この度、押しかけ女房に押し切られました。 ~押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした~

文月

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66.緊張感とか、‥まあ、もうどうでもいい。主にコリンside

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「ナナフルさん。僕は育ち盛りの食べ盛りだから、おかず減らすの止めて下さい~! 」

 昨日、種明かしをしたことで、隠さなくなったコリンがナナフルに泣きついている。
 何を隠すかって? ‥やっぱり好きな人やらライバル(←アンバー)に「つまみ食いがバレてペナルティ中です」ってばらすのちょっとカッコ悪い。
 ナナフルが「しょうがないですねえ」って苦笑いして、優しくコリンの頭を撫ぜる。
 コリンとナナフルの身長差も結構あるんだ。
 ザッカとナナフルの身長差がそう無くて、ザッカとシークの身長差もそう無い。
 だから、5人の中では、コリンだけが特別小さいんだ。
 コリンはナナフルの優しい顔をうっとりと眺め、
「もうしないよ? 」
 なんて子供みたいなことを言っている。
 コリンにとってナナフルは「理想の母親像」なんだろう。
 そんな麗しのナナフルの後ろにぬぼ~とザッカが立ち、ナナフルの肩をさりげなく抱いて
「ナナフル。俺はお前に触れないと、なんかこう身体の調子が悪くなる気がする」
 頭をナナフルの頭にうずめる様に‥すりすりしている。

 ってか‥
 ‥またそういう話を人前でした。
 ナナフルさんの額がぴくってなったの、見た~? 表情変わってないけど、若干口元の微笑が‥引きつってるよ~?
 僕は、ため息をつく。
「‥‥‥」
 ザッカさんの「お仕置き」は延長された予感がした。(ってか、予感じゃなく、決定事項だろう)
 僕のお仕置きは‥もうそろそろ終わるだろう。
 僕はどうやらホントに育ち盛りらしい。この前ちょっと背が伸びてた。だからだろうか、この頃お腹がすいて仕方が無い。おかずが少ないってのは、ちょっと死活問題なんだ。
 因みに‥どれくらい伸びたかって‥
 今までシークさんと階段三段分くらは違ってたのに、今は二段分くらいだ。(短時間で階段一段分伸びるって凄くない!? )
 ナナフルさんはシークさんより小さいけど、そうは変わらない。
 ってことは‥ナナフルさんと僕の身長差も「階段二段分」弱あるんだろう。(でも、ナナフルさんは華奢だしあの通り麗しいから、身長が高いって感じがしないんだよね~。そういうの、理想だ‥)
 成長期が来たらしい僕だけど、相変わらず顔も髭なんか生えて来る様子はなくツルツルだし、声も変わる様子もない。
 小学生が「夏休み明け凄い身長伸びてた! 」っていう、「そういえば‥」的なちっちゃい変化。身体も心もめまぐるしく変化していって変化に戸惑う中高生な思春期の成長期って感じじゃない。(そういえば僕そういうのあったっけ?? )
 (僕に一番似ている)父さんにもそんな成長期無かったのかも‥って考えたけど、父さんは僕より若干声に深みがある。。
 僕みたいに高い声じゃない。
 僕より身長もちょっと高い。(←この前シークと一緒に家に帰った時には、ちょっとではなかった。あれから少しコリンの身長が伸びたから「ちょっと」になっているかもしれない)
 もう少し身長が伸びたい。シークさんと親子じゃなくて、「恋人」の身長差になりたい。
 ザッカさんとナナフルさんの身長差っていいよね。丁度ザッカさんの肩の所にナナフルさんの目線が来るの。
 ザッカさんが優しく微笑んで視線を下げたら、ちょうどナナフルさんと目が合う高さ。
 僕とシークさんだったら、僕がシークさんを見上げて、シークさんも僕を見下ろすって感じで‥大人と子供みたいだもんな。

 ザッカさんがナナフルさんの横に並ぶ。自然にいつも通り。ナナフルさんがふわりと微笑んでザッカさんと視線を合わせる。それもいつも通り。
 この二人は凄くお似合いなんだ。
 ザッカさんがワイルド系イケオジで、ナナフルさんが清楚な美人。
 幼馴染らしい二人は、何時も息ぴったりだし、纏う優しくって暖かな雰囲気とかが似ている。
 あ、ザッカさんがナナフルさんの腰に手をまわして、密かに避けられてる。
 ザッカさんがこの世の終わりみたいな顔を‥。
 ‥分かるでしょう~。ザッカさん~。
 さっきナナフルさんからのお仕置き「指一本触れさせません! 」が延長されたであろうことは僕でさえ分かったぞ。
 折角微笑んでもらったんだから、そこで調子に乗っちゃダメでしょう~。
 ただでさえナナフルさん、人前でベタベタとか恥ずかしがるタイプなのに。
 全く‥。
 ザッカさんって、わざとじゃなくて、ホント馬鹿なのかもしれない。
 いい人なんだけどね~。
 なんか夫婦漫才してるみたい。
 僕が息子って言ってもらってるから、両親漫才かな~。(←子供がいようと、夫婦漫才には違いないと思う)
 父親がバカっぽいのって、でもちょっと憧れるかも。明るく幸せな家族って感じするよね。
 母さん命のデレデレ父さん、しっかり、ツンデレ母さん。なんか楽しそう。
 ‥状況の想像はつかないけど、なんか楽しそう。
 僕の家は、父さんは見た目はああ(姫ってことね)だけど、結構口数少ない「物静か」って感じだから。凄く常識人だし。(だから学生時代のあだなは「深層の令嬢」だった)‥本人は「落ち着いた初老の紳士を思わせる枯れ系男子」のつもりだったんだって。
 ‥でも枯れ系男子ってのは、ちょっとそうかも。枯れっ枯れカッサカサじゃないけど、父さんは緑の若葉って感じより、紅葉した落ち葉って感じのしっとりとした風情がある。‥母さんは、夏の緑色の葉だね。いっきいきツヤツヤ。シャキシャキ。
 ‥脱線した。
 父さんの母さんに対する愛情表現‥の話だったね。 
 少なくとも、僕ら子供の前で「母さん好き好き」とか言わなかったな。‥好きなんだろうなとは思ったけど。
 ナナフルさんもそういう‥「直接口では言わないけど‥」の方が好きなのかな? 
 まあ、‥性的なこと匂わされるのは子供としても困るけどね‥。
 ‥困るってか、嫌だな。
 母さんは母さんであって、子供にとって「女」の部分は感じたくないよな。それは、母さんにとっても同じだろう。子供には「母さん」である自分しか見せたくない(何より子供も見たくないよね)
 ‥そういう風に思うのは僕がまだ親離れしてないせいだろうか‥。そうだよな~、隣のリタは僕らが小学生の頃から「うちの父さん浮気してる気がするの。なんか、こうこの頃変にお洒落だしそわそわしてるし、母さんに変に優しかったりするの」とかよく他の女の子に愚痴ってたよな(リタは特別耳年増でおませだったんだ)。でも他の女の子も「それは怪しいわ~。リタのお母さんは気付いてるの? 」って感じで‥大人の女性みたいだった。 彼女たちにとっては、母親や父親も「女性」「男性」だったのかな?
 ‥確かめる術はないけど。(確かめるのも怖いしね)
 でも、まあ‥事実‥
 父親でも男だし、母親でも女なんだ。

 難しいねぇ。

 にしても、
「‥緊張感、ないな~」
 相変わらずなナナフルさんとザッカさんを見てつい笑ってしまう。
 そして、相変わらずアンバーはなんか暗い。(きっと俺なんか‥とか考えてるんだろう)でも顔がいいから、学校に行っていたら(アンバーは行ってないけどね)きっと女子に「クールでミステリアスで素敵‥」って言われてただろう。
 シークさんは‥黙って黙々と武器の手入れとかしてる。
 涼やかなごく薄い青い瞳には今、武器しか映っていない。僕みたいに、安い夫婦漫才を眺めていない。
 シークさんはいつもきちんとしてる。(素敵‥)

 僕も攻撃用ロットの点検はいつもしている。身体が訛らないように、走り込みも欠かせない。(一度シークさんの朝の走り込みに付いて行こうとしたが、数分でダウンした。体力が‥というより基礎身体能力が違い過ぎる)多分持久力はトントンだと思うけど、僕は瞬発力もないし、反射神経も‥あれだし、剣のセンスもそこそこなんだ。
だからこそ、僕は僕の戦い方を研究して来た。
 何度も頭の中でシュミレーションして、実際にも練習してきた。

 ‥いつでも戦闘可能。準備完了だ。
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