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159.僕って悪女なんです。(side コリン)
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赤い毛の貴族令嬢って勿論‥エンヴァッハ伯爵令嬢‥つまり、ナナフルさんの妹さんのこと。
まあ、見たことないけど。
そんなのま、どうでもいいのよ。ぶっちゃけね。
一応言って見ただけだから。
ここではね、それ程重要じゃないの。
「‥わたしがその令嬢のことを直接知っているわけでは無いんです」
さっきまで怯えた演技をしていた僕は、何かを決意した様な顔を一瞬してから(演技、細かいからよく見ててね)ふっと顔を上げて、
「わたしの兄の失踪とその令嬢が関係あるって思ってるから‥だからわたしは‥」
前をきゅっと睨んで呟く。
黄色チャラいのがはっとした顔をする。
「お前の兄が‥失踪した? 」
僕は黄色チャラいのを振り返り、こくりと頷く。
「兄さんは家出したんだって皆は言うけど、わたしを置いて兄さんが家出なんかするわけないんです。
私には兄さんしか頼れる人がいないから‥
‥兄さんは確かに、世間一般的には優しいってわけでは無いかもしれない。真面目なタイプでもなかったし‥。
でも、わたしには優しかった。
ご飯を食べさせてくれた。
‥もともと「真面目にコツコツ」ってタイプではなかったけど、博打なんかでお金を儲けようってタイプじゃなかった。
「あんなのは、運だけのもんだ。運に時間と金をかけられるか」
って言ってた。
だけど、あの時兄さんは
上手いこといったら、お金が手に入るかも
って言ってたんです。
「これは博打じゃない。ビジネスチャンスだ」
って。
わたしはそんなもの望んでないのに!
兄さんは頭のいいふりなんかしても、頭なんて良くないのに‥! 」
はらはらと涙を流しながら話す僕を、チャラ黄色いのは、細い眉根をきゅっと寄せて見ている。
僕に対して、急に泣くなよ、うっとおしい、って思ってるような顔じゃない。
同情してる
じゃない、
どちらかというと、「憤っている」顔。僕の境遇に何か思うところがあって、怒ってるって感じ。
ちょっと意外な反応?
「赤い毛の貴族令嬢の話は兄さんから聞いたのか? 」
黄色チャラいのが僕に一歩近づいて、真剣な表情で聞いた。
「‥見たんです。兄さんが居なくなる前に、兄さんがその人といるのを。
だから‥あの人を見つけたら兄さんの事何かわかるんじゃないかって思って‥」
黄色チャラいのが僕を見つめたまま表情を曇らせる。
「‥考えなし過ぎるだろ。じゃあ‥貴族に雇われてるのも、そのせいか? 」
‥いや、信じすぎだろ。
逆に心配になるぞ。
良心が痛んできた‥。
いや‥ここまで来たら、演技を続けないと‥。
僕はこくんと頷く。
「いつかはその人に会えるかもって。‥こっちから行った方が会える確率もあるかなって思って‥」
「‥悪いことは言わないから、兄さんのことはもうあきらめろ。
あの薬に関わったんだったら、もう生きてるとは思えない。
兄さんはあいつらの怖さを見誤ってたんだ。
‥兄さんの運が悪かったとしか言えない」
僕から目をすっと逸らす黄色チャラいの
「‥そんな!
わたしはあきらめられない‥っ! 」
黄色チャラいのに縋ってボロボロ泣き崩れる僕。
傍から見たら、女を振る男とその男にすがる女みたい‥。
「アンタみたいな普通の女に何が出来るっていうんだ! 死体が一つ増えるだけの話だ」
黄色チャラいのが強い口調で僕を「説得しようと」したところで、僕はにやりと笑う。
「わたしは普通の女なんかじゃないです。
わたし、悪女になったんです。
兄さんが居なくなってから、わたし‥兄さんを探すために‥
悪女になったんです」
って言って、
つかつか歩いて、
シークさんの腕をつかんだ。
‥さっきから、ずっと見えてた。アンバーに不可視化の結界を掛けてもらっててもね。(この結界。僕が教えたものだ。優秀なアンバーはもうすっかり自分のモノにしている‥)
そして、さっき僕がボロボロ泣いてた時、シークさんがこっちに飛び掛かってきそうになったのを止めたのは、僕だ。
「わたしには二十四時間、貴方たちも気付かないような護衛がついてるんです。
勿論、今も。
‥貴方がわたしをレストランから連れ出した時からずっと。
そんなに考えなしじゃないです」
にっこり微笑む。
「この人もわたしの護衛です。
わたしにはわたしの事情を聞かないで、わたしの為に働いてくれる護衛がいっぱいいるんです。
だって、わたし、可愛いから。
兄さんの為なら‥わたし使えるものならなんでも利用します。
どんな努力だってします。
手を血に染めることだって‥わたしは厭わない‥つもりです。
お話を聞かせてもらえませんか? 貴方が知っていること全部」
どうやら、貴方は「悪い人じゃなさそう」だから、特別にボコらないでおいてあげる。
‥僕が満足できるような情報を話してくれたら、ね。
まあ、見たことないけど。
そんなのま、どうでもいいのよ。ぶっちゃけね。
一応言って見ただけだから。
ここではね、それ程重要じゃないの。
「‥わたしがその令嬢のことを直接知っているわけでは無いんです」
さっきまで怯えた演技をしていた僕は、何かを決意した様な顔を一瞬してから(演技、細かいからよく見ててね)ふっと顔を上げて、
「わたしの兄の失踪とその令嬢が関係あるって思ってるから‥だからわたしは‥」
前をきゅっと睨んで呟く。
黄色チャラいのがはっとした顔をする。
「お前の兄が‥失踪した? 」
僕は黄色チャラいのを振り返り、こくりと頷く。
「兄さんは家出したんだって皆は言うけど、わたしを置いて兄さんが家出なんかするわけないんです。
私には兄さんしか頼れる人がいないから‥
‥兄さんは確かに、世間一般的には優しいってわけでは無いかもしれない。真面目なタイプでもなかったし‥。
でも、わたしには優しかった。
ご飯を食べさせてくれた。
‥もともと「真面目にコツコツ」ってタイプではなかったけど、博打なんかでお金を儲けようってタイプじゃなかった。
「あんなのは、運だけのもんだ。運に時間と金をかけられるか」
って言ってた。
だけど、あの時兄さんは
上手いこといったら、お金が手に入るかも
って言ってたんです。
「これは博打じゃない。ビジネスチャンスだ」
って。
わたしはそんなもの望んでないのに!
兄さんは頭のいいふりなんかしても、頭なんて良くないのに‥! 」
はらはらと涙を流しながら話す僕を、チャラ黄色いのは、細い眉根をきゅっと寄せて見ている。
僕に対して、急に泣くなよ、うっとおしい、って思ってるような顔じゃない。
同情してる
じゃない、
どちらかというと、「憤っている」顔。僕の境遇に何か思うところがあって、怒ってるって感じ。
ちょっと意外な反応?
「赤い毛の貴族令嬢の話は兄さんから聞いたのか? 」
黄色チャラいのが僕に一歩近づいて、真剣な表情で聞いた。
「‥見たんです。兄さんが居なくなる前に、兄さんがその人といるのを。
だから‥あの人を見つけたら兄さんの事何かわかるんじゃないかって思って‥」
黄色チャラいのが僕を見つめたまま表情を曇らせる。
「‥考えなし過ぎるだろ。じゃあ‥貴族に雇われてるのも、そのせいか? 」
‥いや、信じすぎだろ。
逆に心配になるぞ。
良心が痛んできた‥。
いや‥ここまで来たら、演技を続けないと‥。
僕はこくんと頷く。
「いつかはその人に会えるかもって。‥こっちから行った方が会える確率もあるかなって思って‥」
「‥悪いことは言わないから、兄さんのことはもうあきらめろ。
あの薬に関わったんだったら、もう生きてるとは思えない。
兄さんはあいつらの怖さを見誤ってたんだ。
‥兄さんの運が悪かったとしか言えない」
僕から目をすっと逸らす黄色チャラいの
「‥そんな!
わたしはあきらめられない‥っ! 」
黄色チャラいのに縋ってボロボロ泣き崩れる僕。
傍から見たら、女を振る男とその男にすがる女みたい‥。
「アンタみたいな普通の女に何が出来るっていうんだ! 死体が一つ増えるだけの話だ」
黄色チャラいのが強い口調で僕を「説得しようと」したところで、僕はにやりと笑う。
「わたしは普通の女なんかじゃないです。
わたし、悪女になったんです。
兄さんが居なくなってから、わたし‥兄さんを探すために‥
悪女になったんです」
って言って、
つかつか歩いて、
シークさんの腕をつかんだ。
‥さっきから、ずっと見えてた。アンバーに不可視化の結界を掛けてもらっててもね。(この結界。僕が教えたものだ。優秀なアンバーはもうすっかり自分のモノにしている‥)
そして、さっき僕がボロボロ泣いてた時、シークさんがこっちに飛び掛かってきそうになったのを止めたのは、僕だ。
「わたしには二十四時間、貴方たちも気付かないような護衛がついてるんです。
勿論、今も。
‥貴方がわたしをレストランから連れ出した時からずっと。
そんなに考えなしじゃないです」
にっこり微笑む。
「この人もわたしの護衛です。
わたしにはわたしの事情を聞かないで、わたしの為に働いてくれる護衛がいっぱいいるんです。
だって、わたし、可愛いから。
兄さんの為なら‥わたし使えるものならなんでも利用します。
どんな努力だってします。
手を血に染めることだって‥わたしは厭わない‥つもりです。
お話を聞かせてもらえませんか? 貴方が知っていること全部」
どうやら、貴方は「悪い人じゃなさそう」だから、特別にボコらないでおいてあげる。
‥僕が満足できるような情報を話してくれたら、ね。
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