が真実を母親の口から聞かされることはなかった。だけど、彼女は当時自分が出来るあらゆる手段を使って邸内のうわさを集めた。そして、彼女は知ったのだ。
自分には弟がいるかもしれない‥ということを。
そして‥父親はその子を認知しているらしい。
そのことを母親は知っているだろうか? もし知ってたらマズいな~。面倒だな~。
って彼女は思ったが、今は何も出来ないから(まだ幼い自分に出来ることはないから)引き続き見守っていると‥「愛人と愛人の子が不慮の事故で亡くなったらしい」という噂話が入ってきた。
そして、彼女は「母親が手をまわしたんだろうな」と‥ほぼ確信していた。
だって、そんな偶然ないでしょ、それに‥あの人ならやりそうだし‥って思ったんだ。
ヤレヤレとは思ったけど、別に他に何とも思わなかった。
寧ろ面倒なことがなくなってよかった。としか思わなかった。
そして‥もしかして、そのまま忘れてたかもしれない。
だけどそのことを、今回騎士団に妹の捜索を依頼するって聞いた時‥思い出した。
そして焦った。
このうちには、探されたら都合の悪いことがあるから。
身内が貴族の殺人を依頼した‥とか世間にバレたら最悪だ。
騎士団が調べたなら‥、殺人はもみ消せないだろう。
「そういう話になりそうじゃない? 」
アンバーの「仮説」は‥あまりにも「ありそう」だった。
「っくっそ‥。どうしたらいいんだよ‥」
ザッカが拳を握りしめた。
「私の戸籍って今、どうなってるの? 」
ナナフルが知り合いに尋ねると、そう聞かれるのを予測していたのだろう。
知り合いがナナフルに一枚の紙を渡す。
ネーメル家 貴族(男爵)
家主 ルーディウス 妻 メーベル
子 なし
同居 家主父 バーレン 妻 サーシャ
家主姪 ミナ(失踪中) 子 フュージ (失踪中)
「あ、ミドルネームとかは書いてないんだ」
ナナフルが紙を見ながら言うと、知り合いが
「この戸籍にはね」
って頷いた。
そう言うのは、家系図とか貴族名鑑とかにしか載らないのかな?
ナナフルは思った。
「役所に置いてある戸籍は、あくまで「こういう人が住んでますよ」「この人の家族はこんな感じですよ」だけだから」
知り合いが一口ハーブティーを飲んでから言った。
一応貴族と平民の違いはあるものの、戸籍はみんな平等。
‥全部それでいいのにな‥
って思う。
「調べに来た人‥気になるな。
私の母‥と私の殺人を依頼した人に関係あるのかな」
「依頼した人なら、失踪中っていいながら「もう死んでる」って知ってるわよね~」
「依頼主が私たちを殺そうと依頼したことを知っている、他の誰かってことだよね‥」
例えば、依頼主(仮にAとしよう)Aの犯罪を知って、それをネタにゆすろうとしてるBという人間。
Aの犯罪を今になって立件しようとしている警察。
‥それしか浮かばない。
どっちだろうと、自分には関係が無い。
‥実は生きてるかも‥って探されたらややこしいけど。
「私の家族に手を出さないなら別に依頼主がゆすられようと警察につかまろうとどうでもいいんだけどね」
ナナフルがため息をついた。
「ナナフルの父親が今になってやっとミナさんの存在を思い出して、戸籍を調べたら失踪中‥「何があった~!? 」って思った‥って可能性もあるけど? 」
知り合いが自分でカップに二杯目のハーブティーを淹れながら言った。
「男性だったの? 」
ナナフルが目を見開いて知り合いを見ると、知り合いが首を振った。
「女性だったわ。どう見ても貴族の家で働いてるメイドさんって感じだった。
そういうの自分で調べないんじゃない? 貴族って」
ナナフルが「そりゃそうだよね」ってため息をついた。
父親の名前は知らないけど、多分貴族だろうってことは知ってる。
別に名前を知りたいとは思ったことない。
母親と共に命を狙われたこと、父親が自分たちを探しに来なかったこと‥から、「ろくでもない奴」だって分かってるし「訳アリ」だってことも分かってる。
煩わしい。
放っておいて欲しい。
「アラ‥もうすぐザッカが帰って来るわね」
知り合いがちらりとドアを見た。
この知り合いもナツミ(ザッカの村の用心棒)程じゃないけど、腕に自信がある。ナナフルは頷き、小声で
「今日はありがとう。‥今後もそんなことがあ教えて欲しい欲しい」
って言った。知り合いが頷き
「もし何かあったらザッカにも相談しなさいよ」
ってこそ‥っという。ナナフルも頷く。
ザッカを危険に巻き込むことだけはしたくない。それ以前に、ザッカを煩わしいことに関わらせたくない。
‥男だのに、「怖いから守って」とかは‥絶対言いたくない。
違うな。
ザッカといる自分はナナフルで、フュージは死んだ。だのに、今更‥って思う。
「ホント、もう放っておいて欲しいよ」
大きくため息をつきながら、ナナフルが言った。
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