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116.共通点~フタバの回想
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ロナウに向けるコリンの瞳。
‥確かに、冷たいんだけど、これより嫌な視線を私は知っている。
どうでもいい、一人で何とかしてくれ。
私の‥私たちの手を煩わさないでくれ。
お前のことで‥自分の時間を使うのは嫌だ、
表情は笑っていても、
目は
そう語っている。
そういう視線。
彼の「善良な」人は「善良」故に、「自分の子供を等しく愛さないといけない」と思っていた。だけど、明朗活発で「分かりやすい」兄たちと比べ、私は余りに彼にとって分かりにく過ぎた。
無表情で口下手。
兄たちと喧嘩しても「嫌だ」と言って泣いて逃げ回ったりせず、「それは正しくない」って理路整然とした「正論」で反論した。
5歳の子供がだ。
兄たちにしてみれば、年の離れた妹が可愛くってちょっかい出しているに過ぎない。‥そんな微笑ましい子供らしい兄たちに比べ、妹の「かわいくなさ」といったら‥。
武人で脳筋な父親にしても、兄弟同士の子供の喧嘩なら「悔しかったら強くなれ! 」っていえばよかった。
その喧嘩に私が混じって、私が泣いているなら「女の子を虐めるのは良くない」「女の子には優しくしないといけない」って兄たちに教えられた。
だけど、私は泣かなかった。殴って来た(っていっても、勿論スキンシップ程度の軽いやつだ)兄に対して、「その暴力がいかに不当で正しくないか」ということを諭した。
だから
‥父親はそんな喧嘩に、何も言えず、ただ困った様な顔で立ち尽くすことしか出来なかった。
そんなことが繰り返されるうちに、父だけでなく、兄たちからも煙たがられていくのが分かった。
‥勿論彼の善良な父親は、口でそんなことを言わない。態度でも示さない。それどころか、「そういう風に‥娘のことを疎ましく思ってしまう自分」を反省したり、思い悩んだりしていた。
そして、次第に娘を避けるようになった。
娘に話しかけられれば、笑顔で答える。会えば挨拶もするし「勉強の様子はどうだ? 」なんて気遣いもする。
だけど、‥会ってしまった‥みたいなのが一瞬表情に出る。そして、一瞬でそんな自分に反省する。
そんな風だから、娘に笑いかける彼の目は、何時も困っていた。
そして、それは私に伝わり、兄たちに伝わり、‥母にも伝わる。
娘が、善良な夫を煩わせている、‥苦しめている。
フタバの母・ナツミにとっては許されない事だった。
ナツミは、子供たちよりも、自分の夫の事が愛していたから、否、自分の夫に嫌われたくない‥自分を否定されたくない‥と思っていたから。
ナツミは実家では、何時も褒められていた。勉強も、マナーも家庭教師から褒められないことは無かった。そんな自分が否定されるなんて‥許されない事だった。
フタバと同じ、銀色の髪にアクアマリン‥宝石の様な薄い青い瞳をもつ、フタバによく似た、聡明で美しい婦人。
ナツミ・オーエンフィールド・ジェラルナン
これが結婚前の母親の名前だ。
因みに、オーエンフィールドは領土の名前だ。
オーエンフィールド領を治めるジェラルナン家
長子として産まれた彼女は、将来、家を継ぎ、領土を治める為の努力を怠らなかった。算術に統計学、統治学
だけど、女の当主を良しとしない一族の反対にあい、後継に‥時期領主に選ばれたのは、弟だった。
自分よりも、勉強で劣っていた弟に。
彼は優しい子だったが、領主として、威厳にかけていた。
優しさは、他人に付け入られる隙を産むかもしれない。
自分ならしっかりと領主をやれただろう‥。
だけど、それは叶わない。そして、そんな苦しみや悔しさやを表情に出すことは、彼女にとって屈辱だった。
自分は自分の出来ることを完璧にやろう。
彼女は一瞬で自分の心に言い聞かせた。
そして、一族が決めたナツミの嫁ぎ先がベネット家だった。
ベネット家当主である夫は、明朗快活‥まあ、一言で言えば明るく、脳筋で単純な男だった。
どちらかというと、書類仕事に向いているとは言い難いタイプであったが、それは自分がカバーすれば済む、寧ろ自分の役割があることが嬉しい。
ナツミはやりがいと居場所を彼の元に見つけた。
そして生まれたのが、性格、外見とも彼にそっくりな二人の息子、そしてフタバだった。息子たちは2つ違い、フタバは彼らから4年後に生まれた。
ナツミにとって兄弟を産んだことは誇らしかった。
兄弟が揃って父親に可愛がられていたからだ。ベネット家の親戚も「将来は安泰だ」といって喜んだ。息子が認められていることは、そのまま自分の評価につながった。
‥兄弟のことを母親として愛していたかと言われると‥どうなのかなと(当時の)フタバは思ったもんだった。
ところで、ナツミの生家、ジェラルナン家は、ベネット家より資産も領土も大きな家だったらしい。
現当主(ナツミの弟)に子供が出来ず、後継者不在であることを危惧したジェラルナン家前当主(つまりナツミの父)は、唯一の血縁であるナツミ(ナツミは二人兄弟なんだ)の夫に子供の一人をジェラルナンの養子にと、要請した。
その代わりに、新事業の資金を援助するから、と。
そして、選ばれたのは、フタバだった。
二人の兄ではなく、唯一女のフタバだったんだ。
当然ナツミの父は激怒したが、ナツミは「フタバは一番、自分に似ているし、一番頭がいい」と自分の父親を説得した。
母親似の麗美で精巧な‥人形の様な容姿と、知性的な表情‥。
自分に似たこの子を自分は一番大事に思っている。だから、自分の大事な実家の養子にしたいんだ。と、ナツミは父親に力説した。
‥上手いこと言うわ‥。頭がいいっていうのはホントだよね。
その時のことを思い出し、フタバは心の中で毒づいた。
当時6歳だったフタバは‥歳不相応に‥「利口」だった。
歳不相応に落ち着いていたし、表情も乏しく、
ぶっちゃけ、「可愛くない子供」だった。
だから、分かっていた。
自分だけが兄妹のなかで浮いていることを、‥否、家族の中で浮いていることを。
特に‥脳筋な父親が自分との距離を測りかねているのは気付いていた。
母親にとっては、誰を養子に出してもきっと変わらなかった。だけど、父親にとって一番「イラナイ」子供を養子に出してしまった方がいい。
‥そう思ったんだろう。
フタバが正式に養子としてジェラルナンに入るのは、10歳。
あと四年ほど弟夫婦に子供が出来るのを待とう‥という感じだったのだが、弟は「子供なんてせっつかれて出来るもんじゃない。出来れば早く養子に来て欲しい。家に慣れて欲しい」という考えだったし、彼の妻もフタバに優しかった。
フタバは、月に何度かジェラルナンの家に泊まりに行くようになった。
ジェラルナン家に慣れる為だ。
将来、いい婿養子を貰ってジェラルナン家を存続させるため‥
だけど、叔父は
「そんな堅苦しく考えないでいい。家を継ぐ‥いい婿を貰ってこの家を存続させる‥とかも考えないでいい。幸い私は‥お見合いだったけど‥素晴らしい女性に会えて結婚出来て、今は幸せだ。
だからフタバにも幸せになって欲しい」
っていつも言ってくれた。
叔母も優しかった。
政略結婚でも自分は構わない。
フタバはそう思ってたけど、‥そんなこと言ったら怒られそうなくらい‥二人は優しかったし、フタバを愛してくれた。
家柄ではなく、いいお婿さんを連れてきて、賢い子供を産んで二人を喜ばせようって誓った。
フタバが7歳になっても二人は子宝に恵まれず、フタバは計画より早めに二人の養子になった。
ちなみに、名前‥ファミリーネームは、正式に家督を継ぐまでは、実家のベネット家のファミリーネームのまま‥ということにした。誰が決めたのかは‥よく覚えていない。
だから、今私の名前は、
フタバ・オーエンフィールド・ジェラルナン
ではなく、
フタバ・ジェラルナン・ベネット
だ。
因みに、ミドルネームがジェラルナンになっているのは、兄妹でも私だけで、兄たちのミドルネームはベネット家の領土の「ガラム」だ。
(話を戻そう)
結局、実父との仲も微妙なままで‥
別れの日、
彼がどこか、ほっとしていた表情をしたのを(僻み心からかもしれないが)感じ取った。
素晴らしい跡取りを‥、だけどまずは、自分自身が誰よりも賢く、誰よりも立派な子供になって、叔父さんに恩返しがしたい。
立派な娘さんがいて安心ですねって言われるように頑張ろう。
そう思ったんだ。
確かに、教会に入るまでは無双だった。
教会で、コリンに会うまでは‥
一部の同級生たちからの酷い対応を、まるで気にするでもない、無表情で‥だけど、負けず嫌いの塊みたいな少年。
少女みたいな見た目とは裏腹に、性格は短気でやや凶暴。成績はいいくせに、短絡的で、脳筋で、力任せ‥思い付きで行動する。
‥脳筋は実家の父や兄を思い出すからキライだし、自分を見てるみたいで腹が立つ無表情も、嫌だった。(同族嫌悪ってやつだね)
だけど、この少年と自分は似ている。
誰にも興味なさそうな顔をしながら‥だけど、誰かに認めて貰いたくて歯を食いしばって頑張っている。
与えられてる愛情を素直に受け止められないくせに、真の愛情ってやつに理想を持ってて、無いものばっかり強請って、‥物欲しそうにしている。
つまり、あれだ。自分に向けられている愛情は「所詮、顔だけなんでしょ」って認められないのに、無償の愛やらに憧れて‥理想を持ってて、「そういうのが自分が真に欲しいものなんだ」って欲しがってる‥っていうね。
マザコンの寂しがりって奴だ。
‥それは、私も変わらない。(自覚はある)
母親の愛なんてどうでもいい‥って言いながら、自分が一番気にして‥引きずってるっていうね。
絶対こいつとだけは結婚したくないけど、‥仲良くなれたら‥いいな‥と思ったり。
困ってるときは、‥似た者同士‥助けてあげたい。
って思ったり‥。
そして、共同体だって分かって、
これで大丈夫だ。
助けてあげられると思ったのに!
‥コリンは、いつも自分で何とかする。
それどころか、通信を‥どうやって切ったのか、切ったりして‥。
‥そんなコリンが自分たちに「助けて欲しい」っていうんだから、相当なんだろう。
コリンを助けたら、自分の気が済むから‥
コリンを助けようって思っている。
‥確かに、冷たいんだけど、これより嫌な視線を私は知っている。
どうでもいい、一人で何とかしてくれ。
私の‥私たちの手を煩わさないでくれ。
お前のことで‥自分の時間を使うのは嫌だ、
表情は笑っていても、
目は
そう語っている。
そういう視線。
彼の「善良な」人は「善良」故に、「自分の子供を等しく愛さないといけない」と思っていた。だけど、明朗活発で「分かりやすい」兄たちと比べ、私は余りに彼にとって分かりにく過ぎた。
無表情で口下手。
兄たちと喧嘩しても「嫌だ」と言って泣いて逃げ回ったりせず、「それは正しくない」って理路整然とした「正論」で反論した。
5歳の子供がだ。
兄たちにしてみれば、年の離れた妹が可愛くってちょっかい出しているに過ぎない。‥そんな微笑ましい子供らしい兄たちに比べ、妹の「かわいくなさ」といったら‥。
武人で脳筋な父親にしても、兄弟同士の子供の喧嘩なら「悔しかったら強くなれ! 」っていえばよかった。
その喧嘩に私が混じって、私が泣いているなら「女の子を虐めるのは良くない」「女の子には優しくしないといけない」って兄たちに教えられた。
だけど、私は泣かなかった。殴って来た(っていっても、勿論スキンシップ程度の軽いやつだ)兄に対して、「その暴力がいかに不当で正しくないか」ということを諭した。
だから
‥父親はそんな喧嘩に、何も言えず、ただ困った様な顔で立ち尽くすことしか出来なかった。
そんなことが繰り返されるうちに、父だけでなく、兄たちからも煙たがられていくのが分かった。
‥勿論彼の善良な父親は、口でそんなことを言わない。態度でも示さない。それどころか、「そういう風に‥娘のことを疎ましく思ってしまう自分」を反省したり、思い悩んだりしていた。
そして、次第に娘を避けるようになった。
娘に話しかけられれば、笑顔で答える。会えば挨拶もするし「勉強の様子はどうだ? 」なんて気遣いもする。
だけど、‥会ってしまった‥みたいなのが一瞬表情に出る。そして、一瞬でそんな自分に反省する。
そんな風だから、娘に笑いかける彼の目は、何時も困っていた。
そして、それは私に伝わり、兄たちに伝わり、‥母にも伝わる。
娘が、善良な夫を煩わせている、‥苦しめている。
フタバの母・ナツミにとっては許されない事だった。
ナツミは、子供たちよりも、自分の夫の事が愛していたから、否、自分の夫に嫌われたくない‥自分を否定されたくない‥と思っていたから。
ナツミは実家では、何時も褒められていた。勉強も、マナーも家庭教師から褒められないことは無かった。そんな自分が否定されるなんて‥許されない事だった。
フタバと同じ、銀色の髪にアクアマリン‥宝石の様な薄い青い瞳をもつ、フタバによく似た、聡明で美しい婦人。
ナツミ・オーエンフィールド・ジェラルナン
これが結婚前の母親の名前だ。
因みに、オーエンフィールドは領土の名前だ。
オーエンフィールド領を治めるジェラルナン家
長子として産まれた彼女は、将来、家を継ぎ、領土を治める為の努力を怠らなかった。算術に統計学、統治学
だけど、女の当主を良しとしない一族の反対にあい、後継に‥時期領主に選ばれたのは、弟だった。
自分よりも、勉強で劣っていた弟に。
彼は優しい子だったが、領主として、威厳にかけていた。
優しさは、他人に付け入られる隙を産むかもしれない。
自分ならしっかりと領主をやれただろう‥。
だけど、それは叶わない。そして、そんな苦しみや悔しさやを表情に出すことは、彼女にとって屈辱だった。
自分は自分の出来ることを完璧にやろう。
彼女は一瞬で自分の心に言い聞かせた。
そして、一族が決めたナツミの嫁ぎ先がベネット家だった。
ベネット家当主である夫は、明朗快活‥まあ、一言で言えば明るく、脳筋で単純な男だった。
どちらかというと、書類仕事に向いているとは言い難いタイプであったが、それは自分がカバーすれば済む、寧ろ自分の役割があることが嬉しい。
ナツミはやりがいと居場所を彼の元に見つけた。
そして生まれたのが、性格、外見とも彼にそっくりな二人の息子、そしてフタバだった。息子たちは2つ違い、フタバは彼らから4年後に生まれた。
ナツミにとって兄弟を産んだことは誇らしかった。
兄弟が揃って父親に可愛がられていたからだ。ベネット家の親戚も「将来は安泰だ」といって喜んだ。息子が認められていることは、そのまま自分の評価につながった。
‥兄弟のことを母親として愛していたかと言われると‥どうなのかなと(当時の)フタバは思ったもんだった。
ところで、ナツミの生家、ジェラルナン家は、ベネット家より資産も領土も大きな家だったらしい。
現当主(ナツミの弟)に子供が出来ず、後継者不在であることを危惧したジェラルナン家前当主(つまりナツミの父)は、唯一の血縁であるナツミ(ナツミは二人兄弟なんだ)の夫に子供の一人をジェラルナンの養子にと、要請した。
その代わりに、新事業の資金を援助するから、と。
そして、選ばれたのは、フタバだった。
二人の兄ではなく、唯一女のフタバだったんだ。
当然ナツミの父は激怒したが、ナツミは「フタバは一番、自分に似ているし、一番頭がいい」と自分の父親を説得した。
母親似の麗美で精巧な‥人形の様な容姿と、知性的な表情‥。
自分に似たこの子を自分は一番大事に思っている。だから、自分の大事な実家の養子にしたいんだ。と、ナツミは父親に力説した。
‥上手いこと言うわ‥。頭がいいっていうのはホントだよね。
その時のことを思い出し、フタバは心の中で毒づいた。
当時6歳だったフタバは‥歳不相応に‥「利口」だった。
歳不相応に落ち着いていたし、表情も乏しく、
ぶっちゃけ、「可愛くない子供」だった。
だから、分かっていた。
自分だけが兄妹のなかで浮いていることを、‥否、家族の中で浮いていることを。
特に‥脳筋な父親が自分との距離を測りかねているのは気付いていた。
母親にとっては、誰を養子に出してもきっと変わらなかった。だけど、父親にとって一番「イラナイ」子供を養子に出してしまった方がいい。
‥そう思ったんだろう。
フタバが正式に養子としてジェラルナンに入るのは、10歳。
あと四年ほど弟夫婦に子供が出来るのを待とう‥という感じだったのだが、弟は「子供なんてせっつかれて出来るもんじゃない。出来れば早く養子に来て欲しい。家に慣れて欲しい」という考えだったし、彼の妻もフタバに優しかった。
フタバは、月に何度かジェラルナンの家に泊まりに行くようになった。
ジェラルナン家に慣れる為だ。
将来、いい婿養子を貰ってジェラルナン家を存続させるため‥
だけど、叔父は
「そんな堅苦しく考えないでいい。家を継ぐ‥いい婿を貰ってこの家を存続させる‥とかも考えないでいい。幸い私は‥お見合いだったけど‥素晴らしい女性に会えて結婚出来て、今は幸せだ。
だからフタバにも幸せになって欲しい」
っていつも言ってくれた。
叔母も優しかった。
政略結婚でも自分は構わない。
フタバはそう思ってたけど、‥そんなこと言ったら怒られそうなくらい‥二人は優しかったし、フタバを愛してくれた。
家柄ではなく、いいお婿さんを連れてきて、賢い子供を産んで二人を喜ばせようって誓った。
フタバが7歳になっても二人は子宝に恵まれず、フタバは計画より早めに二人の養子になった。
ちなみに、名前‥ファミリーネームは、正式に家督を継ぐまでは、実家のベネット家のファミリーネームのまま‥ということにした。誰が決めたのかは‥よく覚えていない。
だから、今私の名前は、
フタバ・オーエンフィールド・ジェラルナン
ではなく、
フタバ・ジェラルナン・ベネット
だ。
因みに、ミドルネームがジェラルナンになっているのは、兄妹でも私だけで、兄たちのミドルネームはベネット家の領土の「ガラム」だ。
(話を戻そう)
結局、実父との仲も微妙なままで‥
別れの日、
彼がどこか、ほっとしていた表情をしたのを(僻み心からかもしれないが)感じ取った。
素晴らしい跡取りを‥、だけどまずは、自分自身が誰よりも賢く、誰よりも立派な子供になって、叔父さんに恩返しがしたい。
立派な娘さんがいて安心ですねって言われるように頑張ろう。
そう思ったんだ。
確かに、教会に入るまでは無双だった。
教会で、コリンに会うまでは‥
一部の同級生たちからの酷い対応を、まるで気にするでもない、無表情で‥だけど、負けず嫌いの塊みたいな少年。
少女みたいな見た目とは裏腹に、性格は短気でやや凶暴。成績はいいくせに、短絡的で、脳筋で、力任せ‥思い付きで行動する。
‥脳筋は実家の父や兄を思い出すからキライだし、自分を見てるみたいで腹が立つ無表情も、嫌だった。(同族嫌悪ってやつだね)
だけど、この少年と自分は似ている。
誰にも興味なさそうな顔をしながら‥だけど、誰かに認めて貰いたくて歯を食いしばって頑張っている。
与えられてる愛情を素直に受け止められないくせに、真の愛情ってやつに理想を持ってて、無いものばっかり強請って、‥物欲しそうにしている。
つまり、あれだ。自分に向けられている愛情は「所詮、顔だけなんでしょ」って認められないのに、無償の愛やらに憧れて‥理想を持ってて、「そういうのが自分が真に欲しいものなんだ」って欲しがってる‥っていうね。
マザコンの寂しがりって奴だ。
‥それは、私も変わらない。(自覚はある)
母親の愛なんてどうでもいい‥って言いながら、自分が一番気にして‥引きずってるっていうね。
絶対こいつとだけは結婚したくないけど、‥仲良くなれたら‥いいな‥と思ったり。
困ってるときは、‥似た者同士‥助けてあげたい。
って思ったり‥。
そして、共同体だって分かって、
これで大丈夫だ。
助けてあげられると思ったのに!
‥コリンは、いつも自分で何とかする。
それどころか、通信を‥どうやって切ったのか、切ったりして‥。
‥そんなコリンが自分たちに「助けて欲しい」っていうんだから、相当なんだろう。
コリンを助けたら、自分の気が済むから‥
コリンを助けようって思っている。
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