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第1章 アバター:シノヤ
最強の神人
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「だ、誰ですか! あなたはっ!?」
エミリアは鎧ごと胸元を押さえると、すざざざーと座ったまま後退り、シノヤから距離を取った。
F.W.Oは古いゲームといえども、NPCの人格構成は、プレイヤーと変わりない、と自分で納得したばかりだったのに、思わず不用意な行動を取ってしまったことに、シノヤは苦笑する。
目覚めでいきなり見知らぬ男が覆い被さってたら、そりゃあ、年頃の娘さんとしたら怒るよね。
「ああ、ごめんごめん。信じてもらえるとありがたいんだけど、怪しい者じゃないから」
「信じられるわけないでしょう!? 気を失っていた私になにをしようと!? ま、まさかすでに――」
途端にエミリアの顔が青くなる。元の色素が薄いだけに、青というより白く色を失っている。
「してない、してないって! そんな頑丈そうな鎧着といて、なにかできるわけないだろ?」
「た、たしかに」
エミリアは自分の鎧を見下ろして、安堵していた。
留め具とか、やたら念入りに確認していたことに、ちょっと傷つく。
俺って、そんなに寝ている女性に悪戯しそうに見えるのだろーか……
「しかし、だからといって、初対面のあなたに、安易に信じろとか言われても……」
不審そうな眼差しをじっと向けられる。
そして、その顔が、次第に耳まで真っ赤になった。
(あ)
思い出した。
それもありましたねー。
初対面でモロダシとか、さすがにそれはないよねー。
「とにかく! 俺は怪しい者じゃない。俺はシノヤ。神人だ」
「……え?」
神人。その単語を口にした直後、エミリアから表情が消えた。
彼女は四つん這いでおそるおそる近づいてくると、シノヤの頬にそっと手を添える。
「たしかに……あの石像と同じ顔……そんな、まさか本当に……?」
エミリアに胸倉を掴まれ、ぐっと手繰り寄せられた。
鼻先が触れ合いそうな先ほどよりよっぽど至近距離で、見詰め合うことになる。
もともとエミリアは美形なだけに、鎧姿も相まって、真摯な表情では凛々しいほどだ。
相手がNPCで8つも年下とはいえ、この距離ではさすがにどぎまぎしてしまう。
なんて、深い色を携えた瞳だろう――
深緑玉の瞳に自分の顔が映っている。声が出ない。思わず、惹き込まれそうになる。
「う……」
呻き声と共に、にわかにエミリアの瞳の色が曇った。
(……はい?)
「うう……うぐうぅうぅ……」
凛々しかった表情がくしゃりと歪み、瞳の表面が潤う。
(……はいぃ!?)
大きな眼から、大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちてくる。
エミリアは、予期せぬ事態に硬直してしまったシノヤの胸に顔を埋め、しばらくの間、声を殺して泣き続けたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「できれば、先ほどの醜態は忘れてください……」
消え入りそうな声で、エミリアは顔を両手で覆って恥じ入っていた。
そうしていると、勇ましい鎧姿でも、年相応の少女にしか見えない。
彼女が落ち着いたのを見計らって、シノヤは世界の情勢を聞き出してみた。
彼女はシノヤを、というか、神人を崇拝しているらしく、これまでの態度がなんだったのかというほど、素直に語ってくれた。
現在、F.W.Oでのメインストーリー、神族・魔族・精霊族の三つ巴の戦いにおいて、圧倒的優勢は魔族、次いでかなり劣勢で神族、精霊族に至っては、既に決戦に破れて覇権争いから脱落しているらしい。
三竦みは崩れ、事実上の正面対決状態。しかも、我らが陣営の神族は、風前の灯。
そもそも、F.W.OはPRGと銘打っていながらも、SLGの側面もある。
個々のキャラクターを鍛えてイベントをこなして育て、大局としては所属陣営を戦争で勝たせ、敵対する王ふたりを討つことにある。
それを完遂すると、グランドエンドとなる。
生産職でサポートに回るもよし、軍団に加勢して敵軍を打ち破るもよし、指揮官となって戦略を駆使するもよし、少数精鋭にて敵本陣に攻め込んだり、搦め手で国力を削るのもよしと、なにかと自由度はあるゲームだった。
それを担うのが、プレイヤーである超人類の各神人、魔人、精人である。
各国のNPCたちは、基本的に軍備を整え、軍団戦で他国に攻め込む、という動作を繰り返す仕様だ。
サービスの停止と同時に、ゲーム世界からプレイヤーが消え、各国は愚直にルーチンに従うことになったのだろう。
その結果、ランダム的な運要素で精霊族が敗北し、神族が滅びかけて、魔族が世界を支配しかけている状況になった。
まあ、ゲームであるし、場合によっては真逆の戦況になった可能性もある。
エミリアのような通常の人族は、神族側に属している。
そして、敗色濃厚の決戦のときが近いらしく、祖国の無念、人族の滅亡、エミリアはそういった諦観の最中にあったそうだ。
だからこそ神人であるシノヤの登場に、エミリアは天啓を得たかのごとく、神に感謝したらしい。そんなところだ。
「シノヤ様は、我らをお救いくださるために、ご降臨されたのでしょう?」
エミリアは両手を組み、疑うこともない純真な眼差しで、シノヤを見つめていた。
実際は違うのだけれど、ゲームの展開上、もともと神族側に属する神人設定にあることだし、手伝うことはやぶさかではない。
NPCとはいえ、可愛い年下の女の子に頼られて、悪い気がしないというのもある。
ただ、彼女は勘違いしているようだが、神人ひとりで戦況を覆すほどの力はない。
さすがにそんなものは、ゲームバランスを壊してしまう。
あくまで各国のプレイヤーは、数千、数万人が集まることにより、戦況を動かしていくコンセプトで製作されたゲームなのだ。
ここは、言わぬが華というやつだろう。
ただし、敗北するにしても、あっさり負けるのはかっこ悪い。
それを考えると、装備品やアイテムをロストしたのは痛かった。
10年前の記憶なので、装備の名前や特殊能力までは覚えていないが、少なくともRankA以上の一級品ではあったはずだ。
(そういや、最終レベルってどれだけだっけ?)
こちらもまた、記憶に薄い。
F.W.O公式サイトのランキングでは中の上くらいだった……ような。レベル50は下らなかったはずだ。
当時の最高レベルでは、なんと100超えの廃人プレイヤーもいたが、それはさすがに除外するとして、課金アイテムなしでも、敵国の中ボスクラスなら、1対1でなんとか倒せるくらいには強かった。
「……ステータスオープン」
シノヤはエミリアにバレないよう、こっそりと呟いた。
基本的に、NPCにはプレイヤー専用機能と呼ばれるものは見えないし使えもしないので、いろいろ聞かれるのも面倒だ。
『ステータスを表示します』
システムナビゲーターの声がする。表示や声もまた、実行した本人にしか見聞きできない。仮想電子体の視覚領域や聴覚領域に、直接信号を流しているとかなんとか。
ログインログアウトの宣告だけは、注意を促す意味で、周囲にも聞こえるそうだけど。
「……あれ?」
直接信号のやり取りのため、見間違いなどあり得ず、意味などないのだが、ウィンドウを確認したシノヤは、反射的に眼を擦っていた。
何度見直しても、表示内容は変わらない。
『レベル999』
それがシノヤの現在のレベル表記だった。
エミリアは鎧ごと胸元を押さえると、すざざざーと座ったまま後退り、シノヤから距離を取った。
F.W.Oは古いゲームといえども、NPCの人格構成は、プレイヤーと変わりない、と自分で納得したばかりだったのに、思わず不用意な行動を取ってしまったことに、シノヤは苦笑する。
目覚めでいきなり見知らぬ男が覆い被さってたら、そりゃあ、年頃の娘さんとしたら怒るよね。
「ああ、ごめんごめん。信じてもらえるとありがたいんだけど、怪しい者じゃないから」
「信じられるわけないでしょう!? 気を失っていた私になにをしようと!? ま、まさかすでに――」
途端にエミリアの顔が青くなる。元の色素が薄いだけに、青というより白く色を失っている。
「してない、してないって! そんな頑丈そうな鎧着といて、なにかできるわけないだろ?」
「た、たしかに」
エミリアは自分の鎧を見下ろして、安堵していた。
留め具とか、やたら念入りに確認していたことに、ちょっと傷つく。
俺って、そんなに寝ている女性に悪戯しそうに見えるのだろーか……
「しかし、だからといって、初対面のあなたに、安易に信じろとか言われても……」
不審そうな眼差しをじっと向けられる。
そして、その顔が、次第に耳まで真っ赤になった。
(あ)
思い出した。
それもありましたねー。
初対面でモロダシとか、さすがにそれはないよねー。
「とにかく! 俺は怪しい者じゃない。俺はシノヤ。神人だ」
「……え?」
神人。その単語を口にした直後、エミリアから表情が消えた。
彼女は四つん這いでおそるおそる近づいてくると、シノヤの頬にそっと手を添える。
「たしかに……あの石像と同じ顔……そんな、まさか本当に……?」
エミリアに胸倉を掴まれ、ぐっと手繰り寄せられた。
鼻先が触れ合いそうな先ほどよりよっぽど至近距離で、見詰め合うことになる。
もともとエミリアは美形なだけに、鎧姿も相まって、真摯な表情では凛々しいほどだ。
相手がNPCで8つも年下とはいえ、この距離ではさすがにどぎまぎしてしまう。
なんて、深い色を携えた瞳だろう――
深緑玉の瞳に自分の顔が映っている。声が出ない。思わず、惹き込まれそうになる。
「う……」
呻き声と共に、にわかにエミリアの瞳の色が曇った。
(……はい?)
「うう……うぐうぅうぅ……」
凛々しかった表情がくしゃりと歪み、瞳の表面が潤う。
(……はいぃ!?)
大きな眼から、大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちてくる。
エミリアは、予期せぬ事態に硬直してしまったシノヤの胸に顔を埋め、しばらくの間、声を殺して泣き続けたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「できれば、先ほどの醜態は忘れてください……」
消え入りそうな声で、エミリアは顔を両手で覆って恥じ入っていた。
そうしていると、勇ましい鎧姿でも、年相応の少女にしか見えない。
彼女が落ち着いたのを見計らって、シノヤは世界の情勢を聞き出してみた。
彼女はシノヤを、というか、神人を崇拝しているらしく、これまでの態度がなんだったのかというほど、素直に語ってくれた。
現在、F.W.Oでのメインストーリー、神族・魔族・精霊族の三つ巴の戦いにおいて、圧倒的優勢は魔族、次いでかなり劣勢で神族、精霊族に至っては、既に決戦に破れて覇権争いから脱落しているらしい。
三竦みは崩れ、事実上の正面対決状態。しかも、我らが陣営の神族は、風前の灯。
そもそも、F.W.OはPRGと銘打っていながらも、SLGの側面もある。
個々のキャラクターを鍛えてイベントをこなして育て、大局としては所属陣営を戦争で勝たせ、敵対する王ふたりを討つことにある。
それを完遂すると、グランドエンドとなる。
生産職でサポートに回るもよし、軍団に加勢して敵軍を打ち破るもよし、指揮官となって戦略を駆使するもよし、少数精鋭にて敵本陣に攻め込んだり、搦め手で国力を削るのもよしと、なにかと自由度はあるゲームだった。
それを担うのが、プレイヤーである超人類の各神人、魔人、精人である。
各国のNPCたちは、基本的に軍備を整え、軍団戦で他国に攻め込む、という動作を繰り返す仕様だ。
サービスの停止と同時に、ゲーム世界からプレイヤーが消え、各国は愚直にルーチンに従うことになったのだろう。
その結果、ランダム的な運要素で精霊族が敗北し、神族が滅びかけて、魔族が世界を支配しかけている状況になった。
まあ、ゲームであるし、場合によっては真逆の戦況になった可能性もある。
エミリアのような通常の人族は、神族側に属している。
そして、敗色濃厚の決戦のときが近いらしく、祖国の無念、人族の滅亡、エミリアはそういった諦観の最中にあったそうだ。
だからこそ神人であるシノヤの登場に、エミリアは天啓を得たかのごとく、神に感謝したらしい。そんなところだ。
「シノヤ様は、我らをお救いくださるために、ご降臨されたのでしょう?」
エミリアは両手を組み、疑うこともない純真な眼差しで、シノヤを見つめていた。
実際は違うのだけれど、ゲームの展開上、もともと神族側に属する神人設定にあることだし、手伝うことはやぶさかではない。
NPCとはいえ、可愛い年下の女の子に頼られて、悪い気がしないというのもある。
ただ、彼女は勘違いしているようだが、神人ひとりで戦況を覆すほどの力はない。
さすがにそんなものは、ゲームバランスを壊してしまう。
あくまで各国のプレイヤーは、数千、数万人が集まることにより、戦況を動かしていくコンセプトで製作されたゲームなのだ。
ここは、言わぬが華というやつだろう。
ただし、敗北するにしても、あっさり負けるのはかっこ悪い。
それを考えると、装備品やアイテムをロストしたのは痛かった。
10年前の記憶なので、装備の名前や特殊能力までは覚えていないが、少なくともRankA以上の一級品ではあったはずだ。
(そういや、最終レベルってどれだけだっけ?)
こちらもまた、記憶に薄い。
F.W.O公式サイトのランキングでは中の上くらいだった……ような。レベル50は下らなかったはずだ。
当時の最高レベルでは、なんと100超えの廃人プレイヤーもいたが、それはさすがに除外するとして、課金アイテムなしでも、敵国の中ボスクラスなら、1対1でなんとか倒せるくらいには強かった。
「……ステータスオープン」
シノヤはエミリアにバレないよう、こっそりと呟いた。
基本的に、NPCにはプレイヤー専用機能と呼ばれるものは見えないし使えもしないので、いろいろ聞かれるのも面倒だ。
『ステータスを表示します』
システムナビゲーターの声がする。表示や声もまた、実行した本人にしか見聞きできない。仮想電子体の視覚領域や聴覚領域に、直接信号を流しているとかなんとか。
ログインログアウトの宣告だけは、注意を促す意味で、周囲にも聞こえるそうだけど。
「……あれ?」
直接信号のやり取りのため、見間違いなどあり得ず、意味などないのだが、ウィンドウを確認したシノヤは、反射的に眼を擦っていた。
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