魂色物語

ガホウ

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第二章 魔法の衆と禁じられた書

第十五話 エルフの生活

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 おれたちが魔法の習得に励んでいる間にレイはエルフの生活について観察していたらしい。おれは気になってしまいレイが書いたメモ書きを見せてもらうことにした。

 ◆◇◆

 ――エルフの里の観察日記。
 
 エルフの朝はとても早い。朝と言えるのかも怪しい時間からエルフは活動を始めている。エルフの里は基本的に女性が警備や狩りに勤しんでおり、男性は農作業を主にしていて植物薬またの名を魔法薬に精通している。話を聞いてみるとこれは女性の方が生まれつき弓の技術が高くて逆に男性の方は生真面目な性格が影響してか植物の栽培が得意なのだそうだ。しかし、女性のエルフ曰く男性のエルフも弓は使えるがそれ以上に土をいじるのが大好きでたまらないらしい。

 僕はまず警備がどのようなものかが気になったので警備隊長のメレスさんに話を聞こうとしたが森の中でのエルフはとても素早く簡単に置いていかれてしまい話を聞くどころではなかった。諦めて農作業の方に注目してみることにした。

 畑は人間のものとあまり大差なかったが一つだけ決定的に違う場所があった。それは自動で水をあげる仕組みがあることだった。畝と畝の間にサボテンのようなものが生えている。そのサボテンがパカッと開いて天辺から水が噴き出し、周りの作物に満遍なく水分を与えている。

 このサボテンはスプリングサボテンという名前の植物で地中深くから水分を吸いだして定期的に噴射する植物だというのを教えてもらった。

 僕は次にネウィロスさんの所へ向かった。そこへ行くとネウィロスさんは快く出迎えてくれた。植物薬の調合の仕方などを教えてもらったが複雑すぎて一度で理解することはできなかった。僕は話題を変えて仙郷の大図書館について聞いた。そこで植物薬について調べたそうだがなんと100年もの間そこで研究していたというんだからびっくりだ。流石は500年以上生きると言われている種族。しかし、そんな永遠ともいえる時を過ごす彼でさえリッパとベイランドのことは知らないらしく、多分仙郷の図書館に身を寄せていたから会えなかったと語っていた。

 僕はならばと思いエルメネル女王に話を聞きに行くことにした。エルメネル女王はリッパとベイランドについて聞くといくつか答えてくれた。まず、300年以上前のことだから女王自身も当時はまだ幼くあまり覚えていないということ。遠い記憶の中で覚えている限りでは人間とは思えない程の強さをしていたというのを教えてくれた。

 話を聞き終えた僕は里の中を見て回ることにした。どこかで買い物をしようと思ったけどサンアスリム地方とアルテザーン地方とでは使用している硬貨が違うので商品をただ羨ましそうに見てることしかできなかった。このアルテザーンで旅を続けるうえで金銭問題はかなり重要な課題になりそうだ。

 今日、ようやく補助呪文を習得することができた。これが戦闘の役に立てばいいんだけど。エルリシアンの話によるとそれぞれの適正魔法はいくつもあるらしく今でも新しい魔法が創られているそうだ。

 まだまだエルフの里の全てを見たわけじゃないけど少しはエルフについて知ることできた気がする。

 ◆◇◆

 これを読んでおれは改めてエルフの里に来たことを実感した。今まで絵本の中でしか知ることのできなかった世界をおれはこの目で見ることが出来ている。これからも起きる出来事の全てをこの目と記憶に焼き付けておこうと思った。
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