この度、押しかけ女房に押し切られました。 ～押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした～

１３６．ふってわいたような幸福ってのは、あるらしい。

（ザッカの回想（ただし、これをザッカがすべて覚えているわけではない））


　初めて見た時、‥一目惚れしたんだ。
　プラチナブロンズの髪、ブルーの宝石みたいな目。
　肌が白くて、華奢で‥
　今まで見たことが無い程綺麗な子。
　ヒュージっていう‥男の子だって聞いた時は‥ショックで倒れそうになったけど、
「お前が面倒をみてあげるんだよ」
　って母さんから言われて、倒れる寸でで、持ち直した。

「当たり前だろ！　」
　俺は、母さんに叫んだ。

　‥これからは、一番の子分として、可愛がろう。
　そう思った。
　でも、色々あって‥ヒュージの母親が殺されて‥勿論、ヒュージも狙われているだろう。敵はヒュージを探すだろう‥と一瞬のうちに計算した俺の母親が‥決めたんだ。

「ああ‥、ミナが連れていた男の子は、ミナ‥母親が殺されたショックで死んだ‥っ！　ここに居るのは、私の遠縁の娘の「ナナフル」だ！　ザッカの嫁にする為に連れて来たのさ！　」

　って。
　一瞬の思い付きなんだと思う。
　ヒュージの意志なんか聞いてない。
　そんな感じだから、勿論、息子である俺の意見なんて聞く必要すら母さんにとっては感じ無かっただろう。
　でも、俺に、異論はない。
　ヒュージを守る。
　それは今までもしてきたことだけど、‥これからは嫁として、ヒュージ‥否、ナナフルを守れるって、‥不謹慎だけど‥喜んだ。

　それこそ、俺にとって、ふってわいたような幸福だった。
　俺って‥最低だ。

　そんな風に
　俺は、すんなり「ナナフルを嫁にする」って「約束」を受け入れたけど、ナナフルは‥勿論そうじゃなかった。
　展開についていけなかったってのもあるだろうが、母親が殺されたことにショックを受けていたってのが、一番大きかっただろう。
　でも、ナナフルは反論なんかしなかった。
　可哀そうに‥
　反論する気力も、他の作戦を考える余裕も‥全部失っていたんだろう。
　‥本当に‥可哀そうだ。

　でも、絶対、俺が守るから。
　その想いが強すぎて

　俺の身体に騎士紋が出たんだろう。

　父さんの言葉に乗っかる形でナナフルに「生涯の誓い」を立てたのは、冗談でもその場の流れで何となく‥でもない。正直「チャンス！　」って思ったんだ。
　‥その瞬間に、
　騎士紋が光ったんだ。
　それをナナフルが見つけるって、‥なんかもう、奇跡だとか偶然‥とかじゃない。運命だ。

　出来る。
　俺は、このままナナフルを流して流して‥
　絶対に、ナナフルを嫁にする。

　そのためには、安定した職業もいるだろうし、剣の腕とかあるに越したことは無い。
　まず、騎士になろう。

　俺は、あの時、それまでの自分では考えられない程‥「計画的に」動いていた。