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214.運命の子供モモタローとそうじゃない(ただの)僕
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‥何を躊躇してるんだろう。
何に、執着してるんだろう。
何に執着して、‥僕はこんな「おもしろいこと」をすることを躊躇しているんだろう。
若い頃だったら、何にも考えずに行動してただろう? ‥出来てただろう? あの頃のフットワークはどうしたんだ? あの時の柔軟さはどうしたんだ?
あの時の強さはどうしたんだ?
「でもね、常識で考えてみて? 」
とかいう一見まともに聞こえる言い逃れや言い訳。
「‥それを僕がする必要はあるか? 」
とかいう、逃げ口実や無責任。
協会に立ち向かう理由やリスク。勝算。周りに与える影響やら迷惑。
そういうのを、まず考えるようになってしまった。
その実、それは「世の為人の為」じゃなくって、私利私欲だったり
保身だったり。
‥あれこれ理由をつけて‥やらなければいけないことを先延ばしにして「出来るものなら逃げてしまいたい」って思ってしまう。
僕はなんて弱くなってしまったんだろう。
ロナウやフタバちゃんが‥「これ」を知ったら‥どう思うだろう。
「弱虫」
って軽蔑する?
「もういいよ」
って‥見捨てる?
あの「強かったコリン」は過去の栄光でしかないんだよね。仕方が無いよって。
それは‥嫌だなぁ。
だけど、それが嫌だからって理由で危険を冒すって‥馬鹿だよなあ。
そんなことを‥気が付いたらぐるぐる考えてる。
何かをするのってね。
立ち止まって、色々考えたらもう、ダメなんだ。
勢いがそがれる‥熱が冷める‥変ないい方したら「萎える」。
いっそ、昔の考えなしの僕だったらよかったのに。
それとも‥「これは自分の仕事だ」って‥こころに鞭打つ?
父さんが昔語ってくれた、例のトヨトミとかがいる国の‥昔の御伽噺にね、「モモタロー」って話があったんだ。
子供のいない老夫婦に天から授けられた子供が、大きくなって「オーガ退治に行く」って言って、道中仲間になった三匹のお供と共にオーガを倒して盗まれた宝を取り返し、攫われたお姫様を助けてめでたしめでたしって話。
幼かった僕は、そんな冒険活劇にドキドキして「僕もいつかは‥」って思ってたんだけど‥、今あの話を思い出した僕は‥
「モモタローは、なんで急にそんな危険なことをしようって思ったんだろう。突拍子もないし無謀だし、おじいさんたちに心配を掛けるし、もし志を遂げられず無駄死にしたら‥おじいさんたちに恩返しもできなかっただろう? 」
って思ったんだ。
なんでおじいさんたちはそんなモモタローの無謀な提案(‥てか我儘? )を許したのか‥って。
子供を信じているから?
それもあるだろう。
子供を信じていて、きっと大丈夫だって思ったから。
だけどそれより大きいのはきっと、‥「いつかはこんな日が来ると思ってた」っていう‥諦めだ。
だって、モモタローは普通の子供じゃないから。
モモタローは「天から授かった」特別な子供だったから。
きっと、これが天がモモタローに課した運命だったんだろう‥。そう悟って、おじいさんたちは諦め‥受け入れた。
‥ちなみに、モモってのは果物の名前で、タローってのは、その国で男の子に良くつけられる名前らしい。(ニコルとかジャックみたいな感じかな? )望みに望んだ自分たちの子供に付ける名前にしては適当過ぎる名前なんだけど‥それも、モモタローが天からの借り物だって‥おじいさんたちが自分に言い聞かせる為につけたんじゃないだろうか?
辛すぎるよね。
‥この年になって初めて、モモタローの育ての親サイドから物語を考えたよ。
これが、年を取る‥成長するってことなのかも。
僕は、モモタローじゃない。
何かと戦う役目を「背負わされ」生まれて来た人間じゃない。
父さんも母さんも、初めっからそんな覚悟をして僕を育てて来た訳じゃない。
どんな理由なら、危険を冒して、命を懸けて戦ってもいいんだろう。僕を愛する人に、納得してもらえるんだろう。
‥僕が納得するんだろう。
正義だとかそういうのを僕が言うのはおこがましい。
だってほら‥僕は感覚が人とはちょっと違うっぽいから。
それにね、ナナフルさんも
「正義ってのは‥よくわからない。正しいとかいう感覚は、人によって違うでしょ? 」
って以前言ってた。(いつだったか、何の話をしてた時だったか‥も覚えてないけど)
「多数の人の意見って言っても、‥ちからの強い人のところに人間は集まりがちでしょ? 」
って。だから、「言わされた意見」じゃなく、いろんな立場の、沢山の人の「ホントの話」を聞かないといけないって。
「独りよがりじゃなく、私利私欲の為ではない、「社会のガイドライン」‥それは私にとっては法律なの。法律って言うのはね、弱者が泣き寝入りしない為の‥力が強い者だけが得をしない様にするための約束事であるべきなのよ」
とも。
‥正直凄くびっくりした。そんな考えがあるのか~って。でもね、そんなこと可能なのか? って思ったのがホント。
それは理想だけど、実際には無理でしょって。
それが顔に出てたんだろうね。ナナフルさんは苦笑いして
「そうだね。‥絶対に難しいことだと思う。だけどね。やらなきゃ、何も変わらないでしょ? 変化を求めないことには、何も変わらないんだよ。私にとってはね、情報とペンは武器で、‥いずれ、剣より強いものになるって信じてる」
って言ったんだ。
強いな~って思った。
モモタローとは違うけど、ナナフルさんも強い。
僕とは違う。
だけど、‥ナナフルさんもモモタローとは違う。
神に守られたチートな能力を持つ選ばれし英雄・モモタローとは違い、ナナフルさんの「からだ」は弱い。
僕がナナフルさんを守らなきゃ! って思ったんだ。(まあ、ナナフルさんにはザッカさんっていうナイトがいるわけなんだけどね)
だけど、僕だって力になれるよ。‥僕にだって、出来ることも‥やるべきこともある。
僕は強くなきゃいけないんだ。
だけど‥
なのに‥
「大丈夫だよ。コリン。怖いって思うことは‥悪いことじゃない。
弱くなったんじゃない。
寧ろ、成長したんだ。
赤ちゃんは怖いって分からないし、落ちたら痛いってわからないから、平気で高いところに登るし、飛び降りようとする。
それは、強いんじゃなくて、無知で無謀なんだ。
怖いって思うことは‥痛いってことが分かったって証拠なんだ。
コリンは‥コリンたちは十分すぎるほど危ないことをしている。売り子に接触したり、実際に薬物を購入した子と話をしたり‥。
もう十分だよ。コリンたちにこれ以上危ないことをさせたくない」
ナナフルさんが真剣な顔で、僕とフタバちゃん、ロナウに言った。
言って、その優しく綺麗な瞳に涙を浮かべた。
ザッカさんは、何時もみたいに‥そんなナナフルさんにおろおろするとか‥ナナフルさんを慰めるとか‥僕らにたいして「ナナフルを悲しませて! 」って怒るとか‥そんな風にはしなかった。
ただ、黙って腕を組んでナナフルさんの横に座っていた。
机を挟んで、向こう側にナナフルさん、ザッカさん、シークさんが座ってて僕らは向かい合わせで座っている。
完全に親に説教される子供たちのポジションだ。
アンバーは、キッチンの方に座って僕たちを見ている。こっちからはその表情は見えないけど、「怒られてる怒られてる」とか思ってるかと思うと‥恥ずかしいし情けない。
僕は‥
一見たいはずのシークさんの顔だけは‥見れなかった。
シークさんの顔を見たら、僕はきっと、甘えて‥怖いって言ってしまう。
そんなのは‥嫌だったんだ。
何に、執着してるんだろう。
何に執着して、‥僕はこんな「おもしろいこと」をすることを躊躇しているんだろう。
若い頃だったら、何にも考えずに行動してただろう? ‥出来てただろう? あの頃のフットワークはどうしたんだ? あの時の柔軟さはどうしたんだ?
あの時の強さはどうしたんだ?
「でもね、常識で考えてみて? 」
とかいう一見まともに聞こえる言い逃れや言い訳。
「‥それを僕がする必要はあるか? 」
とかいう、逃げ口実や無責任。
協会に立ち向かう理由やリスク。勝算。周りに与える影響やら迷惑。
そういうのを、まず考えるようになってしまった。
その実、それは「世の為人の為」じゃなくって、私利私欲だったり
保身だったり。
‥あれこれ理由をつけて‥やらなければいけないことを先延ばしにして「出来るものなら逃げてしまいたい」って思ってしまう。
僕はなんて弱くなってしまったんだろう。
ロナウやフタバちゃんが‥「これ」を知ったら‥どう思うだろう。
「弱虫」
って軽蔑する?
「もういいよ」
って‥見捨てる?
あの「強かったコリン」は過去の栄光でしかないんだよね。仕方が無いよって。
それは‥嫌だなぁ。
だけど、それが嫌だからって理由で危険を冒すって‥馬鹿だよなあ。
そんなことを‥気が付いたらぐるぐる考えてる。
何かをするのってね。
立ち止まって、色々考えたらもう、ダメなんだ。
勢いがそがれる‥熱が冷める‥変ないい方したら「萎える」。
いっそ、昔の考えなしの僕だったらよかったのに。
それとも‥「これは自分の仕事だ」って‥こころに鞭打つ?
父さんが昔語ってくれた、例のトヨトミとかがいる国の‥昔の御伽噺にね、「モモタロー」って話があったんだ。
子供のいない老夫婦に天から授けられた子供が、大きくなって「オーガ退治に行く」って言って、道中仲間になった三匹のお供と共にオーガを倒して盗まれた宝を取り返し、攫われたお姫様を助けてめでたしめでたしって話。
幼かった僕は、そんな冒険活劇にドキドキして「僕もいつかは‥」って思ってたんだけど‥、今あの話を思い出した僕は‥
「モモタローは、なんで急にそんな危険なことをしようって思ったんだろう。突拍子もないし無謀だし、おじいさんたちに心配を掛けるし、もし志を遂げられず無駄死にしたら‥おじいさんたちに恩返しもできなかっただろう? 」
って思ったんだ。
なんでおじいさんたちはそんなモモタローの無謀な提案(‥てか我儘? )を許したのか‥って。
子供を信じているから?
それもあるだろう。
子供を信じていて、きっと大丈夫だって思ったから。
だけどそれより大きいのはきっと、‥「いつかはこんな日が来ると思ってた」っていう‥諦めだ。
だって、モモタローは普通の子供じゃないから。
モモタローは「天から授かった」特別な子供だったから。
きっと、これが天がモモタローに課した運命だったんだろう‥。そう悟って、おじいさんたちは諦め‥受け入れた。
‥ちなみに、モモってのは果物の名前で、タローってのは、その国で男の子に良くつけられる名前らしい。(ニコルとかジャックみたいな感じかな? )望みに望んだ自分たちの子供に付ける名前にしては適当過ぎる名前なんだけど‥それも、モモタローが天からの借り物だって‥おじいさんたちが自分に言い聞かせる為につけたんじゃないだろうか?
辛すぎるよね。
‥この年になって初めて、モモタローの育ての親サイドから物語を考えたよ。
これが、年を取る‥成長するってことなのかも。
僕は、モモタローじゃない。
何かと戦う役目を「背負わされ」生まれて来た人間じゃない。
父さんも母さんも、初めっからそんな覚悟をして僕を育てて来た訳じゃない。
どんな理由なら、危険を冒して、命を懸けて戦ってもいいんだろう。僕を愛する人に、納得してもらえるんだろう。
‥僕が納得するんだろう。
正義だとかそういうのを僕が言うのはおこがましい。
だってほら‥僕は感覚が人とはちょっと違うっぽいから。
それにね、ナナフルさんも
「正義ってのは‥よくわからない。正しいとかいう感覚は、人によって違うでしょ? 」
って以前言ってた。(いつだったか、何の話をしてた時だったか‥も覚えてないけど)
「多数の人の意見って言っても、‥ちからの強い人のところに人間は集まりがちでしょ? 」
って。だから、「言わされた意見」じゃなく、いろんな立場の、沢山の人の「ホントの話」を聞かないといけないって。
「独りよがりじゃなく、私利私欲の為ではない、「社会のガイドライン」‥それは私にとっては法律なの。法律って言うのはね、弱者が泣き寝入りしない為の‥力が強い者だけが得をしない様にするための約束事であるべきなのよ」
とも。
‥正直凄くびっくりした。そんな考えがあるのか~って。でもね、そんなこと可能なのか? って思ったのがホント。
それは理想だけど、実際には無理でしょって。
それが顔に出てたんだろうね。ナナフルさんは苦笑いして
「そうだね。‥絶対に難しいことだと思う。だけどね。やらなきゃ、何も変わらないでしょ? 変化を求めないことには、何も変わらないんだよ。私にとってはね、情報とペンは武器で、‥いずれ、剣より強いものになるって信じてる」
って言ったんだ。
強いな~って思った。
モモタローとは違うけど、ナナフルさんも強い。
僕とは違う。
だけど、‥ナナフルさんもモモタローとは違う。
神に守られたチートな能力を持つ選ばれし英雄・モモタローとは違い、ナナフルさんの「からだ」は弱い。
僕がナナフルさんを守らなきゃ! って思ったんだ。(まあ、ナナフルさんにはザッカさんっていうナイトがいるわけなんだけどね)
だけど、僕だって力になれるよ。‥僕にだって、出来ることも‥やるべきこともある。
僕は強くなきゃいけないんだ。
だけど‥
なのに‥
「大丈夫だよ。コリン。怖いって思うことは‥悪いことじゃない。
弱くなったんじゃない。
寧ろ、成長したんだ。
赤ちゃんは怖いって分からないし、落ちたら痛いってわからないから、平気で高いところに登るし、飛び降りようとする。
それは、強いんじゃなくて、無知で無謀なんだ。
怖いって思うことは‥痛いってことが分かったって証拠なんだ。
コリンは‥コリンたちは十分すぎるほど危ないことをしている。売り子に接触したり、実際に薬物を購入した子と話をしたり‥。
もう十分だよ。コリンたちにこれ以上危ないことをさせたくない」
ナナフルさんが真剣な顔で、僕とフタバちゃん、ロナウに言った。
言って、その優しく綺麗な瞳に涙を浮かべた。
ザッカさんは、何時もみたいに‥そんなナナフルさんにおろおろするとか‥ナナフルさんを慰めるとか‥僕らにたいして「ナナフルを悲しませて! 」って怒るとか‥そんな風にはしなかった。
ただ、黙って腕を組んでナナフルさんの横に座っていた。
机を挟んで、向こう側にナナフルさん、ザッカさん、シークさんが座ってて僕らは向かい合わせで座っている。
完全に親に説教される子供たちのポジションだ。
アンバーは、キッチンの方に座って僕たちを見ている。こっちからはその表情は見えないけど、「怒られてる怒られてる」とか思ってるかと思うと‥恥ずかしいし情けない。
僕は‥
一見たいはずのシークさんの顔だけは‥見れなかった。
シークさんの顔を見たら、僕はきっと、甘えて‥怖いって言ってしまう。
そんなのは‥嫌だったんだ。
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