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137.ナナフル、悩める少年時代。
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そんなこんなで、ザッカが王都で騎士になるための訓練を受けている間、ナナフルはザッカの家で花嫁修業をしていた。
今日は、ザッカの家で、村の幼馴染の娘・フミと一緒に金持ち向けの刺繍付きハンカチの刺繍をしていた。
案外器用だったらしく、(母さんに似たのかな)刺繍は苦にならなかった。
イオ母さんが「私より上手いね」って褒めてくれたけど‥正直嬉しくは無かったが‥。
まあ、何にしろ、収入源に繋がるのはいいことだ。
ハンカチの刺繍は、エプロンや服の刺繍と比べれば、稼ぎとしては僅かなんだけど、安定した需要があるって点では、貴重だった。
「結婚する彼とは文通してるの? 訓練‥に行ってるんだっけ? 帰ってきたら‥結婚するんだよね? 。いいな~。許嫁が騎士様になって帰ってくる‥って、物語みたいだよね~。
ナナフルは、お婿さんの家で暮らしてるんでしょ? もう結婚してる様なもんだよね~。
まあ、それは私もあんまり変わんないかな~」
フミが刺繍をする手を止めて、ナナフルを振り返り微笑みかけた。
特別美人ってわけではないが、そばかすが可愛いちょっと年上の女の子の眩しい笑顔にナナフル少年は、ドキッとした。女の子の恰好をしているといえども、ナナフルは健全な12歳の少年だ。女の子が気になり始める年頃なのだ。
14歳のフミは村の青年マルクと(フミが)16歳になったら結婚することになっており、15歳になったら花嫁修業としてマルクの家に引っ越すことが決まっていた。マルクは現在18歳で、大工をしている。
なんてことはない。
親同士が決めた許嫁って奴だ。
フミが12歳の時初めて顔合わせをした。ちょっと年上のマルクは、優しそうで、フミは会った瞬間恋に落ちた。キラキラした顔で自分を見上げる少女に、16歳だったマルクは‥困った様な顔で微笑み返した。そりゃ、16歳にとっては12歳は、子供でしかない。それに、あの頃は親の手伝いをしながら大工として働き始めたばっかりだ。嫁と言われても‥戸惑いしかない。正直戸惑いしかなかっただろう。
だけど、フミは「絶対この人と結婚する! 」ってその時その場で両親とマルクの両親に誓ったって言ってた。
そういうことは女の子の方がませてる‥っていうか、しっかりしている。
今すぐにでもマルクの家に住む! っていうフミを「まだ料理なんかを覚えていないでしょう? 」って説得するのが大変だった‥と、以前フミの家に行った時、フミの母親が笑いながら教えてくれた。
「だって~。結婚するんだから、マルクのお母さんに教わっても同じかな~って思って~」
ってぺろりと舌を出すフミは、恋する乙女って表情をしている。
可愛い。
僕だって、男としてあのまま暮らしてたら‥ここでいずれはお嫁さんを貰って幸せに暮らせてたかな‥って思う。
あんなことが無ければ‥
僕は‥貴族なんてどうでも良かった。
跡取りとか‥興味なかったし、巻き込まれたくなかった。出世にも家の存続も‥なにもかもどうでも良かった。
お金持ちになることも、領土とかも‥(これを言ったら怒られるだろうが)どうでも良かった。
平民として、ひっそりと‥母さんと二人で暮らせてたらそれで良かった。
‥それで言ったら、ザッカなんて被害者でしかない。
(というか)一番の被害者だ。
イオの母さんだって‥
僕とザッカが許嫁になって、いずれ形だけ結婚するってなったら‥
ザッカは、一生「ホントウの意味での嫁」を貰えないわけだ。今は「気が合うナナフルと一緒にいる方がいい」って言ってくれてるけど、いずれは、女の子の身体に興味を持つようになるだろうし、‥子供が欲しいって思う様になるだろう。だけど、僕は女の子ではないし、子供を産むことも勿論できない。
可愛くもないし、柔らかくもない。
こんな小さな村だったら、村中顔見知りだから、浮気とか出来るわけもない‥。だから、ザッカは‥一生童貞のままってことになる‥。(それは僕も同じなんだけど、僕の事はどうでもいい)
‥イオの母さんも一生孫を抱けないんだ。
ザッカとザッカの両親の人生を僕なんかの為に台無しにしていいわけがない。
ザッカは
「ナナフルのこと守らなきゃって思ったから騎士紋が出たんだ」
って言ってくれる。
「それに、ナナフルがいなきゃ、あれが騎士紋だって分からなかった」
とも。そういって、何時も優しく笑ってくれた。
あの時までも、あの時からも、ザッカは変わらずナナフルの親友だった。
ザッカに騎士紋が出てからは大変だったな‥って、ふと思いだした。
村はもうそりゃあ、大騒ぎになった。村から‥平民から職紋持ちが出たことは今までなかったから、そのことはあっという間に村中に知れ渡った。(小さな村だからね)
ザッカが王都で騎士見習いとして訓練を受けて不在の今でも、子供たち(ナナフル達よりもっと小さい子供たち)の間では「ごっこ遊び」の「ヒーロー」と言えば、ザッカって言われてる位だ。
それ程、(平民で職紋持ちっていうのは)珍しいことで、皆が憧れる様なことなんだ。
騎士に対するあこがれってのも大きいしね。(かくいうナナフルも騎士に憧れていた。この村でも、男の子の憧れる職業一位が騎士で二位がA級・S級冒険者なんだ。因みに三位は医者。儲かるから)
因みに、ザッカに騎士紋が出たことは、近隣の村にも知れ渡り、「ぜひ娘と」って結婚のお誘いが押し寄せたらしくて、「さっさと婚約してて良かった」ってザッカもイオ母さんも言ってた。その時だけは「‥役に立ってよかった」って思ったよ。‥だって、いちいち断るの大変だもんね。
「ね。ザッカさん‥ってカッコイイ? 逞しい感じ? 爽やかな感じ? 」
フミが興味津々って顔で、ナナフルの顔を覗き込む。
女子にとっては、騎士って立場もだけど‥寧ろそっちが気になるって感じ。同じ村に住んでいるんだけど、男の子と女の子は一緒に学校に行ったり、遊んだりしないから、フミはザッカのことはよく知らない。男の子は、結構家の外を走り回ってるんだけど、ザッカやザッカの仲間たちとは昔、家の近所ではなく、村はずれの山で探検ごっこして遊んでた。だから、余計に「顔も見たことがない」んだろう。
ナナフルは首を傾げて、困った様な顔で微笑む。
「もうずっと会ってないから‥」
(カッコイイか‥なんて男の自分には分からないが)背は伸びただろう。元々ナナフルとでは、頭一つ分以上大きかった。
毎日厳しい訓練をしているから、きっと筋肉もついただろう。
真っ黒に日焼けしてるかもな。
ダンクさんやイオ母さんを見る限りでは‥爽やかな感じになる要素は無いな~。
ダンクさんみたいに、がっしりとして頼れる男って感じになってるんだろうな。
‥同じ男だのに、俺は、ここでこそこそ隠れて、女の子のフリして暮らしてる‥。
家の中にいることが多いから、昔以上に色白になって、昔以上に筋肉がついていない自分が情けなくて仕方が無い。
いざという時の為にイオ母さんから護身術も教えてもらっているし、剣も幼少期からここに来るまでは習って来た‥。貴族だから、そういうの嗜みとして習ってるしね。今でも素振りを欠かせる日はない。
なのに、筋肉がつきにくい体質なのだろう。自分の腕は、掴んだら折れそうなくらい細い。
12歳にもなるのに、女子と言って誰にも不審に思われない程、‥自分は男らしさの欠片も無い。
思わず落ち込んだナナフルに、フミは「会えなくって寂しいんだな‥悪いこときいちゃったな‥」って勘繰ったんだ。
「そっか~。‥そうだよね! ごめんごめん」
慰めるように、ナナフルの肩までの髪を撫ぜながら謝った。
ナナフルの髪は、平民にはまず居ないであろう、珍しいプラチナブロンズのサラサラの髪だ。瞳も綺麗なブルートパーズの色。
フミは、両親から、「ナナフルは貴族の出で貴族の何かしらから逃げる為にここに母親と来た。訳ありで可哀想な子だから気を付けてあげてね」‥って幼い頃に聞かされたことがある。
貴族だから、ナナフルはあんなに上品で綺麗なんだな‥って納得したことを覚えている。
「‥髪、伸ばさないの? このままでも綺麗だけど、伸ばしても似合いそう。‥綺麗な髪だし」
貴族の女性は、髪を長く伸ばして、アップしている‥ってイメージがある。
きっと美麗なナナフルはそんな髪型も似合うだろう‥って思ったけど、「貴族っぽいのが嫌だからあえてこの髪の毛なのかも」って思う。
平民のザッカと結婚することによって、貴族ってしがらみを断ち切りたい‥っていうのもあるのかもな‥ってフミは思った。
「‥ザッカがこの長さが好きだって言うから‥」
控えめに、ナナフルが微笑む。
その顔は、ナナフルにとっては「複雑な表情」だったんだけど、フミにはなんだか、恥じらう乙女の様な‥可愛らしい表情に見えた。(きっとフミにとっての希望的な補正も加わっているんだろう)
「そっかそっか! いいと思うよ! 似合ってるし。ナナフルは可愛いくって美人さんだからね! そのままでも十分女らしい! きっと、大人になったら、凄い美人になるよ~」
フミは、はしゃいだ声を出した。
ナナフルが、「へ!? 」って珍しく、驚いて‥ちょっと嫌そうな顔をする。
「フミちゃんの方が可愛いよ」
思わず素で突っ込むと、
「も~厭味かな~! 」
ってフミが笑った。
‥本当にそう思う。
男だのに、12歳にもなって女の恰好をして隠れまわって‥人に迷惑かけて、皆を騙して‥一体何をしてるんだろう‥って思う。
今日は、ザッカの家で、村の幼馴染の娘・フミと一緒に金持ち向けの刺繍付きハンカチの刺繍をしていた。
案外器用だったらしく、(母さんに似たのかな)刺繍は苦にならなかった。
イオ母さんが「私より上手いね」って褒めてくれたけど‥正直嬉しくは無かったが‥。
まあ、何にしろ、収入源に繋がるのはいいことだ。
ハンカチの刺繍は、エプロンや服の刺繍と比べれば、稼ぎとしては僅かなんだけど、安定した需要があるって点では、貴重だった。
「結婚する彼とは文通してるの? 訓練‥に行ってるんだっけ? 帰ってきたら‥結婚するんだよね? 。いいな~。許嫁が騎士様になって帰ってくる‥って、物語みたいだよね~。
ナナフルは、お婿さんの家で暮らしてるんでしょ? もう結婚してる様なもんだよね~。
まあ、それは私もあんまり変わんないかな~」
フミが刺繍をする手を止めて、ナナフルを振り返り微笑みかけた。
特別美人ってわけではないが、そばかすが可愛いちょっと年上の女の子の眩しい笑顔にナナフル少年は、ドキッとした。女の子の恰好をしているといえども、ナナフルは健全な12歳の少年だ。女の子が気になり始める年頃なのだ。
14歳のフミは村の青年マルクと(フミが)16歳になったら結婚することになっており、15歳になったら花嫁修業としてマルクの家に引っ越すことが決まっていた。マルクは現在18歳で、大工をしている。
なんてことはない。
親同士が決めた許嫁って奴だ。
フミが12歳の時初めて顔合わせをした。ちょっと年上のマルクは、優しそうで、フミは会った瞬間恋に落ちた。キラキラした顔で自分を見上げる少女に、16歳だったマルクは‥困った様な顔で微笑み返した。そりゃ、16歳にとっては12歳は、子供でしかない。それに、あの頃は親の手伝いをしながら大工として働き始めたばっかりだ。嫁と言われても‥戸惑いしかない。正直戸惑いしかなかっただろう。
だけど、フミは「絶対この人と結婚する! 」ってその時その場で両親とマルクの両親に誓ったって言ってた。
そういうことは女の子の方がませてる‥っていうか、しっかりしている。
今すぐにでもマルクの家に住む! っていうフミを「まだ料理なんかを覚えていないでしょう? 」って説得するのが大変だった‥と、以前フミの家に行った時、フミの母親が笑いながら教えてくれた。
「だって~。結婚するんだから、マルクのお母さんに教わっても同じかな~って思って~」
ってぺろりと舌を出すフミは、恋する乙女って表情をしている。
可愛い。
僕だって、男としてあのまま暮らしてたら‥ここでいずれはお嫁さんを貰って幸せに暮らせてたかな‥って思う。
あんなことが無ければ‥
僕は‥貴族なんてどうでも良かった。
跡取りとか‥興味なかったし、巻き込まれたくなかった。出世にも家の存続も‥なにもかもどうでも良かった。
お金持ちになることも、領土とかも‥(これを言ったら怒られるだろうが)どうでも良かった。
平民として、ひっそりと‥母さんと二人で暮らせてたらそれで良かった。
‥それで言ったら、ザッカなんて被害者でしかない。
(というか)一番の被害者だ。
イオの母さんだって‥
僕とザッカが許嫁になって、いずれ形だけ結婚するってなったら‥
ザッカは、一生「ホントウの意味での嫁」を貰えないわけだ。今は「気が合うナナフルと一緒にいる方がいい」って言ってくれてるけど、いずれは、女の子の身体に興味を持つようになるだろうし、‥子供が欲しいって思う様になるだろう。だけど、僕は女の子ではないし、子供を産むことも勿論できない。
可愛くもないし、柔らかくもない。
こんな小さな村だったら、村中顔見知りだから、浮気とか出来るわけもない‥。だから、ザッカは‥一生童貞のままってことになる‥。(それは僕も同じなんだけど、僕の事はどうでもいい)
‥イオの母さんも一生孫を抱けないんだ。
ザッカとザッカの両親の人生を僕なんかの為に台無しにしていいわけがない。
ザッカは
「ナナフルのこと守らなきゃって思ったから騎士紋が出たんだ」
って言ってくれる。
「それに、ナナフルがいなきゃ、あれが騎士紋だって分からなかった」
とも。そういって、何時も優しく笑ってくれた。
あの時までも、あの時からも、ザッカは変わらずナナフルの親友だった。
ザッカに騎士紋が出てからは大変だったな‥って、ふと思いだした。
村はもうそりゃあ、大騒ぎになった。村から‥平民から職紋持ちが出たことは今までなかったから、そのことはあっという間に村中に知れ渡った。(小さな村だからね)
ザッカが王都で騎士見習いとして訓練を受けて不在の今でも、子供たち(ナナフル達よりもっと小さい子供たち)の間では「ごっこ遊び」の「ヒーロー」と言えば、ザッカって言われてる位だ。
それ程、(平民で職紋持ちっていうのは)珍しいことで、皆が憧れる様なことなんだ。
騎士に対するあこがれってのも大きいしね。(かくいうナナフルも騎士に憧れていた。この村でも、男の子の憧れる職業一位が騎士で二位がA級・S級冒険者なんだ。因みに三位は医者。儲かるから)
因みに、ザッカに騎士紋が出たことは、近隣の村にも知れ渡り、「ぜひ娘と」って結婚のお誘いが押し寄せたらしくて、「さっさと婚約してて良かった」ってザッカもイオ母さんも言ってた。その時だけは「‥役に立ってよかった」って思ったよ。‥だって、いちいち断るの大変だもんね。
「ね。ザッカさん‥ってカッコイイ? 逞しい感じ? 爽やかな感じ? 」
フミが興味津々って顔で、ナナフルの顔を覗き込む。
女子にとっては、騎士って立場もだけど‥寧ろそっちが気になるって感じ。同じ村に住んでいるんだけど、男の子と女の子は一緒に学校に行ったり、遊んだりしないから、フミはザッカのことはよく知らない。男の子は、結構家の外を走り回ってるんだけど、ザッカやザッカの仲間たちとは昔、家の近所ではなく、村はずれの山で探検ごっこして遊んでた。だから、余計に「顔も見たことがない」んだろう。
ナナフルは首を傾げて、困った様な顔で微笑む。
「もうずっと会ってないから‥」
(カッコイイか‥なんて男の自分には分からないが)背は伸びただろう。元々ナナフルとでは、頭一つ分以上大きかった。
毎日厳しい訓練をしているから、きっと筋肉もついただろう。
真っ黒に日焼けしてるかもな。
ダンクさんやイオ母さんを見る限りでは‥爽やかな感じになる要素は無いな~。
ダンクさんみたいに、がっしりとして頼れる男って感じになってるんだろうな。
‥同じ男だのに、俺は、ここでこそこそ隠れて、女の子のフリして暮らしてる‥。
家の中にいることが多いから、昔以上に色白になって、昔以上に筋肉がついていない自分が情けなくて仕方が無い。
いざという時の為にイオ母さんから護身術も教えてもらっているし、剣も幼少期からここに来るまでは習って来た‥。貴族だから、そういうの嗜みとして習ってるしね。今でも素振りを欠かせる日はない。
なのに、筋肉がつきにくい体質なのだろう。自分の腕は、掴んだら折れそうなくらい細い。
12歳にもなるのに、女子と言って誰にも不審に思われない程、‥自分は男らしさの欠片も無い。
思わず落ち込んだナナフルに、フミは「会えなくって寂しいんだな‥悪いこときいちゃったな‥」って勘繰ったんだ。
「そっか~。‥そうだよね! ごめんごめん」
慰めるように、ナナフルの肩までの髪を撫ぜながら謝った。
ナナフルの髪は、平民にはまず居ないであろう、珍しいプラチナブロンズのサラサラの髪だ。瞳も綺麗なブルートパーズの色。
フミは、両親から、「ナナフルは貴族の出で貴族の何かしらから逃げる為にここに母親と来た。訳ありで可哀想な子だから気を付けてあげてね」‥って幼い頃に聞かされたことがある。
貴族だから、ナナフルはあんなに上品で綺麗なんだな‥って納得したことを覚えている。
「‥髪、伸ばさないの? このままでも綺麗だけど、伸ばしても似合いそう。‥綺麗な髪だし」
貴族の女性は、髪を長く伸ばして、アップしている‥ってイメージがある。
きっと美麗なナナフルはそんな髪型も似合うだろう‥って思ったけど、「貴族っぽいのが嫌だからあえてこの髪の毛なのかも」って思う。
平民のザッカと結婚することによって、貴族ってしがらみを断ち切りたい‥っていうのもあるのかもな‥ってフミは思った。
「‥ザッカがこの長さが好きだって言うから‥」
控えめに、ナナフルが微笑む。
その顔は、ナナフルにとっては「複雑な表情」だったんだけど、フミにはなんだか、恥じらう乙女の様な‥可愛らしい表情に見えた。(きっとフミにとっての希望的な補正も加わっているんだろう)
「そっかそっか! いいと思うよ! 似合ってるし。ナナフルは可愛いくって美人さんだからね! そのままでも十分女らしい! きっと、大人になったら、凄い美人になるよ~」
フミは、はしゃいだ声を出した。
ナナフルが、「へ!? 」って珍しく、驚いて‥ちょっと嫌そうな顔をする。
「フミちゃんの方が可愛いよ」
思わず素で突っ込むと、
「も~厭味かな~! 」
ってフミが笑った。
‥本当にそう思う。
男だのに、12歳にもなって女の恰好をして隠れまわって‥人に迷惑かけて、皆を騙して‥一体何をしてるんだろう‥って思う。
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