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207.悪い奴がいるからって、その組織全体が悪いわけでも‥ないらしい。
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「引き続き調査を続けるの? その‥街に聞き込みに言ったり‥、シャルルを連れて街に出て「ここに声を掛けられた人はいる? 」って聞いたり‥」
ロナウがフタバに聞くと、フタバは一瞬キョトンとした表情をしたあと‥「ああ」って言って首を振って
「‥私たちが出来ることも限られてる。逆に動き回ることで、顔を知られたらマズいわ。目立つようなことはしない方がいい」
って言った。それにコリンも同意して頷く。
そうなんだろうけど‥相談されたのに、ほったらかしって‥なんか‥ねえ。
ロナウは不満顔だ。
コリンは真剣な顔でロナウを見つめ、
「教会に記録がある教会や学園に通っていない魔力持ちに協会が接触をはかっているかも‥っていう可能性について気付いたってだけで、今回は収穫があった。‥この問題はね。根本から解決しないと何ともならないと思うよ。僕らが今やるべきことは‥「総ての問題」の解決だ。もうこれ以上シャルルの問題については関与しないが、‥だからといって‥シャルルのことを「仕方が無い」って斬り捨ててる‥わけでは無い」
って言った。
そうだ‥別にコリンが冷たいわけでは無いし、僕だけが優しい‥ってことではない。
僕は‥先のことが見られてない‥甘ちゃんなんだ‥。
「‥そうだね」
ロナウは苦笑いして‥その話を終えることにした。
その時、ふと‥
「‥というか、魔術士もそうだから。ロナウは魔術士協会に籍を置いてないから‥(知らないんだよね? )コリンは魔術士の仕事も受けてるの? 」
フタバのあの言葉を思い出した。‥ホントに、ふと‥だ。
協会員に、協会費としてお金を徴収してる上に、労働も強いる‥。
いや‥それって‥どうなんだ??
協会、どうなってるんだ?
って‥不満を覚えたんだ。
ロナウがフタバに聞くと、
「‥別に無償労働‥ってわけじゃないから。ちゃんと給料出るわよ。‥それに、ちゃんと魔術士として就職したなら労働は免除されるのよ。
ほら、私はフリーの魔術士だから。
あれね。魔術士の資格は持ってるけど、全然仕事はしてない。資格持ってるだけ。って状態の人を作らなくするための制度なのよ」
って説明してくれ、
「共同体のネットワークは共同体同士しかつながってないじゃない? だけど、協会のネットワークは協会に入っているすべての人とつながっているの。
この前同窓会を呼びかけたのもそのネットワークを使ったのよ」
と付け加えた。
協会は敵なはずなのに、その敵を擁護するようなフタバの意見に、ロナウは「あれ? 」ってなる。
もしかして‥心が狭くって「協会に憎けりゃ協会全部まで‥」って思ってるの‥僕だけ?
‥協会のネットワークを使って同窓会‥。
あ~。そうだったんだね。
卒業生の中にフタバちゃんがまだ連絡を取り合ってる友達がいるんだと思ってた。
ロナウがそういうと
「残念ながらいないわ」
ってフタバに苦笑いされた。
コリン程じゃないけど、フタバの在学中、友達と呼べる人はいなかった。
ロナウには友達はいたけど、‥別に今も付き合ってる人なんていないから‥「その程度の友達」だったんだろう。
カールもその一人だった。
だけど、同窓会で名刺を渡して、「そういえばあんな奴いたな(← コリン)」って思い出した‥ってことだろう。
あくまで、思い出した‥連絡先が分かった! 連絡しよう‥って思ったのはロナウではなく、コリン。
実力のある美人ってお近づきになっときたいじゃない。でも、今まで孤高の人で高嶺の花で、周りに人を寄せ付けなかった。それが‥「自分たちでも関われる」フツメンのロナウの知り合いになってる!? これは‥接触するしかないよね! ってなった‥。人って現金だよ‥。
「でも、コリンは誓約士としての仕事があるわけじゃない。誓約士は魔術士の進化版だから、誓約士の仕事をしてるってことは、魔術を使ってるわけで‥
両方の労働義務があるって‥ちょっとあれじゃない? 」
協会も‥そういうこと考えてやれよね~。
やっぱり、協会は自分たちのことしか考えてない。
ロナウとしては‥コリンも同意してくれると思ったけど‥
「‥普通は、誓約士に進化した時、魔術士紋は消えるからね。両方持ってるってことは‥まあない。僕は特殊ケースだから仕方ないよ」
ふふっと笑うコリンに、協会に対する不満は見られなかった。
拍子抜けしたロナウ。
‥もしかして、心が狭いの、僕だけ??
コリンは続けて、
「仕事の依頼って言ってもね。この頃は、教科書に乗せるための論文をオンラインで送ったりするような「行かなくてもいい」仕事が多いから‥そういうの受けてるよ。誓約士の方もそれはある‥けど、誓約士の分については語るほど誓約士らしい仕事してない‥って感じかな」
だから、体験談以外の仕事をしてるよ。って、ここでもコリンは「どんな仕事」とは教えてくれなかった。‥秘密だもんね。うんうん‥ってロナウは納得する。
体験談の仕事‥かあ。
あ~。「魔術士の先輩の体験談コーナー」の記事とかもそういうので寄稿されてたんだね~。‥成程。
ロナウが納得して頷く。
コリンは
「協会のネットワークはね。そういう依頼の連絡だけじゃなくって、魔術の専門書の新刊の情報なんかも流れて来るから‥結構重宝してる。仕事紹介の制度自体も、悪くはないって思ってる。
‥今回協会が黒幕って分かったわけだけど‥協会全体が悪なんじゃなくて「悪い奴もいる」ってことなんだろう。‥そういうのは、どことも同じだよね。お偉いさんは悪いけど、末端総てまでが悪いわけじゃない‥って感じ」
って‥ちょっと残念そうな顔をした。
コリンってこういう考え方が出来るんだ。
協会 = 悪。じゃあ、もう協会から脱退しなきゃ! って感じの子なんだろう。って勝手に思ってた。(だって、結構短気だし、単純なところあるし、‥脳筋だから)
ホント、僕はコリンの事分かってなかった。
あんなに「好き好き」言ってたのに‥。
短気なところも、頑張り屋なところも、ただただ「可愛い」って思ってただけ。顔しか見てなかったわけじゃないけど‥「そういう仕草が全部可愛い」って思ってただけな地点で‥顔しか見てなかったのと変わらなかった。
それを言ったらフタバちゃんのことについても‥だな。もっと冷たい子だって思ってた。
優等生で、真面目でお固くって、合理的な「面白みのない」「冷たい」子。
お金持ちで、美人で‥高嶺の花。
まさか、仮とはいえ、フタバちゃんと婚約するなんてね。
こんな「平凡で」「フツメン」の僕が。
「今のところ‥想定内ね。
顔見せをして、コリンと私とロナウの関係をアピールする。
そうして私たちは皆の出方を見ながら‥待っていた。そして、予想より多く‥連絡がきた。
今までコリンと連絡が取りたくても取れなかった子たち。ロナウという連絡が取りやすい友達が伝手になるなら‥って連絡してきた。
コリンという使える魔術士を思い出し‥何とかしてほしいって頼んできた子。カールがそうね。
あと‥このパターンを私は待っていた。
そして‥とうとう着たの‥「そのパターン」の連絡が! 」
ふふふとフタバが「思わせぶりな」仕草で封筒を取り出し‥勿体ぶって、それを机に置く。
「このパターン? 」
ロナウとコリンの目が封筒に集まった。
ロナウがフタバに聞くと、フタバは一瞬キョトンとした表情をしたあと‥「ああ」って言って首を振って
「‥私たちが出来ることも限られてる。逆に動き回ることで、顔を知られたらマズいわ。目立つようなことはしない方がいい」
って言った。それにコリンも同意して頷く。
そうなんだろうけど‥相談されたのに、ほったらかしって‥なんか‥ねえ。
ロナウは不満顔だ。
コリンは真剣な顔でロナウを見つめ、
「教会に記録がある教会や学園に通っていない魔力持ちに協会が接触をはかっているかも‥っていう可能性について気付いたってだけで、今回は収穫があった。‥この問題はね。根本から解決しないと何ともならないと思うよ。僕らが今やるべきことは‥「総ての問題」の解決だ。もうこれ以上シャルルの問題については関与しないが、‥だからといって‥シャルルのことを「仕方が無い」って斬り捨ててる‥わけでは無い」
って言った。
そうだ‥別にコリンが冷たいわけでは無いし、僕だけが優しい‥ってことではない。
僕は‥先のことが見られてない‥甘ちゃんなんだ‥。
「‥そうだね」
ロナウは苦笑いして‥その話を終えることにした。
その時、ふと‥
「‥というか、魔術士もそうだから。ロナウは魔術士協会に籍を置いてないから‥(知らないんだよね? )コリンは魔術士の仕事も受けてるの? 」
フタバのあの言葉を思い出した。‥ホントに、ふと‥だ。
協会員に、協会費としてお金を徴収してる上に、労働も強いる‥。
いや‥それって‥どうなんだ??
協会、どうなってるんだ?
って‥不満を覚えたんだ。
ロナウがフタバに聞くと、
「‥別に無償労働‥ってわけじゃないから。ちゃんと給料出るわよ。‥それに、ちゃんと魔術士として就職したなら労働は免除されるのよ。
ほら、私はフリーの魔術士だから。
あれね。魔術士の資格は持ってるけど、全然仕事はしてない。資格持ってるだけ。って状態の人を作らなくするための制度なのよ」
って説明してくれ、
「共同体のネットワークは共同体同士しかつながってないじゃない? だけど、協会のネットワークは協会に入っているすべての人とつながっているの。
この前同窓会を呼びかけたのもそのネットワークを使ったのよ」
と付け加えた。
協会は敵なはずなのに、その敵を擁護するようなフタバの意見に、ロナウは「あれ? 」ってなる。
もしかして‥心が狭くって「協会に憎けりゃ協会全部まで‥」って思ってるの‥僕だけ?
‥協会のネットワークを使って同窓会‥。
あ~。そうだったんだね。
卒業生の中にフタバちゃんがまだ連絡を取り合ってる友達がいるんだと思ってた。
ロナウがそういうと
「残念ながらいないわ」
ってフタバに苦笑いされた。
コリン程じゃないけど、フタバの在学中、友達と呼べる人はいなかった。
ロナウには友達はいたけど、‥別に今も付き合ってる人なんていないから‥「その程度の友達」だったんだろう。
カールもその一人だった。
だけど、同窓会で名刺を渡して、「そういえばあんな奴いたな(← コリン)」って思い出した‥ってことだろう。
あくまで、思い出した‥連絡先が分かった! 連絡しよう‥って思ったのはロナウではなく、コリン。
実力のある美人ってお近づきになっときたいじゃない。でも、今まで孤高の人で高嶺の花で、周りに人を寄せ付けなかった。それが‥「自分たちでも関われる」フツメンのロナウの知り合いになってる!? これは‥接触するしかないよね! ってなった‥。人って現金だよ‥。
「でも、コリンは誓約士としての仕事があるわけじゃない。誓約士は魔術士の進化版だから、誓約士の仕事をしてるってことは、魔術を使ってるわけで‥
両方の労働義務があるって‥ちょっとあれじゃない? 」
協会も‥そういうこと考えてやれよね~。
やっぱり、協会は自分たちのことしか考えてない。
ロナウとしては‥コリンも同意してくれると思ったけど‥
「‥普通は、誓約士に進化した時、魔術士紋は消えるからね。両方持ってるってことは‥まあない。僕は特殊ケースだから仕方ないよ」
ふふっと笑うコリンに、協会に対する不満は見られなかった。
拍子抜けしたロナウ。
‥もしかして、心が狭いの、僕だけ??
コリンは続けて、
「仕事の依頼って言ってもね。この頃は、教科書に乗せるための論文をオンラインで送ったりするような「行かなくてもいい」仕事が多いから‥そういうの受けてるよ。誓約士の方もそれはある‥けど、誓約士の分については語るほど誓約士らしい仕事してない‥って感じかな」
だから、体験談以外の仕事をしてるよ。って、ここでもコリンは「どんな仕事」とは教えてくれなかった。‥秘密だもんね。うんうん‥ってロナウは納得する。
体験談の仕事‥かあ。
あ~。「魔術士の先輩の体験談コーナー」の記事とかもそういうので寄稿されてたんだね~。‥成程。
ロナウが納得して頷く。
コリンは
「協会のネットワークはね。そういう依頼の連絡だけじゃなくって、魔術の専門書の新刊の情報なんかも流れて来るから‥結構重宝してる。仕事紹介の制度自体も、悪くはないって思ってる。
‥今回協会が黒幕って分かったわけだけど‥協会全体が悪なんじゃなくて「悪い奴もいる」ってことなんだろう。‥そういうのは、どことも同じだよね。お偉いさんは悪いけど、末端総てまでが悪いわけじゃない‥って感じ」
って‥ちょっと残念そうな顔をした。
コリンってこういう考え方が出来るんだ。
協会 = 悪。じゃあ、もう協会から脱退しなきゃ! って感じの子なんだろう。って勝手に思ってた。(だって、結構短気だし、単純なところあるし、‥脳筋だから)
ホント、僕はコリンの事分かってなかった。
あんなに「好き好き」言ってたのに‥。
短気なところも、頑張り屋なところも、ただただ「可愛い」って思ってただけ。顔しか見てなかったわけじゃないけど‥「そういう仕草が全部可愛い」って思ってただけな地点で‥顔しか見てなかったのと変わらなかった。
それを言ったらフタバちゃんのことについても‥だな。もっと冷たい子だって思ってた。
優等生で、真面目でお固くって、合理的な「面白みのない」「冷たい」子。
お金持ちで、美人で‥高嶺の花。
まさか、仮とはいえ、フタバちゃんと婚約するなんてね。
こんな「平凡で」「フツメン」の僕が。
「今のところ‥想定内ね。
顔見せをして、コリンと私とロナウの関係をアピールする。
そうして私たちは皆の出方を見ながら‥待っていた。そして、予想より多く‥連絡がきた。
今までコリンと連絡が取りたくても取れなかった子たち。ロナウという連絡が取りやすい友達が伝手になるなら‥って連絡してきた。
コリンという使える魔術士を思い出し‥何とかしてほしいって頼んできた子。カールがそうね。
あと‥このパターンを私は待っていた。
そして‥とうとう着たの‥「そのパターン」の連絡が! 」
ふふふとフタバが「思わせぶりな」仕草で封筒を取り出し‥勿体ぶって、それを机に置く。
「このパターン? 」
ロナウとコリンの目が封筒に集まった。
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