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84.☆ 演技が過ぎるんです(急展開注意)。
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(コリンside)
人間、生きてたら、ある。
何をしても、どうしても‥空回りになる時。
友達を怒らせちゃって、謝ろうと思って、必死になればなるほど怒らちゃうとか‥
あと、溺れた時って、あがけばあがくほど‥沈むよね?
ああいう感じ。
情けなくって涙が出る‥のは、精神的にもだけど、物理的にも。
僕は今、
涙が止まらないんです。(物理的に)
「やめ‥やだぁ‥。もうやめて‥ぇ! アンバーぁ‥」
首にはかって付けられた魔力封じの首輪。(あれ、無駄だってあの時立証されたよね)
手はこれまた魔力封じの手錠みたいな奴で封じられて、頭の上で一まとめにされて(ってか、手錠でまとめら
えてるからね‥)アンバーの左手によってベッドのシーツに縫い付けられている。
そして、
僕の身体を拘束しているのは、
馬乗りになってるアンバーだ。
両膝の間に挟まれるみたいな感じで、またがられてる。
細っこいアンバーだけど、身長は僕よりずっと高いし、‥けっこう筋肉もある。
力もそこそこある。
更に悪いことに、僕ほどじゃないけど、魔力も高い。
闇の‥絡みつくような‥いやあな魔力だ。
僕より(魔力も含めて)あるか‥とかこういう状況じゃ、あんまり関係ないのね。
現在、僕は、アンバーに組み敷かれちゃって、動けないでいる。
力と重さ‥に加えて‥圧倒的に‥こういう状況に慣れてない‥ってことで
僕は、もう、抵抗の術が頭からきれいさっぱりすっぽり抜け落ちてる。
打開策を考える? ‥無理だ。
‥もともと、僕はその場で考える‥とか苦手なタイプだけど、そういう問題じゃない。
もう、‥それ以前の問題だ。
頭が働かない。
はっきり言って、‥びびっちゃってる。
辛うじて、顔を振ったり、感情論に働きかけようと、目で訴えたりするけど、‥勿論の事ながら利いていない。
ニヤニヤと面白そうな顔で見つめ返されるだけだ。
‥好き嫌いって感情別にしても、嫌悪感なんてどうやったって抱けない程整った顔が僕を見降ろしている。
ぞくっとする程、綺麗。
そんな顔が‥
目の前にある。
顔が、近い。
もう、ちゅーしちゃうって位近い。
ってか、さっきから、既に何度かされてる。(無断で!! )
あの時みたいな、ちゅって可愛い奴じゃない。
大人のキスってやつ? 身体の力を何割かそいじゃうような‥危険な奴。
恋愛経験豊富なんですね~って分かるやつ。
多分、ディープキスってやつ?? 知らないよ、僕はそんなのしたことない。
ぐって顎を固定されて動けない様にされて、噛みつくような感じで口づけられて、口内を蹂躙される‥っていうの? ああいうの。
あれだ。
酸欠になる様な、長い‥ねちっこい奴。
苦しいのと悔しいので涙目になってる僕をニヤニヤと見下ろす。
「コリン? 」
色っぽい目を向けられて、苦し紛れに目をそらし、せめて‥と目を瞑る。
この目は、あかん奴だ。
魅惑の魔法‥とかじゃない。
大人の色気攻撃だ。
さっきのキス以上に僕の身体から体力を‥抵抗するちからをゴッソリそいでくる。
流されるな自分!!
目を瞑って、無理に「萎えること」を想像する。
‥想像しようとするが、
‥はぁはぁ‥急にそんなものは都合よく浮かばない。
‥わかってます。そんなことしても現状は変わらない。これは‥あれだ。現実逃避だ。しかもさらに、それすら失敗してる‥。
‥くぅ、怖いよぅ‥。‥大人の色気‥怖いよぅ‥っ!
「俺の演技力もなかなかだったみだいだねえ。まさか君が、俺のこと心配して来てくれるとは思わなかった。‥ああ、俺の演技力に騙されたんじゃなくって、俺のこと好きになっちゃったのかな? 」
かっての「麗しの魔王」の笑顔のアンバーだ。
かっとなって、目を開けて、ぎっと‥アンバーを睨み付けた。
目を合わせて、‥スン、となんかが落ちた。‥この表現、‥分かるかなあ。一気に素に戻ったって感じだ。
目が‥笑ってる。
黒くないし‥
面白がってる。
恋愛‥駆け引きを面白がってる、恋愛狩人さんの「面白がってる」とかじゃなくて、普通に、僕を揶揄ってる。
でも、
それがわかるのは、付き合いがそこそこ長くなった僕位で、第三者‥傍から見たら悪人丸出しの「嫌な笑顔」にしか見えない。
傍から‥
そう、さっきからドン引きしてるギャラリーたちだ。
「あのさ、‥邪魔だから、そろそろ部屋から出てくんない? 」
このセリフを「効果的に」「自然に」言う為に、さっきからアンバーは、せっせと
桃色ムードを演出してた‥ってわけ。
僕なんかちんくしゃ相手に、本気で盛ってたわけじゃない。
演技だ。
あくまでも。
僕も一瞬騙される程の白熱の演技って奴だ。
ったく、これだから恋愛経験豊富な女っタラシは‥。
「‥あ‥ああ、すまん」
「程々にしとけよ‥」
ギャラリーたちの顔が赤い。
心なしか、前かがみだ。
さっきまで、「俺にも回せよ」なんて軽口言ってたが、アンバーに絶対零度の視線を送られて‥黙った。
アンバーの獲物には触れちゃなんない‥って認識がされたようだ。
で、今
目の前のドアが閉められて
部屋にはアンバーと二人きり。
‥ようやく敵が出て行った。
さあ、ここから逃げよう。
‥っておい、
なに盛ってンだ!! アンバー、さっさと部屋から出るぞ!!
「悪い、コリン、もう一回だけ‥ってか、一回抜かせてくれ」
抜くって何をだ!!
ギラギラした目で僕を見るんじゃねえ!! ‥僕の肩を抑え込むんじゃねえ!!
人間、生きてたら、ある。
何をしても、どうしても‥空回りになる時。
友達を怒らせちゃって、謝ろうと思って、必死になればなるほど怒らちゃうとか‥
あと、溺れた時って、あがけばあがくほど‥沈むよね?
ああいう感じ。
情けなくって涙が出る‥のは、精神的にもだけど、物理的にも。
僕は今、
涙が止まらないんです。(物理的に)
「やめ‥やだぁ‥。もうやめて‥ぇ! アンバーぁ‥」
首にはかって付けられた魔力封じの首輪。(あれ、無駄だってあの時立証されたよね)
手はこれまた魔力封じの手錠みたいな奴で封じられて、頭の上で一まとめにされて(ってか、手錠でまとめら
えてるからね‥)アンバーの左手によってベッドのシーツに縫い付けられている。
そして、
僕の身体を拘束しているのは、
馬乗りになってるアンバーだ。
両膝の間に挟まれるみたいな感じで、またがられてる。
細っこいアンバーだけど、身長は僕よりずっと高いし、‥けっこう筋肉もある。
力もそこそこある。
更に悪いことに、僕ほどじゃないけど、魔力も高い。
闇の‥絡みつくような‥いやあな魔力だ。
僕より(魔力も含めて)あるか‥とかこういう状況じゃ、あんまり関係ないのね。
現在、僕は、アンバーに組み敷かれちゃって、動けないでいる。
力と重さ‥に加えて‥圧倒的に‥こういう状況に慣れてない‥ってことで
僕は、もう、抵抗の術が頭からきれいさっぱりすっぽり抜け落ちてる。
打開策を考える? ‥無理だ。
‥もともと、僕はその場で考える‥とか苦手なタイプだけど、そういう問題じゃない。
もう、‥それ以前の問題だ。
頭が働かない。
はっきり言って、‥びびっちゃってる。
辛うじて、顔を振ったり、感情論に働きかけようと、目で訴えたりするけど、‥勿論の事ながら利いていない。
ニヤニヤと面白そうな顔で見つめ返されるだけだ。
‥好き嫌いって感情別にしても、嫌悪感なんてどうやったって抱けない程整った顔が僕を見降ろしている。
ぞくっとする程、綺麗。
そんな顔が‥
目の前にある。
顔が、近い。
もう、ちゅーしちゃうって位近い。
ってか、さっきから、既に何度かされてる。(無断で!! )
あの時みたいな、ちゅって可愛い奴じゃない。
大人のキスってやつ? 身体の力を何割かそいじゃうような‥危険な奴。
恋愛経験豊富なんですね~って分かるやつ。
多分、ディープキスってやつ?? 知らないよ、僕はそんなのしたことない。
ぐって顎を固定されて動けない様にされて、噛みつくような感じで口づけられて、口内を蹂躙される‥っていうの? ああいうの。
あれだ。
酸欠になる様な、長い‥ねちっこい奴。
苦しいのと悔しいので涙目になってる僕をニヤニヤと見下ろす。
「コリン? 」
色っぽい目を向けられて、苦し紛れに目をそらし、せめて‥と目を瞑る。
この目は、あかん奴だ。
魅惑の魔法‥とかじゃない。
大人の色気攻撃だ。
さっきのキス以上に僕の身体から体力を‥抵抗するちからをゴッソリそいでくる。
流されるな自分!!
目を瞑って、無理に「萎えること」を想像する。
‥想像しようとするが、
‥はぁはぁ‥急にそんなものは都合よく浮かばない。
‥わかってます。そんなことしても現状は変わらない。これは‥あれだ。現実逃避だ。しかもさらに、それすら失敗してる‥。
‥くぅ、怖いよぅ‥。‥大人の色気‥怖いよぅ‥っ!
「俺の演技力もなかなかだったみだいだねえ。まさか君が、俺のこと心配して来てくれるとは思わなかった。‥ああ、俺の演技力に騙されたんじゃなくって、俺のこと好きになっちゃったのかな? 」
かっての「麗しの魔王」の笑顔のアンバーだ。
かっとなって、目を開けて、ぎっと‥アンバーを睨み付けた。
目を合わせて、‥スン、となんかが落ちた。‥この表現、‥分かるかなあ。一気に素に戻ったって感じだ。
目が‥笑ってる。
黒くないし‥
面白がってる。
恋愛‥駆け引きを面白がってる、恋愛狩人さんの「面白がってる」とかじゃなくて、普通に、僕を揶揄ってる。
でも、
それがわかるのは、付き合いがそこそこ長くなった僕位で、第三者‥傍から見たら悪人丸出しの「嫌な笑顔」にしか見えない。
傍から‥
そう、さっきからドン引きしてるギャラリーたちだ。
「あのさ、‥邪魔だから、そろそろ部屋から出てくんない? 」
このセリフを「効果的に」「自然に」言う為に、さっきからアンバーは、せっせと
桃色ムードを演出してた‥ってわけ。
僕なんかちんくしゃ相手に、本気で盛ってたわけじゃない。
演技だ。
あくまでも。
僕も一瞬騙される程の白熱の演技って奴だ。
ったく、これだから恋愛経験豊富な女っタラシは‥。
「‥あ‥ああ、すまん」
「程々にしとけよ‥」
ギャラリーたちの顔が赤い。
心なしか、前かがみだ。
さっきまで、「俺にも回せよ」なんて軽口言ってたが、アンバーに絶対零度の視線を送られて‥黙った。
アンバーの獲物には触れちゃなんない‥って認識がされたようだ。
で、今
目の前のドアが閉められて
部屋にはアンバーと二人きり。
‥ようやく敵が出て行った。
さあ、ここから逃げよう。
‥っておい、
なに盛ってンだ!! アンバー、さっさと部屋から出るぞ!!
「悪い、コリン、もう一回だけ‥ってか、一回抜かせてくれ」
抜くって何をだ!!
ギラギラした目で僕を見るんじゃねえ!! ‥僕の肩を抑え込むんじゃねえ!!
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