この度、押しかけ女房に押し切られました。 ~押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした~

文月

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235.シンプルに‥破壊衝動。

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 ホントはね。
 そんなわけないんだ。
 怖くない訳なんかない。
 相手はやっぱり大きいし、人数だって多いし、‥権力もある。
 ずる賢いし、そもそも人のこころを持ってるかも怪しいような奴ら。
 まともに戦って勝てるわけがない。
 
 だけど、ふと気が付いたんだ。
 僕は‥ホントは怖がってるんじゃないんだ。
 多分ね。

 「大人ぶって」色々言い訳して、自分を「胡麻化して」たんだ。
 
 相手は悪い奴だから、ぶっ潰してもいいって! 
 そう囁く「子供みたいな自分」に
 いやいや。だけど‥誰かにとっては悪い奴じゃない訳じゃない?
 僕が勝手にぶっ潰したら困る人だっているんじゃない? 
 勝手に「正義の味方」ぶって、頼まれてもいないことやって、それで「いいことしたわ~。人助けしたわ~」とか、どんだけ「独り善がり」の自己満足野郎なんだ。
 そもそも、救世のヒーローぶったりとかして‥「モモタロー」かよ。「オーガを倒す定めを持って生まれてきました」とか? 
 お前はそんな大層な人間じゃないだろ?
 ってそう自分に言い聞かせて、無理やり自分を抑え込んできたんだ。
 
 だけどね。

 僕は昔っから変わってない。
 言い訳ばっかり。
 
 学生の頃僕は、
 訓練の為に
 魔法を試したいから
 魔物を減らすのは、魔物に対処できる者の義務。
 そう自分に「言い訳して」、魔物を倒してた。

 違う。
 ただ‥

 僕はいつだって何かを破壊したくってうずうずしてただけなんだ。
 厨二な破壊衝動だよ。
 魔物を殺したかった。
 魔物が倒れたらスカッとした。
 魔物を倒したら力がついた。
 どんどんできる魔法も増えた。
 そしたらレベルも上がった。
 嬉しくて、‥楽しくてたまらなかった。

 僕はヤバい奴だったんだ。
 ‥今まで認めたくなかったけど認めたらホントに楽になった。
 
 楽しそうだから、やってたの。
 魔物退治。
 魔物だったら、誰からも文句言われないでしょ?
 それに‥やらなきゃやられちゃうわけだし。
 わざわざ向かって行って「やらなきゃやられちゃうからやった」とかどういう理屈って感じなんだけどね。
 
 今回も、そんな感じ。
 もう、随分巣穴攻撃してきたから、そろそろ「魔物」が怒って出てきてもおかしくない。
 そしたら、「やられなきゃやられちゃうから」仕方が無いから「やっちゃおう」って思う。

 シンプルに考えたら楽しみで仕方ない。
 皆を巻き込んだら嫌だ。とか‥だけど、僕が心配するとかそれこそ思い上がりもいいところだよね。
 寧ろ、足手まといにならない様にしないとね、って思う。


 あからさまに「ウキウキ」しだした僕に、
「何よ。コリン。あんたも大概脳筋よね。
 悪い奴なら倒しても問題ないでしょ~、とか思ってるんでしょ? どうせ。
 全く‥子供みたいよ? 」
 なんて言ってるけど、フタバちゃんもウキウキしてる。
「私もね。今までお世話になってきた「協会(表)」を攻撃するのはためらわれたけど、敵=「協会(裏)」と教会=「協会(表)」が別なら心置きなくヤレルってもんだわ♪」
 言って、ふふって微笑む。
「バトルなら、魔剣が遠慮なく振れるかも‥?
 どさくさに紛れてやっちゃったらダメかな~」
 っていう(同じくウキウキしてる)ロナウには
「あんたそれ家宝でしょ。家に迷惑かけたくなかったら止めときな」
 って二人で止めた。
 
 ロナウが剣を握ったら人が変わるのは、剣があれば安心だってお守り的な存在だから? それとも‥僕の魔法と同じでただ破壊的衝動を解消する手段?
 ただ、楽しいから? 

 いずれにしても‥

 僕はね、大事で大好きな魔法をそんな「欲求解消の手段」に使ってたって気付いた時(← たった今)ちょっとショックだったんだ。
 ‥君もそんなことしない方がいい。
 剣が好きなら余計にね。 
 って言っても、‥僕はこれからも変われないんだろう。
 メインは「仕事の為」「生活を豊かにするため」「護身の為」に使うけど‥、欲求解消の手段にすることも‥あるだろう。(ここぞとばかりに腹いせで「やりすぎ」ちゃったり‥とかね)
 でも、‥理性が飛ばなかったらセーフって思うことにする。
 そのせいで後悔するようなことにならなければそれでいい‥かなあって。
 不本意な誰かを傷つけたり(例えば巻き添え食らった人とかね、あとは‥偶然目撃しちゃった幼気な子供とか? そういうの)、不本意な誰かに責められたり、不本意な誰かに恐れられたり
 そういうのは、何より、大事で大好きな魔法を傷つけることになるからね。

「何があって納得したのかわかんないけど、コリンたちが覚悟決めたっていうなら俺もつきあうよ。
 ‥それ以降、俺を狙うやつがいなくなるっていうんだったらね? 」
 は、アンバー。
 にやって笑った顔が‥今日もほんと嫌味な程綺麗。
「‥止めても無駄なんだったら、俺も手伝う」
 はシークさん。
 苦笑いが渋い! カッコ‥ぃぃ!
「部下の安全を守るのは上司の務めですからね」
 ナナフルさん! 麗しい~!!
「ったく、俺が守るのはナナフルだけだぞ」
 ‥ザッカさん。ブレないよね。相変わらず。

「‥さて、では手始めに雑魚をかたづけましょうか‥」
 僕は、扉の向こうをうすら笑いを浮かべながら見つめた。
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