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107.一時休戦の為、コリンたちは真面目に目の前の問題と向き合うことにした。
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悪な奴らの構成が見えて来た。
実行犯ってか、実際に働くのは、「何も詮索しない」カネもらったら働く労働者。
ブレインってか運営は、スカウトして来たっていうか、洗脳して来たエリート。
だけど、自分たちの手足として働く‥労働者を使う幹部の働きをするのは、子飼いの‥それこそ、ホントに子供の時代から育てた‥魔術士と、魔薬で操った魔術士だ。
魔術士には権力は与えるけど、考えたりするのは、エリート部隊って感じなのかな。エリート部隊にも魔術士は当たり前だけど混じってるんだけど(コリンの教会仲間とかね)「魔術士としての意見‥」を取り入れる為にスカウトしたんであって、魔術を使わせたり、表にだす気はないみたいだ。
‥多分足がつくから。
学校に通わせてくれる様な親兄弟がいる。
表の世界に友達も多いかもしれない。
そして、使う魔術が「折り目正しい」魔術。
確認したわけではないけど、多分こんな感じだろう。
‥僕はそう思う。
コリンは言った。
「仲間のこと‥助けたい‥って思うよね? 」
シークが心配そうに聞いたら、コリンはあっさり首を振った。
「学校の元仲間のことですか?
それは‥、思わないです。
こういうのは、騙されてる‥とかじゃないと思うから‥。‥僕の場合みたいにも‥皆がみんな信者になってるわけじゃない。
所謂、催眠術やら魔薬の類で無理矢理言うことをきかされているわけではないんです。
‥それは、その人の意志だから。僕がどうこう言うことではないと思います。
それに‥
助けたいっていう程、知り合いじゃないっていうか‥」
一番最後のが本心だろうな。
アンバーとシークは苦笑いした。
魔薬。
その言葉を、聞いて、‥言ったコリン本人も、
はっとした。
魔薬について、あれから話し合ったことがある。
一つ目は、魔薬の性質。
どうやら奴らの魔薬は、「いい気分になる」嗜好品的な魔薬じゃないらしい。
精神操作の為だけの魔薬。
飲ませる(吸い込まされる? )人間は、初めから軽く洗脳されてる状態で‥それを摂取することを拒否するって考えは初めからないようだ。
だから、吸った時の気持ちよさが忘れられず‥とかじゃなくって、中毒性でずっと吸ってるって感じになるのかな。
洗脳って言って、そんな大袈裟なもんじゃない。
‥子供の頃からずっと言い聞かせるのとかって、刷り込み‥っていうか、完璧に洗脳だよね。
洗脳するのは、多分その部分だけ、あとは‥
意志とか関係なく、それこそ手足として「言われるがまま動いてる」って感じ‥なのかな。
そんな魔薬が、秘密裏につくられ、コツコツ水面下で中毒者が増やされ、それに並行して知能部隊のスカウトを行う‥。
‥考えれば考える程胸糞悪いね。
二つ目は、魔薬の持続力。
「だけど‥
洗脳って‥そんなに持つもんかね? 」
そう聞いたのは、ザッカさんだった。
それにはシークさんも頷いて同意してたけど、
僕は‥それ位の事は計算済みなんだろうなって思ったよ。
「持たせるんですよ、持つか持たないか‥じゃなくて」
アンバーたちの所にも、常に魔術士‥魔術士ジュニアとでも言おうか‥の生活を「見守って(監視して)」いた奴がいたって言ってたよね。
たしか、
「口利き屋」
っていってなかったっけ? 悪の仕事を斡旋していく気のいい兄ちゃん。
彼が監視屋。
‥多分ね、彼らはただのトリガーなんだと思う。
疑いやら、恨みやら
負の感情の種は、誰のこころにもある。
ましてや、親を殺された子供のこころには疑いようもなく‥あるだろう。
そういうのを、ちょっと後押しするの。
「復讐しちゃえ‥」
って
「するべきだ」
って。
ちっさな力でいいんだ。
ほんの小さな雪玉を坂道に転がすようなものだ。
大事なのは、寧ろ坂道の用意の方ね。
坂道を自分の方で用意しておいて、子供に、坂道の上でちっさな雪玉を手渡すの。
「転がしてごらん」
って。
ちっさな雪玉って、坂道を転がしたら、一気に大きな雪玉になるよね。感情だって同じだ。
例えば、「疑い」って、ほんの小さな種があったら、すぐににょきにょき成長するよね。
‥あれが不思議で、「嬉しい(正の感情)」の種より、「憎い・悔しい(負の感情)」の種の方が育ちやすいよね。
多分‥そういうのだ。
きっかけ‥声かけで、負の感情の種を芽吹かせる。
そしたら、‥口利き屋が見守っている中で、後は自分が負の感情を育てる。‥増幅させる。
増幅してたとしも、やがては、正気に戻ったり、「まあもういいか‥」って許したりすることもあるだろう。
ずっと怒ってばっかりいる人間もいないし、ずっと笑ってる人間もいない。
一緒に住んでる人間への配慮? 人間としての常識?
そうじゃない。
‥単にネタが続かないからだ。
飽きるよね。普通に「自分の持ちネタ」に。「慣れる」っていうのかな?
とにかく、同じ感情を持ち続けることは「普通は」出来ない。
ずっと同じ気持ち‥って、それこそ、呪いだよ。
魔薬はそういうのを持続させる‥肥料的なものなんだと思うんだ。
監視役は、肥料が切れてないか、‥ちゃんと、悪の芽が育ってるかを監視してるんだ。
「きっと、‥正常だったら、辛いよ。出口がない恨みにとらわれて、それを忘れることも許されず、ずっと恨み続ける‥
忘れることや、恨みを晴らさないことに自己嫌悪を感じたりするかもしれない‥」
そして、親の仇を無事に取ったら、
今度は、殺人を犯したってことで、また一生悩み続ける。
普通の奴なら、だ。
だけど、麻薬と洗脳のせいで、色々とそういう常識から麻痺した人間になってしまった子飼いの魔術士ジュニアは、「仕方がないか~」あいつが悪いんだし、殺しちゃったなあ~。一人殺しても二人殺しても同じか~。ってなる。
そっちの方が、楽だから。
人のせいにして、悪人なんだけど‥「言うこときいてれば守ってくれる」人に守られて、言うこときいてる方が楽だから。
あがいて‥苦しいまま生きるのは苦しい。
三つ目は、「エリート層はなぜ、魔薬も使っていないのに、彼らの仲間になったのか」だ。
「操られてる‥ってのには、変わりはないですけど、魔薬をつかったら、「言う通り動く人形になる」恐れが多少なりともあったんでしょうね。エリート層は、知識やアイデアなんかを出す‥所謂ブレインだから、魔薬を使って、万の一つでも‥ダメにしちゃうわけにはいかなかった」
エリートを操るのは簡単、ってアンバーたちは認識していた。
理想と現実の違いに苦しんで、努力して、でも、理想通りにはならない。そんな現実に焦燥感や幻滅を感じている。‥満足していない。
その傾向は、エリート程多い。
だから、そこをつつけばいいんだって。
弱ったところに寄り添ってやれば「この人は自分の事を分かってくれる」ってなる‥って。
それどころか、自分の理想は本当に努力する程の価値のあるものだろうか? って不安にさせて、自分が考えつかない遥かに大きな「理想」を見せられたら‥「自分が目指すべき道はこれだ‥」と傾倒していく。
傾倒すれば、今度は「向上心を持つべきだ」「努力しないと、目的が達成できないぞ」と焦燥感を募らせるetc.
常に誰かに追い抜かれる恐怖‥。他の誰かに嫌がらせをうけるかも‥って被害妄想。
妥協がヘタな「不器用な」エリートが一番いいカモだって言ってた。
僕は‥エリートじゃないけど、そういう傾向にある。
コリンは苦笑いした。
‥教会で学んでいる人間は、少なからずそういう傾向があったものは多かった気がするって。
やっぱり、教会で学んでいるってことが自分の中で、誇りになってる‥みたいなところはあったんだろうね。
地元では神童って呼ばれてたって子供も‥
だけど、ここでは、自分は一番になれない。
悔しい、自分がもどかしい。‥他人が憎い。
理想と現実の理想ギャップ‥かあ‥。
僕だって、あの時は苦しかった。‥だけど、僕は、「自分自身に対して」他の人たちより、関心がなかった。
皆より、意志が強かったとは思わない。
皆と同じように傷ついて、疲れ果てて‥皆が救いを教会長に求めたのとは違って‥もっと自分の殻にこもった。そして、自衛の為に、自動攻撃って手段を取った。
自分に対する攻撃‥被害妄想が‥皆みたいに、単なる思い込みじゃなくって、僕にとっては、リアルだったからだ。
‥思い込みや自意識過剰じゃなくって、
普通に物理的に攻撃を受けて来たからだ。
ああ、
でも、逃げて、籠って‥
それでも、誓約士になろうって頑張ってこれたのは、家族を見返したいって意志が芯にあったからだ。
復讐が芯にあった、魔術士ジュニアとなんら変わらない‥のかもしれない。
立場が変われば、僕だって、ああなってた‥んだろう。
「奴らが、森でこそこそと何をしているかは分かった。‥魔薬の製造だ。
そして、奴らの人員確保の方法もだ。下級労働者と、エリート。
‥だけど‥奴らの最終目的はなんだろう? 」
話をまとめたザッカが首を傾げる。
「巨万の富を得ること? 」
は、アンバー。
「国家転覆? 」
は、ナナフル。
その意見にシークとザッカが頷いている。
「‥愉快犯? 」
コリンが可能性は薄いけど、無いとは言い切れない「可能性」を捻る出す。
奴らの目的が、金だろうが、
国家権力だろうが、
はたまた、そのどちらもだろうが‥
実を言うと、コリンたちには興味はない。
だけど‥彼らのことを何よりも気に喰わないのは、その方法が間違っていることだ。
それよりなにより‥
彼らの私利私欲に巻き込まれているのが、金も力もなく、(今回のことで)何のメリットもない市井の人々‥庶民(日雇い労働者)で、
何よりも‥(アンバーたちのような)未来ある若者だってことが‥
許せないってことだ。
「じゃあ、ペンは剣よりも強しを実感していただくってことで‥」
ほの暗い笑いをナナフルが浮かべる。
それには、異論がない四人だった。
実行犯ってか、実際に働くのは、「何も詮索しない」カネもらったら働く労働者。
ブレインってか運営は、スカウトして来たっていうか、洗脳して来たエリート。
だけど、自分たちの手足として働く‥労働者を使う幹部の働きをするのは、子飼いの‥それこそ、ホントに子供の時代から育てた‥魔術士と、魔薬で操った魔術士だ。
魔術士には権力は与えるけど、考えたりするのは、エリート部隊って感じなのかな。エリート部隊にも魔術士は当たり前だけど混じってるんだけど(コリンの教会仲間とかね)「魔術士としての意見‥」を取り入れる為にスカウトしたんであって、魔術を使わせたり、表にだす気はないみたいだ。
‥多分足がつくから。
学校に通わせてくれる様な親兄弟がいる。
表の世界に友達も多いかもしれない。
そして、使う魔術が「折り目正しい」魔術。
確認したわけではないけど、多分こんな感じだろう。
‥僕はそう思う。
コリンは言った。
「仲間のこと‥助けたい‥って思うよね? 」
シークが心配そうに聞いたら、コリンはあっさり首を振った。
「学校の元仲間のことですか?
それは‥、思わないです。
こういうのは、騙されてる‥とかじゃないと思うから‥。‥僕の場合みたいにも‥皆がみんな信者になってるわけじゃない。
所謂、催眠術やら魔薬の類で無理矢理言うことをきかされているわけではないんです。
‥それは、その人の意志だから。僕がどうこう言うことではないと思います。
それに‥
助けたいっていう程、知り合いじゃないっていうか‥」
一番最後のが本心だろうな。
アンバーとシークは苦笑いした。
魔薬。
その言葉を、聞いて、‥言ったコリン本人も、
はっとした。
魔薬について、あれから話し合ったことがある。
一つ目は、魔薬の性質。
どうやら奴らの魔薬は、「いい気分になる」嗜好品的な魔薬じゃないらしい。
精神操作の為だけの魔薬。
飲ませる(吸い込まされる? )人間は、初めから軽く洗脳されてる状態で‥それを摂取することを拒否するって考えは初めからないようだ。
だから、吸った時の気持ちよさが忘れられず‥とかじゃなくって、中毒性でずっと吸ってるって感じになるのかな。
洗脳って言って、そんな大袈裟なもんじゃない。
‥子供の頃からずっと言い聞かせるのとかって、刷り込み‥っていうか、完璧に洗脳だよね。
洗脳するのは、多分その部分だけ、あとは‥
意志とか関係なく、それこそ手足として「言われるがまま動いてる」って感じ‥なのかな。
そんな魔薬が、秘密裏につくられ、コツコツ水面下で中毒者が増やされ、それに並行して知能部隊のスカウトを行う‥。
‥考えれば考える程胸糞悪いね。
二つ目は、魔薬の持続力。
「だけど‥
洗脳って‥そんなに持つもんかね? 」
そう聞いたのは、ザッカさんだった。
それにはシークさんも頷いて同意してたけど、
僕は‥それ位の事は計算済みなんだろうなって思ったよ。
「持たせるんですよ、持つか持たないか‥じゃなくて」
アンバーたちの所にも、常に魔術士‥魔術士ジュニアとでも言おうか‥の生活を「見守って(監視して)」いた奴がいたって言ってたよね。
たしか、
「口利き屋」
っていってなかったっけ? 悪の仕事を斡旋していく気のいい兄ちゃん。
彼が監視屋。
‥多分ね、彼らはただのトリガーなんだと思う。
疑いやら、恨みやら
負の感情の種は、誰のこころにもある。
ましてや、親を殺された子供のこころには疑いようもなく‥あるだろう。
そういうのを、ちょっと後押しするの。
「復讐しちゃえ‥」
って
「するべきだ」
って。
ちっさな力でいいんだ。
ほんの小さな雪玉を坂道に転がすようなものだ。
大事なのは、寧ろ坂道の用意の方ね。
坂道を自分の方で用意しておいて、子供に、坂道の上でちっさな雪玉を手渡すの。
「転がしてごらん」
って。
ちっさな雪玉って、坂道を転がしたら、一気に大きな雪玉になるよね。感情だって同じだ。
例えば、「疑い」って、ほんの小さな種があったら、すぐににょきにょき成長するよね。
‥あれが不思議で、「嬉しい(正の感情)」の種より、「憎い・悔しい(負の感情)」の種の方が育ちやすいよね。
多分‥そういうのだ。
きっかけ‥声かけで、負の感情の種を芽吹かせる。
そしたら、‥口利き屋が見守っている中で、後は自分が負の感情を育てる。‥増幅させる。
増幅してたとしも、やがては、正気に戻ったり、「まあもういいか‥」って許したりすることもあるだろう。
ずっと怒ってばっかりいる人間もいないし、ずっと笑ってる人間もいない。
一緒に住んでる人間への配慮? 人間としての常識?
そうじゃない。
‥単にネタが続かないからだ。
飽きるよね。普通に「自分の持ちネタ」に。「慣れる」っていうのかな?
とにかく、同じ感情を持ち続けることは「普通は」出来ない。
ずっと同じ気持ち‥って、それこそ、呪いだよ。
魔薬はそういうのを持続させる‥肥料的なものなんだと思うんだ。
監視役は、肥料が切れてないか、‥ちゃんと、悪の芽が育ってるかを監視してるんだ。
「きっと、‥正常だったら、辛いよ。出口がない恨みにとらわれて、それを忘れることも許されず、ずっと恨み続ける‥
忘れることや、恨みを晴らさないことに自己嫌悪を感じたりするかもしれない‥」
そして、親の仇を無事に取ったら、
今度は、殺人を犯したってことで、また一生悩み続ける。
普通の奴なら、だ。
だけど、麻薬と洗脳のせいで、色々とそういう常識から麻痺した人間になってしまった子飼いの魔術士ジュニアは、「仕方がないか~」あいつが悪いんだし、殺しちゃったなあ~。一人殺しても二人殺しても同じか~。ってなる。
そっちの方が、楽だから。
人のせいにして、悪人なんだけど‥「言うこときいてれば守ってくれる」人に守られて、言うこときいてる方が楽だから。
あがいて‥苦しいまま生きるのは苦しい。
三つ目は、「エリート層はなぜ、魔薬も使っていないのに、彼らの仲間になったのか」だ。
「操られてる‥ってのには、変わりはないですけど、魔薬をつかったら、「言う通り動く人形になる」恐れが多少なりともあったんでしょうね。エリート層は、知識やアイデアなんかを出す‥所謂ブレインだから、魔薬を使って、万の一つでも‥ダメにしちゃうわけにはいかなかった」
エリートを操るのは簡単、ってアンバーたちは認識していた。
理想と現実の違いに苦しんで、努力して、でも、理想通りにはならない。そんな現実に焦燥感や幻滅を感じている。‥満足していない。
その傾向は、エリート程多い。
だから、そこをつつけばいいんだって。
弱ったところに寄り添ってやれば「この人は自分の事を分かってくれる」ってなる‥って。
それどころか、自分の理想は本当に努力する程の価値のあるものだろうか? って不安にさせて、自分が考えつかない遥かに大きな「理想」を見せられたら‥「自分が目指すべき道はこれだ‥」と傾倒していく。
傾倒すれば、今度は「向上心を持つべきだ」「努力しないと、目的が達成できないぞ」と焦燥感を募らせるetc.
常に誰かに追い抜かれる恐怖‥。他の誰かに嫌がらせをうけるかも‥って被害妄想。
妥協がヘタな「不器用な」エリートが一番いいカモだって言ってた。
僕は‥エリートじゃないけど、そういう傾向にある。
コリンは苦笑いした。
‥教会で学んでいる人間は、少なからずそういう傾向があったものは多かった気がするって。
やっぱり、教会で学んでいるってことが自分の中で、誇りになってる‥みたいなところはあったんだろうね。
地元では神童って呼ばれてたって子供も‥
だけど、ここでは、自分は一番になれない。
悔しい、自分がもどかしい。‥他人が憎い。
理想と現実の理想ギャップ‥かあ‥。
僕だって、あの時は苦しかった。‥だけど、僕は、「自分自身に対して」他の人たちより、関心がなかった。
皆より、意志が強かったとは思わない。
皆と同じように傷ついて、疲れ果てて‥皆が救いを教会長に求めたのとは違って‥もっと自分の殻にこもった。そして、自衛の為に、自動攻撃って手段を取った。
自分に対する攻撃‥被害妄想が‥皆みたいに、単なる思い込みじゃなくって、僕にとっては、リアルだったからだ。
‥思い込みや自意識過剰じゃなくって、
普通に物理的に攻撃を受けて来たからだ。
ああ、
でも、逃げて、籠って‥
それでも、誓約士になろうって頑張ってこれたのは、家族を見返したいって意志が芯にあったからだ。
復讐が芯にあった、魔術士ジュニアとなんら変わらない‥のかもしれない。
立場が変われば、僕だって、ああなってた‥んだろう。
「奴らが、森でこそこそと何をしているかは分かった。‥魔薬の製造だ。
そして、奴らの人員確保の方法もだ。下級労働者と、エリート。
‥だけど‥奴らの最終目的はなんだろう? 」
話をまとめたザッカが首を傾げる。
「巨万の富を得ること? 」
は、アンバー。
「国家転覆? 」
は、ナナフル。
その意見にシークとザッカが頷いている。
「‥愉快犯? 」
コリンが可能性は薄いけど、無いとは言い切れない「可能性」を捻る出す。
奴らの目的が、金だろうが、
国家権力だろうが、
はたまた、そのどちらもだろうが‥
実を言うと、コリンたちには興味はない。
だけど‥彼らのことを何よりも気に喰わないのは、その方法が間違っていることだ。
それよりなにより‥
彼らの私利私欲に巻き込まれているのが、金も力もなく、(今回のことで)何のメリットもない市井の人々‥庶民(日雇い労働者)で、
何よりも‥(アンバーたちのような)未来ある若者だってことが‥
許せないってことだ。
「じゃあ、ペンは剣よりも強しを実感していただくってことで‥」
ほの暗い笑いをナナフルが浮かべる。
それには、異論がない四人だった。
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