F.W.O ~最強と最弱のアバターを駆使してVR世界を生き抜きます~

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第1章 アバター:シノヤ

デュエル

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 城砦の中庭は、兵たちでごった返していた。
 それこそ、お祭り騒ぎの様相である。
 なにせ、公爵並びに総司令官という城砦最高権者公認とあって、仕事そっちのけで我先にと見物に詰め掛けている。
 中庭だけでもかなりの広さがあるにもかかわらず、立ち見どころか、入り切れずにあぶれた者は、植木の上に陣取ったり、城壁に上ったりと、呆れるほどの盛況ぶりだった。
 兵どころか、およそ城砦の人員すべてが集まっていそうな感がある。

 中庭では、中央を丸く囲った見物人たちで、即席の闘技場が出来上がっていた。
 最前列を勝ち取って、でんっとふんぞり返る兵たちの中には、密かに酒を持ち込んで、すでに出来上がっている者たちまでいる。
 どれだけ鬱憤が溜まっていたかは知らないが、まだ始まってもいないのに、やれ殺っちまえだ、○○潰しちまえだの、場は大いに温まっていた。

 そんな中、空白地帯となった中庭の中央に、独りぽつんとシノヤは佇んでいる。
 アウェー会場どころか処刑場さながらである。

 歴戦の勇士も裸足で逃げ出したくなるような状況だが、シノヤに焦りや戸惑いはなく、呑気にウォーミングアップを行なっていた。

「静まれぇい!」

 怒号と共に、中庭を見下ろす位置になる一段高いバルコニーに、3つの人影が姿を見せる。
 カレッド将軍とナコール公爵、それに姫騎士ことエミリアの3人である。

 怒声を発したカレッド将軍は、さすがの貫禄で、あれだけ騒いでいた荒くれ者の兵たちが、瞬く間に静かになった。

「ほっほっほっ」

 満を持してとばかりにバルコニーの最前に歩み出たナコール公爵は、中庭にいるシノヤを見下ろして、芝居がかった態度で大仰に紹介を始めた。

「そこにある者は、シノヤ殿と申す者。皆、すでに聞き及んでいるかもしれませんが、なんとあの、神代に名を馳せた神人なのです!」

 見物人の中には、理由も知らずにとりあえず集まった者も多いらしく、真に受けてざわつく者と失笑を漏らす者とで、だいたい半々ほどだった。

「……まあ、ただの服しか身に着けていない、神人がいれば、の話ですが?」

 にやけ顔での小馬鹿にした公爵の物言いに、いっせいに大爆笑が巻き起こる。

「シノヤ様に対してそれはあまりに――将軍!?」

 抗議しかけたエミリアだが、カレッド将軍の無言の圧力に阻まれる。
 それどころか、ナコール公爵は前に出たエミリアの腰に手を当て、さらに前面へと押し出した。

「神人を捜し出す大偉業を成し遂げたのは、ここに居られる姫騎士ことエミリア様です! まずは皆も賞賛を!」

 エミリアの名前が出たことで、バツが悪い顔をした者も多かったが、全体の流れは変わらない。
 さらにはナコール公爵が拍手したことで、全員がこぞって大きな拍手を贈っていた。

 エミリアは皮肉に対する羞恥か屈辱か、紅潮した顔を俯けて拳を握り締めている。

「おお~い、太鼓腹のおっさん!」

 その台詞に、場を支配していた喧騒が一気に止んだ。
 場の空気ににそぐわない言葉を吐いたのは、シノヤだった。

「その、太鼓腹のおっさん、というのは、わたしのことかね……?」

「他にいるか? これだけ真正面に見てんだから、わかるだろ?」

 ご機嫌だったナコール公爵の笑顔が固まる。

「無礼者めが。このまま不敬罪で処断してもよいのだぞ?」

 冷たい目をした底冷えするような声音だった。

 しかし、シノヤはいっさい気にせず、呑気そうに告げる。

「無礼はお互い様だろ? そもそも、貴族だろうと人族のあんたに畏まる義理はないと思うんだけど? たった今、俺を神人だって、あんたが紹介してくれただろ。それよりさ、自分の孫くらいの女の子を虐めて悦に浸るくらいなら、さっさと始めたらどう?」

 遠慮会釈もない態度に、周囲の人々も息を呑む。

「口の減らない……まあ、後悔せぬことだな!」

 衆目があることを意識してか、ナコール公爵は余裕の笑みを浮かべている――つもりだろうが、肥えて丸く張った額には、しっかりと青筋が見て取れる。

 公爵が指を鳴らすと、見物人の人波を掻き分けて、分厚い甲冑を着た巨漢の戦士がシノヤの前に現われた。
 シノヤのアバターは身長180cmを越えているが、そのシノヤの頭頂を見下ろせるほどの大男で、身長も2mは下らない。
 筋骨隆々とした横幅も並ではなく、体積としては確実に倍の差はありそうだ。

 大男は、右腕で重厚な戦斧を肩に担ぎ、左手で大きな木箱を引きずっている。

「おらよ」

 無造作に放り投げられた木箱が地面に落ちて砕け、中から飛び出た武器がシノヤの足元に散乱した。
 剣に槍に斧と――種類は様々だ。

「得物は好きに選べ、ってか。鑑定スキル実行」

『鑑定スキルを実行します』

 次々とウィンドウが開くが、予想通りにたいした物はなかった。
 どれもこれもRankはE-かF程度。耐久度もほとんどない。
 見た目だけ整えた、せいぜい使い回した中古品か、廃棄予定の粗悪品といったところか。
 これなら、よほど素手のほうがマシな気がする。

 シノヤはひとつひとつの武器を摘み上げては、溜息を吐いていた。

「おっさん、どうせならもっとまともな武器はないの?」

「シノヤ様、こちらを!」

 バルコニーを見上げたシノヤの視界に、一振りの剣が降ってきた。

 咄嗟に掴んだその剣は、真紅の鞘に収まった、柄の装飾も煌びやかな長剣だった。
 鞘から剣を抜くと、見事なまでの白銀の刀身があらわになり、陽光を眩しく反射する。
 一見してわかる業物で、驚くほどに軽く、神聖な波動を感じる。

「それは我が家に伝わる神剣アーバンライツ。ぜひお使いください」

 放ってきたのはエミリアだった。
 隣のナコール公爵が、いかにも「余計な真似を」と言わんばかりに、苦々しい顔をしている。

(おお、RankA+! さすがは神剣を冠する武器、付属スキルも目白押しだな!)

 装備者に恩恵を与えるスキルが、ざっと確認しても10個近くもある。

 <神聖付与><魔族特攻><光性増幅>
 と、対魔族や対闇属性に特化した剣であることが窺える。

(ん? <真実の眼>? なんだこれ?)

 シノヤが見慣れないスキルまである。

『イベント、[魔族の花嫁]が開始されました』

(おい、唐突だな!)

 シノヤはつい、システムナビゲーターに突っ込んでいた。
 今の一連の行動の中に、イベントを開始するフラグがあったらしい。

 もともとF.W.Oは、こうしたイベントを繰り返すVRMMORPGで、戦闘でレベルを、イベントでアイテムやスキルを得て、アバターを成長させていくゲームだった。
 イベントの中には、イベントを受諾して開始されるものと、条件を満たすと突発的に開始されるものとがある。
 今回のは後者だが、それでもあまりにいきなりすぎた。

「――シノヤ様、危ない!」

 エミリアの声に、シノヤは我に返り、反射的にバックステップで後ろに下がる。

 つい今し方までシノヤが立っていた地面には、無骨な戦斧の切っ先がめり込んでいた。

「ふ~~~! ふ~~~!」

 対戦相手の頭部を覆った兜の隙間から、凶暴な視線と、獣のような荒い息遣いが聞こえてくる。
 どうやら焦らせ過ぎたようだ。

 戦闘が開始された証に、シノヤと相手の頭部付近に、HPとMPを示すゲージが表示される。
 ダメージを受けるたびにHPゲージが減少し、完全に尽きるとそのキャラクターは電子の塵となって消失する。
 MPは魔法や特殊攻撃により減少し、こちらは尽きると行動不能となってしまう。

「うがぁぁぁー!」

 野獣の咆哮と共に襲いくる戦斧を、シノヤは紙一重でかわしている。
 ようやく開始された闘争に、見物人たちも熱い歓声を上げて、熱狂を始めた。

 戦斧の重量は想定100kg強。それを尋常ならざる膂力で振り回してくるのだから、当たればただでは済まない。
 レベルの低い者なら、その一撃でHPゲージを失ってしまうほどの凶悪な代物だ。

 しかし、そんな猛攻の最中でも、まだシノヤは考え事を続けていた。

(魔族の花嫁というイベント名……それに、神剣アーバンライツ。なーんか、聞き覚えがあるんだけど……あー、くそ。出てこない! 喉まで出かかってはいるんだけど!)

 10年以上昔の記憶を掘り返しつつ、シノヤは身悶える。

 一見、シノヤが押され続ける圧倒的に不利な状況に、見物人たちも面白おかしく野次を飛ばしていたが――1分、2分と経過する内に、徐々にざわつき始めた。

 シノヤは戦闘が開始されてから、ほとんどその場を動いてはいない。
 最小限の動きだけで、身震いするような攻撃を、ひょいひょいと擬音でも出そうな調子で軽々とかわしていた。
 それどころか、あらぬ方向に余所見をして、あきらかに片手間に戦っているふうがある。

(神剣アーバンライツに……ん? ちょっと待てよ、エミリア・フル・フォン・ファシリア……ファシリア侯爵家?)

「あー! そうか、わかった!」

 戦闘中にもかかわらず、不意にシノヤは足を止めて叫んでいた。

 そんな隙というにはあんまりな好機を見逃されるわけがなく、対戦相手の戦斧が、3mほどの高さから、シノヤの脳天目がけて一直線に叩き降ろされた。

 どおんっ!

 地響きしたと錯覚するような勢いで、戦斧が地面に突き刺さる。
 戦斧の超重量に加え、相手の並外れた膂力、目にも留まらぬ落下速度と、どれをとっても必殺となり得る一撃が、確実にシノヤの脳天から胴体、股間までを通過していた。

 VRMMOの世界では、血は流れない。
 これは、グロテクスな表現の描写規制によるものだが、血が流れようと流れまいと、HPゲージを失った者に待つのは”死”のみである。

 見守る見物人のすべてが、シノヤの死を確信していた。
 こうしている間にも、すぐさまHPゲージが一気に減っていって最後には尽き、その身体が光の塵となって砕け散ると。

 やがて、シノヤのHPゲージが減り始め――と思った途端、ほんのわずかに減ったゲージが、一瞬で元に戻った。
 回復したのは、シノヤのパッシブスキル<自然治癒>の恩恵で、減った量も全体から見ると1/100もなく、常人でいうと、深爪をしたときに負う程度のダメージだった。

 シノヤ以外の全員が、唖然として声を失う。

 そのときになってようやく、シノヤは戦闘中だったことを思い出していた。
 しかし、別の懸念事項が発生した今、悠長に付き合っている暇もなく、シノヤはさっさとけりをつけるべく、無造作に対戦相手に詰め寄った。

 大男は、得体の知れない相手に完全にビビッていたが、戦士の条件反射か、近づいてくるシノヤに、苦し紛れに戦斧を振り下ろしていた。

「邪魔」

 シノヤは、迫りくる戦斧の切っ先に、自分から頭をぶつけていった。
 いわゆるヘッドバットだが、その一撃だけで、重厚な戦斧が光となって飛び散る。

 武器破壊――本来は耐久度の高い盾などの防具を以って、防御時にあえて相手の武器に叩きつけることで耐久度を減らし、反対に攻撃側の武器を破壊するという技である。
 それを、シノヤは自らの頭部で行なったわけだ。

 武器も失って尻餅をついた相手の額がちょうどいい位置にあったので、シノヤは軽くデコピン(といっても、相手のHPゲージの大半を減らしていたが)をかませて沈黙させた。

 そして、即座にバルコニーに振り向く。

(”魔族の花嫁”イベントは、家人に化けた魔族が屋敷に潜り込み、令嬢をかどわかそうとする話だった)

 バルコニーには、3人――ナコール公爵、カレッド将軍、エミリアがいる。

 シノヤは神剣アーバンライツを投擲の要領で構えた。

「そりゃあ、人族も滅びそうになるわな。こんな要人に魔族が成り代わっているんじゃあな」

 シノヤの手からアーバンライツが放たれる。
 神速の矢と化して飛ぶアーバンライツは、エミリアの脇をすり抜け、ナコール公爵を掠めながら、その後方にいたカレッド将軍の肩口を打ち抜き、そのまま背後の壁に縫い付けた。

「ぎぃぃやあぁー!」

 人のものとは違う声がし、神剣アーバンライツから光が迸る。
 カレッド将軍だったものの表皮にひびが入って裂け落ち、黒い体皮と角を持つ、歪な姿をあらわにした。

「ひ、ひいっ! ま、魔族!?」

 その正体は、インプと呼ばれる魔物の一種だ。
 幻覚や悪夢を見せ、人の心を惑わせる。

 失禁でもしそうな狼狽振りで、腰を抜かしたナコール公爵の目の前で、神剣アーバンライツの光に呑まれ、インプはHPゲージを失うと同時に音もなく塵となって崩れ去った。

『イベントクリア! コングラチュレーション!』

 誰しも身動きするのも忘れ、静寂の支配する中――シノヤだけが鳴り響くファンファーレを聞いていた。
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