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126.使いたくないけど、使えるなら使おう「#家の威光__ネームバリュー__#と金」
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「ま、売ってるなら買いたいって言ったら、来てくれる‥かな? 」
フタバが何でもないって顔で、とんでもないことを言う。
何を買いたいって、
魔薬だ。
今は引き続き、「これからどうしよう作戦会議」をしている。
「いや、来ないでしょ。自分から動かなきゃ来ないでしょ」
コリンが「まったくお貴族様は」って顔をする。
フタバが「お貴族様だよ」と、ふっと‥呆れた様な顔をわざと作って言う。
「‥来るしかないなら来るんじゃない? もしくは、行く価値があるとか、‥何故か行きたくなるとか‥例えば、ロナウで釣る‥とかね? 」
にやり、とフタバが笑う。
ロナウの吸引体質 + 来たくなる、何か(餌的な? )。
「‥ロナウにそんな能力あるかな‥あくまで戦闘の際に磁石的な働きをしてるだけだと思うんだけど‥。
それに「来たくなる何か」ってなにさ。考えつかないんだけど」
コリンがため息をつく。
全く思いつかない。
ていうか‥思い付きで荒唐無稽なこと言わないで欲しい‥。
僕らには時間が無いんだから。
って思う。
だけど、
いやいや、やる前から出来ないとかいうのは‥よくない。
考えてみるいい機会かもしれない。
と、考え直す。
悪の組織的にとって「美味しい」と思うこと‥
それ以前に、
普通の商店にとって「美味しいこと」を考える。
悪の組織とはいえ、商売人には違いない。
そう全く別物ではないだろう‥。
そういえば、そんな当たり前のことさえ、失念していた。
お金。販売経路‥大口顧客。後ろ盾。
「まずはいいお客って感じで近付くべきかな‥って思うのよ。
お役所の人間がタッチしにくくって、大きな商売が出来そうな客。
そして、立場的に、「自分がそんなものを買うことを誰かに知られたくない立場」ってのを相手方に思わせて‥相手(売り手)を優位に立たせてあげる‥」
正確には、
優位に立った気にさせてあげる。
あくまでも、主導権は握っておかないといけない‥。
フタバは、小声で思いついたことをそのまま口にする。
独り言のようで、誰かのツッコミを待っている‥っていうような口調。
「客は、ある程度「身分がある」「世間体が気になる」っていう立場じゃないといけない‥ってことだよね」
と、コリン。
ロナウが首を傾げ
「例えば、聖職者、教会の偉いさん‥あとは‥高位貴族? 」
と続ける。
そこで、にやりとフタバが笑う。
「高位貴族というより、経済界に影響力やら発言権がある、羽振りのいい貴族じゃない? 」
口元は笑っているけど、‥顔が怖い。
怒ってるんじゃない。‥何かよからぬことを企んでいる目をしている。
「もしくは‥それを狙ってる‥いま伸びて来てる‥貴族? ‥その方が、新しい事業に手を出しそうだよね?」
ふふ、っとナナフルが‥同じ様な表情で微笑み、フタバと顔を見合わせる。
「次世代のホープ的な新鋭の新事業‥まあ、老舗は新しい‥というか危険なことにそう手を出さないよね? お金になるかもしれない、だけど公には出来ないこと
‥だけど、資金がないなら問題にもならない‥。
だから、全くの新鋭で保証も資金もないところでも‥駄目ってことよね? 」
「ええ。そうですわ! ナナフル様! 」
二人で、悪だくみしてる感が凄い。
二人とも上品な美人だから‥
余計に怖い。
妖艶な美しさ、じゃなくて、貴族っぽい、上品な‥美しさだ。
「でも、そんな貴族どこに‥
まてよ‥フタバちゃんの養子先‥
‥ジェラルナン家はこの頃、伸びて来てる子爵家‥
‥もしかして」
口ごもるナナフルに、にやり、とフタバが微笑む。
「叔父様‥いえ、お義父様に協力していただくわ。
そうね‥「私の恋人が、ダメもとで新しい事業をしようと考えている」ってところかしら? 」
ころころと笑いながらフタバが言う。
「フタバちゃんが政略結婚するってこと? 」
ロナウが眉をしかめる。
いくら作戦の為とはいえ、好きでも無い人と結婚するなんて‥
って思ってるんだ。
そんなの、ダメだ‥って。
ロナウは結構友達想いなところもあるんだ。
フタバはキョトンとした顔をする。「政略結婚? ああ‥まあそうよね? 」と呟き、
「正確には、私と結婚したい、子爵である私の義父に認めてもらいたい爵位的に格下の婚約者が、藁にも縋る思いで新事業を考えてる、よ」
とロナウの「間違い」を訂正した。
「???? 」
ロナウが首を傾げる。
あと
なんだか嫌な予感がする。
魅力的な「えさ」とロナウの吸引体質‥
さっきフタバは自分の体質のことを言っていなかったか?
「婚約者って? 」
恐る恐るフタバに確認を取る。
「勿論貴方よ? ロナウ」
‥やっぱりそういう話なんですね‥。
「え! いや、‥僕は」
気のせいであってほしかった‥!
ロナウが目を逸らす。
‥巻き込まれたくない‥。
いや、君だから嫌だっていうんじゃなくって‥結婚は、ほら、好きな人とするもんだし、神聖なもんだし。
家族の結びつき‥だから、ね? 勝手に自分たちで決める‥とか良くないし。
ってか、フタバはちょっと‥。
‥でも、あからさまに嫌がるのも失礼かな‥? フタバちゃんも女の子だし‥傷つくよね??
と、苦笑いするロナウに
「何言ってるのよ、ふりよ
私だって厭よ。フリだって、叔父様に「恋人です」って紹介したいのは、本当に好きな人がいいわ」
フタバはあからさまに迷惑顔だ。
‥こっちは気をつかったのに‥!
「フタバちゃん‥」
ぶすくれた顔するロナウを一瞥してから、コリンはフタバに心配そうな視線を送る。
「フリにしてくれるんでしょ? コリン? で、その時「君とホントに結婚するのは僕だ~! 」って王子様が私を迎えに来てくれたら最高だわ! 」
フタバはコリンにやさしい笑顔を向け、最後は、アンバーをちらりと見た。
アンバーが王子様な笑顔を返す。
‥慣れたもんだ。多分、こういうの、アンバーの「条件反射」みたいなもんなんだ。
「僕って‥」
僕の意思とか人権とかそういうのは配慮されたり尊重されたりしないんでしょうか‥。
こころの中で密かに涙するロナウだった。
フタバが何でもないって顔で、とんでもないことを言う。
何を買いたいって、
魔薬だ。
今は引き続き、「これからどうしよう作戦会議」をしている。
「いや、来ないでしょ。自分から動かなきゃ来ないでしょ」
コリンが「まったくお貴族様は」って顔をする。
フタバが「お貴族様だよ」と、ふっと‥呆れた様な顔をわざと作って言う。
「‥来るしかないなら来るんじゃない? もしくは、行く価値があるとか、‥何故か行きたくなるとか‥例えば、ロナウで釣る‥とかね? 」
にやり、とフタバが笑う。
ロナウの吸引体質 + 来たくなる、何か(餌的な? )。
「‥ロナウにそんな能力あるかな‥あくまで戦闘の際に磁石的な働きをしてるだけだと思うんだけど‥。
それに「来たくなる何か」ってなにさ。考えつかないんだけど」
コリンがため息をつく。
全く思いつかない。
ていうか‥思い付きで荒唐無稽なこと言わないで欲しい‥。
僕らには時間が無いんだから。
って思う。
だけど、
いやいや、やる前から出来ないとかいうのは‥よくない。
考えてみるいい機会かもしれない。
と、考え直す。
悪の組織的にとって「美味しい」と思うこと‥
それ以前に、
普通の商店にとって「美味しいこと」を考える。
悪の組織とはいえ、商売人には違いない。
そう全く別物ではないだろう‥。
そういえば、そんな当たり前のことさえ、失念していた。
お金。販売経路‥大口顧客。後ろ盾。
「まずはいいお客って感じで近付くべきかな‥って思うのよ。
お役所の人間がタッチしにくくって、大きな商売が出来そうな客。
そして、立場的に、「自分がそんなものを買うことを誰かに知られたくない立場」ってのを相手方に思わせて‥相手(売り手)を優位に立たせてあげる‥」
正確には、
優位に立った気にさせてあげる。
あくまでも、主導権は握っておかないといけない‥。
フタバは、小声で思いついたことをそのまま口にする。
独り言のようで、誰かのツッコミを待っている‥っていうような口調。
「客は、ある程度「身分がある」「世間体が気になる」っていう立場じゃないといけない‥ってことだよね」
と、コリン。
ロナウが首を傾げ
「例えば、聖職者、教会の偉いさん‥あとは‥高位貴族? 」
と続ける。
そこで、にやりとフタバが笑う。
「高位貴族というより、経済界に影響力やら発言権がある、羽振りのいい貴族じゃない? 」
口元は笑っているけど、‥顔が怖い。
怒ってるんじゃない。‥何かよからぬことを企んでいる目をしている。
「もしくは‥それを狙ってる‥いま伸びて来てる‥貴族? ‥その方が、新しい事業に手を出しそうだよね?」
ふふ、っとナナフルが‥同じ様な表情で微笑み、フタバと顔を見合わせる。
「次世代のホープ的な新鋭の新事業‥まあ、老舗は新しい‥というか危険なことにそう手を出さないよね? お金になるかもしれない、だけど公には出来ないこと
‥だけど、資金がないなら問題にもならない‥。
だから、全くの新鋭で保証も資金もないところでも‥駄目ってことよね? 」
「ええ。そうですわ! ナナフル様! 」
二人で、悪だくみしてる感が凄い。
二人とも上品な美人だから‥
余計に怖い。
妖艶な美しさ、じゃなくて、貴族っぽい、上品な‥美しさだ。
「でも、そんな貴族どこに‥
まてよ‥フタバちゃんの養子先‥
‥ジェラルナン家はこの頃、伸びて来てる子爵家‥
‥もしかして」
口ごもるナナフルに、にやり、とフタバが微笑む。
「叔父様‥いえ、お義父様に協力していただくわ。
そうね‥「私の恋人が、ダメもとで新しい事業をしようと考えている」ってところかしら? 」
ころころと笑いながらフタバが言う。
「フタバちゃんが政略結婚するってこと? 」
ロナウが眉をしかめる。
いくら作戦の為とはいえ、好きでも無い人と結婚するなんて‥
って思ってるんだ。
そんなの、ダメだ‥って。
ロナウは結構友達想いなところもあるんだ。
フタバはキョトンとした顔をする。「政略結婚? ああ‥まあそうよね? 」と呟き、
「正確には、私と結婚したい、子爵である私の義父に認めてもらいたい爵位的に格下の婚約者が、藁にも縋る思いで新事業を考えてる、よ」
とロナウの「間違い」を訂正した。
「???? 」
ロナウが首を傾げる。
あと
なんだか嫌な予感がする。
魅力的な「えさ」とロナウの吸引体質‥
さっきフタバは自分の体質のことを言っていなかったか?
「婚約者って? 」
恐る恐るフタバに確認を取る。
「勿論貴方よ? ロナウ」
‥やっぱりそういう話なんですね‥。
「え! いや、‥僕は」
気のせいであってほしかった‥!
ロナウが目を逸らす。
‥巻き込まれたくない‥。
いや、君だから嫌だっていうんじゃなくって‥結婚は、ほら、好きな人とするもんだし、神聖なもんだし。
家族の結びつき‥だから、ね? 勝手に自分たちで決める‥とか良くないし。
ってか、フタバはちょっと‥。
‥でも、あからさまに嫌がるのも失礼かな‥? フタバちゃんも女の子だし‥傷つくよね??
と、苦笑いするロナウに
「何言ってるのよ、ふりよ
私だって厭よ。フリだって、叔父様に「恋人です」って紹介したいのは、本当に好きな人がいいわ」
フタバはあからさまに迷惑顔だ。
‥こっちは気をつかったのに‥!
「フタバちゃん‥」
ぶすくれた顔するロナウを一瞥してから、コリンはフタバに心配そうな視線を送る。
「フリにしてくれるんでしょ? コリン? で、その時「君とホントに結婚するのは僕だ~! 」って王子様が私を迎えに来てくれたら最高だわ! 」
フタバはコリンにやさしい笑顔を向け、最後は、アンバーをちらりと見た。
アンバーが王子様な笑顔を返す。
‥慣れたもんだ。多分、こういうの、アンバーの「条件反射」みたいなもんなんだ。
「僕って‥」
僕の意思とか人権とかそういうのは配慮されたり尊重されたりしないんでしょうか‥。
こころの中で密かに涙するロナウだった。
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