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188.総ては‥の為の法律。
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「魔法省の法律って‥そういえば、僕知らない」
って首をひねっているのはロナウだ。
フタバの家に帰ったコリンにフタバは問いただした。
コリンとて、別に内緒にして、フタバたちを関わらせないでおこう‥って思ったわけでは無い。
‥けど、「何から話そう」って彼なりに整理してから話そうと思ってた。
だけど‥
フタバは結構鋭いところがあるし、コリンは隠し事が出来な過ぎた。‥つまり、顔に全部出ちゃったってこと。
で、
「どういう話があったかお聞かせ願いますか? 」
にっこり笑ったフタバの目は、笑ってなかった。
「そうね。わざわざ勉強しよう‥って思わなかったら覚えませんわね。私は魔術士として就職活動してたから‥ある程度は覚えましたわ。だけど、使いそうなものだけ‥ですが‥」
フタバがロナウに頷く。チラリとコリンを見るとコリンは
「僕は誓約士だから」
って、苦笑いした。
勿論詳しいってことだね。なんか、この子には‥何も勝てそうにない気がしますわ。(今更だけど)。
そんなわけで‥
急遽、魔法省の法律は何ぞや‥という勉強の時間になった。
コリンによると、
『魔法省の法律』って言っても、一般的な法律とそう大きくは違わない。
らしい。
基本的には‥「国民として、税金払え、法は犯すな、人には迷惑かけるな」ただし、一般人の‥に対してである。
一般の人の法を犯すな、一般の人には迷惑を掛けるな‥。つまり、表向けは‥の法律だな。
表向けな法律は、一般的な法律とそう大きくは違わない‥ってこと。
それが「魔法使い同士だと色々違ってくる」らしい。
コリンは大きな紙を出してくると、
「一番ポピュラーな法律は、「人を理由なく殺してはいけない。『しかしながら』魔法の尊厳を著しく脅かしたり、自らの誤った行いにより、魔法使いの信頼性その他をを失墜させた者はその罪を自らの命をもって償わなければならない。その際、自らで死を選ぶのが最も適切であるが、その判断力さえも欠損していると周りが判断した場合は、『魔法省の法律』ではその者を制裁しても、罪には問われない」だ」
と、説明しながら「違うところ:刑法」と羽ペンで書いた。
ロナウとフタバはそれを見ながら、頷いた。
「つまり‥魔法使いが魔法使いを殺しても「あいつは魔法使いとして失格だったし、それを自覚していなかった。そして、反省が見込めなかった。だから「仕方なく」殺したんだよ」って言えば通っちゃうってってことね‥」
ふう‥とフタバがため息をついた。
ロナウは‥ぶるりと身震いして
「魔法の尊厳を著しく脅かすって‥どんなことだ? 自らの誤った行いにより、魔法使いの信頼性その他をを失墜させる‥ってのも、具体的にどんなのか分からないな
そういう‥具体的なことが何も決められてない‥解釈次第でどうにでもなる法律で裁かれるとか‥権力者に睨まれたら殺される選択肢しかない‥ってことだね」
ぽつり‥と呟いた。それにはフタバも同意して頷く。
コリンは満足そうに大きく二回頷くと、
「それだ。そういう「あいまいな感じ」のままにしておくのが‥この法律の特徴なんだ。
解釈次第でどうにでも出来る‥って奴だね」
って言った。
「‥なるほどね‥」
ロナウがため息をつく。
そんなヤバい法律の知名度が低い‥って、なんか黒いなにかを感じるなあ‥。説明書の下にちっさく書かれた注意書きみたい。「え? 書いてたでしょ? 見なかったんですか? それは貴方がわるいですね~」「隠してるんじゃないですよ? 普通魔術士なら知ってるものだと思ってました! 知らないとか‥! かえって驚きですね! 」って感じなんだろうな~。
「そのうえ‥念を押すように‥「魔術士同士の争いは本人同士で解決するべきであり、一般の人たちの手を煩わせるべきではない。それは、魔術士の恥である」‥ってのもある」
「それは‥魔術師同士のことは、「一般人には無関係だから、手を出すな」‥ってことだね? 」
「そうだね」
コリンは、「違うところ:刑法」の後ろに、「魔術士と一般の人での刑法の分離」と書き加える。
「他には? 他にはどんな法律があるの? 」
「そうだね。大半は一般人は魔術士のすることに口出すな‥っていう‥「対一般人」の法律(というか、苦情? )なんだけど、魔術士同士に対する法律もある」
「魔術士同士? 」
ロナウが首を傾げ、コリンが頷く。
例えば商法‥。
コリンは「違うところ:商法」と書き加える。
「「魔術士は個人の利益を追求し、資金をより多く獲得し、その利益を広く社会に貢献するために使わなければならない。より多くの利益を得ることはつまり、それだけ社会に貢献出来るということである」」
「金持ちの方が貧乏人より偉いよって話だね? 」
呆れ顔で聞くロナウに、コリンが頷き、話を続ける。
「「利益追求によってより多くの貨幣を多く得た者は、より多く消費するだろう。そうやって、社会に貨幣が循環させるのが望ましい」」
「なに? 急に「望ましい」って義務じゃないんだ? 「金を多く儲けてるんだから税金いっぱい払え」っていう‥義務じゃないの? 」
ロナウが眉をしかめ、コリンが首を振る。
「多く儲けたから‥といって、それに対して税金が多くかかる‥って訳ではない。商いを「する」ことに税金はかかるけど、それによって生じた利益には税金はかからない。つまり、「たくさん商いをする」ってことに対して税金がかかるけど、「たくさん利益が出た」ことに対しては税金はかからない。‥昔はあったけど、「儲けたのは自分の努力。だのに金取られるとか‥なくない?? 」って金持ちから反発を受けたんだって」
‥金持ちから苦情が出たから法律がなくなるって不思議。
「つまり、「小さな商いをいっぱいする」業者は税金を沢山払うけど、「大きな商いをちょっとだけする」業者は税金をあまり支払わなくてもいいってことか‥」
大きな商いが出来る金持ちは更に富み、小さな商いしか出来ない貧乏人は更に困窮するって仕組み‥。
魔法省の法律、金持ちに甘すぎない??
金持ちって言うか‥「立場の強い者に‥」だな。
「次は、魔術士の商売についての章。「魔術を利用する魔術士の商売を、魔法省は支援する。なぜなら、魔術士が己の利益追求の為に、更に魔術の研究に尽力するであろうと期待されるからである。その結果、魔術が発展していくのが望ましい」そして「各人の利益追求は社会の繁栄につながる唯一手段であるため、何人たりとも彼の営みを妨げてはならない」という法律もある」
つまり、他人の商売には手を出すなって話。
「魔術の種類については言及されていないのか? 例えば、麻薬みたいな‥違法なものを売るのはダメだよ~みたいな‥」
聞いたロナウの顔は‥すっかり呆れ果てている。
自分たちの法律だっていうのに‥全然自分たちの生活に寄り添っているって感がないことに、呆れしかない。
今回の質問だって「どうせ、ないんでしょ」って思って聞いてる。
もはや、常識や良心をこの法律に求めたりしない。
で、案の定
「そういうのは、無いな。「商売の種類を限定することは、発展を著しく阻害する。自由に商売をするべきである。例えば売買においては、売る側ではなく、買う側‥「選ぶ方」にその責任がある。もし、失敗をしたくない‥というならば、自分の責任において、考えるべきである。健康被害その他、購買によって生じた不利益に対しては、購買した側が責任を取るべきである」って風になってるんだ」
やっぱり、常識も良識もこの法律にはなかった。
この法律は‥
「総ては自由な商売を推進する為? 」
「そう。自由な発想を尊重する為」
つまり‥金持ちを保護する為だけの法律なんだ。
はあ、とロナウとフタバが呆れ顔でため息をつく。
もう‥呆れてものが言えない。
「他にもありますの? 」(フタバ:呆れ顔)
「他には‥そうだな~。順番が前後したかもしれないけど‥、
魔術士の義務と権利って章がある」(コリン:苦笑い)
「きっとくだらないんだろうな~」(ロナウ:ため息)
「魔術士は、特別な力を持っている。その為、世間の‥魔術師ではない人々に脅威を与えない様に、紳士的な振る舞いを求められている。
また、魔術師ではない人々は、我々が「社会の安全と発展に尽力する」ことを期待している。
我々は、その期待に応える義務がある。それは、我々が魔術師ではない人々よりも「優れた能力を保持している」からである」
「魔術士は偉いよ~ってアピール? 偉いから、守ってやるよ‥っていう‥上から目線? 」
「うん。勿論ただじゃないぞってアピールする項目もあって‥これは、魔術師ではない人々と協議して‥金銭契約が結ばれている」
「それは‥まあ、今はいいや」
「で‥金銭を貰っているのに関わらず、「魔術士は、金銭を受け取るからといって、魔術師ではない人々と対等な関係でであるという意識を持たなくてもよい。もし、魔術師ではない人々が我々に対して礼儀を欠く行いをしたならば、我々はすぐさま契約を破棄し、彼らに対して報復するであろう」って章がある。つまり、金銭は下々の者からの「お礼」であって、あくまでもしてあげてるんだよ、ってスタンスだと‥」
「うわ~我が儘~」
「これは、魔術師ではない人々に対する警告の章でもある」
「ここからは、義務。
「魔術士は常に高貴な存在であるべきである。その事が、社会に安心感と安定感を与えるのである。我々はその為に、精神面と経済面の両方において‥貧しくてはいけない。
貧しさは、高貴さの妨げとなるからだ。
魔法界の発展の為、魔術士一人一人に課された義務は
一に、自らと、後進の教育に尽力し、
二に、魔術士の社会の存続と発展に尽力し、
三に、魔術士同士、協力する。
である」」
「教育を受けろ、後進の教育の為に金払え、魔術士協会に金を払え、労働力を差し出せ‥ってことかしら? 」
フタバが苦笑いし、
「そうだね」
コリンも苦笑い。
「そんなもん、聞いたことないぞ」
ロナウは、呆れ顔だ。
苦笑いのままのコリンが頷き「僕も知らなかったよ」って同意して、
「これは、金持ちの魔術士の御子息が親から学ぶ教えだね。貧乏魔術士は存在すら知らない章だと思うよ」
って付け加えた。
悪かったな~。貧乏魔術士で‥
ってか、僕は今魔術士ではなかったな‥。
しっかし‥
‥ここまで金持ち中心だと‥笑えて来るな。
ロナウはため息をついた。
コリンが真剣な顔で二人を見る。
「実は、今回フタバちゃんたちに聞かれるかもしれないな‥って、法律を改めて読み返したんだ。試験前は覚えてたけど‥普段は使わないから結構忘れちゃってたからね。
で‥、なんか違和感を感じたんだ。
これらが全部悪の組織の為に作られた様な気がするのは‥僕だけじゃないと思うんだけど‥」
って首をひねっているのはロナウだ。
フタバの家に帰ったコリンにフタバは問いただした。
コリンとて、別に内緒にして、フタバたちを関わらせないでおこう‥って思ったわけでは無い。
‥けど、「何から話そう」って彼なりに整理してから話そうと思ってた。
だけど‥
フタバは結構鋭いところがあるし、コリンは隠し事が出来な過ぎた。‥つまり、顔に全部出ちゃったってこと。
で、
「どういう話があったかお聞かせ願いますか? 」
にっこり笑ったフタバの目は、笑ってなかった。
「そうね。わざわざ勉強しよう‥って思わなかったら覚えませんわね。私は魔術士として就職活動してたから‥ある程度は覚えましたわ。だけど、使いそうなものだけ‥ですが‥」
フタバがロナウに頷く。チラリとコリンを見るとコリンは
「僕は誓約士だから」
って、苦笑いした。
勿論詳しいってことだね。なんか、この子には‥何も勝てそうにない気がしますわ。(今更だけど)。
そんなわけで‥
急遽、魔法省の法律は何ぞや‥という勉強の時間になった。
コリンによると、
『魔法省の法律』って言っても、一般的な法律とそう大きくは違わない。
らしい。
基本的には‥「国民として、税金払え、法は犯すな、人には迷惑かけるな」ただし、一般人の‥に対してである。
一般の人の法を犯すな、一般の人には迷惑を掛けるな‥。つまり、表向けは‥の法律だな。
表向けな法律は、一般的な法律とそう大きくは違わない‥ってこと。
それが「魔法使い同士だと色々違ってくる」らしい。
コリンは大きな紙を出してくると、
「一番ポピュラーな法律は、「人を理由なく殺してはいけない。『しかしながら』魔法の尊厳を著しく脅かしたり、自らの誤った行いにより、魔法使いの信頼性その他をを失墜させた者はその罪を自らの命をもって償わなければならない。その際、自らで死を選ぶのが最も適切であるが、その判断力さえも欠損していると周りが判断した場合は、『魔法省の法律』ではその者を制裁しても、罪には問われない」だ」
と、説明しながら「違うところ:刑法」と羽ペンで書いた。
ロナウとフタバはそれを見ながら、頷いた。
「つまり‥魔法使いが魔法使いを殺しても「あいつは魔法使いとして失格だったし、それを自覚していなかった。そして、反省が見込めなかった。だから「仕方なく」殺したんだよ」って言えば通っちゃうってってことね‥」
ふう‥とフタバがため息をついた。
ロナウは‥ぶるりと身震いして
「魔法の尊厳を著しく脅かすって‥どんなことだ? 自らの誤った行いにより、魔法使いの信頼性その他をを失墜させる‥ってのも、具体的にどんなのか分からないな
そういう‥具体的なことが何も決められてない‥解釈次第でどうにでもなる法律で裁かれるとか‥権力者に睨まれたら殺される選択肢しかない‥ってことだね」
ぽつり‥と呟いた。それにはフタバも同意して頷く。
コリンは満足そうに大きく二回頷くと、
「それだ。そういう「あいまいな感じ」のままにしておくのが‥この法律の特徴なんだ。
解釈次第でどうにでも出来る‥って奴だね」
って言った。
「‥なるほどね‥」
ロナウがため息をつく。
そんなヤバい法律の知名度が低い‥って、なんか黒いなにかを感じるなあ‥。説明書の下にちっさく書かれた注意書きみたい。「え? 書いてたでしょ? 見なかったんですか? それは貴方がわるいですね~」「隠してるんじゃないですよ? 普通魔術士なら知ってるものだと思ってました! 知らないとか‥! かえって驚きですね! 」って感じなんだろうな~。
「そのうえ‥念を押すように‥「魔術士同士の争いは本人同士で解決するべきであり、一般の人たちの手を煩わせるべきではない。それは、魔術士の恥である」‥ってのもある」
「それは‥魔術師同士のことは、「一般人には無関係だから、手を出すな」‥ってことだね? 」
「そうだね」
コリンは、「違うところ:刑法」の後ろに、「魔術士と一般の人での刑法の分離」と書き加える。
「他には? 他にはどんな法律があるの? 」
「そうだね。大半は一般人は魔術士のすることに口出すな‥っていう‥「対一般人」の法律(というか、苦情? )なんだけど、魔術士同士に対する法律もある」
「魔術士同士? 」
ロナウが首を傾げ、コリンが頷く。
例えば商法‥。
コリンは「違うところ:商法」と書き加える。
「「魔術士は個人の利益を追求し、資金をより多く獲得し、その利益を広く社会に貢献するために使わなければならない。より多くの利益を得ることはつまり、それだけ社会に貢献出来るということである」」
「金持ちの方が貧乏人より偉いよって話だね? 」
呆れ顔で聞くロナウに、コリンが頷き、話を続ける。
「「利益追求によってより多くの貨幣を多く得た者は、より多く消費するだろう。そうやって、社会に貨幣が循環させるのが望ましい」」
「なに? 急に「望ましい」って義務じゃないんだ? 「金を多く儲けてるんだから税金いっぱい払え」っていう‥義務じゃないの? 」
ロナウが眉をしかめ、コリンが首を振る。
「多く儲けたから‥といって、それに対して税金が多くかかる‥って訳ではない。商いを「する」ことに税金はかかるけど、それによって生じた利益には税金はかからない。つまり、「たくさん商いをする」ってことに対して税金がかかるけど、「たくさん利益が出た」ことに対しては税金はかからない。‥昔はあったけど、「儲けたのは自分の努力。だのに金取られるとか‥なくない?? 」って金持ちから反発を受けたんだって」
‥金持ちから苦情が出たから法律がなくなるって不思議。
「つまり、「小さな商いをいっぱいする」業者は税金を沢山払うけど、「大きな商いをちょっとだけする」業者は税金をあまり支払わなくてもいいってことか‥」
大きな商いが出来る金持ちは更に富み、小さな商いしか出来ない貧乏人は更に困窮するって仕組み‥。
魔法省の法律、金持ちに甘すぎない??
金持ちって言うか‥「立場の強い者に‥」だな。
「次は、魔術士の商売についての章。「魔術を利用する魔術士の商売を、魔法省は支援する。なぜなら、魔術士が己の利益追求の為に、更に魔術の研究に尽力するであろうと期待されるからである。その結果、魔術が発展していくのが望ましい」そして「各人の利益追求は社会の繁栄につながる唯一手段であるため、何人たりとも彼の営みを妨げてはならない」という法律もある」
つまり、他人の商売には手を出すなって話。
「魔術の種類については言及されていないのか? 例えば、麻薬みたいな‥違法なものを売るのはダメだよ~みたいな‥」
聞いたロナウの顔は‥すっかり呆れ果てている。
自分たちの法律だっていうのに‥全然自分たちの生活に寄り添っているって感がないことに、呆れしかない。
今回の質問だって「どうせ、ないんでしょ」って思って聞いてる。
もはや、常識や良心をこの法律に求めたりしない。
で、案の定
「そういうのは、無いな。「商売の種類を限定することは、発展を著しく阻害する。自由に商売をするべきである。例えば売買においては、売る側ではなく、買う側‥「選ぶ方」にその責任がある。もし、失敗をしたくない‥というならば、自分の責任において、考えるべきである。健康被害その他、購買によって生じた不利益に対しては、購買した側が責任を取るべきである」って風になってるんだ」
やっぱり、常識も良識もこの法律にはなかった。
この法律は‥
「総ては自由な商売を推進する為? 」
「そう。自由な発想を尊重する為」
つまり‥金持ちを保護する為だけの法律なんだ。
はあ、とロナウとフタバが呆れ顔でため息をつく。
もう‥呆れてものが言えない。
「他にもありますの? 」(フタバ:呆れ顔)
「他には‥そうだな~。順番が前後したかもしれないけど‥、
魔術士の義務と権利って章がある」(コリン:苦笑い)
「きっとくだらないんだろうな~」(ロナウ:ため息)
「魔術士は、特別な力を持っている。その為、世間の‥魔術師ではない人々に脅威を与えない様に、紳士的な振る舞いを求められている。
また、魔術師ではない人々は、我々が「社会の安全と発展に尽力する」ことを期待している。
我々は、その期待に応える義務がある。それは、我々が魔術師ではない人々よりも「優れた能力を保持している」からである」
「魔術士は偉いよ~ってアピール? 偉いから、守ってやるよ‥っていう‥上から目線? 」
「うん。勿論ただじゃないぞってアピールする項目もあって‥これは、魔術師ではない人々と協議して‥金銭契約が結ばれている」
「それは‥まあ、今はいいや」
「で‥金銭を貰っているのに関わらず、「魔術士は、金銭を受け取るからといって、魔術師ではない人々と対等な関係でであるという意識を持たなくてもよい。もし、魔術師ではない人々が我々に対して礼儀を欠く行いをしたならば、我々はすぐさま契約を破棄し、彼らに対して報復するであろう」って章がある。つまり、金銭は下々の者からの「お礼」であって、あくまでもしてあげてるんだよ、ってスタンスだと‥」
「うわ~我が儘~」
「これは、魔術師ではない人々に対する警告の章でもある」
「ここからは、義務。
「魔術士は常に高貴な存在であるべきである。その事が、社会に安心感と安定感を与えるのである。我々はその為に、精神面と経済面の両方において‥貧しくてはいけない。
貧しさは、高貴さの妨げとなるからだ。
魔法界の発展の為、魔術士一人一人に課された義務は
一に、自らと、後進の教育に尽力し、
二に、魔術士の社会の存続と発展に尽力し、
三に、魔術士同士、協力する。
である」」
「教育を受けろ、後進の教育の為に金払え、魔術士協会に金を払え、労働力を差し出せ‥ってことかしら? 」
フタバが苦笑いし、
「そうだね」
コリンも苦笑い。
「そんなもん、聞いたことないぞ」
ロナウは、呆れ顔だ。
苦笑いのままのコリンが頷き「僕も知らなかったよ」って同意して、
「これは、金持ちの魔術士の御子息が親から学ぶ教えだね。貧乏魔術士は存在すら知らない章だと思うよ」
って付け加えた。
悪かったな~。貧乏魔術士で‥
ってか、僕は今魔術士ではなかったな‥。
しっかし‥
‥ここまで金持ち中心だと‥笑えて来るな。
ロナウはため息をついた。
コリンが真剣な顔で二人を見る。
「実は、今回フタバちゃんたちに聞かれるかもしれないな‥って、法律を改めて読み返したんだ。試験前は覚えてたけど‥普段は使わないから結構忘れちゃってたからね。
で‥、なんか違和感を感じたんだ。
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