今時な死神と不死身な嫌われ者

ガトリングレックス

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第27話オセロ

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ここはテロ組織、〈セカンド〉のアジト。
量産化された覚醒催眠兵器、ハンドレッドを配備し、世界侵略を目的としている。
なぜハンドレッドを量産化できるほど財力があるのか。
それはバックにアメリカの軍が関わっているからである。
軍は〈セカンド〉を利用し、世界を裏で支配しようとしていた。
〈セカンド〉はその事について薄々気づいている。
そのために集めた4人の誘拐した能力者アビリティソルジャー
その4人の事を〈セカンド〉ではこう呼んでいる。
逆転する宿命オセロと。

「今回の任務は日本にある能力者が多く住んでいるこの町を占拠する。逆転する宿命オセロの諸君、失敗すれば、分かっているな」
「「「「はい、承知の上です!」」」」
「よろしい、では出撃せよ」
「「「「分かりました!」」」」
白黒の武装をしている逆転する宿命オセロの4人はアジトを出ると、用意された4台の自動運転車に乗り込み、それぞれの持ち場に向かう。
1人は電気発電所を襲い、停電させる。
発電所には泡が廊下に充満していた。
1人は電波塔を制圧し、インターネットの接続を完全にシャットアウト。
1人は遊園地で殺戮を開始。
次元の裂け目から剣が射出され、客を殺害して行った。
1人はテレビ局を占拠し、この町の住民に恐怖を煽る声明文を言い放った。
これを受け、自衛隊が出動するも、到着に時間がかかり、この町の雇われ屋全員が総動員で4つの現場に向かう。
ミユとランはヒカルの運転で、テレビ局へ向かった。
セイギが言ったことが現実に起きた。
ミユはそう考えると嫌悪感を感じる。
あのサイコキラーが予言を当てたことに、とても腹が立つ。
「着いたぞ」
ヒカルが車から降りると、ミユとランも、自動ドアを開け、アスファルトの上を踏みしめる。
他の車からも雇われ屋達が降りて来る。
テレビ局の中に入ると、複数の焼き焦げた死体を確認、急いで階段を上り、ニューススタジオに向かう。
すると、濁った水が階段に滴り落ちる。
なにやら生ゴミの様な匂いがするが、そんなことに構ってる時間はない。
上り続けていると敵が火をつけたマッチを持っているのを発見した。
黒いヘルメットに白いガスマスク、白いチョッキの下には黒い軍用の服、黒い軍用ズボン、白い安全靴を履き、軍の兵士を愚弄するような、いわゆるパンダ柄となっている。
兵士はマッチから手を離すと、濁った水に接触、なんと爆発を引き起こした。
滴り落ちていたのは濁った水ではない、ガソリンだったのだ。
吹き飛ばされ、全身が燃えて行き、階段から転がり落ちる雇われ屋達。
「フハハハ! 足元はちゃんと確認しなー。じゃないとお前達の命は炎に散るぜー!」
笑いながら爆発から逃走する兵士。
だが、突然廊下の一部が崩れ落ち、ランとミユが念動力サイコキネシスでこの場に舞い降りた。
「ここまで来ると、念動力サイコキネシスもエゲツない物だなぁ」
「お褒めの言葉感謝っす。さっそくっすけど、死んでいただくっす」
ランは笑みを浮かべ、取り出していた警棒8本から手を離し、念動力サイコキネシスで銃弾の様に兵士に飛ばす。
それに対し、兵士は暴風を引き起こし、警棒を吹き飛ばした。
「次はこいつだぁ」
今度は電撃を撃ち放ち、さらにガソリンの雨を降らせ、引火、大爆発を引き起こした。
爆風で窓が割れていき、煙が立ち込める。
(悪いな。俺の能力はガソリン、電気、風、この3つを自由に生成、操ることができる)
停電したはずの町中に声明文を言えたのは、電気を供給することができたから。
これほどの強大な電力を起こすことができる者は数少ないだろう。
炎上する廊下を歩いて行くと、煙が視界を奪う。
(少しやりすぎたか)
手加減をすればよかったと後悔しつつ、仲間と合流するため、エレベーターに電気を供給する。
「死神ネットに接続」
嫌な予感がし、声の方へ顔を向けると、ミユとランが無傷で立っていた。
なんと念動力サイコキネシスで爆発を防いでいたのだ。
ミユの左目には、すでにドクロマークが浮き出て来ている。
「なに!?」
動揺しつつ、ガソリンを生成、ばら撒こうとするが、体の自由が効かなくなった。
「殺害対象、前方の兵士」
なにが起きるのか訳が分からない。
だが死ぬのだろうと言うことは確信する。
「殺害方法、心臓麻痺」
死神ネットの効果で、兵士の心臓の魂動が完全に停止した。
崩れ落ちる兵士の姿を確認しようとするが、煙で前が見えない。
咳き込みながら、頭を抱えるミユを、ランは念動力サイコキネシスで浮かせ、急いで1階に下りる。
「大丈夫っすか? 能力を使いすぎたんじゃないっすか?」
「ダイ・ジョウ・ブ・・・こんなの・・・アメを舐めて・・・おけば・・・治る・・・から」
震えた手でスカートのポケットからコーラ味のアメを取り出し口に入れるが、鼻血が出て、クラクラと倒れそうになる。
ランがミユを支え、肩を貸す。
「重症じゃないっすか!」
「私は平気・・・うっ・・・次・・・行く・・・わ・・・よ・・・」
ミユは気を失うと、ランの中で絶望の2文字が過った。
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