この度、押しかけ女房に押し切られました。 ~押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした~

文月

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186.一人じゃない。

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組織の人間に付いて広場を出ると、そこは海外の街、或いはファンタジーゲームの中の様な場所だった。召喚された他の女性達や、比奈や美咲はキョロキョロと周囲を見回して感嘆の息を吐いていた。だが萌香にとっては特に珍しい光景じゃ無い。異世界で旅をしていた時に、もっと不思議な光景を見て来たからだ。だから街並みよりも気になったのは他の人間だ。組織に属して居ない人間プレイヤー達。隠れるように路地裏や民家らしき建物の窓から何人かがこちらの様子を伺っていたが、皆一様に暗い顔だ。

(やっぱり組織コイツら、ヤバい奴らっぽいな。)

黒髪の男が言っていた、組織に属して居ないソロプレイヤー、少人数で組んでいるプレイヤー。その誰もが薄汚れた格好だ。対して先程広場に居た組織の人間の装備や格好は小綺麗で、顔色も良かった。

組織が上手く回っているのなら、それもおかしな事ではないかも知れないが、それなら薄汚れて顔色の悪いソロプレイヤーや、少人数チームのプレイヤーに説明がつかない、1000人居るらしいプレイヤーの内、組織に属しているのは半数にも満たない400人。それが不可解だ。そんなに良い組織なら皆入る筈だ。組織の話を聞いた限りは、他に大人数で組んでいる者達も居なさそうだ。それは、組んでもメリットが無いからじゃ無いだろうか?それに先程から感じる視線は、気の毒そうな視線だった。

(……組織、……大方、初心者を騙して、何かやってんだろうな、だから男女を分けたって事でしょ?…………、女は性処理にでも使う気?…………、男は、なんだろう………、労働力?)

萌香の考えはそう間違って居ないと思う。先程から黒髪の男がチラチラと比奈を見ている。その視線は豊かな胸元に向いていた。

(きも…………)






◇◇◇◇◇◇







「はーい、皆さん。いらっしゃーい。リーダーもおかえりなさーい♡」

着いたのは、大きなホテルのような建物だった。そこから綺麗な格好の女性が4人出て来て、笑顔で出迎えてくれた。それを見てホッと息を吐く召喚された女性達。顔を顰めていた美咲の表情も和らいだ。それを見て萌香は呆れた。

(…………馬鹿だな。こんなの見え見えの罠じゃん。安心させて油断させる為のさ。…………でも普通の人なら騙されるのかな、昔の私みたいに…………)

「ただいまー。食事の用意出来てる?新人さんの歓迎会だし、飲み物とかも沢山用意して有る?今回結構大人数だから、無いなら俺が買いに行くけど?」

黒髪の青年が4人の内の一人、金髪の女性の肩を抱いて言う。

「勿論、ちゃんと準備してるよ~、直樹君♡」

「ありがと、ミミ。んじゃ皆を広間に案内してくれる?」

黒髪は直樹と言うみたいだ。

「はーい♡じゃ、皆さん、うちらについて来て、食事もお酒もあるよー♡」

そう言って金髪女性はニコニコとして萌香達に声を掛けて、手招きして居る。

「…………なんか、大丈夫そうだね。比奈、行こ」

そう言うと、美咲はさっさと比奈の手を引いて金髪の女性達について行った。比奈は何度か困った顔で振り向いたが、そのまま引っ張られて行ってしまった。

萌香はため息を吐く。

(安心したら、こっちをまた無視?…………はあ。…………名波さん。嫌いなタイプだわ)



◇◇◇◇◇◇





広間に案内されると良い匂いが漂っている。豪華な机の上にはご馳走が並んで居た。

(用意周到すぎて怪しすぎ。でも誰も疑って無い。はあ…………、危機感無さ過ぎ…。あーイライラする。)

女性は萌香を含めて全部で18人。その中には年配の人や、成人している大人の女性も居るのに、皆ご馳走に目を輝かせている。

(…………、本当危機感の無い馬鹿女ばっかり…………、騙されて、搾取されても自業自得だよ…………、あーあ。気分悪い。来なきゃ良かったな。)














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