この度、押しかけ女房に押し切られました。 ~押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした~

文月

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205.敵の情報収集は依然として進まないけど、調べれば調べるほど‥商才豊かってことは、わかった。

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「‥教会の人の様な‥浮世離れした感じの人だった‥ってこと? その人から‥なんで薬を買う‥って話になったのか私には‥分からないんだけど。
 その人に‥何を言われたの?
 魔力を持っているなら、それを社会の為に活かすべきでしょう? って言われた? 
 貴女は‥ここでくすぶってる様な人じゃない‥って言われた? 
 何か出来ることがあるって‥」
 新しいお茶を淹れながら、フタバがシャルルに聞く。
 言いながら、フタバは、着地点が見えないな‥って思った。
 答の予想が全く出来ない。
 だって、「教会の人間の様な「見るからに善人そうな人」」が、怪しげな薬物勧める? その流れも分からないけど、その薬物を服用する‥「服用しないといけない」って気持ちになる‥どういう流れならそうなるんだ??
 だけど、意外にもそれはシャルルにも当てはまったらしく‥
「‥今思い出しても、どういう話の流れであの薬を勧められたのかて‥よくわからないんです。
 ただ、この薬を飲まなきゃ‥としか思えなくなって‥」
 表情を曇らせて、シャルルが言った。
 曇らせて‥って言ったけど、シャルルはこの話をし始めた頃から、ずっと暗い表情をしていた。
 更に暗い表情になった‥っていうより、困惑したような表情になった‥ってこと。
 つまり、隠してるんじゃなく、ホントに「よくわからない」んだろう。

 催眠術‥?
 
 フタバはぞくっとした。
 相手は、人心掌握のスペシャリストで、シャルルに「どういう話でそうなったのか分からない」が、「この薬を飲まなければいけない様な」気分にさせた。
 そして、薬を服用したシャルルは「確かに社会の役に立てている様な」満ち足りた気持ちになった。
 それは、今までシャルルが密かに不満に思っていたことだった。
 ‥そんな解釈でいいだろうか? 
「‥そう。今もそういう気持ちは残っている? その‥薬を飲まなければいけない様な‥脅迫概念みたいな感じは‥」
「無いです」
「そう‥よかった」
 ‥ホントに催眠術なのかもしれない。そして、この間コリンが魔法陣を破壊した際に、催眠術も解けた‥いや、催眠術自体は、飲んだ頃には解けていたかもしれないな‥。
「‥街には、少しの間でない方がいいかもしれないわ。またその人たちが近寄ってきたら大変だから」
 フタバがシャルルに念を押すと、シャルルが頷いた。
「あんな怖い思いはもう沢山。‥ホントにあの時の私はどうかしてた。あんな大金を‥。あのお金があったら、もっと好きな本も買えたのに‥ホントに‥私一体何があったんだろう。覚えてないから、余計に怖いです」
「高かったの? 」
 聞きにくいな~って何となく聞けなかった「質問事項」を聞けるチャンスに、フタバは‥シャルルにちょっと食い気味に尋ねた。
 そして、シャルルから聞いた「意外なお値段」に‥フタバが目を見開く。

 うわ‥絶妙。
 高過ぎもせず‥でも、安くはない。
 なんか「ちょっと現実ではないもの」の値段だけど‥かといって、払えない額ではない。
 お値段設定もガチで上手い。

 何なの! 悪の組織! 商才ありすぎじゃない!? 
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