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189.勝てない戦をする気は無いけど‥たとえ勝てなくても、最後には負けない戦をしよう。
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敵は思っていた以上に大物だったってことだ。
ごく‥と思わず‥喉がなった。
「怖いの? 」
って確認するように聞いた‥ロナウの声がちょっと心配で? 震えてる気がした。
‥僕とフタバちゃんを心配して声を掛けてくれてるんだろう‥。でも、心配な気持ちはロナウだって同じだ。
寧ろ‥自分が心配な気持ちでいるからこそ、僕たちも心配してるだろうな‥って思ったんだろう。
学生時代は、‥ロナウってそんな人間じゃなかった。
僕がいくら嫌だって言っても、僕に付き纏ったり、想いを一方的に押し付けてきたり‥あ‥それは今でも変わらないか。
だけど‥ちょっとましになった気がする。
少なくとも人の話を聞くようになった。
人と話をするようになった。
ロナウも成長したんだな。
なんて‥「お兄さんみたいな」気持ちになった。
あのロナウにそんな気持ち持つとか‥僕も変わったのかもしれないね。
コリンはロナウを真っすぐ見つめて、「大丈夫だよ」って言った。
ロナウと、フタバ、そしてに自分対して‥
大丈夫。って念を押すように‥もう一度言った。
「怖くない‥って言えばうそになる。けど‥怖いかって言われると「そうでも」って感じ‥。
敵が‥「僕たちの敵」って言うには大きすぎて‥寧ろ前より怖くなくなった‥って感じだよ。
ほら、教会で一番怖い先生に「個人的に」抗議しに行くより、教会自体の在り方について「皆の前で」堂々と意義を唱える方が怖くない‥って感じ‥。
‥わかんないかな? 先生に「個人的に」抗議しに行ったら、怖い思いをして折角行ったのに、結局話をまともに聞いてもらえなかったり、もみ消される恐れだってある。脅されて「なかったことにされる」ことも‥もしかしたらあるかもしれない。だけど、「皆の前で」抗議したなら‥少なくとも「無かったことにもみ消される」ってことはない。処罰を受けたとしても‥だ。
それに、皆に自分の気持ちを知ってもらえるだろ?
‥例えその時は、誰からも同意を得られなかっても、後で誰か一人でも「‥今まで考えても来なかったけど‥そうかも」って思ってくれるようになるかもしれない。
そしたら、僕の勇気は「その時」だけじゃなく、誰か別の人の心の中で続いていく。
それは、意味があることだ。
敵が大きいから‥って怖いわけじゃない。
大きな敵でも、「間違った方法で」挑まなかったら‥怖くない」
ロナウが目を見開き‥そして、「そっか。そうだな」って微笑んで、目を伏せた。
ふふ、って穏やかに微笑んで笑うコリンを見て、フタバも目を細めて微笑んだ。
コリンは変わった。
フタバは思って嬉しくなったけど‥それを彼女が口にすることはなかった。口にしなくても、きっとコリンは自分で気付いている。
‥わざわざそんなこと、同級生に言われたら「何様? 」って感じじゃない?
友達ってそういうこと、わざわざ口に出さないんじゃないかな。‥どうだろ。私も友達って呼べる人間なんて今までいませんでしたから‥よくわかりませんわ‥。
一般的な友達‥ってよくわかりませんけど‥
私はわざわざコリンにそんなこと、言わない。
少なくとも今は。
「無かったことにされない様に、派手に観衆を集めないとね」
悪戯っぽく笑ったコリンが言った。
「ギャラリーだけじゃなく、味方も集めたらいいと思うけど。せめて「そうだそうだ! 」ってヤジを飛ばしてくれる感じの‥」
ふふっと笑ってロナウが同意する。
「そこまでは求めちゃ気の毒ですわ。ギャラリーに多くを求めてはいけない‥でしょ? 」
フタバは肩をすくめる。
「そうだね、見ててくれるだけでも意味はある‥」
真っすぐ前を向く、コリンとフタバ、ロナウ。
「勝てない戦をする気は無いけど‥たとえ勝てなくても、最後には負けない戦をしよう」
視線の先にいる
大きな敵に、宣戦布告を改めて誓った三人だった。
ごく‥と思わず‥喉がなった。
「怖いの? 」
って確認するように聞いた‥ロナウの声がちょっと心配で? 震えてる気がした。
‥僕とフタバちゃんを心配して声を掛けてくれてるんだろう‥。でも、心配な気持ちはロナウだって同じだ。
寧ろ‥自分が心配な気持ちでいるからこそ、僕たちも心配してるだろうな‥って思ったんだろう。
学生時代は、‥ロナウってそんな人間じゃなかった。
僕がいくら嫌だって言っても、僕に付き纏ったり、想いを一方的に押し付けてきたり‥あ‥それは今でも変わらないか。
だけど‥ちょっとましになった気がする。
少なくとも人の話を聞くようになった。
人と話をするようになった。
ロナウも成長したんだな。
なんて‥「お兄さんみたいな」気持ちになった。
あのロナウにそんな気持ち持つとか‥僕も変わったのかもしれないね。
コリンはロナウを真っすぐ見つめて、「大丈夫だよ」って言った。
ロナウと、フタバ、そしてに自分対して‥
大丈夫。って念を押すように‥もう一度言った。
「怖くない‥って言えばうそになる。けど‥怖いかって言われると「そうでも」って感じ‥。
敵が‥「僕たちの敵」って言うには大きすぎて‥寧ろ前より怖くなくなった‥って感じだよ。
ほら、教会で一番怖い先生に「個人的に」抗議しに行くより、教会自体の在り方について「皆の前で」堂々と意義を唱える方が怖くない‥って感じ‥。
‥わかんないかな? 先生に「個人的に」抗議しに行ったら、怖い思いをして折角行ったのに、結局話をまともに聞いてもらえなかったり、もみ消される恐れだってある。脅されて「なかったことにされる」ことも‥もしかしたらあるかもしれない。だけど、「皆の前で」抗議したなら‥少なくとも「無かったことにもみ消される」ってことはない。処罰を受けたとしても‥だ。
それに、皆に自分の気持ちを知ってもらえるだろ?
‥例えその時は、誰からも同意を得られなかっても、後で誰か一人でも「‥今まで考えても来なかったけど‥そうかも」って思ってくれるようになるかもしれない。
そしたら、僕の勇気は「その時」だけじゃなく、誰か別の人の心の中で続いていく。
それは、意味があることだ。
敵が大きいから‥って怖いわけじゃない。
大きな敵でも、「間違った方法で」挑まなかったら‥怖くない」
ロナウが目を見開き‥そして、「そっか。そうだな」って微笑んで、目を伏せた。
ふふ、って穏やかに微笑んで笑うコリンを見て、フタバも目を細めて微笑んだ。
コリンは変わった。
フタバは思って嬉しくなったけど‥それを彼女が口にすることはなかった。口にしなくても、きっとコリンは自分で気付いている。
‥わざわざそんなこと、同級生に言われたら「何様? 」って感じじゃない?
友達ってそういうこと、わざわざ口に出さないんじゃないかな。‥どうだろ。私も友達って呼べる人間なんて今までいませんでしたから‥よくわかりませんわ‥。
一般的な友達‥ってよくわかりませんけど‥
私はわざわざコリンにそんなこと、言わない。
少なくとも今は。
「無かったことにされない様に、派手に観衆を集めないとね」
悪戯っぽく笑ったコリンが言った。
「ギャラリーだけじゃなく、味方も集めたらいいと思うけど。せめて「そうだそうだ! 」ってヤジを飛ばしてくれる感じの‥」
ふふっと笑ってロナウが同意する。
「そこまでは求めちゃ気の毒ですわ。ギャラリーに多くを求めてはいけない‥でしょ? 」
フタバは肩をすくめる。
「そうだね、見ててくれるだけでも意味はある‥」
真っすぐ前を向く、コリンとフタバ、ロナウ。
「勝てない戦をする気は無いけど‥たとえ勝てなくても、最後には負けない戦をしよう」
視線の先にいる
大きな敵に、宣戦布告を改めて誓った三人だった。
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