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第24話キッズデッド
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赤いバイクで走るヤマト。
その行き先は、この町では1番古い小学校だ。
仕事内容は生徒を殺害している犯人を捉えること。
(学校か。良い思い出なんて、あの事件に比べれば小さいな)
自分を不幸にした殺人未遂事件。
高校生の頃、なんの恨みか知らないが、つき飛ばされ、車にはねられた。
しかし死体が消滅し、新しい体が生成されたところを目撃者に見つかり、能力者だと発覚。
そこからどん底の人生が始まった。
犯人は60代の男性で、ヤマトの表情が笑っているように見えたことに腹を立てたからだそうだ。
そんな人生を変えてくれたブラッドと眷属の影響はデカかった。
仕事で中々眷属に長く時間を取れないのが本当に申し訳ない。
そんな気持ちを残し、事件が起きている小学校に到着した。
駐車場にバイクを止め、イスのところを開け、ヘルメットをしまう。
「1番古いにしては新し目な感じがするけど」
事件の事もあり、生徒は全員休み。
犯人は生徒を狙う傾向がある。
(なんのために子どもを殺すかなんてどうでもいい。俺は仕事をさせてもらう)
学校の中に入り、廊下を歩いて行き、階段を上ると、男性教師がこちらにあいさつをしてくる。
「こんにちは」
「こんにちは。依頼を受けたヤマトです」
「ハハハ、その制服で分かりますよ。今回の件、よろしくお願いしますね」
「はい、絶対に犯人を捕まえます」
男性教師が階段を下りて行き、ヤマトがその場を過ぎると、職員室に到着する。
「失礼します」
そう言って扉を開けると、そこには教師がパソコンで子ども達のテストに丸付けをしていた。
コスト削減のため、今時はパソコンで授業を行うことが当たり前になっている。
紙の需要がなくなっていく現状は別に皆気にしていない様子。
とっ、こちらの方に女性の校長が焦った様子で歩いて来た。
「お待ちしておりました。内容は聞かれているとは思いますが、こちらへどうぞ」
案内されたのは職員室の隣にある校長室。
ソファに座り、熱いお茶を飲みながら、本題に入る。
「今回の事件、能力者が関わっていると思い、雇わせていただきました」
「子どもを襲う殺人犯がここにいると、しかも能力持ち、お任せください。ただちに仕事を行わせていただきます」
「はい、よろしくお願いします」
校長は汗をハンカチで拭い、飲み終えた茶器を片付けた。
いない。
どこにもいない。
朝、昼、晩、見回りをしてもそれらしき者は見つからない。
(俺が来てから殺人犯が来ない。なるほど、子どもだけを狙うと言うのは本当らしいな)
ヤマトの考えは、あながち間違ってはいなかった。
家でデバイスのゲームをしている小学生の男子に忍び寄る白い霧。
しかしゲームに集中していて背後にいる者に気づかない。
実態を表し、大剣を振りかぶり、振り下ろした。
「ただいま~」
帰って来た母がリビングに入ると、息子の無残な姿があった。
悲鳴を上げ、すぐに警察に連絡する。
「ボス、俺、ボスをいじめる奴ら、みんな、殺す。能力者の卵? 関係ない。ボスを、みんな、見くびってる。俺と言う、能力を生み出した。だから、いじめ、終わらせる」
霧の中で、大剣を片手で軽々と持つ兜の男。
彼の名ジャイアント。
能力は圧倒的抵抗力と言い、受けた攻撃、能力に対して抵抗力を得ることができる。
前回の戦いでストロンギストの破壊の力に抵抗力を得たことで、生き残ることができた。
仲間の犠牲によって様々な抵抗力を得たジャイアントはまさに無敵だ。
「次は、誰、殺すか」
片言で喋るジャイアントは、霧に消えようとする。
「ボスに、会いたい」
恋しくなったのか、ボスであるキリアの家まで霧に消える。
キリアとは能力によって繋がっている。
瞬間移動で手当たりしだいに探す必要はない。
リビングで勉強をするキリアの前に座る。
「ボス」
「えっ、ジャイアント? ジャイアントだよね!」
はしゃぎながらキリアはジャイアントに抱きつく。
「ねえねえ、みんなは? いるんでしょ?」
その無邪気な質問に、ジャイアントはなにも言えない。
「ジャイアント?」
不思議そうにこちらを見て来る彼女がとてもかわいく見える。
「ボス、みんなは、俺、以外、消えた。だから、もう、会えない」
子どもには到底耐えられない言葉に、キリアは涙を零しながら、抱きついている手の力を強くする。
「なんで! ねえなんで! みんな消えるなんておかしいよ!」
「俺だって、寂しい。みんな、消えて、悲しい」
キリアとジャイアントの声を聞きつけ、おばあちゃんの足音が聞こえる。
「じゃあ、ボス、また、あとで」
手を振りながら、優しい口調でそう言うと、ジャイアントはその場から霧になって消えた。
「キリアちゃんどうしたのぉ? 学校の事思い出しちゃった?」
「うーうん、違う。私ね、友達に会えたよ。でもね。みんなとは会えなかったの」
「へー、でも友達には会えたんでしょ?」
「みんなに会えなきゃやだー!」
泣き叫ぶボスの姿を見て、ジャイアントは申し訳なさを感じた。
その行き先は、この町では1番古い小学校だ。
仕事内容は生徒を殺害している犯人を捉えること。
(学校か。良い思い出なんて、あの事件に比べれば小さいな)
自分を不幸にした殺人未遂事件。
高校生の頃、なんの恨みか知らないが、つき飛ばされ、車にはねられた。
しかし死体が消滅し、新しい体が生成されたところを目撃者に見つかり、能力者だと発覚。
そこからどん底の人生が始まった。
犯人は60代の男性で、ヤマトの表情が笑っているように見えたことに腹を立てたからだそうだ。
そんな人生を変えてくれたブラッドと眷属の影響はデカかった。
仕事で中々眷属に長く時間を取れないのが本当に申し訳ない。
そんな気持ちを残し、事件が起きている小学校に到着した。
駐車場にバイクを止め、イスのところを開け、ヘルメットをしまう。
「1番古いにしては新し目な感じがするけど」
事件の事もあり、生徒は全員休み。
犯人は生徒を狙う傾向がある。
(なんのために子どもを殺すかなんてどうでもいい。俺は仕事をさせてもらう)
学校の中に入り、廊下を歩いて行き、階段を上ると、男性教師がこちらにあいさつをしてくる。
「こんにちは」
「こんにちは。依頼を受けたヤマトです」
「ハハハ、その制服で分かりますよ。今回の件、よろしくお願いしますね」
「はい、絶対に犯人を捕まえます」
男性教師が階段を下りて行き、ヤマトがその場を過ぎると、職員室に到着する。
「失礼します」
そう言って扉を開けると、そこには教師がパソコンで子ども達のテストに丸付けをしていた。
コスト削減のため、今時はパソコンで授業を行うことが当たり前になっている。
紙の需要がなくなっていく現状は別に皆気にしていない様子。
とっ、こちらの方に女性の校長が焦った様子で歩いて来た。
「お待ちしておりました。内容は聞かれているとは思いますが、こちらへどうぞ」
案内されたのは職員室の隣にある校長室。
ソファに座り、熱いお茶を飲みながら、本題に入る。
「今回の事件、能力者が関わっていると思い、雇わせていただきました」
「子どもを襲う殺人犯がここにいると、しかも能力持ち、お任せください。ただちに仕事を行わせていただきます」
「はい、よろしくお願いします」
校長は汗をハンカチで拭い、飲み終えた茶器を片付けた。
いない。
どこにもいない。
朝、昼、晩、見回りをしてもそれらしき者は見つからない。
(俺が来てから殺人犯が来ない。なるほど、子どもだけを狙うと言うのは本当らしいな)
ヤマトの考えは、あながち間違ってはいなかった。
家でデバイスのゲームをしている小学生の男子に忍び寄る白い霧。
しかしゲームに集中していて背後にいる者に気づかない。
実態を表し、大剣を振りかぶり、振り下ろした。
「ただいま~」
帰って来た母がリビングに入ると、息子の無残な姿があった。
悲鳴を上げ、すぐに警察に連絡する。
「ボス、俺、ボスをいじめる奴ら、みんな、殺す。能力者の卵? 関係ない。ボスを、みんな、見くびってる。俺と言う、能力を生み出した。だから、いじめ、終わらせる」
霧の中で、大剣を片手で軽々と持つ兜の男。
彼の名ジャイアント。
能力は圧倒的抵抗力と言い、受けた攻撃、能力に対して抵抗力を得ることができる。
前回の戦いでストロンギストの破壊の力に抵抗力を得たことで、生き残ることができた。
仲間の犠牲によって様々な抵抗力を得たジャイアントはまさに無敵だ。
「次は、誰、殺すか」
片言で喋るジャイアントは、霧に消えようとする。
「ボスに、会いたい」
恋しくなったのか、ボスであるキリアの家まで霧に消える。
キリアとは能力によって繋がっている。
瞬間移動で手当たりしだいに探す必要はない。
リビングで勉強をするキリアの前に座る。
「ボス」
「えっ、ジャイアント? ジャイアントだよね!」
はしゃぎながらキリアはジャイアントに抱きつく。
「ねえねえ、みんなは? いるんでしょ?」
その無邪気な質問に、ジャイアントはなにも言えない。
「ジャイアント?」
不思議そうにこちらを見て来る彼女がとてもかわいく見える。
「ボス、みんなは、俺、以外、消えた。だから、もう、会えない」
子どもには到底耐えられない言葉に、キリアは涙を零しながら、抱きついている手の力を強くする。
「なんで! ねえなんで! みんな消えるなんておかしいよ!」
「俺だって、寂しい。みんな、消えて、悲しい」
キリアとジャイアントの声を聞きつけ、おばあちゃんの足音が聞こえる。
「じゃあ、ボス、また、あとで」
手を振りながら、優しい口調でそう言うと、ジャイアントはその場から霧になって消えた。
「キリアちゃんどうしたのぉ? 学校の事思い出しちゃった?」
「うーうん、違う。私ね、友達に会えたよ。でもね。みんなとは会えなかったの」
「へー、でも友達には会えたんでしょ?」
「みんなに会えなきゃやだー!」
泣き叫ぶボスの姿を見て、ジャイアントは申し訳なさを感じた。
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