230 / 310
226.次の目標が決まりました。
しおりを挟む
ザッカさんが意図したわけでは無かったんだけど、
さっきの会話は、ブレスト(ブレーンストーミング)みたいな感じだったんだ。
ブレストっていうのは、会議に参加した人々が自由な発想で意見を出し合い新しいアイデアを出し合うっていう手法だ。その原則に、人の意見を否定しない、質より量でたくさんの意見を出す‥とかがあって最初にそれをメンバーに伝えないといけないんだけど、そこはザッカが何となくフォローした。
なんていっても、本来のブレストみたいに「今から何々について話し合います」とか、議題を決めて話し合ったわけでは無いから、そこら辺はちょっと変えながら‥って感じだ。
会議って言いながら、主に発言をするのがロナウとコリンだけっていうシンプルなもので、更にちょっと雑談みたいだった(フタバはちょこちょこしか口を出してなかったわけだけど、ザッカ的には、フタバも発言者の一人だった)
だけど、司会進行役のザッカが手綱を握ったことで、今回の会議はちょっとした収穫があった。
協会の内部事情なんか部外者であるザッカたちには調べにくいことの話も聞けた。協会(表)がらみの発想なんかは実際の加入者の方が出やすいだろう。
ザッカは、そういう雑談やなんかを邪魔しない様に、フタバが話を広げることは歓迎するが、話を「脱線してる」とか決めつけて中断させたり、「それは違う」って批判したりしない様に‥だけに集中した。内容の記録は、書記のナナフルが全部メモしてるから安心して任せている。
ナナフルは、速記も得意なんだ。
結局あの後もう少しロナウとコリンが発言し、ナナフルが「ちょっとお茶にしましょう」とブレストの終了を宣言した。
お茶を飲み一息ついた後‥
「何となく、協会の本質とつつくべき弱点みたいなものが見えた気がする」
ぼそりとフタバが呟いた。
「つつくべき弱点とは? 」
コリンがフタバを見る。フタバは頷いて
「収入減を絶てばいいのよね、つまり」
真剣な顔で言った。
‥そりゃね。
「まずは、魔薬の販売を邪魔したいですわね。‥その為に、まず今の顧客から消していく。中毒になって固定客になるのだけは、絶対に避けたいですわ‥。それから‥これから顧客になる人間の特定も同時に進めていく‥」
フタバが真剣な表情で言った。
「消すって‥」
ロナウが青い顔でフタバを見る。
「‥殺すって意味じゃないですわよ? 買わない様にさせるって意味ですわ? 勿論」
‥信じていいんだろうか‥。フタバちゃんって‥なんとなく得体が知れないからなあ‥。
ってロナウとコリンは苦笑いだ。
ナナフルもアンバーもそこまでフタバを「得体が知れない」って思ってないらしく、にこにこしながら聞いているだけだ。(ナナフルたちに危機察知能力が低いのではなくて、多分、ナナフルたち自身も得体が知れないからだろう)
ザッカは、結構何があってもどーんとしている。それは、シークも同じだった。(シークは今ここにはいないけど)
フタバは「失礼ですわね~」ってにこにこ笑いながら、
「顧客が中毒になると、ずっと固定の収入があるわけですし‥」
と話を続け、
「それ以上に怖いことは」
と、そこで表情を険しくした。
周りが息をのみ、フタバの次の言葉を待つ。
「魔薬の中毒患者が、協会の使い勝手がいい無償労働力となる恐れがあることですわ。
例えば、協会は‥協会にとって都合の悪い魔術士を魔薬中毒者に殺人をさせることもあるかもしれない。魔術士同士の殺人は(対魔法使い以外の)法律に問われないですから」
周りの空気が一度下がった気がした。
「だから、魔薬使用者が魔薬をやめるように‥消さなきゃならないんですわ」
「魔法陣の破壊だね」
コリンが苦笑いしながら聞くと、フタバが頷いた。
そして、ふふっと微笑むと
「それこそ、私たちの共同体の得意技じゃない。
マークして、カット‥「集めて凍らせて、バーン! 」よ! 」
腰に手を当てて、得意顔のフタバ。
「え‥それって‥
やっぱり‥大量殺戮宣言?? 」
真っ青になる周囲。
‥さっき、殺さないっていったじゃないか~‥
「え? 」
こてんと可愛く首を傾げるフタバ。
「魔薬服用者を集めて凍らせて‥」
‥最後まで言えない‥。
「違いますわ~!! 勿論、魔法陣を集めて‥ですわ! 」
もう! とフタバが頬を膨らませて抗議する。
コリンは呆れたって顔でフタバを見る。
「‥魔法陣を摂取した人間から取り出すことは出来ないぞ? 」
シャルルの時も、目を合わせながら、シャルルの中にある魔法陣を破壊した。取り出して破壊できるなら、あの場で向かい合って時間をかけて破壊しなくてもよかっただろう。それを知っているロナウも頷く。
その事実を初めて知って驚き‥そして、さっきの自分の発言に改めて青くなるフタバ。
と‥
「‥いや‥待てよ‥
ロナウなら‥
魔法陣は魔力の塊‥。
保有者とは別の魔力を識別してその魔力だけ吸収したら‥そして、それを破壊すれば‥」
コリンが俯いて‥独り言を呟く。
そして、ぱっと明るい表情で顔を上げると
「ロナウ! 今回の共同体、ロナウがリーダーになれ! その前に、お前、魔術士紋を取り直せ。魔術士じゃなかったら共同体が組めないからな。
ああ、騎士紋を取り消したくなかったら、二つとも保持できる技術を身に着けろ。
大丈夫だ! お前の魔力量なら問題ない! 」
満面の笑みで言うのだった。
いや、それ。
簡単に出来ることじゃないから! それに、アンタだけ納得してないで周りに説明お願いします!
あまりのことに‥
苦笑いも出来ないロナウだった。
さっきの会話は、ブレスト(ブレーンストーミング)みたいな感じだったんだ。
ブレストっていうのは、会議に参加した人々が自由な発想で意見を出し合い新しいアイデアを出し合うっていう手法だ。その原則に、人の意見を否定しない、質より量でたくさんの意見を出す‥とかがあって最初にそれをメンバーに伝えないといけないんだけど、そこはザッカが何となくフォローした。
なんていっても、本来のブレストみたいに「今から何々について話し合います」とか、議題を決めて話し合ったわけでは無いから、そこら辺はちょっと変えながら‥って感じだ。
会議って言いながら、主に発言をするのがロナウとコリンだけっていうシンプルなもので、更にちょっと雑談みたいだった(フタバはちょこちょこしか口を出してなかったわけだけど、ザッカ的には、フタバも発言者の一人だった)
だけど、司会進行役のザッカが手綱を握ったことで、今回の会議はちょっとした収穫があった。
協会の内部事情なんか部外者であるザッカたちには調べにくいことの話も聞けた。協会(表)がらみの発想なんかは実際の加入者の方が出やすいだろう。
ザッカは、そういう雑談やなんかを邪魔しない様に、フタバが話を広げることは歓迎するが、話を「脱線してる」とか決めつけて中断させたり、「それは違う」って批判したりしない様に‥だけに集中した。内容の記録は、書記のナナフルが全部メモしてるから安心して任せている。
ナナフルは、速記も得意なんだ。
結局あの後もう少しロナウとコリンが発言し、ナナフルが「ちょっとお茶にしましょう」とブレストの終了を宣言した。
お茶を飲み一息ついた後‥
「何となく、協会の本質とつつくべき弱点みたいなものが見えた気がする」
ぼそりとフタバが呟いた。
「つつくべき弱点とは? 」
コリンがフタバを見る。フタバは頷いて
「収入減を絶てばいいのよね、つまり」
真剣な顔で言った。
‥そりゃね。
「まずは、魔薬の販売を邪魔したいですわね。‥その為に、まず今の顧客から消していく。中毒になって固定客になるのだけは、絶対に避けたいですわ‥。それから‥これから顧客になる人間の特定も同時に進めていく‥」
フタバが真剣な表情で言った。
「消すって‥」
ロナウが青い顔でフタバを見る。
「‥殺すって意味じゃないですわよ? 買わない様にさせるって意味ですわ? 勿論」
‥信じていいんだろうか‥。フタバちゃんって‥なんとなく得体が知れないからなあ‥。
ってロナウとコリンは苦笑いだ。
ナナフルもアンバーもそこまでフタバを「得体が知れない」って思ってないらしく、にこにこしながら聞いているだけだ。(ナナフルたちに危機察知能力が低いのではなくて、多分、ナナフルたち自身も得体が知れないからだろう)
ザッカは、結構何があってもどーんとしている。それは、シークも同じだった。(シークは今ここにはいないけど)
フタバは「失礼ですわね~」ってにこにこ笑いながら、
「顧客が中毒になると、ずっと固定の収入があるわけですし‥」
と話を続け、
「それ以上に怖いことは」
と、そこで表情を険しくした。
周りが息をのみ、フタバの次の言葉を待つ。
「魔薬の中毒患者が、協会の使い勝手がいい無償労働力となる恐れがあることですわ。
例えば、協会は‥協会にとって都合の悪い魔術士を魔薬中毒者に殺人をさせることもあるかもしれない。魔術士同士の殺人は(対魔法使い以外の)法律に問われないですから」
周りの空気が一度下がった気がした。
「だから、魔薬使用者が魔薬をやめるように‥消さなきゃならないんですわ」
「魔法陣の破壊だね」
コリンが苦笑いしながら聞くと、フタバが頷いた。
そして、ふふっと微笑むと
「それこそ、私たちの共同体の得意技じゃない。
マークして、カット‥「集めて凍らせて、バーン! 」よ! 」
腰に手を当てて、得意顔のフタバ。
「え‥それって‥
やっぱり‥大量殺戮宣言?? 」
真っ青になる周囲。
‥さっき、殺さないっていったじゃないか~‥
「え? 」
こてんと可愛く首を傾げるフタバ。
「魔薬服用者を集めて凍らせて‥」
‥最後まで言えない‥。
「違いますわ~!! 勿論、魔法陣を集めて‥ですわ! 」
もう! とフタバが頬を膨らませて抗議する。
コリンは呆れたって顔でフタバを見る。
「‥魔法陣を摂取した人間から取り出すことは出来ないぞ? 」
シャルルの時も、目を合わせながら、シャルルの中にある魔法陣を破壊した。取り出して破壊できるなら、あの場で向かい合って時間をかけて破壊しなくてもよかっただろう。それを知っているロナウも頷く。
その事実を初めて知って驚き‥そして、さっきの自分の発言に改めて青くなるフタバ。
と‥
「‥いや‥待てよ‥
ロナウなら‥
魔法陣は魔力の塊‥。
保有者とは別の魔力を識別してその魔力だけ吸収したら‥そして、それを破壊すれば‥」
コリンが俯いて‥独り言を呟く。
そして、ぱっと明るい表情で顔を上げると
「ロナウ! 今回の共同体、ロナウがリーダーになれ! その前に、お前、魔術士紋を取り直せ。魔術士じゃなかったら共同体が組めないからな。
ああ、騎士紋を取り消したくなかったら、二つとも保持できる技術を身に着けろ。
大丈夫だ! お前の魔力量なら問題ない! 」
満面の笑みで言うのだった。
いや、それ。
簡単に出来ることじゃないから! それに、アンタだけ納得してないで周りに説明お願いします!
あまりのことに‥
苦笑いも出来ないロナウだった。
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる