この度、押しかけ女房に押し切られました。 ~押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした~

文月

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224.アンバーは、大人。

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 ともあれ‥
 今はどうしようと、関係修復は出来そうにない。
 何を言っても、いいわけになっちゃうだろうから。
 だから、

「シークさんが戻られる前に、私たちの知っている情報を整理しておきましょうか」
 
 って言ってくれた、フタバちゃんの言葉に甘えようと思う。
 だけど
 ちらっとロナウが僕を見た。
 ロナウの目が

「いいのか? 」

 って聞いてる。‥聞いてくれてる。
 ロナウが僕を立たせて、‥僕の後ろにいてくれた。
 ‥このままじゃいやなのは確かだったけど‥僕は
 でも‥何を言っていいのか分からなかった。

「あ‥あの‥」

 (意味もなく)助けを求めるように周りを見回すと‥
 ニヤニヤ笑うアンバーと目が合った。
 ‥ムカッと来た。
 無性に‥ムカッと来た。

「あ‥アンバーが悪いんじゃないか! 無駄にキラキラしてさあ! 無駄に男前だし! アンバーがそんなだから僕が挙動不審でシークさんが安心できなくって?? え‥あれ? 何言ってんだ僕。
 とにかく!
 シークさんは僕の事とか全然どうでもいい‥とかじゃなかったんだ! 
 アンバーに嫉妬とかしてくれてるんだ! 
 そんなの‥嬉しいに決まってるじゃないか! 
 だけど‥僕らは嫉妬して、お互い好き同士だって確認した‥けど! けど! 
 だからって一時の感情で盛り上がって‥とかそういうのじゃないんだ! 
 ああ、何言ってんだろ僕‥とにかく僕が言いたかったのは! そういうことしてたわけじゃないけど! 僕は僕らはそういうことしたい関係だって確認したって話! 」
 僕が叫ぶと、
 アンバーは大笑い、フタバちゃんは「え?? 何」って眉を寄せて、ロナウは「あ~何言ってんだお前‥」って顔で‥俯いて‥ちょっと笑ってる。
 ザッカさんは「何~!? シーク許さんぞ! 」って言いかけて‥ナナフルさんに宥められて「‥まあ‥仕方が無いよな‥」って肩を落としている。
 
「とにかく! 僕が言いたいことは、
 僕はシークさんの事大好きで、今すぐにでもそういうことしたいけど‥そういうことは全て終わってからしかやらない! って話。
 お年頃だからアンバーの色目にもちょっとくらっと来ることはあるけど、それは、お腹が空いてたらそんなに好きじゃないご飯にだって「食べたい‥」って思っちゃう様なもんなの! 
 一番好きなのは、シークさんなの! 」
 きっぱり言い切って、アンバーを睨む。(コリンの言うところの怖い顔で)
 アンバーはニヤニヤしたままだ。
「‥まるで自分に言い聞かせて‥自分に納得させようとしてるみたいだね。コリン。
 ねえ‥
 無理やり自分の心を決めようとする理由は何? 
 シークに悪いから? 
 それとも、倫理観って奴? 二股は良くない‥とか? 
 ねえ、コリン。好きの形は一つじゃない。
 それに、倫理観ってのも、誰が決めたんだ? そりゃ、誰かを傷つけるのは良くない。遊び半部なのもよくない。
 だけど、コリンは真剣だよね? 別に俺やシークを傷つけようとしてるわけでもない。
 ザッカさんとナナフルさんみたいに唯一ってのもあるだろう。フタバちゃんとロナウみたいに‥「契約から恋が始まる」かもしれない‥ってパターンもある。(ここで、フタバとロナウが「始まるか!! 」とツッコミを入れる)好きも、恋も自由だ。
 三人いたら、絶対こじれるって言ったでしょ? 
 だけど、三人寄ったらいい案も出たりもする。悪いばっかりではない。
 今は‥それでもいいんじゃない? 
 それに‥
 俺は、コリンに連れられてここに来て‥コリンに見捨てられたら、行くところないんだけど‥」
 困ったように笑ったアンバー。
 その表情が「演技か本気か」は分からなかったけど‥「確かにそうだな」って思った。
 シークさんの事、ここに連れて来たのも、僕。アンバーの事ここに連れて来たのも、僕。
 ロナウとフタバちゃんを巻き込んだのも、僕。
 ナナフルさんとザッカさんに加わった、おまけの僕。
 色んな三人。
 だけど、今はザッカさん、ナナフルさん、シークさん、僕、アンバー、フタバちゃん、ロナウ‥の7人。

「三人はこじれもするけど、もっと集まったら‥もっとこじれたりもするけど‥
 楽しくなる。
 三人はきっかけに過ぎないだけで、そこから知り合いの輪が広がって、気が付いたら全く違う集まりが出来てる。
 フタバちゃんとロナウとコリンは、魔力の相性がいい。じゃあ、俺とコリンとシークが他の何かで相性が良くても別に可笑しいことじゃなくない? 」
 それは確かに‥
 って納得しそうになって‥
 いや、ちょっと待て。なんか違うぞ‥と。
 僕が顔をしかめていると、ロナウが爆笑しながら
「どういう三人なんだ? チーム三角関係? 」
 って聞いてきた。
 それよそれ。それは、「相性がいい」とは言わなくない?! 
 ロナウと僕がアンバーを見た。
 三人で楽しくやりましょう! とでもいうの?? (3Pとか‥)僕はそんな乱れた恋愛はしないぞ!!
 僕が真っ赤になって、アンバーを睨むと、アンバーはふふっと穏やかに微笑んだ。 
「チーム「お互いに切磋琢磨して高めあっていきましょう」だよ。
 俺はコリンが好きだ。同時に、コリンは俺の魔術の先生であり、コリンは俺の越えなければならない壁だ。コリンも俺に教えるために魔術の腕をもっと磨くだろう。将来俺の魔術の技術がもっと向上したとしても、コリンは俺に負けたままなんかじゃいないだろう。俺とコリンはきっとそういう意味では、お互い切磋琢磨して高めあうライバルなんだ。
 その上、俺はコリンのことが好きだから、コリンを守るっていう目標もあるから‥コリンの存在はライバルである以上に意味がある。
 居るだけでも意味があるのに、一緒に高めあっていけるとか最高じゃない? 
 シークと俺は恋のライバルだ。シークは俺がいるから、もっと努力しなきゃって思うだろう。
 負けず嫌いのコリンは、俺とシークのどっちにも「失望されたくない」って思うだろう。
 そうやって、お互いがお互いを意識して切磋琢磨する‥最高の三人じゃないか? 」
 確認するように、僕に微笑みかけるアンバーの穏やかな表情は、いつもの「悪い大人」の表情ではない「人生の先輩」の顔で‥
「「「確かに」」」
 僕とフタバちゃん、ロナウは大納得。ころっと丸め込まれたってわけだ。
 そんな僕らを見て、ザッカさんとナナフルさんが何か‥呟いた。

 なんだろ??
 
 なんて言ったかは聞こえなかったけど、顔が優しいからいっか~って思った僕たちだった。
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